環境省大気環境・自動車対策自動車排出ガス等関係自動車排出ガス規制についてディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

ディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

1 はじめに

 我が国においては、自動車排出ガス規制の強化等、種々の大気汚染防止対策が講じられてきたが、大都市を中心に、二酸化窒素(NO2)、浮遊粒子状物質(SPM)等による大気汚染は依然として厳しい状況にある。特に、沿道における大気中のNO2、SPMについてはディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)の寄与が高く、それらの排出抑制が重要な課題となっている。

 平成12年には、1月にSPMと健康被害との因果関係を初めて容認する神戸地方裁判所の尼崎公害訴訟第一審判決が出された後に12月に和解し、また、地方自治体が使用過程車にディーゼル微粒子除去装置(DPF等)の装着を義務付ける規制の提案を行う等、SPMに対する関心が急速に高まっている。

 同年4月には、自由民主党の「ディーゼル車の排気ガス対策プロジェクトチーム」において、NOx及びPMの削減対策を総合的に推進するため、ディーゼル車排出ガス対策を加速すべきこと、DPFについての技術評価を政府において早急に進めること等を内容とする中間とりまとめが行われた。

 このような中で、新車については、順次規制強化が行われてきているが、平成19年頃に予定されていた更なる規制強化(いわゆる新長期規制)については、PM規制をより重視するとともに、その実施時期を2年前倒しし、平成17年までに達成すべきとの内容の中央環境審議会答申が平成12年11月になされた。また、新長期規制を実施する際に必要となる燃料の低硫黄化について、平成16年末までに50ppmに強化すべきとの内容の同審議会及び石油審議会の答申がなされた。

 一方、使用過程車については、古い排出ガス規制に適合したものであるため、NOx及びPMの排出量が比較的多い車の保有割合が未だ高いことから、その対策の推進も重要な課題となっている。

 本検討会は、使用過程のディーゼル車からの排出ガス低減技術、特にPMの低減技術に関して自動車製作者及びDPF製作者から提案されている様々な技術について、これらの適用可能性、効果等を見極め、また、最新規制適合車への代替等の他の施策を含めた対策別の効果及び費用について検討する等により、ディーゼル車排出ガス対策の推進に資することを目的とし、平成12年3月、環境省(旧:環境庁)、経済産業省(旧:通商産業省)及び国土交通省(旧:運輸省)の合同検討会として設置された。

 以来、関係者からのヒアリング、各種実験・調査の結果を踏まえ、平成12年7月に、DPFの技術的評価、今後とるべき具体的施策、今後の課題等についてまとめ、「古いディーゼル車については、基本的に最新規制適合車への代替を促進することが適当」、「DPFについては、現時点においては、全ての使用過程のディーゼル車に装着可能な状況にないことから一律の義務付けは困難」とする中間とりまとめを行ったところである。

 その後、使用過程車対策としては、「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(自動車NOx法)の使用車種規制について、規制の対象物質としてPMを追加し、NOx及びPM対策の充実・強化を図るとともに、事業者指導を強化する等を内容とする改正自動車NOx法が本年3月6日に閣議決定されたところである。

 本検討会は、追加ヒアリング、DPFの耐久試験・調査の結果を踏まえ、使用過程車の排出ガス対策に関する技術的な検討を行い、本報告をとりまとめた。

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