[平成一三・四・二六環告三二]
農薬取締法第三条第二項の規定により定められた同条第一項第四号から第七号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件第四号の環境大臣の定める基準を定める件(平成五年四月環境庁告示第三十五号)の一部を次のように改正し、公布の日から適用する。
1の表(E)―N―(6―クロロ―3―ピリジルメチル)―N―エチル―N′―メチル―2―ニトロビニリデンジアミン(別名ニテンピラム)の項の次に次のように加える。
3―(6―クロロ―3―ピリジルメチル)―1,3―チアゾリジン―2―イリデンシアナミド(別名チアクロプリド) |
0.3mg /L |
1の表1―(2―クロロベンジル)―3―(1―メチル―1―フェニルエチル)尿素(別名クミルロン)の項の次に次のように加える。
3―(2―クロロ―4―メシルベンゾイル)―2―フェニルチオビシクロ[3,2,1]オクタ―2―エン―4―オン(別名ベンゾビシクロン) |
0.4mg/L |
4―(4―クロロ―2―メチルフェノキシ)酪酸エチル(別名MCPBエチル) |
0.9mg/L |
1の表S―ベンジル 1、2―ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(別名エスプロカルブ)の項の次に次のように加える。
S―2―(ベンゼンスルホンアミド)エチルO,O―ジイソプロピル ジチオホスファート(別名ベンスリド又はSAP) |
1mg/L |
2(105)から2(120)までを2(109)から2(124)までとし、2(104)を2(107)とし、2(107)の次に次のように加える。
(108) ベンスリド試験法
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
アセトン アセトン(特級)
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
ケイ酸マグネシウムミニカラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用ケイ酸マグネシウム910mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
固相抽出カラム 内径15mm、長さ65mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用C18シリカゲル(シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたもの)1000mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
ベンスリド標準品 本品は、ベンスリド99.0%以上を含み、融点は36℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料100mlを300mlの分液漏斗に量り取り、塩化ナトリウム5g並びにヘキサン及び酢酸エチルの混液(4:1)50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、有機溶媒層を分取する。残った水層についても、ヘキサン及び酢酸エチルの混液(4:1)50mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全有機溶媒層を300mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、300mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコをヘキサン及び酢酸エチルの混液(4:1)20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。
2) この残留物にヘキサン5mlを加えて溶かす。あらかじめ、ケイ酸マグネシウムミニカラムにヘキサン5mlを流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン10mlで展開し、流出液を捨てる。次いでヘキサン及びアセトンの混液(19:1)40mlで展開し、溶出液を100mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にヘキサンを加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料100mlを、あらかじめアセトニトリル5ml及び蒸留水5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで蒸留水10mlを流し、流出液を捨てた後、約1分間吸引を続け水分を除去する。アセトニトリル10mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
エ 測定機器の操作条件
ガスクロマトグラフ部
分離管 内径0.2〜約0.7mm、長さ10〜15mの溶融シリカ製の管の内面にメチルポリシロキサンを0.1〜1.5μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。
キャリヤーガス 高純度窒素ガス又はヘリウムガスを用い、内径0.2〜約0.7mmの分離管に対して線速度を毎秒20〜40cmとする。
試料導入部温度 スプリットレス方式を用い、200〜270℃に設定する。
分離管槽昇温プログラム 100℃で2分保ち、100〜約280℃の範囲で毎分10〜20℃の昇温を行う。
検出部
1) 質量分析計
インターフェース部温度 200〜270℃
イオン源温度 150℃以上
測定質量数 141、215、256
感度 ベンスリドの0.2ngが十分確認できるように感度を調整する。
2) アルカリ熱イオン型検出器又は高感度窒素・リン検出器
検出器温度 260〜300℃
ガス流量 水素ガス、空気及び追加ガス(高純度窒素ガス又はヘリウムガス)の流量を至適条件になるように調整する。
感度 ベンスリドの0.2ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
ベンスリド標準品の0.1〜2mg/Lアセトン溶液を数点調製し、それぞれを2μlずつガスクロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってベンスリドの検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から2μlを取り、ガスクロマトグラフに注入し、オの検量線によりベンスリドの重量を求め、これに基づき、試料中のベンスリドの濃度を算出する。
2(41)から2(103)までを2(44)から2(106)までとし、2(40)を2(41)とし、2(41)の次に次のように加える。
(42) ベンゾビシクロン試験法
ア 装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
アセトン アセトン(特級)
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
酢酸 酢酸(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
リン酸 リン酸(特級)
固相抽出カラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル、粒径50μm)500mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
シリカゲルミニカラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用シリカゲル690mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
ベンゾビシクロン標準品 本品は、ベンゾビシクロン99.0%以上を含み、融点は188〜189℃である。
3―(2―クロロ―4―メチルスルホニルベンゾイル)ビシクロ[3,2,1]オクタン―2,4―ジオン(以下「加水分解体」という。)標準品 本品は、加水分解体99.0%以上を含み、融点は167〜168℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料100mlを300mlの分液漏斗に量り取り、酢酸1ml、塩化ナトリウム5g及び酢酸エチル50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル50mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、300mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。
2)この残留物にヘキサン、アセトン及び酢酸の混液(19:1:0.2)5mlを加えて溶かす。あらかじめ、シリカゲルミニカラムにヘキサン、アセトン及び酢酸の混液(19:1:0.2)5mlを流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン、アセトン及び酢酸の混液(19:1:0.2)5mlで展開し、流出液を捨てる。次いでアセトン、ヘキサン及び酢酸の混液(3:2:0.05)30mlで展開し、溶出液を100mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料100mlを200mlの三角フラスコに量り取り、酢酸1mlを加える。これをあらかじめアセトニトリル5ml及び蒸留水5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、1%酢酸及びアセトニトリルの混液(3:2)10mlで展開し、この流出液を捨てる。次いでアセトニトリル20mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
エ 高速液体クロマトグラフの操作条件
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 アセトニトリル、蒸留水及びリン酸の混液(3:2:0.005)を用い、ベンゾビシクロン及び加水分解体がそれぞれ10〜15分で流出するように流速を調整する。
検出器 波長240nmで測定する。
感度 ベンゾビシクロン及び加水分解体のそれぞれ1ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
ベンゾビシクロン標準品及び加水分解体標準品のそれぞれ500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、各溶液を等量ずつ合わせ取ったものをアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)で希釈し、ベンゾビシクロン及び加水分解体0.05〜1mg/L溶液を数点調製し、それぞれ20μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってベンゾビシクロン及び加水分解体の検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から20μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりベンゾビシクロン及び加水分解体の重量を求める。このベンゾビシクロンの重量の値と加水分解体の重量の値に係数1.26を乗じてベンゾビシクロンの重量に換算したものとを和し、これに基づき、試料中のベンゾビシクロンの濃度を算出する。
(43) MCPBエチル試験法
ア 装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
塩酸 塩酸(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
水酸化ナトリウム 水酸化ナトリウム(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
メタノール メタノール(特級)
固相抽出カラム 内径15mm、長さ65mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用C18シリカゲル(シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたもの)1000mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
4―(4―クロロ―o―トリルオキシ)酪酸(以下「MCPB」という。)標準品 本品は、MCPB99%以上を含み、融点は100℃である。
2―メチル―4―クロロフェノキシ酢酸(以下「MCPA」という。)標準品 本品は、MCPA98%以上を含み、融点は118〜119℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料200mlを500mlの分液漏斗に量り取り、1mol/L塩酸20ml、塩化ナトリウム10g及び酢酸エチル100mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル100mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を500mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、ときどき振り混ぜながら30分間放置した後、500mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。
2) この残留物にメタノール20mlを加えて溶かし、次いで1mol/L水酸化ナトリウム溶液20mlを加え、10分間振とうする。
ナス型フラスコ中の溶液を10%塩化ナトリウム溶液100mlで500mlの分液漏斗に洗い入れ、これにヘキサン50mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、水層を分取する。この水層を500mlの分液漏斗に入れ、4mol/L塩酸10ml及び酢酸エチル100mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル100mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を500mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、ときどき振り混ぜながら30分間放置した後、500mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)を加えて溶かし、3mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料200mlを500mlの三角フラスコに量り取り、1mol/L塩酸20mlを加える。これを、あらかじめアセトニトリル5ml及び蒸留水5mlを順に流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで蒸留水10mlを流し、流出液を捨てた後、アセトニトリル20mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。以下、この残留物についてA法の2)と同様の操作を行う。
エ 高速液体クロマトグラフの操作条件
T MCPB
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 アセトニトリル、蒸留水及びリン酸の混液(80:20:0.1)を用い、MC PBが10〜15分で流出するように流速を調整する。
検出器 波長230nmで測定する。
感度 MCPBの1ngが十分確認できるように感度を調整する。
U MCPA
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 アセトニトリル、蒸留水及びリン酸の混液(50:50:0.1)を用い、MC PAが8〜12分で流出するように流速を調整する。
検出器 波長230nmで測定する。
感度 MCPAの1ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
T MCPB
MCPB標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、この溶液をアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)で希釈して0.025〜0.5mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってMCPBの検量線を作成する。
U MCPA
MCPA標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、この溶液をアセトニトリル及び蒸留水の混液(1:1)で希釈して0.025〜0.5mg/L溶液を数点調製し、それぞれを40μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってMCPAの検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から40μlを取り、T又はUの高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりMCPB及びMCPAの重量を求める。このMCPBの重量の値に係数1.12を乗じてMCPBエチルの値に換算したものと、このMCPAの重量の値に係数1.28を乗じてMCPBエチルの値に換算したものとを和し、これに基づき、試料中のMCPBエチルの濃度を算出する。
2(34)から2(39)までを2(35)から2(40)までとし、2(33)の次に次のように加える。
(34) チアクロプリド試験法
ア 装置 紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。
イ 試薬試液
アセトニトリル アセトニトリル(特級)
アセトン アセトン(特級)
塩化ナトリウム 塩化ナトリウム(特級)
酢酸エチル 酢酸エチル(特級)
ヘキサン ヘキサン(特級)
無水硫酸ナトリウム 無水硫酸ナトリウム(特級)
固相抽出カラム 内径9mm、長さ60mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用C18シリカゲル(シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたもの)500mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
シリカゲルミニカラム 内径10mm、長さ25mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用シリカゲル690mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
NH2シリカゲルミニカラム 内径9mm、長さ60mmのカラムにカラムクロマトグラフィー用NH2シリカゲル(シリカゲルにアミノプロピル基を化学的に結合させたもの)360mgを充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するもの
チアクロプリド標準品 本品は、チアクロプリド98.0%以上を含み、融点は135〜136℃である。
3―(6―クロロ―3―ピリジルメチル)―1,3―チアゾリジン―2―イリデンアミノカルボキサミド(以下「アミド体」という。)標準品 本品は、アミド体98.0%以上を含み、融点は158〜160℃である。
ウ 試験溶液の調製
A法 溶媒抽出法
1) 試料100mlを500mlの分液漏斗に量り取り、アセトン5ml、塩化ナトリウム10g及び酢酸エチル100mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振とうし、暫時放置した後、酢酸エチル層を分取する。残った水層についても、酢酸エチル100mlを加え、同様の振とう及び分取の操作を繰り返す。全酢酸エチル層を500mlの三角フラスコに合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加え、時々振り混ぜながら30分間放置した後、500mlのナス型フラスコ中にろ過する。使用した三角フラスコを酢酸エチル20mlで洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗い、その洗液をナス型フラスコに合わせ、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にヘキサン及び酢酸エチルの混液(7:3)5mlを加えて溶かす。
2) あらかじめ、NH2シリカゲルミニカラムにヘキサン5mlを流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン及び酢酸エチルの混液(7:3)15mlで展開し、流出液を捨てる。次いで酢酸エチル及びアセトンの混液(7:3)20mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にへキサン及び酢酸エチルの混液(3:2)5mlを加えて溶かす。
あらかじめ、シリカゲルミニカラムにヘキサン5mlを流し入れ、洗浄しておく。これにナス型フラスコ中の溶液を流し入れ、ヘキサン及び酢酸エチルの混液(3:2)15mlで展開し、流出液を捨てる。次いでアセトン及びヘキサンの混液(1:1)20mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物に蒸留水及びアセトニトリルの混液(4:1)を加えて溶かし、2mlとして試験溶液とする。
B法 固相抽出法
試料100mlをあらかじめアセトニトリル5ml、次いで蒸留水5mlを流し入れ洗浄した固相抽出カラムに毎分10〜20mlの流速で流し入れ、次いで蒸留水10mlを流し、流出液を捨てた後、約1分間吸引を続け水分を除去する。アセトニトリル10mlで展開し、溶出液を50mlのナス型フラスコに取り、すり合わせ減圧濃縮器を用いて40℃以下で溶媒を留去する。この残留物にヘキサン及び酢酸エチルの混液(7:3)5mlを加えて溶かす。以下、A法の2)と同じ操作を行う。
エ 高速液体クロマトグラフの操作条件
充てん剤 シリカゲルにオクタデシルシランを化学的に結合させたものを用いる。
分離管 内径2〜6mm、長さ15〜30cmのステンレス管を用いる。
分離管槽温度 40℃
溶離液 蒸留水及びアセトニトリルの混液(4:1)を用い、チアクロプリドが20〜25分で流出するように流速を調整する。
検出器 波長240nmで測定する。
感度 チアクロプリド及びアミド体のそれぞれ0.5ngが十分確認できるように感度を調整する。
オ 検量線の作成
チアクロプリド標準品及びアミド体標準品のそれぞれ500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、各溶液を等量ずつ合わせ取ったものを蒸留水及びアセトニトリルの混液(4:1)で希釈し、チアクロプリド及びアミド体0.025〜0.5mg/L溶液を数点調製し、それぞれを20μlずつ高速液体クロマトグラフに注入し、縦軸にピーク高、横軸に重量を取ってチアクロプリド及びアミド体の検量線を作成する。
カ 定量試験
試験溶液から20μlを取り、高速液体クロマトグラフに注入し、オの検量線によりチアクロプリド及びアミド体の重量を求める。このチアクロプリドの重量の値とアミド体の重量の値に係数0.93を乗じてチアクロプリドの値に換算したものとを和し、これに基づき、試料中のチアクロプリドの濃度を算出する。