環境省大気環境・自動車対策微小粒子状物質健康影響評価検討会

第1回微小粒子物質健康影響評価検討会 会議録


1.日時

平成19年5月29日(火)14:00〜16:00

2.場所

環境省第1会議室(22階)

3.出席者

(委員)
安達 修一    上島 弘嗣    内山 巌雄
香川  順    工藤 翔二    小林 隆弘
坂本 和彦    佐藤  洋    島  正之
祖父江友孝    高野 裕久    冨永 祐民
新田 裕史    溝畑  朗    森田 昌敏
横山 榮二    若松 伸司
(欠席)
川本 俊弘
(環境省)
竹本水・大気環境局長
岡部総務課長
松井大気環境課長
松田総務課課長補佐

4.議題

(1)微小粒子状物質健康影響評価検討会について
(2)欧米における粒子状物質に関する動向について
(3)微小粒子状物質の調査研究に関する環境省の取組について
(4)健康影響評価検討の進め方等について
(5)その他

5.配付資料

資料1   微小粒子状物質健康影響評価検討会について
  資料1−1 開催要綱
  資料1−2 委員名簿
資料2   欧米における粒子状物質に関する動向について
資料3   微小粒子状物質の調査研究に関する環境省の取組について
  資料3―1 微小粒子状物質等の曝露影響調査研究について
  資料3―2 粒子状物質の健康影響に関する文献調査について
資料4   微小粒子状物質等健康影響評価の進め方等について
  資料4−1 健康影響評価検討の進め方(案)
  資料4−2 健康影響評価にあたっての検討項目(案) 
 

参考資料 粒子状物質に関する基礎資料

6.議事

【松田補佐】 定刻となりましたので、ただいまより第1回微小粒子状物質健康影響評価検討会を開催いたします。
 本検討会の開催に当たり、竹本水・大気環境局長よりごあいさつ申し上げます。

【竹本局長】 ただいまご紹介いただきました水・大気環境局長の竹本でございます。委員の先生方におかれましては、大変ご多用のところ、この委員会にご出席をいただきましてまことにありがとうございます。また、平素より、私ども環境行政にご指導、ご鞭撻をいただきまして、この場をおかりいたしまして御礼申し上げたいと思います。
 この微小粒子状物質の健康影響を初めといたしますいわゆるPM2.5の課題への対応でございますが、今回の国会の審議の中でも大変大きく取り上げられてきたところでございます。そういうこともございまして、私ども政府におきまして、この課題は大変重要課題の一つとして位置付けをしておりまして、しっかりと対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 この課題について、環境省におきましては、平成11年度から国内の健康影響に関する基礎的な調査研究を実施してきたところでございます。
 また、海外におきましても、例えば米国におきまして昨年の10月に環境基準の見直しを行い、また世界保健機構WHOにおきましても、PM2.5の大気ガイドライン値の設定を行ったところでございます。さらにはEUにおきまして、PM2.5の環境基準設定に向けた検討も進んできておるところでございます。これら諸外国等の動向の情報収集や文献の収集も行ってきておるところでございます。
 このように、国内外におきます科学的知見を集積しつつある中で、このたび微小粒子状物質に関する健康影響評価につきまして、総合的にご検討をいただくこととした次第でございます。委員の先生方におかれましては、この委員会の審議に当たりまして、幅広く、総合的な、また専門的な観点からご指導を賜りますよう、改めましてお願いを申し上げまして、私の冒頭のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料、表紙をめくりまして、資料の1−1、開催要綱、めくりまして1−2、委員名簿、めくりまして資料の2、欧米における粒子状物質に関する動向について、そのあと6ページに行きまして、資料3−1、微小粒子状物質の曝露影響調査研究について、その後、9ページに行きまして、資料3−2、粒子状物質の健康影響に関する文献調査について、3ページめくりまして、資料4−1、健康影響評価検討の進め方(案)、1枚めくりまして、資料4−2、粒子状物質健康影響評価に当たっての検討項目(案)、それと参考資料PM2.5と、以上資料ですが、もし資料の不足がございましたらお申しつけください。
 それでは、次に、本日ご出席いただいている委員の方々を紹介させていただきます。事務局側の座席におられます委員から、時計回りの机に向かいまして、50音別に委員の方を紹介させていただきます。
 まず、相模女子大学の安達先生です。
 続きまして、滋賀医科大学の上島先生です。
 続きまして、京都大学大学院の内山先生です。
 続きまして、東京女子医科大学の名誉教授の香川先生です。
 続きまして、日本医科大学呼吸器・感染・腫瘍内科主任教授の工藤先生です。
 続きまして、東京工業大学の小林先生です。
 続きまして、埼玉大学の坂本先生です。
 続きまして、東北大学の佐藤先生です。
 続きまして、兵庫医科大学の島先生です。
 続きまして、国立がんセンターの祖父江先生です。
 続きまして、国立環境研究所の高野先生です。
 続きまして、愛知県がんセンター名誉総長の富永先生です。
 続きまして、国立環境研究所の新田先生です。
 続きまして、大阪府立大学の溝畑先生です。
 続きまして、愛媛大学の森田先生です。
 続きまして、元国立公衆衛生院院長の横山先生です。
 続きまして、愛媛大学の若松先生です。
 なお、委員のうち、本日、産業医科大学の川本先生におかれましては、所用により欠席されております。
 続きまして、事務局であります水・大気環境局の職員を紹介申し上げます。
 まず、局長の竹本です。続きまして、総務課長の岡部です。大気環境課長の松井です。それと、私、総務課の松田です。
 引き続きまして、本検討会の座長を決めたいと思います。後ほど紹介する開催要綱において、座長を互選で選定するとしておりますが、委員の方からご推薦はございますでしょうか。
 それでは、坂本委員、お願いします。

【坂本委員】 健康影響関連に造詣の深い、京都大学の内山先生にお願いしてはいかがと思います。

【松田補佐】 ただいま、坂本委員から内山委員を本件当会の座長に推薦するご提案がありましたが、皆様いかがでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

【松田補佐】 それでは、座長を内山委員にお願いいたします。
 それでは、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは、恐縮ですが会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、退席をお願いいたします。
 それでは、これ以降の会議の進行は内山座長にお願いいたします。

【内山座長】 それでは、ただいまご推薦いただきまして、座長を引き受けさせていただきます内山でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
 微小粒子状物質に関しましては、1990年代の初めになりますでしょうか、ハーバード6シティスタディが公表されて、そのとき呼吸器のみでなくて、循環器系にも影響が出るんだということを指摘されまして、大気汚染をやっていた私どもといたしましては、もう今の現在の大気汚染濃度では、特にそういう急性の影響はないだろうというふうに考えておりましたので、非常にショックを受けたことを覚えております。
 私がちょうど1987年にハーバードに行っておりましたときに、そこの同じ教室のスペングラーさんですとか、ドックレイさんのところの大学院生が、毎日毎日データを打ち込んでいたのを覚えております。何やっているんだと聞いたら、6シティというのをやっているんだと。まだ論文になっておりませんでしたので、内容は余り詳しくは話してくれませんでしたが、それが5年後になって、ようやくそういう研究の論文が初めて出てくると。非常に息の長いことを向こうではやっているんだなというふうに思ったのが1990年代の初めであります。
 それから環境省、当時の環境庁大気環境学会、それから東京都が中心となりまして、微小粒子に関する国際シンポジウムを開催して、それ以後その重要性が認識されて、今、局長の方からお話がありましたように、環境庁としてもいろいろな調査を開始して、そういうことから10年、15年たって、いろんな知見が集積してきて、それから我が国の知見も議論できるところまで集積してきたということで、今回の健康影響評価委員会の設置というふうになったと思っております。特に今回注目もされておりますので、国内外の科学的知見を踏まえまして、微小粒子状物質に関する健康影響評価をこの委員会で取りまとめていきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくどうぞお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。きょうは主に検討会の設置の趣旨ですとか、それから諸外国における動向、それから先ほどご紹介がありました調査の取組み、それから評価委員会の進め方ということについてご議論いただければというふうに思います。
 それでは、まず、議題1の微小粒子状物質健康影響評価検討会の開催の趣旨につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、微小粒子状物質健康影響評価検討会について、資料1に沿ってご説明申し上げます。
 まず、資料1−1を見ていただければと思います。開催要綱(案)ということですが、1番目に開催趣旨ということです。浮遊粒子状物質の中でも、特に健康影響が懸念される微小粒子状物質PM2.5については、環境省において、現在、国内における微小粒子状物質の健康影響に関する各種調査研究や、諸外国の科学的知見の集積に、鋭意努めているところです。また、欧米において、微小粒子状物質の環境目標値を設定する動きがあり、WHOは微小粒子状物質の環境目標値に関するガイドラインを昨年設定したところです。環境省では、これらの科学的知見や情報などを踏まえ、大気環境保全対策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的に、学識経験者などからなる微小粒子状物質健康影響評価検討会を水・大気環境局で開催をし、微小粒子状物質に係る健康影響に関する評価について検討することとします。
 2番目に行きまして、運営方針、(1)構成及び運営ということです。検討会は曝露、毒性学及び疫学に関する学識経験者及び有識者を委員として構成します。検討会には座長をおき、座長は委員の互選により定めています。座長は会議の議事運営にあたることといたします。座長が検討会に出席できない場合は、座長があらかじめ指名する委員がその職務を代行するということにいたします。検討会では、微小粒子状物質に係る健康影響に関連する各種調査研究結果等の共有、微小粒子状物質に関する健康影響評価の方針に関する検討及び健康影響評価に関する議論を行います。検討会での円滑な議論に資するため、検討会のもとに曝露、毒性学及び疫学の分野ごとに、作業部会、ワーキンググループを設けまして、該当分野別に実務的な検討作業を行います。
 続きまして、議事等の公開ですが、検討会の議事及び配付資料は、原則として公開します。ただし、公開することにより公正かつ中立的な審議に著しい支障を及ぼすおそれのある場合、または特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれのある場合は、座長は、その理由を明らかにした上で検討会の議事又は配付資料を非公開とすることができます。公開した検討会の議事録及び議事要旨は検討会終了後に作成し、公開します。
 なお、作業部会については、各分野における実務的な検討作業を進める過程において、当該分野に係る知見及び文献等に対する科学的知見からの有識者の自由な議論を妨げるおそれがあること、意志決定の中立性が損なわれるおそれがあることから、議事及び配付資料は非公開といたします。
 その他として、上記に規定するもののほか、検討会の運営に関し、必要な事項は座長が定めることができるものといたします。
 3番目に行きまして、検討事項ですが、国内外の微小粒子状物質に関する科学的知見を踏まえまして、以下の六つの事項について検討いたします。粒子状物質に関する特性、微小粒子状物質の曝露評価、微小粒子状物質の生体内沈着・体内動態、微小粒子状物質の毒性学研究に関する健康影響、微小粒子状物質の疫学研究に関する健康影響、微小粒子状物質に関する健康影響評価となっています。
 4番目のスケジュールですが、平成19年5月の第1回開催後、上記の3の検討事項について数回にわたって審議検討を行った後、微小粒子状物質の健康影響評価に関する検討結果を取りまとめることとします。
 それで、資料の1−2に行きまして、先ほど私の方から各委員を紹介させていただきましたが、これが本検討会の委員名簿です。
 以上です。

【内山座長】 はい、ありがとうございました。ただいまの検討会の趣旨、あるいは運営方針について説明がございましたが、何かご質問、ご意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、特にないようでしたら、次の議題2に移りたいと思います。議題2は欧米における粒子状物質に関する動向についてでございます。これについて、事務局からまたご紹介をお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、資料2の欧米における粒子状物質に関する動向について、資料2をもとにご説明申し上げます。
 それでは、資料2を見ていただきまして、まず、米国のものからご説明いたします。
 まず一番目に、大気環境基準の位置付けということですが、米国では、大気清浄法に基づきまして、連邦政府が大気環境基準を設定することとされています。この大気環境基準は全国一律に適用される基準で、汚染物質の濃度がこの基準を超える場合には、基準達成のために排出物質を削減する努力が要求されます。なお、大気汚染防止や発生源対策の主たる責任は、州や地方政府にあるということです。
 次に、粒子状物質に関する大気環境基準の設定・改定経緯です。
 米国の粒子状物質に関する大気環境基準は1971年に最初に設定されました。当時はTSPということを対象にしましたが、その後、1987年にPM10を指標とした基準に変更して、続いて1997年の第2次改定で新たにPM2.5を目標とした基準が加わり、さらに昨年の9月、第三次改定が行われているという状況です。1997年の第2次改定では、PM2.5に関する基準が新しく導入されましたが、基準設定の妥当性についてEPAが産業界から提訴されて、一旦敗訴しましたが、2001年の最高裁判所判決でEPAが勝訴し、新しくPM2.5の基準を設定することが認められました。一方、1997年の第2次改定に際し、科学的根拠に対する不確実性を巡って、産業界の反対などさまざまな議論があったことを踏まえ、同年、当時の大統領がEPA長官に対して、粒子状物質の健康影響に関する科学的知見のレビューを行う等の指示を行いました。EPAは2004年にクライテリア・ドキュメント、これは粒子状物質の健康影響に関する科学的知見のレビューのことですが、これを作成しまして、これに基づいて2005年にスタッフペーパー、これはEPAの基準作成担当部局はクライテリア・ドキュメントからの科学的知見、これを要約して基準作成上の考え方を示した文書ですが、これを作成しました。EPAはこれらの文書に基づきまして、2006年の1月、粒子状物質に関する環境基準の第3次改定提案、これを官報公示して、公衆の意見受付を行いました。この環境基準改定の最終決定を行う前に、2004年のクライテリア・ドキュメントで整理・評価を行った科学情報以降の最新の科学的知見の調査・評価を行いまして、2006年7月にその成果をとりまとめています。EPAは、この改定提案に対する公衆等の意見及び今、説明をした最新の科学的知見を考慮した上で、2006年9月、粒子状物質に関する第3次改定基準を発表し、PM2.5の24時間平均基準を強化し、PM10の平均基準を廃止しております。
 その次に、表として一連の基準値、項目、指標ごとの平均時間と基準値に応じたものが出ておりまして、1997年の第2次改定につきまして、PM2.5は24時間平均が65μg/m3、平均で15μg/m3だったのが、2006年に第3次改定で24時間平均が35μg/m3に見直され、年平均の基準はそのまま据え置かれているという状況です。
 なお、PM10につきましては、年平均の基準は廃止されていると、こういったような状況になっております。
 その次のページに行きまして、次はWHOの説明をいたします。
 WHOのまず大気質指針の位置付けということですが、この大気質指針(Air Quality Guidelines)と、これは世界各国がさまざまな状況で公衆衛生の保護に必要な大気質を保護するための対策をとることを支援することを目的として作成されております。
 一方、各国はそれぞれの国民の公衆衛生を保護するため、環境保全政策上の重要な要素として環境基準を定めていて、その基準値は健康リスクや技術的実現可能性、経済的問題、政治的社会的要因等によって異なり得るものだと。これらの要因は大気質管理の進展レベル等に左右されると、こういったことも書かれておると。WHOが推奨するこの指針は、この多様性を認識しておりまして、各国政府が政策目標を立てる際に、この大気質指針を法定基準としてそのまま採用する前に、国内独自の状況を慎重に考慮すべきだということを認識している上でのものだということです。
 次に、粒子状物質に関する大気質指針の設定経緯ということですが、1987年に、まずWHOの欧州地域事務局、これは欧州地域を対象としてWHOとして最初の大気質指針の策定をして、TSPとTP、トータル浮遊粒子状物質と、またトータルの粒子状物質についての二酸化硫黄との共存曝露に対しての大気質指針を定めました。欧州地域事務局では、その後改定作業を進めて、1997年に改訂版の作成をしております。この改訂版では粒子状物質、PM10とPM2.5について、曝露と健康影響に明らかな関連性が認められるとしながらも、入手可能な情報では、それ以下では影響がないと予測される濃度を判定することはできないということで大気質指針を示していませんでした。その後2000年から2004年にかけて、WHO欧州事務局は、欧州委員会、これは後ほど3番のEUで説明しますが、欧州委員会の要請に基づきまして、欧州の大気汚染と健康影響についてのレビューを行いまして、粒子状物質に関する欧州大気質指針の改定が必要というふうに考えました。また、そのガイドラインは世界全体にも適用可能という考えで、WHOで初めて世界全体を対象とした大気質指針を作成することとしました。その後、欧州事務局において大気質指針改定の作業を進めて、2006年10月、新しいWHOの大気質指針グローバルアップデートの要旨を公表し、またその後、2007年3月に本編の文書を公表しております。ということで、粒子状物質PM10と2.5の大気質指針を新たに設定しております。また、この指針に加えまして、今回、暫定目標も示されております。この暫定目標は大気汚染の段階的な改善を促進することを目的として設定をされております。粒子状物質では3段階の暫定目標が示されております。
 その次のページに行きまして、ここに示されているものがPM2.5とPM10の数値でございます。PM2.5につきましては、大気質指針として24時間平均が25μg/m3、年平均として10μg/m3、PM10は24時間平均で50μg/m3、年平均は10μg/m3と、このほか3段階の暫定目標として、PM2.5、PM10についてそれぞれ定めているという状況です。
 その次のページに行きまして、次はEUのご説明をいたします。
 EUについてですが、まず、最初に大気環境基準の位置付けということですけれども、EUにおける大気環境基準、これは指令の下に定められております。指令達成のための実施形態や方式は、これはまさに加盟国の選択に任されているという状況です。PM2.5については、2005年、欧州委員会がPM2.5の環境基準、濃度上限を新たに提案をしておりまして、現在、欧州理事会及び欧州議会において討議されているという状況です。濃度の上限におきましては、許容限界、これは後の表の後ろにも書かれておりますが、指令が定める条件に従って、許容される限界値のパーセンテージが合わせて定められておりまして、環境大気中濃度が濃度上限プラス許容限界を超える地区などがある場合、EU加盟国は、当該地区で濃度上限を達成するための計画を定めなければならないというふうになっております。
 次に、粒子状物質に関する大気環境基準の検討状況でございます。
 EUは1980年、浮遊粒子の大気環境基準を定め、その後、1999年に粒子状物質のPM10の基準を策定しました。EUは2001年に「欧州大気清浄計画」これはClean Air for Europe(CAFE)プログラムという名称ですけれども、を発表して、粒子状物質による大気汚染問題に優先的に取り組み、2004年までに戦略を策定して、必要に応じて規制の提案を行うべきということを決定しております。その後、CAFEの作業グループが粒子状物質の現状と対策をまとめたポジションペーパーの策定作業を行い、2004年12月にこれを最終決定し、PM2.5基準を設定することを勧告しております。なお、この作業の過程で先ほどWHOにレビューをお願いしているという状況もありまして、この点、EUはWHOに対して要請をして、WHOはその要請に基づいてレビューを行って、それをEUが反映をさせているという状況です。これを受けて、欧州委員会が2005年9月に「大気汚染に関するテーマ戦略」を策定しまして、環境大気質に関する複数の指令を一つにまとめた、「欧州の環境大気質とより清浄な大気に関する欧州議会及び理事会指令(案)」を発表しまして、同年11月に理事会及び欧州議会に提出しております。その指令案で、PM2.5の基準として、濃度上限と曝露削減目標、これが提案されております。この後、欧州議会における第一読会、これが2006年6月に行われまして、さらに9月に欧州議会の修正案が採択をされたということです。ただ、もともと行政府として、欧州委員会はこの修正案に対して懸念を表明しております。一方、この理事会では、2005年12月にこの欧州委員会がつくった指令案について討議をして、各国の目標達成期限により柔軟性を持たせる必要性を指摘しております。2006年10月に欧州議会修正案について討議され、欧州議会の修正は受け入れられないということで、理事会としての合意に達しております。現在、理事会の合意を反映したコモンポジション、これが翻訳作業中とのことです。このコモンポジションが欧州官報で公示された後、欧州議会の第二読会に付されると、こういうことでまた引き続き検討は進むという状況です。
 その次のページに行きまして、粒子状物質に関する大気環境基準の推移ですけれども、これは二つございまして、人の健康保護のための限界値と、または濃度上限ということですが、これがいわゆる基準というものですけれども、1980年に基準が設定されて、当初はSPだったと。これが1999年にPM10になって、PM10ということで24時間平均、年平均の基準値がつくられていると。また、2005年の、まだこれは案の状況ですけれども、PM2.5の年平均が25μg/m3と、またPM10、これはそのままというふうになっていると、このような状況になっております。
 なお、許容限界との関係ですけれども、先ほどご説明をいたしましたが、基準値プラス許容限界を超えた場合は、それぞれの国がその数値を達成するための計画をつくるということなのですが、例えばPM10で申しますと、1999年、24時間平均で見ると50μgというのが基準値、許容限界は50%ということですけれども、これについての許容限界値というのは、50プラス50掛ける100分の50、イコール75というふうになりまして、75を超過した場合に計画をつくると、こういったような中身になっているという状況です。
 さらに、もう一ついわゆる限界値とは別に曝露削減目標というのがまたこの基準として位置付けられると。少しなじみがない部分があるのですけれども、2010年の平均曝露指標に対する曝露削減目標ということで20%削減をすると。これはバックグラウンド濃度について、2010年の水準に比べて20%さらに削減をしていくというような目標です。こういうことで数値目標と、曝露削減目標というのを二本立てで今検討していると、こういったような状況でございます。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。最後はアメリカのEPA、それからWHO、それからEUのそれぞれについて、基準の経緯あるいは考え方等のご説明いただきました。何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
 私の方から一つだけ聞かせてください。最後のページの許容限界の50%で計算例をお示ししていただきましたけれども、もう一回ちょっとそこを詳しく説明していただけますか。

【松田補佐】 許容限界の、今の計算例ですね。

【内山座長】 そうですね、許容限界50%と書いてある意味は、75μg/m3を超えないようにということだと思うのですけれども。

【松田補佐】 これは事例としてPM10の1999年の改定した24時間平均で説明させていただきましたが、これは50μgという基準値があって、許容限界50%ということなんですが、この許容限界値というものについて、この基準値に加えて基準値の50%の数値を加えた50プラス50掛ける100分の50、50掛ける100分の50というのは25ということですので、50プラス25の数値を超えた場合は、計画をつくって達成するための対策を考えるというようなことになるというスキームだということです。

【内山座長】 わかりました。よろしいでしょうか。

【松田補佐】 あと、補足ですけれども、先ほどWHOのところで、資料の3ページ目ですけれども、粒子状物質についてTSPとTPの説明をいたしましたけれども、このTPというのはトータルではなくて、胸部粒子という意味で、いわゆるPM10とニアリーイコールのものだということですので、私の方からの説明が少し誤解を与える内容でしたので、ここで訂正をいたします。

【内山座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか、そのほかに。特になければ、また、いろいろ健康影響評価をやっていく上で、また疑問が出てくれば戻るということにして、とりあえずきょうはご説明、ご紹介をいただいたということでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と声あり〕

【内山座長】 そうしましたら、議題3で、微小粒子状物質の調査研究に対する環境省の取り組みについてということで、これは皆様、まだ十分ご承知でないと思いますので、これを中心に進めていきたいというふうに思います。まず、事務局よりご説明をお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、資料3をもとに微小粒子状物質の調査研究に関する環境省の取り組みについてご説明申し上げます。
 まず、資料の3−1を開きまして、最初の1枚目に総括的な調査研究の説明が書かれております。
 まず一番目に調査概要ということですけれども、環境省では、一般大気環境における微小粒子状物質、これはPM2.5の曝露と健康影響との関連性を明らかにすることを目的として、疫学調査、動物実験、曝露調査、この三つの分野で各種調査研究を行いまして、総合的な知見の集積を図っているという状況です。
 本調査は平成11年度から開始いたしまして、12年度に大気中のPM2.5の質量濃度測定方法暫定マニュアルを策定しまして、また、平成13年度からは長期疫学調査、これは5年間の継続調査ですけれども、これを開始するなど、継続的に調査研究を実施してきたところです。現在まさにこの平成18年度までの一連の調査結果につきまして、現在考察、検討を加えた取りまとめ作業を行っておりまして、ことしの早期に報告書を取りまとめる予定ということで、ひとまず今回の会議にはどういった調査研究を行っているかという紹介をするということでこの資料を提出しているという状況です。
 それで、実施体制につきましては、微小粒子状物質の曝露影響調査検討会のもとで、これが親検討会の位置付けですけれども、疫学調査、動物実験、曝露調査の三つの分野ごとにワーキンググループを設置し、調査検討を行っております。これは別紙1に、次のページ、2ページ目、3ページ目にそれぞれの親検討会の委員、それと各ワーキンググループの委員、これについて委員名簿を載せております。親検討会では横山先生に座長をお願いしておりまして、曝露評価のワーキンググループでは坂本先生、また、疫学ワーキンググループでは新田先生、毒性評価のワーキンググループでは国立環境研究所の平野先生に座長をお願いしておりまして、その中に小林先生に顧問として入っていただいたという状況でございます。
 もとの1ページ目に戻りまして、調査研究項目ということで、疫学調査、動物実験、曝露調査の各分野について、1から3の調査研究を実施しております。疫学調査につきましては別紙の2について示しております。
 別紙の2を開いていただきまして、4ページ目になりますが、これについて資料を説明しますと、わが国の微小粒子状物質の健康影響に関する疫学的知見を得るため、諸外国の疫学研究等を参考にして、複数の研究手法を組み合わせた疫学調査というのを複数の地域で実施をいたしました。それで、微小粒子状物質の長期間及び短期間曝露による呼吸器系及び循環器系の影響について検討をいたしました。調査につきまして、PM2.5の個人曝露量測定調査というのをまず一つ目に示しておりまして、これはPM2.5の個人曝露量と大気中のPM2.5濃度と関連性を検討することを目的として、特に3番目に示してある長期影響調査の対象地域、これは7地域に住む調査一部の世帯を対象にPM2.5の測定用個人サンプラを用いまして、家屋内外のPM2.5濃度と、そこの地域の個人曝露濃度の測定も実施して、その地域の一般大気濃度との比較なども行っていると。
 また、2番目に短期影響調査ということですけれども、短期影響調査では、PM2.5への短期的な曝露と、呼吸器系及び循環器系との関連性について検討するため、死亡、受診、症状及び機能変化などの健康影響指標に着目した疫学調査を実施しております。
 日死亡との関連性に関する検討ですが、一般大気環境でのPM2.5濃度を継続的に測定している全国20地域を対象にしまして、人口動態調査死亡データ、それとPM2.5濃度、これを用いて統計モデルを用いまして、地域ごとの死亡日と対応する日のPM2.5濃度の10μg/m3増加当たりの日死亡リスクの増加量を推定して、地域毎の推定値を統合解析しております。
 その次に2番目に呼吸器系症状との関連性に関する検討ですが、呼吸器系症状と粒子状物質濃度との関連性を調査するため、協力が得られた病院や小学校を対象にしまして、このPM2.5濃度と呼吸器系に関する受診、呼吸機能との関連性に関する調査を実施しています。
 まず、受診につきましては、喘息による夜間急病診療所の受診者を対象に、統計モデルを用いまして、受診時刻前の時間帯毎の大気中PM2.5濃度、10μg/m3増加当たりの受診リスクのオッズ比を推計して、それで大気中PM2.5濃度と喘息受診との関連性について検討しております。
 呼吸機能につきましては、長期入院治療中の気管支喘息の患児、それと病院の治療を受け、水泳教室に通う喘息患児及び一般の小学生、こういった対象は異なっているのですけれども、ピークフロー値などを測定して、統計モデルを用いてピークフロー値測定前の大気中のPM2.5濃度、10μg/m3増加当たりのピークフロー値、変化量を推計して、大気中PM2.5濃度とピークフロー値との関連性について検討しております。
 あと3番目に、循環器系症状との関連性に関する検討ということですが、循環器系症状と微小粒子状物質濃度との関連性を調査するため、協力が得られた病院で埋め込み型除細動器による心室性不整脈の治療を受けている患者を対象に、統計モデルを用いてSPM濃度、これはPM2.5データがなかったので、SPMで代替ということで、10μg/m3増加当たりの除細動器による心室性不整脈の治療発生リスクのオッズ比を推計して、大気中のSPM濃度と除細動器による心室性不整脈の治療発生等の関連性について検討しております。
 次に、長期影響調査ということですが、長期影響調査では、PM2.5への長期的な曝露と、呼吸器との関連性について検討するため、全国から大気汚染度の異なる7地域を選定して、地方自治体と住民の方の協力を得ながら、呼吸器症状に関する質問表調査を実施しております。各地域におきまして、平成13年10月から平成14年9月までの3歳児の健康調査、健康診査対象児全員と、その保護者を対象に、計5年間の追跡調査、子どもは毎年、保護者の隔年を実施して、質問票は環境庁版ATS質問票に準拠して、ISAAC質問票の内容も取り入れたものを作成して用いました。その上でベースライン調査の有症状況の断面解析、調査年毎の有症状況の繰り返し調査に基づく解析及び追跡期間中の発症率と大気中PM2.5濃度との関連性も検討しております。
 その次のページに行きまして、動物実験の内容についてご説明をします。
 わが国における微小粒子状物質の健康影響に関する毒性学的知見を得るため、諸外国の疫学研究で報告されておりますPM2.5曝露に対する高感受性群、これは心肺循環器系の疾患者、老齢の方に着目して、高感受性を持つ動物等への現実の大気中PM2.5の短期間曝露による呼吸器系及び循環器系への生体影響について検討しております。
 まず、最初に気管内投与実験、実際の大気中のPM2.5から抽出したPM2.5抽出物を用いた気管内投与実験、これを行っております。主には(3)番目に書いておりますけれども、細菌毒素に関連する肺障害の影響、心不全マウス、ラットの循環機能に対する影響、若齢、老齢、心肺疾患ラットの循環機能や肺組織への影響、あとは自然高血圧発症ラットの呼吸・循環機能に及ぼす影響、こういったものを見ております。
 また、2つ目に、平成15年度から18年度にかけまして、横浜市内に設置をした濃縮大気粒子、いわゆるCAPs、曝露システムを用いたCAPsの各種短期吸入曝露実験を実施しています。
 CAPsにつきましては7ページに示しておりますけれども、これはハーバード大学で開発されたものです。サンプルで捕集された大気中の微小粒子を、バーチャルインパクターで粒径0.1から2.5μmの粒子と、ガスを含む0.1μm以下に分粒して、これを繰り返すことで、何回も通すことでPM2.5を高濃度に濃縮するという仕組みです。これは曝露チャンバーで動物への吸入曝露を実施するシステムです。米国では実際にこういった装置を用いていろいろ実験が行われているという状況ですが、このCAPsシステムというのが、そもそもなかったということがありましたので、これを作製して、さらにその作製した装置を用いて各種呼吸機能、循環機能に対する研究を行ってきました。呼吸機能については、細菌毒素による肺傷害の影響、また循環機能に対する影響ということで三つ挙げていますが、モルモットのキニジン誘発不整脈に対する影響、老齢ラットの呼吸・循環機能に対する影響、自然高血圧発症ラットの呼吸・循環機能に及ぼす影響、こういったものについての研究を行っているという状況です。
 その次に行きまして、曝露調査の概要です。
 ここで、本調査研究で疫学解析を行うためにはPM2.5濃度がなければいけないということで、PM2.5データを得るために、我が国の大気中PM2.5濃度の実態把握を行うことを目的として、全国の疫学調査などの地点で、大気中のPM2.5質量濃度、それとその構成成分の濃度の実測調査を実施しております。また、大気中PM2.5測定技術に関する情報を整理して、平成12年に一度作成しております測定法の暫定マニュアルの改定検討を行うと。あわせて疫学調査でも個人曝露量調査を実施するというふうになっていますが、そのための測定方法、個人曝露濃度の測定方法に関する調査を行っております。
 まず一番目に、大気中のPM2.5の曝露調査ということですけれども、疫学調査で必要な大気中のPM2.5濃度の地域特性、季節変動、経年変動、といったデータを得るために、疫学調査地点等で大気中のPM2.5の質量濃度、成分濃度を実測しています。さらにその測定・分析データの整理・解析を行っております。これにつきましては(1)と(2)に書かれているとおり、自動測定法と秤量測定法、それぞれで測定を行っているという状況でございます。自動測定法と秤量測定法の代表につきましては、次のページの参考に、9ページ目に、自動測定法としてフィルタ振動法ということでTEOMというものと、それとβ線吸収法と、あとは秤量測定法ということで、いわゆるSASSという成分分析試料採取用大気サンプラと、あとはアンダーセンエアサンプラと、ALVというものですけれども、SASSとALVについては成分分析を行って、ALVで粒系ごとの測定も行えるというようなことになっていまして、こういった測定法を用いてPM2.5の濃度を測定していると、こういう状況です。
 あとは2番目につきましては、今、平成12年に作成をした策定方法のマニュアルについて、今の時点の技術情報なんかを参考にして改定作業を行い、かつ成分測定のマニュアルについてもあわせて検討しております。
 3番目につきましては、個人曝露量の実測方法の調査というものをお示ししております。
 その次のページに行きまして、次に資料3−2ですけれども、粒子状物質の健康影響に関する文献調査ということです。
 この目的ですが、先ほどの資料3−1というのが、まさに国内の基礎的な調査研究の位置付けですけれども、これは先ほど資料2でも説明したとおり、欧米でも基準がつくられたり、ガイドラインがつくられたりという状況があります。こういった基準やガイドラインをつくるに当たっては、各国において健康影響についての科学的知見が蓄積をされた上でつくられていると、こういう状況にあると。そのようなことから、実際に欧米やWHOでこれらの基準の根拠になった資料を見ながら、その資料の中に位置付けられている研究、既存の調査文献、こういったものを参考にしてレビューを行うと。また、そのほかにも国内外でも既存の調査研究文献もあると、こういったようなものを整理するというのがこの文献調査の位置付けです。
 実施体制としては次のページにも書かれていますが、表の1ということで、この文献レビューの座長も内山先生にお願いをしているところですが、疫学チームと人ボランティアチームと、それと毒性チームということで、疫学チームには新田先生にチーム長をお願いしています。また人ボランティアチームについては香川先生にお願いしております。また、毒性チームについては高野先生にチーム長をお願いするという状況です。
 それで、また1ページに戻りまして、実施方法ということですけれども、米国やWHOにおきましては、文献レビュー、健康影響評価に関する報告書が複数まとめられていると、この中で多くの文献が引用、紹介されていると。今回、レビューをすると、これについて効果的・効率的に絞り込む、非常にその量は膨大でありますので、これらの主要報告書の成果というのを最大限活用すると。それで、この報告書での引用文献というものをレビューの候補にするという状況でございます。
 これが表2に、次の3ページ目にかかれている表2なんですけれども、ここに使用報告書リストが書かれていまして、ここにUSEPAのクライテリア・ドキュメントやスタッフペーパー、あとはフェデラル・レジスターといった、まさにアメリカ政府機関のつくられた内容のものや、WHOの欧州委員会の方から要請されたレビューの作業の報告書、WHOのエアー・クォリティー・ガイドライン、またはさらにそれの本編と。さらにはアメリカのHIでアジアのパブリック・ヘルス・アンド・エアポリューションということで、ここに示されている文献についても精査をしていくと。このような報告書から主要文献を抜き取って、これをレビューの候補にしたという状況です。また、これらの文献だけでは漏れがあり得るということで、PubMed、JMEDPlusなどの文献検索サービスを利用して、粒子状物質に関する文献を検索して、できるだけ漏れがないような、網羅的なレビューというのを行っているという状況です。これについてこういったものを抽出していくと。さらにそのほか専門家の判断で必要となる文献も抽出をして、ここの先ほどご紹介した文献レビューの委員会の専門家のメンバーの方に実際にレビューの作業を行っていただいて、今後この成果として報告をまとめていくということになります。
 このようなことから、資料3−1では国内の調査研究と、これは今まさに調査の考察など、取りまとめに向けて作業をしているところです。資料3−2ということで、これは国内外のその他の既存の文献レビューを行っているところです。こういうことで、既存の科学的知見の収集というのをこの調査を行っていまして、また、今後の検討会にはこういった作業の過程で出てきた成果というのを出していくということになっていくという状況です。
 以上で事務局の方から説明を終わります。

【内山座長】 ありがとうございました。今、環境省が取り組んでいる調査、研究について大きく二つご紹介があったと思います。一つは資料3−1にあります曝露影響調査研究、これが先ほどご紹介がありました平成11年度から続けられているものが、今取りまとめ中ということで、これのご紹介、それからもう一つは諸外国、あるいはわが国の文献レビューということで二つあったと思います。まず一つ目の曝露影響調査、これがこの本検討会の委員会の一部の先生方も、先ほど名簿がございましたが、ご参加いただいております。その関係でぜひ親検討会あるいは疫学ワーキンググループの座長の先生方もいらっしゃいますので、少し何かコメントなり追加、補足説明をしていただければというふうに思います。
 まずは親検討会の座長をしていらっしゃいます横山先生の方から何かコメントなり補足説明をいただけますでしょうか。

【横山委員】 ただいまの松田補佐の方から十分なご説明がありましたので、特に僕の方からそれにつけ加えることはほとんどないんですけれども、まだ時間が少しあるようですので、あるいは松田補佐のこととダブるかもしれませんけれども、二、三、発言させていただきます。
 この調査それ自体は平成11年度に始まっておりますが、ご案内のとおり、平成10年、11年ごろ、既にアメリカを中心とした外国からはこのPM2.5の健康影響についてかなりのデータが既に発信されておりましたけれども、我が国独自のデータというのは、全くの皆無の状況でございました。このような状況のもとにこのPM2.5の曝露の実態を明らかにし、健康影響の解明をするということで、明文化はされておらなかったと記憶しますけれども、最終的にはPM2.5の環境基準の設定が必要になる場合には、その基調資料となるものをつくろうと。これが発足時の各メンバーの共通の意思であったかと思います。それで、今、松田補佐から詳しく説明があったんですけれども、その調査研究は三つの分野の仕事を通じて、すなわち、まず大気中のPM2.5の測定法を確定して、それでもって我が国の曝露実態を明らかにする。そして疫学的にPM2.5と、短期及び長期影響の関連を求め、動物実験でその機構を明らかにするという、環境と健康との分野においては非常に理想的な体制、ただ、この3分野の連携が本当に行われたかどうかということについては、またいろいろなご意見があるでしょうけれども、ともかくかなり理想的な体系で出発して今日に至ったということで、斬新なシステムであったと私は思っております。
 具体的にはそれぞれの分野で設定されたワーキンググループが立案し研究を実施する、そして1年ごとにその成果を検討会に報告して、検討会がそれについて意見を述べるというような形でもって平成11年度から今日まで行ってきているわけでございまして、最近、各ワーキンググループがそれぞれ最終報告書の初稿をつくられて、検討委員会でそれについて検討いたしました。その結果をもって現在最終報告書の最終稿をワーキンググループの方でおつくりになって、6月中に開催する評価検討会でこの報告を承ることになっております。
 そのような状況で、私の方から、特に松田補佐から詳しく概要までお話しになりましたので、申し上げることはございませんが、せっかくの機会ですので、2点ばかり、私が座長を務めてまいりました中で感じたことを申し上げるならば、第1点は、いろいろな研究が行われましたが、中でも曝露ワーキンググループにおきましては、PM2.5測定法のマニュアル、この測定法の中には1時間ごとの測定を可能にするいわゆるTEOMの測定法を含んだマニュアルを作成されていらっしゃること。それから、疫学分野では、特にこのPM2.5問題の発端となりました、いわゆる日死亡と日平均PM2.5濃度の関連の研究が、我が国でたしか20地域、20の市町村で行われたこと、それから七つの地域で約9,000人の児童を対象にして、PM2.5と呼吸器症状の関連を5年間追跡したことなどなど、これらの中にはオリジナリティーという点では必ずしもそうでないものもございますけれども、その結果は国内的にはもちろん、国外的にもその結果が待たれているものだというふうに思います。また、毒性ワーキンググループの方々もいろいろ困難な状況のもとで仕事をなされたということでございます。
 もう1点は、それにもかかわらず、いろいろな問題があったということをつけ加えておくことがよろしいんじゃないか。当初の計画について思わぬ問題やトラブルが起きたということが若干ございました。例えば疫学の当研究では、その地域の設定に当たっては開始前のSPMとNO2の濃度でもって、PM2.5にかなりの幅があるだろうと思われる地域を選定したんですけれども、その後まさにPMの改善が進みまして、結果的に各地域のPM2.5、年平均の最大の差が10μg/m3ぐらいしか上がらなかったということ。
 それから動物実験グループでは、先ほどご説明がありましたけれども、CAPsを米国から輸入したんですけれども、あにはからんや、この日本という非常に大気の湿度が高い国では、そのCAPsの中のいわゆるノズルが詰まっちゃうということで、実験を中止せざるを得ない。結果的に実験の回数が制限される、そういう思いもよらなかったようなことが起こって、一定の制限を受けたことはまた申し上げておくべきかと思います。
 いずれにしましても、とにかく近く最終報告書が、おそらく6月中かそれぐらいには出てきて、また、この検討会の各委員のご批判をいただいた上で、この検討会の作業の役に立つことを私は祈っておるところでございます。
 以上、述べさせていただきました。

【内山座長】 ありがとうございました。それでは、疫学の方のワーキングの座長として取りまとめておられる新田先生から。

【新田委員】 もう既にただいまの横山先生、それから先ほど松田補佐からご紹介をいただきましたので、資料の3−1の別紙2に現地調査の概要が資料として出ておりますので、ほぼ尽くされているかと思いますが、一部重複するところがあるかと思いますけれども、疫学ワーキンググループの方から幾つか補足をさせていただきたいと思います。
 まず、疫学調査に関しましては、大きく短期影響の調査と長期影響の調査が分かれておりますが、その前に個人曝露測定調査ということで、大気汚染の健康影響に関する疫学調査の場合には、曝露評価というのがその健康影響評価の上で、非常に過去から、我が国でも諸外国でも、一番の議論の対象になっておりました。大気汚染の場合には疫学調査の対象者の曝露量、今回の場合にはPM2.5のどれくらいのレベルに対象者、我々が曝露されているのかということを評価測定するということ自体が非常に難しいということで、従来は大気汚染の疫学調査における曝露評価は常時監視局のデータを用いる、もしくはそれを基本にして対象世帯の屋内及び屋外の測定並びに個人曝露の実際の測定を実施して、常時監視局のデータの代表制を検討するという手法がとられてまいりました。今回もそれを踏襲するということで、粒子状物質の場合には個人曝露測定、それから屋内外の測定、非常に手法上も困難が伴いますので、なかなか十分だというところに至ったかどうか、諸先生からご評価をいただければと思っておりますが、今回のこの調査の計画時点で、1997年に先ほどご紹介がありましたように、米国においてPM2.5の環境基準が設定され、その根拠として疫学調査が示されて、その結果が示されていたわけですけれども、その中でも一番の争点となったのは、曝露評価が不十分であったというところで、米国はその後多大な調査を実施してきたわけです。私どもの調査もそれに則ってできる限りの対象者数、期間で実施したつもりでおります。
 それから、健康影響に関しましては、先ほど横山先生からご紹介いただきましたように、1997年の米国の環境基準では、やはり一番デイリーモタリティー、日死亡との関係ということが疫学調査の重要な知見として挙げられておりました。ですから、私どもの検討においても、その点を我が国においてどのような状況かということを解析、そして結果としてお示しする、諸外国との比較の上で我が国の状況がどうなっているのかということをお示ししたいということで、近々その点、お答えできるのではないかというふうに思っております。
 それから長期影響に関しましては、これも横山先生からお話がありましたが、一部予想に反して、少し対象地域の設定に関して、結果的に制約があったというようなことがございます。それから短期影響も、日死亡以外にも呼吸機能、それから循環機能に関する調査も実施しておりますが、諸外国で実施されておりますすべての項目、それからさまざまな対象者、すべてこの調査で網羅しているわけではございませんので、今回我々の検討の結果、諸外国で示されている結果と整合しているかどうかということを中心に検討して、これも日死亡、それから長期影響の検討と同様に、我が国でPM2.5の曝露による健康影響がどういう状況にあるのか、諸外国と比較してどのような状況にあるのかということを、最終的な報告書の中でお示しできればというふうに思っております。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。次に、毒性評価ワーキンググループで顧問として取りまとめていただいております小林先生。

【小林委員】 動物実験でPM2.5の影響を見るということに関しましては、我が国はこれを始める段階では、もう既に諸外国から数年おくれで影響の実験を行い始めると。それもまず曝露装置をつくるというところから始めるというような状態でありました。しかしながら、PM2.5というのは、その国々によって科学的性状とかいろいろな面で異なる点がありますので、影響実験としては諸外国におくれをとってはおりましたけれども、我が国で動物に曝露した場合にどういう影響が出るかというところに意義があったのではないかと思っております。PM2.5の曝露をして影響を見るという実験としては、特にその高感受性動物、呼吸器系や循環器系に及ぼす影響を見るという点に関しては、今回が初めての実験で、それなりの結果、影響があるなしにしろ、どういう結果が出たかということをご報告できるのではないかと思います。
 実験は、これも繰り返しになりますけれども、大きく分けると二つに分かれておりまして、気管内投与の実験と吸入曝露の実験に分かれております。吸入曝露の実験が本実験でありまして、その吸入曝露実験は横浜の根岸を通っております16号線沿いに建物をつくりまして、吸入曝露装置を置いてそこで曝露をしたというような状況でありまして、幹線道路沿い等でPM2.5に曝露をされるときにどういう影響が起きるか、特に高感受性と言われている呼吸器系や循環器系に疾患を持っている人を想定した動物を使って曝露した場合にどういう影響が出るかということを解析したものであります。
 気管内投与実験というのは、平成16年からこの吸入曝露実験が始まったんですが、それまでの間、吸入曝露装置をつくっている間に他の地域で捕集したPM2.5の抽出物を使って気管内に投与して、予備的に呼吸器系や循環器系、疾患を持つ動物にどういう影響が出るかということを検討したものであります。それらの一連の結果が報告書としては出ると思いますが、もう少し必要かなと思われるところとしては、慢性的な影響研究、これは諸外国でも比較的少ないのでありますけれども、そういった長期曝露による影響というものを、まだ我が国のPM2.5の動物実験としては行っております。起こらないというような、いろいろな制約の中でそういうことにならざるを得なかったわけですけれども、今後も継続してこういった影響調査というものは進めていくということも必要なのではないかと思っています。
 以上です。

【内山座長】 はい、ありがとうございました。それでは、最後に曝露評価ワーキンググループの座長で取りまとめていただいております坂本先生。

【坂本委員】 それでは今までお話しいただいた皆さん、それから環境省の松田補佐からの話で、ある程度重複するところもあると思いますが、少し紹介を申し上げたいと思います。
 まず曝露調査のそもそもの目的は、健康影響に関して疫学の方でデータを解析するための、基本的には提供するというところが非常に重要な任務でございました。ただし、その場合にPM2.5については測定方法そのものがまだ検討段階にあったということ、それから先ほど来話がございましたように、PM2.5についてこれまでの多くの調査結果があるアメリカと日本では、かなり環境条件、湿度という点で違うというようなことがありまして、まずPM2.5の測定方法、自動測定方法について先駆けて平成11年から検討して、そして幾つかの暫定マニュアルをつくり、今回のこの調査、それ以外にも、例えばこういったところの重要性を認識している地方自治体の研究所等でも、こういった測定方法でやればある程度のデータがとれそうだよというようなことも示しつつやるというようなことを考えて、まず暫定マニュアルをつくって始めたということでございます。そして、その自動測定を大気中のPM2.5をβとTEOMでやったということでございますけれども、ここにはまさにTEOMではかれば、質量は精度よく再現性よくはかれるけれども、その場合に再現性よくはかろうというあまり、いわば振動子のところの温度の問題があって、今度一方ではそれが日本のような湿度のところとそぐうのかどうか、そういったことがございました。最終的には長期の影響を判断する場合には、質量測定の方を使って考えるということになったわけでございますが、その質量測定の場合も、毎日毎日そのフィルターを変えなければいけないというようなことで、非常に手間がかかる作業でございまして、それを年間全部というわけにはまいりませんので、環境アセスメント等で各季節2週間ずつというような形が言われてございますので、それを考えて、季節2週間ごとに測定をしたデータを使って年平均値を算出するというような形で考えてやったわけでございます。そしてこの場合に、質量測定だけではなくて、実はPM2.5の問題がわかった場合に、今度はこの後、その対策をどうするか、それから対策効果はどう判断するか、それから、これまで健康影響についてデータが出ている部分について、諸外国と我が国の組成は同じなのかどうかというようなことが、その後の解析にも重要になるということで、PM2.5の質量濃度をフィルターで採取したものにつきましては、成分分析も行って、後でいわばPM2.5もしくは微小粒子に対する対策効果がこういった間にどうあったかということがわかるし、そしてその後、さらに下げたい場合にはどういったものの対策をやればいいかというような形で、組成、発生源に関する情報を同時にとっていこうということで、質量測定をやったところにつきましてはSASSによるものと、それからアンダーセンで粒径別に測定をすることによって発生源データ、組成についての情報が得られるというわけでございます。
 こういった結果から、先ほど冒頭に調査の設計をしたときに比べて、濃度範囲がかなり狭くなったというようなお話がございましたけれども、ちょうどこの時期は、NOxPM法、東京都をはじめとするディーゼル車の運行規制といったものがあって、粒子状物質の濃度が急激に減ってきた。これは言い方を変えれば、粒子状物質の対策効果が上がったということでございますので、いいわけでございますけれども、実験データとして解釈する場合には、濃度の変化の幅が狭まったということでより多くのデータがないと解釈しにくくなると、そういう状況に至ったということが先ほど横山先生がおっしゃったところに相当するわけでございます。
 こういった形でやったものを今取りまとめ中でございますが、それと同時に、このPM2.5の捕集方法と、それから成分分析に関するマニュアルを決めまして、今後いろんなところで情報をとっていっていただこうというような形で整理をしているところでございます。
 それからPM2.5の個人曝露でございますが、これにつきましては、それぞれ個人曝露量をはかるためには、その調査装置が非常に軽量でなければいけないということは、集める質量が非常に少なくってくるということで、そもそもそういう形で使われるような装置というものがなかったわけですね。そういったところからどういったものを使って工夫をしたら個人曝露量が考える精度で測定できるかと、そういったことから検討を始めて、こういったものでやれば個人曝露がはかれるということになって、いわば室内で生活する部分と、それから室外の部分とについて考えられるような方法ができて、そしてそこでとったデータが疫学の方に提供できたというようなことでございます。
 そしてあともう一つ、冒頭で申し上げましたけれども、我が国の場合、湿度、その辺が非常にいろんな調査研究をする場合に考えなければいけない重要なところになろうかと思います。
 それから少し先ほどのCAPsのところにコメントしておく必要があろうかと思いますのは、CAPsという装置は、その図に描いてございますように、0.1ミクロン以下の部分については、その影響を判断するところに入っていないということでございますね。そういう意味で我々はそのデータを見るときに、微小粒子になればなるほど、質量当たりの変異原性なりそういう影響なりが大きいという情報がごく最近出つつございますので、そういう部分についてはデータを留意して見る必要がある。
 それから、今回いろんな解析をする場合に、質量等の関係でいろいろなものが見られてございますけれども、先ほど来申し上げましたように、米国とは、例えば硫酸イオンの濃度とか金属とかかなり変わる可能性もあるものがございます。そういったものについては、一応解析できるような形のデータをとっておくことが、その次の段階に場合によっては役に立つのではないかというような形で調査をして、現在取りまとめをしているところでございます。次回のところではそういったものが、ある程度の整理したものが報告できるんではないかというふうに思います。
 以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。そのほかにも委員として加わっていらっしゃる方が何人かいらっしゃいますが、補足説明なりコメント、どうぞ。

【島委員】 非常に細かいことで恐縮でございますけれども、資料3−1、4ページの疫学調査に関して、呼吸器症状との関連性について記載がございますが、その下から6行目、これは夜間急病診療所の調査ですけれども、大気中PM2.5濃度、括弧して、PM2.5がないときはSPMで代替とありますけど、この調査に関してはPM2.5濃度との関連だけを検討しておりますので、この括弧内はここから削除していただいて、その次のパラグラフにあります呼吸機能との関係についてのところに括弧内の記載を入れていただくのが正確かと思います。

【松田補佐】 申しわけありませんでした。この資料については間違いですので、修正いたします。

【内山座長】 ありがとうございます。どうぞ。

【坂本委員】 あと一つ、先ほどの資料の9ページでございますが、ミスがあったということで修正をしていただきたいと思います。アンダーセンエアサンプラの9ページ、一番下から2行目でございますが、後半の方、このノズル口径を次第に大きくすることによってというのは、小さくするというミスでございます。修正、お願いいたします。

【内山座長】 ノズル口径は次第に大きい方から小さい方に空気が流れるということですね。
 そのほかの先生方で特に、工藤先生どうぞ。

【工藤委員】 私はワーキンググループに属してはいませんが、いわゆる親検討委員会の委員としてこの5年間ずっとおつき合いさせていただきました。先ほど横山先生からもご指摘がありましたけれども、何といっても、我が国で最初の初めてのPM2.5への取り組みだということです。動物実験もそうですが、まして疫学調査等になりますと、途中でその地域を変更したり修正をしたりということはなかなかできない。とにかくこの5年間の研究は、初めてPM2.5に関する研究の土台を達成したという、そういう感想を持っております。先ほどのご指摘があったように、その途中にはいろんな思わぬことが出てきて、これも恐らくこの次のこれを引き続く研究の中で生かされていくんじゃないかと思います。そういう意味で、土台としての成果を高く評価しなきゃいけないというふうに私自身は感じております。

【内山座長】 むしろ6月に一度取りまとめはあるけれども、まだこれからもずっと続けていかなければいけない、データを集積していかなければいけないいうふうなご指摘だと思うんですが、そのほかに何かございますでしょうか。ご質問でも関連していらっしゃらない先生方からのご質問、あるいはご意見でも結構です。

【上島委員】 疫学調査の中で、日死亡との関連に関する検討というのがあるんですけれども、循環器の疫学をやっておるグループの中には、その地域で発症をモニタリングしている地域があるんですが、そうしますと、何曜日に一番多いかとか、どの季節に多いかとかというのがわかるデータがある場所が、余りたくさんはないんですけど、あるんですが、そこでもしこういうモニタリングのデータがあると、人口動態統計よりももっと感受性が上がる可能性があるかなと、今ちょっと思ったんですが。ちなみに、私たちの地域のところでは20年来モニタリングしているので、曜日によって発症率が違うんですよね。それから季節によっても違うんですね。1,000例とか2,000例重ねますと非常にきれいに出てくるんですね。それで、もし我々のところではかっておられたら、そのつきあわせができたかなと、今ちょっと思いついたんです。

【内山座長】 新田先生か島先生、何かご意見よろしいですか。

【新田委員】 先ほど少し申し上げたんですけれども、今回の短期影響の研究、そのすべて諸外国での検討、網羅的にできていないということを申し上げたんですが、今、上島先生からご指摘の点は、特に欧米では一番のこのPM2.5の健康影響の、特に短期影響の研究では一番中心的に考えられているというか、検討されている項目でございます。私ども日死亡だけですべてこの健康影響評価ができると考えておりませんし、ご指摘のように発症から死亡までそういう全体像を今後明らかにしたいというふうに思っておりますので、現時点では先ほど坂本先生からお話がありましたように、それから、また補佐からご紹介がありましたように、PM2.5の測定地点、約20から30、全部の地域ということで、もしそういう地域と先生がお持ちのデータが重なる部分があれば、その解析の方向をぜひ検討させていただければというふうに思っております。

【内山座長】 はい、ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。

【佐藤委員】 どこで伺おうかと思っていたんですけれども、このPM2.5の定義というか、どういうディフニッションなのかというのが、少しあいまいな部分が残っているんじゃないかというふうに思うんです。さっき坂本先生のお話を聞いて、ある程度理解はできたんですけれども、やっぱりこれは粒子の大きさの話、それもエアロダイナミックな挙動から決めたものですよね。恐らく地域や発生源の部によってそのケミカルコンポジションは違うであろうし、それから日本では何か湿度が高いからというお話もありましたけれども、いろいろ変わるんじゃないかと思うんですけれども、その辺の読みと、それから、例えば最終的には健康影響の振れみたいなものというのか、かなり難しい問題があるんではなかろうかなという気がするんですよね。一応PM2.5ということできてはいるんですけれども、少なくとも粒子がどれぐらい、何というのか、多様性を持っているのかというようなところはある程度わかるんですかというか、だんだんご報告の中で出てくるんだろうとは思うんですけれども、ちょっとその辺がずっと話を聞いていて気になったものですから。

【内山座長】 今の段階で坂本先生の方から何か。

【坂本委員】 今のところは非常に重要なところかと思います。そういう意味ではPM2.5といっても、実はその組成は粒径で言えばもっと小さい方からずっと大きい方までまざっているのと、それから湿度の高いときのあるPM、例えば1ミクロンの粒径と、湿度が低いときの1ミクロンの粒径とは、実は組成が違うわけですね。その一方では、環境中の湿度と、我々が呼吸器の気道内へ行った場合の湿度に今度は平衡で動いていくと、そういったものも含めた形で考える必要があるんですが、残念ながら今はそういったものを具体的に結びつけるような情報はまだ少ないと思います。そういう意味では、今回のそのデータを解析する中でそういうものが関係づけられるのか、もしくはあくまで今やっているものは、こういう方法ではかった質量濃度がこれですよと。そして、それに対応する形で、ある時間帯の同じ時期に見た健康影響がこれですよというものを結びつけているものであって、ここにその組成とか何かは、まさに今後の問題です。そういったものが多少でも先へ行って議論できるようにしておくためには、一つには組成とか粒径分布とかを見ていかなければいけないから、そういうデータをとっておいたというのが現時点の現状でございます。

【松田補佐】 補足として、今、佐藤先生から言われたPM2.5の件についての整理という部分ですけれども、後ほど資料は読んでいただくとして、検討項目の中にも書かれておりますが、粒子状物質に関する特性という部分の中で、主な検討項目として粒径分布というものが含まれています。また、坂本先生から組成についてもお話がありましたように、この中で既存の知見をもとに整理できればというふうに考えております。
 なお、諸外国でなぜ2.5μmが選択されているのかといったような理由なのですけれども、基本的にはこの2.5μmあたりの領域という部分については、粒径1から3μmの範囲内ということで、微小モード粒子と粗大モード粒子というのが重複しているということなのですけれども、できるだけ微小粒子を補足するということが重要だということで、微小粒子をほぼ補足できる区切りとして2.5μmが選択されているというふうに聞いております。
 また、これまでの疫学等の多くの研究においても曝露データとしてPM2.5データが用いられているというふうに聞いております。
 以上です。

【内山座長】 その点については、これから4の方でも、次の議題でもやりますけれども、そのPM2.5あるいは微小粒子とはどういうものかということについても、この評価委員会の中でまた検討していく必要があろうかというふうに思いますし、今まで一番難しかったのは、諸外国と日本の状況というのは、どうも簡単に比べられないんではないかなということが、先ほどから出ております化学成分分析ですとか、いろいろなことがあります。従来の化学物質のように諸外国のデータをそのまま持ってきて日本の基準にするのではちょっと不十分なところがあるかなということ、ずっとそれは私個人としては昔から感じており、アメリカのEPAの人と話していても、SPMとPM10ではかなり測定の定義が、違うので、単純にPM10、PM2.5とSPM、PM2.5という関係というのは、それほど単純ではないなという感じがしております。そういう点も含めてこれからも議論できればというふうに思いますが、そのほかに何かございますでしょうか。

【松田補佐】 あと、先ほど横山先生と工藤先生から、曝露影響調査研究についての成果のまとめが6月ぐらいという話もありましたが、6月に親検討会を実際に実施するのはそういう予定ではあるのですけれども、その後、親検討会もいろいろな議論が恐らくあると思いますので、また、さらにそのいろいろな議論も踏まえて、さらに考察等も加えていくということですので、さらにもう少し時間がかかるかもしれないと、そういう状況がひとつあることを説明しておきます。
 あともう一つありますのは、この調査研究をひとまず、今取りまとめに向けて作業を実際実施しているということではあるのですけれども、実際にいろいろな疫学や動物実験、曝露、それぞれにおきまして、いろいろな課題があるというのはもちろん事実ですので、その点につきましては、また引き続き必要な基礎的研究についてはできるだけとり行っていくような方向で考えていきたいなというふうに思っております。

【内山座長】 この委員会で議論する大切な資料とはなるわけですけれども、拙速にまとめるというわけではなくて、十分検討された上で、まとめていただいたものをこちらで評価するということになろうかと思います。
 あともう一つは文献レビューのご紹介がありましたけれども、これについて何かご意見なりご質問がございますか。これは今ご議論いただいたものが、我が国の調査研究をひとつここで評価するということと、もう一つ平行して、諸外国あるいは日本の既存の文献をレビューしていただいておりますので、その結果に基づいて、また健康影響評価に絞って評価をすると、こういうことになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、きょうのところはこのぐらいにいたしまして、先ほどご紹介がありましたように、その調査研究がまとまりましたら、また、ここでそれをもとに議論するということになろうかと思います。きょうのところはどういう研究、調査が行われているかというご紹介と、それから課題等についてご説明いただいたということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、もう一つ健康影響評価の進め方について、事務局より説明ください。

【松田補佐】 それでは資料4を用いまして、健康影響評価の進め方等につきまして、説明させていただきます。
 まず、資料4−1ということで、健康影響評価検討の進め方(案)ということでございます。
 まず検討体制ということですけれども、この検討会は、微小粒子状物質などの健康影響に係る調査研究結果報告や諸外国における文献調査報告などを踏まえまして、微小粒子状物質の健康影響評価について検討します。検討に当たっては、曝露、毒性、疫学、この3分野に大別して、分野ごとにワーキンググループを設けまして、分野別に実務的な検討作業を行います。
 2番目に検討作業方針ということで、微小粒子状物質に関する以下の報告文書などを参考にして、我が国の微小粒子状物質の健康影響評価の検討を行います。以下に示されたものについては、資料3−1に示しました曝露影響の調査検討会報告書、これは今取りまとめを行っているところですが、あともう一つはレビューの報告書、これは資料3−2を参照したものですが、これも今作業を実施していると。その他、必要に応じて国内や欧米の関係文書というのを参考にしたいと思います。こういった情報などを活用しまして、曝露、毒性学研究、疫学研究、この各分野についての知見を整理して、主に以下の三つの点、これを中心に微小粒子状物質に関する健康影響について検討したいと思います。
 まず、その主な三つとしては、影響メカニズムに関する検討ということで、肺や呼吸器、心血管系、あとは有害性同定に関する検討ということで、短期、長期曝露影響、死亡、入院、受診、呼吸器系、心血管系疾患などと、あとは粒子成分、粒径による影響の違いと、こういった点についての健康影響について検討をお願いしたいと。検討会及びワーキンググループにおける数回の審議検討を行った後、このような微小粒子状物質の健康影響評価に関する検討結果を取りまとめると、こういう方針でどうかと思います。
 また、その次のページに行きまして、では、具体的に検討項目としてはどういうものがあるのかということですけれども、先ほど佐藤先生からもご意見があった点につきまして、粒子状物質に関する特性はどのようなものかと、主な検討項目として粒径分布、微小粒子や粗大粒子と、あとは化学組成、この中には炭素やイオン、金属いろいろなものがありますけれども、あとは生成機構、これは直接発生する一次生成のものもあれば、ガス状のものが変化する二次生成のものもあると、あとは大気中の挙動、これがどうなのかと、あとは発生源、これは人為起源、自然起源ございますけれども、あとは測定法、これも自動測定、フィルターの測定法でありますけれども、このほか成分別濃度、こういったようなものも検討項目を立てております。
 次に、曝露評価についてどのようなデータ・知見が得られているかという整理も必要かと。それについては大気中濃度ということで、経年変動、地域変動、成分別・粒径別のデータ整理をすると。あとは発生源影響として、発生源別の排出量、寄与濃度、こういったものが既存、どのようなものがあるかという整理をすると。あとは人への曝露様態、これについて、個人曝露量と大気中の濃度、これとの関係がどうか、個人曝露の影響因子、推定手法はどうかというものを検討すべきかと思います。
 あと3番目に、生体内沈着・体内動態ということで、粒子状物質というのが体内に入ることでどのような挙動を示すのかということで、生体内の沈着の挙動、あとは体内でどのように除去されるかとか、あと個体差や種差がどういうものがあるのかとか、あとは曝露形態、吸入曝露や気管内投与でいろいろ沈着や動態に違いがあると思いますけれども、その辺の検討も必要だというふうには思っております。
 また、次、4番目に毒性学研究ということで、これもいろいろな検討項目があると思いますが、肺と呼吸器への影響、これについて動物実験、吸入曝露や気管内投与、あとは人ボランティア実験、これも吸入曝露と気管内投与ということであるかと思いますが、あと心血管系の影響、その他感染抵抗性や免疫系、血液成分の影響、このほか発がんの影響や遺伝子障害性、あとは粒子成分と健康影響との関係、これについてはCAPsや有機炭素、ディーゼル排気粒子、いわゆるDEPですけれども、そのほかこういった粒子との関係も見る必要があるだろうと。あとは粒径の大小と健康影響の関係も見る必要があると思うんです。あとは感受性として、高感受性群の影響の話が、先ほどからも議論がございましたが、ここでそのような高感受性群との関係がどうかというものについても見ていく必要があるだろうと。
 次に、5番目に疫学研究ということで、主な検討項目ということで、短期曝露影響ということで、死亡や入院・受診、発症・機能変化、また呼吸系疾患、循環器系疾患ということで整理をすると。長期曝露影響についても同様な整理が必要と。あと粒子成分と健康影響との関係。そのほか粒径の大小と健康影響の関係。
 また、研究の評価について、影響要因というのも見ていく必要があるだろうと。例えば曝露量に関する誤差ということで、測定方法の違いなんかによる誤差というか、あとは疫学研究で統計モデル、いろいろなモデルがございましたが、それについての指標の違いをどう見るか、あとは共存大気汚染物質、PM以外にもいろいろな汚染物質を含む、その存在下の中の交絡というものをどう見ているか、あとは生活様式についての、喫煙とか、そういった交絡因子をどう見るか、あとは曝露期間の設定の違いをどう見るか、あと影響度の地域差や国の違い、この辺をどう見るか、あとは高感受性影響、そういったもろもろの影響要因というのを、しっかり今ある知見の整理をして、その上で検討していく必要があるというふうに考えております。
 以上のような知見を踏まえまして、これをメカニズムに関する整理、これは毒性学知見ということですけれども、メカニズムということですので、評価方法やあとは肺、呼吸器の影響、心血管系の影響、またその他の器官への影響と、あとは有害性同定に関する整理ということで、これは二つの知見に基づくものというふうに考えておりますが、短期曝露影響と長期曝露影響、または粒子成分、粒径による違い、影響の違いと、こういったものについても整理、検討していく必要があるというふうに考えております。
 以上です。

【内山座長】 はい、ありがとうございます。今、事務局から進め方と、それから検討項目についてのご説明がありましたけれども、あわせて何かご質問なりご意見ございましたら、お願いいたします。これは分野ごとにワーキンググループを設けるというふうにありますが、それはいつごろどういうふうにということはもう……。

【松田補佐】 まだ、時期的にいつ、具体的にワーキンググループを設けるかということについては未定でございますが、いずれにしても先ほど資料3でもご説明をした、調査研究のまとめがある程度出てきて、その上で材料がそろってきた段階で、しかるべきときにワーキンググループを設けて、実務的な検討作業が行えればというふうに考えております。

【内山座長】 このワーキンググループはもう少し具体的な検討課題が出てきた、まとまってきたところでまたお願いするということになろうかと思います。そのほかに何か進め方、あるいは検討項目につきまして、こんなところが抜けているのではないかとかということはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 最後のところで、検討項目の2ページの、上記を踏まえてどのように検討・整理するかというところで、最終的なものは有害性同定に関する整理ということですので、これはこの健康影響評価では定性的なところまでということで解釈してよろしいですか。

【松田補佐】 はい。この委員会の中では、まずは定性的な有害性の確認、同定ということを評価していただこうというふうにひとまず考えておりますので、まずは定性的な影響メカニズム、有害性同定の整理、検討をお願いしたいというふうに考えております。

【内山座長】 そのほかに何かご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、きょうは第1回目ということで、これまでに諸外国はどういう状況であるか、あるいはデータとして収集しているものはどのようなものがあるか、あるいは我が国の調査研究はどういうものが現在進行中で取りまとめ予定であるかということをご紹介いただいたということで、そして、最後に検討項目、それからスケジュール、進め方についてご紹介いただいたということでよろしいかと思いますので、ちょうど時間も4時に近くなりましたので、第1回目はこれで終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。

【佐藤委員】 中身に全然関係ないんですけれども、資料3−2の2ページ目の文献レビューのワーキンググループ委員の名簿なんですけれども、これ、助教授、助手のままになっている人がいるんですね。19年の4月から、助教と準教授になっていて、特に助手は意味が違ってきていますので、公的な文書としては学校教育法の変更による、法律の変更によるものですから、変えておいた方がいいと思います。

【松田補佐】 申しわけありません。修正いたします。

【内山座長】 はい、ありがとうございました。2ページ、文献レビューワーキング委員名簿で准教授あるいは助教になっておられるか、確認して次回までには訂正お願いします。ありがとうございました。
 それでは、よろしゅうございますか。あと事務局から何か。

【松田補佐】 本日は長時間にわたっての審議、どうもありがとうございました。本日の議事要旨、議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開するということにさせていただきます。
 また、次回検討会につきましては7月ごろに開催したいと考えておりますが、具体的な日程につきましては、後日、事務局の方から調整させていただきますので、ご協力よろしくお願いいたします。

【内山座長】 それでは、きょうの会議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。