〔平成一四・一二・二四 環告八四〕
農薬取締法第三条第二項の規定により定められた同条第一項第四号から第七号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件第四号の環境大臣の定める基準を定める件(平成五年四月環境庁告示第三十五号)の一部を次のように改正し、公布の日から適用する。
1の表(2R、3aS、5aR、5bS、9S、13S、14R、16aS、16bR)―2―(6―デオキシ―2、3、4―トリ―O―メチル―α―L―マンノピラノシルオキシ)―13―(4―ジメチルアミノ―2、3、4、6―テトラデオキシ―β―D―エリスロピラノシルオキシ)―9―エチル―2、3、3a、5a、5b、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16a、16b―ヘキサデカヒドロ―14―メチル―1H―8―オキサシクロドデカ[b]as―インダセン―7、15―ジオン(以下「スピノシンA」という。)及び(2S、3aR、5aS、5bS、9S、13S、14R、16aS、16bR)―2―(6―デオキシ―2、3、4―トリ―O―メチル―α―L―マンノピラノシルオキシ)―13―(4―ジメチルアミノ―2、3、4、6―テトラデオキシ―β―D―エリスロピラノシルオキシ)―9―エチル―2、3、3a、5a、5b、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16a、16b―ヘキサデカヒドロ―4、14―ジメチル―1H―8―オキサシクロドデカ[b]as―インダセン―7、15―ジオン(以下「スピノシンD」という。)の混合物(別名スピノサド)の項の次に次のように加える。
(RS)―7―(4,6―ジメトキシピリミジン―2―イルチオ)―3―メチル―2―ベンゾフラン―1(3H)―オン(別名ピリフタリド) | 0.1mg/L |
(RS)―2―(4―フルオロフェニル)―1―(1H―1,2,4―トリアゾール―1―イル)―3―トリメチルシリルプロパン―2―オール(別名シメコナゾール) | 0.2mg/L |
2(130)の次に次のように加える。
(131) ピリフタリド試験法
ア 装置 アルカリ熱イオン型検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ若しくはカラムスイッチングシステム及び紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(別図)並びに紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
酢酸 酢酸(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
酢酸ナトリウム 酢酸ナトリウム(特級)
ジクロロメタン ジクロロメタン(特級)
トルエン トルエン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
メタノール メタノール(特級)
リン酸 リン酸(特級)
リン酸水素二ナトリウム リン酸水素二ナトリウム(特級)
リン酸二水素カリウム リン酸二水素カリウム(特級)
固相抽出カラム@ 内径15mm、長さ65mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用C18シリカゲル(シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたもの)1000mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
固相抽出カラムA 内径15mm、長さ65mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用グラファイトカーボン500mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
0.1mol/L酢酸緩衝液 0.1mol/L酢酸溶液に0.1mol/L酢酸ナトリウム溶液を加えてpHを4.6に調整したもの
0.01mol/L酢酸緩衝液 0.1mol/L酢酸緩衝液に蒸留水を加えて10倍に希釈したもの
0.1mol/Lリン酸緩衝液 0.1mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液に0.154mol/Lリン酸二水素カリウム溶液を加えてpHを6.8に調整したもの
0.01mol/Lリン酸緩衝液 0.1mol/Lリン酸緩衝液に蒸留水を加えて10倍に希釈したもの
ピリフタリド標準品 本品は、ピリフタリド99.6%以上を含み、融点は163.4℃である。
1―メチル―3―オキソ―1,3―ジヒドロ―イソベンゾフラン―4―スルホン酸(以下「スルホン酸体」という。)標準品 本品は、スルホン酸体58%以上を含み、融点は250℃以上である。
4,6―ジメトキシ―ピリミジン―2―オール(以下「ピリミジン体」という。)標準品 本品は、ピリミジン体99%以上を含み、融点は242℃である。
ウ 試験溶液の調製
T ピリフタリドの試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料400mlを1Lの分液漏斗に量り取り、塩化ナトリウム10g及び酢酸エチル50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル50mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、300mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。
2) この残留物に蒸留水及びメタノールの混液(3:1)を加えて溶かし、1ml(高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフを用いる場合はトルエンを加えて溶かし、3ml)として試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料400mlを1Lの三角フラスコに量り取り、0.1mol/L酢酸緩衝液40ml及びメタノール20mlを加える。これを、あらかじめメタノール5ml、次いで0.1mol/L酢酸緩衝液5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラム@に毎分10〜20mlの流速で流し入れ、0.01mol/L酢酸緩衝液10ml、次いで0.01mol/L酢酸緩衝液及びメタノールの混液(3:1)5mlを流し、流出液を捨てる。次いでメタノール及び0.01mol/L酢酸緩衝液の混液(4:1)5mlで展開し、溶出液を100mlの分液漏斗に取る。これに酢酸エチル10ml、0.01mol/L酢酸緩衝液6ml及び飽和塩化ナトリウム溶液4mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル10mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を100mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム10gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、100mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
U スルホン酸体及びピリミジン体の試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
TのA法の1)と同様に操作を行い、その残留物に0.01mol/Lリン酸緩衝液及びメタノールの混液(4:1)を加えて溶かし、1mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料400mlを1Lの三角フラスコに量り取り、0.1mol/Lリン酸緩衝液40mlを加える。これを、あらかじめメタノール及びジクロロメタンの混液(4:1)5ml、次いで0.01mol/Lリン酸緩衝液5mlを流し入れ洗浄した固相抽出カラムAに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで0.01mol/Lリン酸緩衝液15mlを流し、流出液を捨てた後、約1分間吸引を続け水分を除去する。メタノール及びジクロロメタンの混液(4:1)15mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物に0.01mol/Lリン酸緩衝液及びメタノールの混液(4:1)を加えて溶かし、1mlとして試験溶液とする。
エ 測定機器の操作条件
T ピリフタリドの測定機器の操作条件
1) 高速液体クロマトグラフ
装置 カラムスイッチングシステム及び紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
分離管@ 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管にシリカゲルにフェニル基を化学的に結合させたものを充てんして用いる。
分離管A 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管にシリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを充てんして用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液@ メタノール、蒸留水及びリン酸の混液(550:450:1)を用い、ピリフタリドが分離管@を7.5〜8.5分で流出するように流速を調整する。
溶離液A メタノール、蒸留水及びリン酸の混液(600:400:1)を用い、ピリフタリドが分離管Aを12.5〜16.5分で流出するように流速を調整する。なお、溶離液@の流速と溶離液Aの流速は同一とする。
カラムスイッチングシステム 注入からピリフタリドが分離管@を流出する直前まで分離管@及び分離管Aに別々に溶離液を流し、ピリフタリドが分離管@から流出している間は、分離管@と分離管Aを連結した状態で溶離液を流す。ピリフタリドが分離管@から流出を終了した以降は分離管@及び分離管Aに別々に溶離液を流す。
検出器 波長240nmで測定する。
感度 ピリフタリドの2ngが十分確認できるように感度を調整する。
2) ガスクロマトグラフ
装置 アルカリ熱イオン型検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフを用いる。
分離管 内径0.2〜約0.7mm、長さ10〜30mの溶融シリカ製の管の内面にメチルポリシロキサンを0.1〜1.5μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。
試料導入部温度 スプリットレス方式の場合は200〜270℃、コールドオンカラム方式の場合は50〜100℃
分離管槽昇温プログラム 100℃で2分保ち、100〜約280℃の範囲で毎分2〜20℃の昇温を行う。
検出器温度 280〜300℃
ガス流量 キャリヤーガスとして高純度窒素ガス又はヘリウムガスを用い、内径0.2〜約0.7mmの分離管に対して線速度を毎秒20〜40cmとするとともに、水素ガス、空気及び追加ガス(高純度窒素ガス又はヘリウムガス)の流量を至適条件になるように調整する。
感度 ピリフタリドの0.05ngが十分確認できるように感度を調整する。
U スルホン酸体及びピリミジン体の測定機器の操作条件
装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 0.01mol/Lリン酸緩衝液及びメタノールの混液(4:1)を用い、スルホン酸体が3〜5分で流出するように流速を調整する。
検出器 スルホン酸体は波長235nmで測定する。また、ピリミジン体は波長265nmで測定する。
感度 スルホン酸体及びピリミジン体の各2ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
T ピリフタリド検量線の作成
1) 高速液体クロマトグラフ
ピリフタリド標準品の500mg/Lメタノール溶液を調製し、この溶液を蒸留水及びメタノールの混液(3:1)で希釈して、0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってピリフタリドの検量線を作成する。
2) ガスクロマトグラフ
ピリフタリド標準品の0.025〜0.5mg/Lトルエン溶液を数点調製し、それぞれを2μlずつガスクロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってピリフタリドの検量線を作成する。
U スルホン酸体及びピリミジン体検量線の作成
スルホン酸体標準品及びピリミジン体標準品をそれぞれメタノールに溶解し、各溶液を等量ずつ合わせ取る。これを0.01mol/Lリン酸緩衝液及びメタノールの混液(4:1)で希釈し、スルホン酸体及びピリミジン体の0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってスルホン酸体及びピリミジン体の検量線を作成する。
カ 定量試験
T ピリフタリド
1) 高速液体クロマトグラフ
ピリフタリドの試験溶液から40μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりピリフタリドの重量を求め、これに基づき、試料中のピリフタリドの濃度を算出する。
2) ガスクロマトグラフ
ピリフタリドの試験溶液から2μlを取り、ガスクロマトグラフに注入し、オの検量線によりピリフタリドの重量を求め、これに基づき、試料中のピリフタリドの濃度を算出する。
U スルホン酸体及びピリミジン体
スルホン酸体及びピリミジン体の試験溶液から40μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりスルホン酸体及びピリミジン体の各重量を求める。このスルホン酸体の重量の値とピリミジン体の重量の値にそれぞれ係数1.40及び2.04を乗じてピリフタリドの重量に換算し、これに基づき、試料中のピリフタリドの濃度を算出する。
V Tのピリフタリドの濃度の値とUのスルホン酸体若しくはピリミジン体から算出されるピリフタリドの濃度のいずれか大きい値を和し、試料中のピリフタリドの濃度を算出する。
(別図)高速液体クロマトグラフ(カラムスイッチングシステム)流路図
手順1 試料注入時から目的物質が分離管@から溶出する直前まで
手順3 目的物質が分離管@から溶出を終了した後
手順2 目的物質が分離管@から溶出している間
(132) シメコナゾール試験法
ア 装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
アセトン アセトン(特級)
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
アルミナミニカラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用中性アルミナ1710mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
固相抽出カラム 内径15mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル、粒径80〜160μm)500mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
シメコナゾール標準品 本品は、シメコナゾール99%以上を含み、融点は118.5〜120.5℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料100mlを500mlの分液漏斗に量り取り、塩化ナトリウム10g並びに酢酸エチル及びヘキサンの混液(1:1)50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、有機溶媒層を分取する。残った水層についても、同混液50mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全有機溶媒層を300mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、300mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル及びヘキサンの混液(1:1)20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にヘキサン及び酢酸エチルの混液(19:1)5mlを加えて溶かす。
2) あらかじめ、アルミナミニカラムにアセトン及び蒸留水の混液(19:1)5ml並びにヘキサン5mlを順に流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン及び酢酸エチルの混液(19:1)15mlで展開し、流出液を捨てる。次いでヘキサン及び酢酸エチルの混液(7:3)20mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料100mlをあらかじめアセトニトリル5ml、次いで蒸留水5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで蒸留水及びアセトニトリルの混液(4:1)10mlを流し、流出液を捨てた後、約1分間吸引を続け水分を除去する。アセトニトリル10mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にヘキサン及び酢酸エチルの混液(19:1)5mlを加えて溶かす。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
エ 高速液体クロマトグラフの操作条件
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 アセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を用い、シメコナゾールが15〜20分で流出するように流速を調整する。
検出器 波長210nmで測定する。
感度 シメコナゾールの1ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
シメコナゾール標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、この溶液をアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)で希釈して0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれを20μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってシメコナゾールの検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から20μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりシメコナゾールの重量を求め、これに基づき、試料中のシメコナゾールの濃度を算出する。