環境省廃棄物処理技術情報

廃棄物処理等科学研究費補助金
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「平成22年度次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業補助金」に係る交付対象研究等の決定について

 環境省では、廃棄物に係る諸問題の解決及び循環型社会形成に資する研究・技術開発を推進する目的として、競争的資金である廃棄物処理等科学研究費補助金制度を設けています。
 本制度のうち、次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業について、「3R・エネルギー回収の高度化技術」、「アスベスト等、有害廃棄物等の無害化処理等に関する技術開発」、「漂流・漂着ごみ問題解決に関する技術開発」を重点枠として、「廃棄物適正処理技術」、「廃棄物リサイクル技術」、「循環型社会構築技術」を一般枠として公募を行い、次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員会での評価を経て、交付対象を決定いたしました。

1.交付対象となった課題 (5事業)

分野名 事業者名 事業名
3R・エネルギー回収の高度化技術 株式会社タクマ 接触分解法を用いた廃食油からの軽油製造技術の開発
廃棄物リサイクル技術 ヤマハリビングテック株式会社 木質ボード廃材及び容器リサイクル樹脂を用いた機能化コンパウンドのFRP廃材を利用した改質
3R・エネルギー回収の高度化技術 大阪ガス株式会社  水熱ガス化プロセスによる工場廃水の処理・燃料ガス製造技術の開発
3R・エネルギー回収の高度化技術 日立造船株式会社 バイオディーゼル副産物からバイオプラスチック原料製造装置の開発
アスベスト等、有害廃棄物等の無害化処理等に関する技術開発 飛島建設株式会社 投入設備一体型溶融炉によるアスベストの高効率無害化処理システムに関する技術開発

2.採択課題における事業の概要

J2201「接触分解法を用いた廃食油からの軽油製造技術の開発」(株式会社タクマ)

 本事業は、家庭および事業所などから発生する使用済みてんぷら油等の廃食油を原料としたバイオディーゼル燃料の製造において、メタノールおよびアルカリ触媒の添加と廃グリセリンの処理が必要である既存のエステル交換法に替えて、添加剤を用いない固体触媒による接触分解反応により、炭素数9から20のオレフィン・パラフィンを主成分とする炭化水素混合物を高効率に合成するシステムを実証するものである。新規に開発した固体触媒を用いた連続式反応装置により、軽油質の炭化水素混合物を製造するとともに、燃料としての品質評価と自動車燃料としての適用性を確認することにより、廃食油から高効率かつ経済的に高品位な軽油燃料を製造するシステムの実用化を目指す。

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J2202「木質ボード廃材及び容器リサイクル樹脂を用いた機能化コンパウンドのFRP廃材を利用した改質」(ヤマハリビングテック株式会社)

 接着剤等不純物を含んだ木質ボード系の廃材(ボード廃材)、包装容器リサイクルから発生する樹脂(容リ樹脂)及びFRP廃材を原料に機械的特性の高い複合体原料(コンパウンド)を合成する技術を開発する。本事業は、ボード廃材と容リ樹脂のコンパウンド工程において、ボード廃材中のセルロース繊維上に多分岐化フィブリルを形成する際に、FRPの廃材(微粉)を添加し、このせん断効果によりさらなる多分岐化構造を付与するとともにフィブリル表面上にFRP中の成分を利用しメカニカルアロイすることが特徴で、多分岐化したフィブリルが複合体においてネットワーク上に補強する効果に加え、アロイした無機成分によりフィブリル化剛直化し、さらなる補強効果が発現する。この補強されたネットワーク効果により、強度特性だけではなく、クリープ等耐久特性の向上も図る。本事業で開発するコンパウンドは、木材プラスチック複合材(ウッドプラスチック)や汎用プラスチックのマスターバッチまで利用範囲は広く、この成果により、ボード廃材、容リ樹脂さらにはFRP廃材の付加価値型利用が提案できる。

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J2203「水熱ガス化プロセスによる工場廃水の処理・燃料ガス製造技術の開発」(大阪ガス株式会社)

 水熱ガス化技術は、300℃、10MPaG程度の液層で触媒を用いて有機物をガス化する技術である。有機物を含む廃水の処理に適用することにより、メタン等の有用なガスを回収するとともに、処理にともなって排出される炭酸ガスを、従来の焼却法に比べて大幅に削減することができる。
これまで、本技術について、小型バッチ試験装置やラボスケール(廃水処理量7L/日)およびベンチスケール(廃水処理量250L/日)の連続試験装置等を用いて、各種物質の分解特性、実廃水の分解特性、実廃水の設備材料影響等の検討を行ってきた。本技術を実規模の廃水処理に展開するためには、次の段階として、これまでの検討規模の数十倍の規模での実証試験が必要である。
本事業においては、水熱ガス化技術の実証試験として、廃水処理量5.5m3/日のパイロットプラント(申請者および共同技術開発者の所有物)を廃水排出工場に設置し、実廃水を対象として連続処理試験を行うことにより、処理性能の安定性を確認するとともに、実規模のプラント設計に必要なエンジニアリングデータの取得を行う。

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J2204「バイオディーゼル副産物からバイオプラスチック原料製造装置の開発」(日立造船株式会社)

 本事業の目的は、バイオディーゼル燃料(BDF)の副産物であるグリセリンをバイオプラスチック(ポリ乳酸)原料であるラクチドに転換する装置を開発することである。H19年度の事業においてグリセリンを乳酸に転換する装置を開発した。このような乳酸は化学製品の原料として利用することもできるが、バイオプラスチック原料として有効利用するためには、乳酸精製装置およびポリ乳酸の前駆体であるラクチドの製造装置の開発が課題であった。そこで、本事業ではグリセリンから製造した乳酸を精製しラクチドを製造する装置の開発を行う。
 BDFの普及には、副生されるグリセリンの処理が課題であった。一方、バイオプラスチックの普及には、その原料を安価にかつ安定に調達することが課題であった。グリセリンをバイオプラスチックに転換する技術の開発は、BDFおよびバイオプラスチックの普及を推進すると共に循環型社会の形成に貢献することが期待される。

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J2205「投入設備一体型溶融炉によるアスベストの高効率無害化処理システムに関する技術開発」(飛島建設株式会社)

 本事業は、投入設備一体型溶融炉によるアスベストの高効率無害化処理システムを実現するための実証試験を行うものである。溶融炉へのアスベスト含有廃棄物等の投入作業を機械化し、作業環境を改善すると共に、投入設備によるアスベスト含有廃棄物等の前処理(破砕)により、溶融炉での溶融処理効率を向上させ、安定した24時間連続溶融を実現する。この処理システムの実現により、エネルギー消費および発生CO2を削減するとともに、コストダウンを図り、溶融無害化処理の促進に寄与するものである。
投入設備は、負圧管理したクローズドシステムとし、アスベスト含有保温材等を試験体として、投入作業時の粉じん発生および除じん装置の負荷状況を検証する。また投入設備による前処理(破砕)状態の違いによる、溶融性能(処理時間・燃料消費量)および、排ガス性状を把握する。なお実証試験時には、大気中の粉じん測定を行い、アスベストの飛散がないことをあわせて確認する。

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3.次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員

  氏名 所属 ・職名
委員長 田中  勝 鳥取環境大学環境マネジメント学科教授
サステイナビリティ研究所所長
委員 井上 雄三 独立行政法人 国立環境研究所 特別客員研究員 
岡田 光正 広島大学大学院工学研究科 教授 
河村 清史 埼玉大学大学院理工学研究科 教授
武田 信生 立命館大学 総合理工学研究機構客員教授
エコ・テクノロジー研究センター 長
寺嶋 均 社団法人 全国都市清掃会議 技術顧問
羽賀 清典 財団法人 畜産環境整備機構 参与
馬場 寿 財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
理事・調査研究部長
林 愼也 独立行政法人 海上技術安全研究所
生産システム系専門研究員 
藤吉 秀昭 財団法人 日本環境衛生センター 常務理事
※委員長以外の委員は50音順

環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課

TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp

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