環境省廃棄物処理技術情報

廃棄物処理等科学研究費補助金
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「平成21年度次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業補助金」に係る交付対象研究等の決定について

 環境省では、廃棄物に係る諸問題の解決及び循環型社会形成に資する研究・技術開発を推進する目的として、競争的資金である廃棄物処理等科学研究費補助金制度を設けています。
 本制度のうち、次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業について、「廃棄物系バイオマス利活用技術開発」、「アスベスト廃棄物の無害化処理に関する技術開発」等の分野を重点枠として、「廃棄物適正処理技術」、「廃棄物リサイクル技術」等を一般枠として公募を行い、次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員会での評価を経て、交付対象を決定いたしました。

1.交付対象となった課題 (5事業)

分野名 事業者名 事業名
アスベスト廃棄物の無害化処理に関する技術開発 飛島建設株式会社技術研究所 前処理一体型溶融システムによるアスベストの高効率無害化処理に関する技術開発
廃棄物適正処理技術 鹿島建設株式会社 可燃ごみのバイオガス化装置における効率的異物除去機構の開発
廃棄物系バイオマス利活用技術開発 株式会社タクマ  接触分解法を用いた廃食油からの軽油製造技術の開発
3R・エネルギー回収の高度化技術 株式会社栗本鐵工所 マグネシウムスクラップからのアップグレード型素形材の直接再生技術の実用化開発
廃棄物適正処理技術 ヤマハリビングテック株式会社 木質ボード廃材及び容器リサイクル樹脂を用いた機能化コンパウンドの開発

2.採択課題における事業の概要

J2101「前処理一体型溶融システムによるアスベストの高効率無害化処理に関する技術開発」(飛島建設株式会社技術研究所)

 アスベスト含有廃棄物等の処理を専用とする、5~30t/日の溶融炉において、機械化により投入作業を無人化して作業環境を改善すると共に溶融処理効率を向上して、安定した24時間連続溶融を可能とすることでコストダウンを図り、溶融無害化処理の促進に寄与するため、アスベスト含有廃棄物の破砕前処理試験を行う。
負圧管理された試験棟内に、廃棄物受け入れホッパから1次破砕機,2次破砕機と搬送系の全てを負圧管理したクローズドシステム前処理プラントを設置し、アスベスト含有保温材を試験体として、破砕作業時にプラントに設置した除じん装置の負荷状況と試験棟内の粉じん飛散性状を検証する。また粒度を変えて破砕した廃棄物に助燃材、流動化材を添加した物も用意し、既存溶融処理施設での溶融無害化処理時の溶融状況(処理時間・燃料消費量)を把握する。なお実証試験時には、大気中の粉じん測定を行い、アスベストの飛散がないことをあわせて確認する。

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J2102「可燃ごみのバイオガス化装置における効率的異物除去機構の開発」(鹿島建設株式会社)

 一般家庭から排出される可燃ごみのうち,生ごみ、紙ごみなどからバイオガスを回収し、再利用することが可能である。
 生ごみを含む可燃ごみ(以下,単に可燃ごみという)からバイオガスを回収するためには、バイオガス化に適した生ごみ、紙ごみなどと、バイオガス化に不適なビニール、プラスチック、布などを選別し、バイオガス化装置に投入する必要があるが、完全に選別する事は不可能である。
 平成20年度に実施した本事業において、可燃ごみから機械選別により生ごみ、紙ごみを回収し,異物除去機構を備えた原料槽で特殊な循環システムで効率的な可溶化を行った後,バイオガス化によりバイオマスをリサイクルする技術の開発を行い、有効なデータが得られている。しかし、システムのさらなる高効率化、原料槽の小型化のためには、バイオガス化に適さない残渣の原料槽からの効率的な排出機構の開発が必須となる。
 本開発では、可燃ごみバイオガス化施設からの効率的な異物除去機構を開発することを目的とする。

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J2103「接触分解法を用いた廃食油からの軽油製造技術の開発」(株式会社タクマ)

 本事業は、家庭及び事業所などから発生する使用済み天ぷら油等の廃食油を原料としたバイオディーゼル燃料の製造において、メタノール及びアルカリ触媒の添付と廃グリセリンの処理が必要である既存のエステル交換法に替えて、添加剤を用いない固体触媒による接触分解反応により、炭素数9から20のオレフィン・パラフィンを主成分とする炭化水素混合物を高効率に合成するシステムを実証するものである。新規に開発した固体触媒を用いた連続式反応装置により、軽油質の炭化水素混合物を製造するとともに、燃料としての品質評価と自動車燃料としての適用性を確認することにより、廃食油から高効率かつ経済的に高品質な軽油燃料を製造するシステムの実用化を目指す。

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J2104「マグネシウムスクラップからのアップグレード型素形材の直接再生技術の実用化開発」(株式会社栗本鐵工所)

 マグネシウム合金(以下、マグネ合金)は実用金属において最軽量・優れた比強度等の利点が評価されて、自動車部品、携帯電話・ノートPC等の電子・家電製品筺体などに使用されるが、素材歩留りが低く、大量のスクラップが発生する。その多くは溶解工程を経て素原料として再利用されるが、エネルギーの大量消費・温暖化ガスの排出等の問題があり、マグネ合金素材の価格上昇を招き、スクラップを用いた再生素材での商品開発の阻害要因となる。また、悪質な場合、廃材の不法投棄や屋外燃焼廃棄など環境への過負荷も問題視されている。これらの解決の一助のため、当社と大阪大学が共同開発したマグネ合金高強度化・高耐衝撃化技術と粉体ビレット製造技術といったコア技術(権利化済)を基調に、本事業で開発するスクラップからの異物除去・酸化抑制技術と、低コスト化の要となる中型粉体ビレット用フローティングダイ構造設計を開発することで、屋内保管された付着異物の少ない工場内スクラップを新塊材以上の品質に再生するとともに、市場が求める高強度化・高耐衝撃性を持つマグネ押出材を創製するアップグレード型固相再生プロセスに関する実用化技術を短期間で確立する。

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J2105「木質ボード廃材及び容器リサイクル樹脂を用いた機能化コンパウンドの開発」(ヤマハリビングテック株式会社)

 接着剤等不純物を含んだ木質ボード系の廃材(ボード廃材)と包装容器リサイクルから発生する樹脂(容リ樹脂)を原料に品質特性の高い複合体原料(コンパウンド)を合成する技術を開発する。事業概要は、弾性率が低い容リ樹脂をボード廃材の主成分であるセルロース繊維で補強し特性を向上するために、コンパウンド工程でセルロース繊維上にフィブリルを形成した多分岐型形状にすることを特徴としており、セルロース繊維効果に加え、多分岐したフィブリルが複合体においてネットワーク上に補強する効果が発現する。このネットワーク効果により、強度特性だけではなく、耐久特性の向上も図る。本事業では、ボード廃材由来の多分岐化セルロース繊維の高充填化を図るため、汎用プラスチックのマスターバッチとしても利用可能となる。本事業の成果により、ボード廃材や容リ樹脂の付加価値型利用用途が提案できる。

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3.次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員

  氏名 所属 ・職名
委員長 田中  勝 鳥取環境大学環境マネジメント学科教授
委員 井上 雄三 独立行政法人 国立環境研究所 特別客員研究員 
岡田 光正 広島大学大学院工学研究科 教授 
河村 清史 埼玉大学大学院理工学研究科 教授
武田 信生 立命館大学 総合理工学研究機構客員教授エコ・テクノロジー研究センター 長
寺嶋 均 社団法人 全国都市清掃会議 技術顧問 
羽賀 清典 財団法人 畜産環境整備機構 参与
馬場 寿 財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター理事・調査研究部長 
林 愼也 独立行政法人 海上技術安全研究所構造・材料部門専門研究員
藤吉 秀昭 財団法人 日本環境衛生センター 常務理事 
安井 至 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長
※委員長以外の委員は50音順

環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課

TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp

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