環境省大気環境・自動車対策自動車排出ガス等関係自動車排出ガス規制についてディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

ディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

5 今後とるべき具体的施策

 2.に示した大気汚染等の現状、3.の対策技術の評価結果及び4.のディーゼル車排出ガス対策の効果等の試算結果を踏まえると、使用過程ディーゼル車対策については、以下のような考え方により進めることが適当である。

 大気汚染の現状は、NO2及びSPMに関する環境基準の達成率が大都市を中心に依然として改善されない状況にあることから、NOx及びPMの双方の低減に重点をおくことが必要である。昨年12月の中央環境審議会答申「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」においては、自動車NOx法の対象にPMを追加するとともに、NOxについても引き続きその対策に重点的に取り組む必要があるとされているところである。使用過程のディーゼル車へのDPFの装着は、PMの低減に効果があり、特に目に見える黒煙の排出を大幅に抑制できるため、大気環境改善効果が見た目にもはっきりと認められるものの、NOxの低減にはほとんど寄与しない。このため、NOx及びPMの排出レベルが高い古いディーゼル車については、NOx及びPMの双方の低減が図れることから、基本的に最新規制適合車への代替を促進することが適当である。このため、前述の中央環境審議会答申を受け、自動車NOx法の改正案が今国会に提出されているところである。

 一方、DPFについては、3.で行った4種類の方式の技術評価を踏まえると、現時点においては、いずれの方式にも技術的な課題が認められ、全ての使用過程のディーゼル車に使用可能な状況にはないため、一律の義務付けを行うことは困難である。しかしながら、特に、大気汚染の深刻な地域については、より早い改善が望まれることから、一定以上の効果のあるDPFであれば、その装着にインセンティブを付与することが環境改善に有効である。

 DPFを装着する自動車としては、車両構造や排気温度条件等に制約があることから、DPF取付けスペースが確保しやすい車種や排気温度を保ちやすいエンジン近くに取付け可能な車種、負荷が高く排気温度が高い走行を安定的に確保できる車種が適当である。また、PM低減効果を考えれば平均使用年数の比較的長いものが適当であり、インセンティブの対象として優先度が高い。更に、走行実態を事前に把握でき、かつ管理を行い易い使用形態の車両を中心に進めることが適当である。

 排出ガス規制年別のDPF装着に対する考え方を整理すれば次のとおりである。

 なお、上記のDPFの持つ技術的な課題を踏まえれば、使用過程車用のDPFの開発や装着にあたっては耐久性に十分配慮する必要があり、また、国は、低減効果、耐久性等を評価する手法・基準を早急に示すことにより、開発を促すことが重要である。また、これまで検討したDPFには低硫黄軽油の使用を前提としているものが多数あることから、DPFの導入形態を踏まえつつ、低硫黄軽油の供給体制を整備することが望ましい。

 このほか、自動車の排出ガス性能、特にPMの排出に係る性能の維持については、点検、整備の確実な実施が不可欠であることから、国は自動車使用者に対し点検、整備を励行する等の一層の努力を行うよう促す方策を実施するべきである。なお、PMの測定方法についても、今後、PMの規制強化に伴い、より低濃度の測定が必要となることから、適切に見直しを行う必要がある。

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