〔平成一五・四・一○ 環告六一〕
平成五年四月環境庁告示第三十五号(農薬取締法第三条第二項の規定により定められた同条第一項第四号から第七号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件第四号の環境大臣の定める基準を定める件)の一部を次のように改正し、公布の日から適用する。
1の表(RS)─2─(4─フルオロフェニル)─1─(1H─1、2、4─トリアゾール─1─イル)─3─トリメチルシリルプロパン─2─オール(別名シメコナゾール)の項の次に次のように加える。
3′─クロロ─4,4′─ジメチル─1,2,3─チアジアゾール─5─カルボキサニリド(別名チアジニル) | 1mg/L |
2(132)の次に次のように加える。
(133) チアジニル試験法
ア 装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
アセトン アセトン(特級)
ぎ酸 ぎ酸(特級)
酢酸 酢酸(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
ジエチレングリコール ジエチレングリコール(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
メタノール メタノール(特級)
リン酸 リン酸(特級)
液相分離ろ紙 液相分離ろ紙(化学分析用ろ紙をシリコン処理したもの)
固相抽出カラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル、粒径50μm)500mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
シリカゲルミニカラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用シリカゲル690mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
チアジニル標準品 本品は、チアジニル95%以上を含み、融点は112.2℃である。
4─メチル─1,2,3─チアジアゾール─5─カルボン酸(以下「カルボン酸体」という。)標準品 本品は、カルボン酸体97%以上を含み、融点は198.1℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料100mlを300mlの分液漏斗に量り取り、ぎ酸1ml及び酢酸エチル50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル50mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに合わせ、液相分離ろ紙を用いて300mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、2%ジエチレングリコールアセトン溶液1mlを加え、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。
2) この残留物にヘキサン及び酢酸エチルの混液(9:1)5mlを加えて溶かす。あらかじめ、シリカゲルミニカラムにヘキサン5mlを流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン及び酢酸エチルの混液(9:1)5mlで展開し、流出液を捨てる。次いでヘキサン及び酢酸エチルの混液(4:1)15mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、これをチアジニル溶出液とする。続いてアセトン10mlで展開し、流出液を捨てる。ヘキサン、アセトン及び酢酸の混液(60:40:1)10mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、これをカルボン酸体溶出液とする。
チアジニル溶出液をすり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
カルボン酸体溶出液に2%ジエチレングリコールアセトン溶液1mlを加え、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物に蒸留水及びメタノールの混液(3:1)を加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料100mlを200mlの三角フラスコに量り取り、ぎ酸1mlを加える。これを、あらかじめメタノール5ml及び1%ぎ酸5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで1%ぎ酸10mlで展開し、流出液を捨てる。メタノール、蒸留水及びぎ酸の混液(80:20:1)15mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、2%ジエチレングリコールアセトン溶液1mlを加え、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
エ 高速液体クロマトグラフの操作条件
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 @ アセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を用い、チアジニルが10〜15分で流出するように流速を調整する。
溶離液 A 0.1%リン酸及びメタノールの混液(4:1)を用い、カルボン酸体が10〜15分で流出するように流速を調整する。
検出器 チアジニルは波長275nmで測定する。また、カルボン酸体は波長270nmで測定する。
感度 チアジニル及びカルボン酸体のそれぞれ2ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
1) チアジニルの検量線の作成
チアジニル標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、この溶液をアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)で希釈して0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40 μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってチアジニルの検量線を作成する。
2) カルボン酸体の検量線の作成
カルボン酸体標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、この溶液を蒸留水及びメタノールの混液(3:1)で希釈して0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40 μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってカルボン酸体の検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から40 μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりチアジニル及びカルボン酸体の重量を求める。このチアジニルの重量の値とカルボン酸体の重量の値に係数1.86を乗じてチアジニルの重量に換算したものとを和し、これに基づき、試料中のチアジニルの濃度を算出する。