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「平成21年度循環型社会形成推進科学研究費補助金」に係る継続研究の中間評価結果について

平成21年度で研究事業期間が3年計画の2年目に当たる研究20件について、循環型社会形成推進研究審査委員会において中間評価を実施しましたので、結果を次のとおり発表します。

1.平成21年度中間評価対象研究(全20件)

研究番号 研究課題名 代表研究者名 評価結果
K2146木質系バイオエタノールのための環境低負荷型生産技術の開発森田 昌敏66.9
K2147循環型社会における回収水銀の長期安全管理に関する研究高岡 昌輝53.6
K2149訪問看護における在宅医療廃棄物の適正処理池田 行宏53.0
K2150防腐剤(CCA)処理木材の自動判別方法および有効利用に関する研究高橋 徹45.7
K2153リデュース・リユースの分析・評価手法の体系化とその適用研究山川 肇37.7
K2154赤外線を用いた安全なアスベスト廃棄物溶融処理に関する研究池田 伸一34.4
K2155循環型社会ビジョン実現に向けた技術システムの評価モデル構築と資源効率・環境効率の予測評価大迫 政浩49.6
K2158単位プロセスの多機能化による含塩性有機性固形廃棄物の低コスト・低環境負荷処理プロセスの確立戸田 龍樹48.3
K2160可視光応答型光触媒の廃棄物埋立処分場浸出水浄化技術への応用森 達摩43.7
K2161ハロモナス菌を用いたBDF廃グリセロール利活用によるバイオプラスチックPHA生産河田 悦和76.2
K2162有機再生廃棄物を対象とする多層複合資源循環圏の設計と評価システムの構築藤田 壮57.6
K2164ミカン搾汁残渣を有効利用したリンの回収方法原田 浩幸43.7
K2165不純物評価・制御技術とユビキタス電子マニフェストシステムを融合した,廃石膏ボード・建設汚泥の安心・安全リサイクルシステムの構築袋布 昌幹53.6
K2166適正な国際資源循環を目指した製品中の有用物質および有害物質の管理のあり方に関する研究森 秀行41.7
K2171各種廃棄物焼却灰を主原料とした環境低負荷型混合セメントの開発前野 祐二43.7
K2175焼酎粕・デンプン粕の機能性食品化を起点とする経済・物質同時循環システムの構築山内 正仁57.6
K21783Rに関する環境教育プログラムの実証と社会行動モデルの開発浅利 美鈴41.7
K2179有害物質管理・災害防止・資源回収の観点からの金属スクラップの発生・輸出状況の把握と適正管理方策寺園 淳61.6
K2181木質系バイオエタノール製造のためのコンバージミル連続粉砕技術開発二階堂 満48.3
K2185災害廃棄物フローを考慮した大規模水害時における水害廃棄物処理計画策定手法の開発平山 修久41.7

*評価結果は、審査委員ごとの評価点数の偏差値から算出したもの。

2.研究の概要

K2146 木質系バイオエタノールのための環境低負荷型生産技術の開発 森田 昌敏

廃棄物に係わる木質系原料を活用して、バイオエタノール及びバイオディーゼル油を生産する環境低負荷型の新たな技術の開発を行なう。バイオマス資源の有効活用の点から、新たな3つの要素技術即ち[1]リグニンを亜臨界アルコール・水により抽出し、抽出物を水素添加・リフォーミングにより油化し、バイオディーゼル油に変換する技術、[2]抽出後得られるセルロースをセルラーゼ/キシラナーゼで加水分解した後、6単糖および5単糖ともに耐熱酵母でエタノールに誘導するフラッシュ連続発酵生産技術、[3]生成物を逐次分離して、生成物阻害を防ぎ発酵生産効率を高め、また最終のエタノールを低コストで分離・脱水する技術を開発する。更にこれらの各プロセスをシステムとして最適化を図ると共に、廃棄物が発生しないゼロエミッションシステムとして練り上げ、実験室プラントとして構築する。

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K2147 循環型社会における回収水銀の長期安全管理に関する研究 高岡 昌輝

国際的な使用低減政策の流れのもとで、水銀は回収後の利用が困難となりつつある有害金属であり、最終保管の形態を考えておくことが必要である。保管形態のあり方に関する基礎研究として、想定される水銀の形態(原子状水銀、合金(アマルガム)、水銀化合物(硫化物、酸化物等))及びその保管形態(容器素材等)について、安定な形態、想定しうる環境排出の極小化、保管期間の環境曝露の耐久性等の実験的検討、更に上記検討をふまえ水銀含有廃棄物からの回収技術の変更・改良の可能性を検討する。今後の回収量の推定に必要な情報整備として、不純物として水銀を含有する廃棄物・原燃料の同定等をふまえ水銀のサブスタンスフローを整備する。また使用製品への増加が見込まれる製品群(例えばバックライト)の回収体制の検討等を行い、全体として有害物質管理施策への提言を念頭においた基礎資料とする。

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K2149 訪問看護における在宅医療廃棄物の適正処理 池田 行宏

訪問看護ステーションは、介護保険や健康保険に基づく訪問看護事業を行っており在宅医療を支援する重要機関である。訪問看護に伴い生じる在宅医療廃棄物は、法律上一般廃棄物に該当することから、市町村が処理責任を負っているが、現実は多くの市町村が在宅医療廃棄物のうち注射針を受け入れていないほか、それ以外の通常感染性を遊佐内と考えられるビニールバッグ類等についても、環先生の可能性が皆無ではない等の理由により受け入れられていないケースが見受けられる。そのためにこの研究では贅沢医療廃棄物の適正処理方策を全国規模で提案することを最終目標におき、実際在宅医療に携わる訪問看護ステーションを対象とし、訪問看護における感染性廃棄物の処理・訪問看護中の取り扱い等問題となる点を抽出し、在宅医療廃棄物を適正に処理するための方策を提案しようとするものである。

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K2150 防腐剤(CCA)処理木材の自動判別方法および有効利用に関する研究 高橋 徹

建築廃材を安全な再資源化原料として利用するため、CCA処理木材を高精度に判別できる装置の開発および判別されたCCA処理木材からの有害金属の分離、木質成分の有効利用についての研究と調査を行う。平成20年度にLIBS(レーザー誘起ブレークダウン分光分析法)を用いてCCA処理木材中のCr、CuおよびAsの測定を行い、低濃度まで判別可能であることを確認し、土壌を付着させた試料も測定可能であることが分かった。また、糖化原料として有効利用するためのCCA成分除去の最適な硫酸溶出条件を見出し、さらにCCA成分と硫酸の分離の可能性を示唆した。平成21年度は、迅速性と正確性を備えた判別方法を決定し、実際の建築廃材を用いて、実効性を確認すると共に現場に適用できる判別方法の検討を行う。また、糖化原料以外の有効利用を考慮して、硫酸を用いない蒸煮法による有害成分除去の可能性を探る。

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K2153 リデュース・リユースの分析・評価手法の体系化とその適用研究 山川 肇

 本研究は、リデュース・リユース(2R)について、その分析・評価手法の体系化をはかるとともに、これを応用してリデュース・リユースを評価する研究で、以下の3つのサブテーマに分かれている。
[1]リデュース・リユース対策の分析・評価手法のレビューと体系化
[2]流通・販売における容器包装のリデュース・リユース対策の分析・評価
[3]エネルギー消費型耐久消費財の長期使用・早期買替を判断するための意思決定支援手法の開発
 2年目となる今年度は、[1]では2R研究のレビューを継続するとともに、各種データ等の2R研究への適用可能性と課題の整理を行う。
 また[2]では先進的小売店、量り売り店に加え、宅配サービス事業者についても、容器包装の2R実践について調査するとともに、その消費者等の受容性調査に着手する。
 [3]では、省エネ型製品への早期買替、大型製品等製品種の異なる製品への買替について評価する。

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K2154 赤外線を用いた安全なアスベスト廃棄物溶融処理に関する研究 池田 伸一

緊急の課題となっている、アスベスト含有廃棄物の処理について、本申請研究ではこれまで試みられていなかった赤外線集光による加熱方法を用いて1600℃以上の高温環境で完全溶融することによって、安全でエネルギー効率の高いアスベスト処理方法と装置を開発する。現場でのその場溶融処理を実現することを目指すテーマAと、大量の非飛散性アスベスト処理に関する赤外線溶融炉設計を行うテーマBを設定し、2年目である本年は、新型反射鏡を試作し所定の温度を達成できるための課題を抽出、解決する手段を確定する。また、スレート材などの非飛散性廃棄物溶融処理炉の基本的な設計原理を提案するために必要なデータを、非飛散性廃棄物のモデル材料溶融実験或いは、高機能ハロゲンランプの試作によって蓄積する。

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K2155 循環型社会ビジョン実現に向けた技術システムの評価モデル構築と資源効率・環境効率の予測評価 大迫 政浩

近未来の循環型社会ビジョンにおいて、家畜糞尿、下水汚泥、食品廃棄物等のバイオマスや廃プラ等の含炭素資源、各種産業系スラグ、石炭灰、建設発生土等の土石系の循環資源、電子・電気製品等に含まれるベースメタルやレアメタル等の金属系の循環資源を対象に、モノの特性に応じた空間スケール(循環圏)の中で実現可能となる具体的な循環技術システムを設計する。また、地域自治体や業界等のステークホルダーを巻き込みながら、実際のフィールドでのシステムづくりの事例や技術開発の状況等を調査することによって、投入-産出(I-O)型のシステム評価モデルとしてプロセス関数を定義するための物質フローやコスト等の統合的な情報基盤を整備する。それによってシステム評価モデルを構築し、資源効率(脱物質化)や環境効率(脱温暖化)等の観点からシステム実現の効果を予測評価し、近未来ビジョンへの転換の意義を定量的に明らかにする。

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K2158 単位プロセスの多機能化による含塩性有機性固形廃棄物の低コスト・低環境負荷処理プロセスの確立 戸田 龍樹

ムラサキイガイなどの海産汚損生物は、世界各地の沿岸域から間欠的かつ大量に排出されている。これらの“含塩性有機性廃棄物”は、その含塩性から飼料や肥料としての利用が困難で、メタン発酵処理においても、プロセス阻害が課題となっている。メタン発酵処理は、リアクターの多段階化に見られるように、機能の向上と同時に処理コストやエネルギーが増大する傾向にある。本研究では、メタン発酵の耐塩性や嫌気および好気処理に関する技術シーズを活用し、単一槽に複数機能を付加するプロセスの多機能化・高度化を研究・開発する。大幅な装置の低コスト化・低エネルギー処理を実現し、実用可能な含塩性有機性廃棄物の高度化処理プロセスの開発を実施する。
平成21年度は、昨年度に実施した嫌気プロセスによるバイオガス回収から好気処理による最終処理までの各単位プロセスを繋ぎ合わせ、連続で処理を行う研究を実施する。またテストプラントの設計ならびに設置場所の選定を行う。

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K2160 可視光応答型光触媒の廃棄物埋立処分場浸出水浄化技術への応用 森 達摩

光触媒は環境に優しい技術として注目されているが、これまで開発されている触媒の多くは紫外線応答型であった。紫外線は液相中の有機物に吸収されやすいため、このタイプの触媒は、水質や付着物の影響を受けやすい。新しく開発した酸化チタン光触媒は、500 nmの可視光にも反応する性質を持つため、太陽光照射によっても高い反応効率を維持することができる。また、光ファイバーやガラスを通して紫外線領域がカットされた太陽光でも反応が励起される特徴を持つ。廃棄物埋立処分場においても省エネ、安全・安心なシステムが求められていることから、この研究では、可視光応答型光触媒を用いて太陽光を利用し、埋立地浸出水に含まれるフミン等の難分解性有機物やフタル酸エステル類、アルキルフェノール類およびビスフェノールA等微量有機性化学物質の除去を目的とした浄化処理技術の開発に取り組む。

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K2161 ハロモナス菌を用いたBDF廃グリセロール利活用によるバイオプラスチックPHA生産 河田 悦和

カーボンニュートラルな石油代替燃料として期待されるバイオディーゼルBDFは、主に油脂を分解して製造され、副生する廃グリセロールの増大が問題となっている。そこで、廃グリセロールの処理、活用を目指し、グリセロールを炭素源に高塩濃度、高pHで生育する菌体をスクリーニングしたところ、バイオプラスチック・ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を高濃度に蓄積するHalomonas sp. KM-1株を見いだした。ポリ乳酸とは異なる物性、生分解特性を持ったPHAを低コストに製造するために、酵母エキスなどを培養に要しない本菌株を用い、廃グリセロールの処理とPHAの生産を高効率に行う。継続したスクリーニングや変異導入、培養条件維持のための菌相の遺伝子的なモニタリング、培養液組成の逐次迅速分析等を行い、バッチ培養、さらには半回分、連続培養での条件を設定し、廃グリセロールを用いたPHA生産の最適化を目指した研究を実施する。

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K2162 有機再生廃棄物を対象とする多層複合資源循環圏の設計と評価システムの構築 藤田 壮

循環資源の発生と、その受け入れ施設である既存動脈産業を含む循環産業施設やその集合体について、1都3県においてその分布やインベントリを調査する。対象は昨年度同様、一般・産業両廃棄物の、厨芥を含むバイオマス及びプラスチックなどの有機系資源を中心とし、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、エネルギー回収および収集・分別・集約等の技術について、インベントリ調査をおこなう。とくに、食品廃棄物については飼料化の調査を継続するとともに、飼育された食肉を対象として、消費者の支払い意思額の調査等から、経済性評価を行う。有機系資源の特性に応じて、コスト要素も考慮する効果的な組み合わせシステムを検討する。このとき、リサイクルのための高度な前処理や長距離輸送の中継機能を集約化した地域拠点の整備を想定し、更に動脈産業を活用するなど、地域循環圏でのリサイクルを高効率かつ低コストで実施する方法を検討する。

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K2164 ミカン搾汁残渣を有効利用したリンの回収方法 原田 浩幸

これまでの研究により、農業廃棄物であるミカンジュースカスをそのまま生石灰でケン化処理し、さらにジルコニウム(IV)イオンを吸着・担持することにより調製される吸着剤はリン酸イオンを広いpH領域から効率的、選択的に吸着し、吸着されたリン酸イオンは希薄なアルカリ水溶液により高濃度で溶離され、吸着剤は再生されることを見出した。本研究においてはこれまでの基礎研究の成果をさらに発展させ、様々な実際の廃液(家畜し尿やその生物処理水)、廃棄物(下水汚泥の焼却残渣等)中からのリンの回収を試みることにより、本吸着剤の有効性、実用性を検証する。さらに実用規模での操業に適した吸着剤の改良と本吸着剤の特性に適合した新規の連続的な操作方法について研究する。初年度は下水二次処理水および脱水濾液に対しての対応を検討し、有効であることを証明した。

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K2165 不純物評価・制御技術とユビキタス電子マニフェストシステムを融合した,廃石膏ボード・建設汚泥の安心・安全リサイクルシステムの構築 袋布 昌幹

近年,廃石膏ボードから製造された固化材を用いて,建設汚泥を改良土としてリサイクルするビジネスが急速に拡大している。しかし,廃石膏ボードの一部にはフッ素化合物等の不純物が含まれており,そのまま再生土に用いると土壌をブラウンフィールド化する可能性が危惧される。本研究では,リサイクル率の向上が求められている廃石膏ボード,建設汚泥の安心・安全なリサイクルの構築をめざし,(1)廃石膏ボード中に含まれる不純物のオンサイト分析装置の試作,(2)分析結果および対策技術を電子マニフェストに付与して提供できるユビキタス端末を用いた物流システムの構築,(3)富山県をフィールドとした実証試験,(4)アウトリーチ活動による普及・啓蒙を行う。本研究を通して,「富山発の石膏リサイクルワールド」の構築を目指すことが本研究の最終目標である。

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K2166 適正な国際資源循環を目指した製品中の有用物質および有害物質の管理のあり方に関する研究 森 秀行

本研究は「製品中の有用物質及び有害物質に関する情報伝達メカニズム」を明らかにするとともに、それを効果的に運用するための新たな国際的なルールを検討するものである。
三年計画の二年度目となる本年度は、昨年度実施した日本、中国、韓国、欧州および米国における製品中の有用物質および有害物質の管理状況およびその情報共有の取組に関する実態調査に基づいて、国内および国際的な製品中環境情報伝達メカニズムの構築に向けた制度設計の調査・検討を実施する。具体的には、昨年度の研究成果を基に[1]日本国内を想定した有用物質及び有害物質に関する情報共有システムの検討を行う。さらに[2]日欧・日米という先進国間の有用物質・有害物質管理制度の比較分析を行った上で、[3]アジアの国際資源循環を考慮に入れた有用物質・有害物質管理施策に関連して、日中韓での情報共有ツールの有効性に関する考察を開始する予定である。

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K2171 各種廃棄物焼却灰を主原料とした環境低負荷型混合セメントの開発 前野 祐二

都市ごみ焼却灰と屠畜牛危険部位の焼却灰と石炭火力発電所から排出される石炭灰と廃石膏ボードの石膏の混合粉砕物とセメントを混合して混合セメントを作製する。この混合セメントは、水と混合するだけで高強度コンクリートを製造できるとともに重金属類の溶出が防止できることを見出した。そこで、本研究では、焼却灰を主原料として上記廃棄物を混合した混合セメントを作製し、この混合セメントの硬化メカニズムと有害物質の溶出特性を明らかにする。この混合セメントは、セメント量全体量の20%程度であるにもかかわらず、高強度に硬化することが、特筆すべきことである。このメカニズムの解明により、安定的に高強度コンクリートが製造できるようになる。また、様々な条件で環境影響試験を酸性雨など様々な条件を考慮した溶出特性、長期溶出特性を明らかにする。そして、社会基盤に有意なコンクリート二次製品を環境低負荷で、低コスト作製できるようにする。

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K2175 焼酎粕・デンプン粕の機能性食品化を起点とする経済・物質同時循環システムの構築 山内 正仁

焼酎粕はキノコ栽培に適した有機酸やアミノ酸、ミネラル等を多く含有する。一方、でん粉粕は繊維質に富み保水性が高く、おが屑の代替として利用可能である。本研究では鹿児島県内から排出されるこれらの食品廃棄物をキノコ栽培用の培地として利用し、機能性食品(キノコ)を製造することによる物質・経済合致循環モデルを構築することを最終目的としている。本年度は焼酎粕・でん粉粕培地の最適配合条件で培地を作製し、子実体発生条件等の違いによるキノコ(ヤマブシタケ)の機能性成分に与える影響を検討する。廃培地については、菌糸代謝産物等を分析し諸特性を明らかにする。また廃培地の飼料特性を把握し、発酵TMR化による飼料調製技術と家畜への給与技術を確立すると同時に、家畜排泄物を堆肥化し諸試験を行う。さらに廃培地の高温高速乳酸発酵飼料製造技術の実現に向けて、焼酎粕を基質とした高温嫌気性反応器内から高温乳酸菌の分離・培養を試みる。

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K2178 3Rに関する環境教育プログラムの実証と社会行動モデルの開発 浅利 美鈴

ごみ減量を始め、循環型社会構築や脱気候変動に向けた取り組みには、家庭や地域、企業等における個々人の理解と行動が欠かせない。しかし「ごみ」と言うと、生活に密着しているが故に情緒的に捉えられがちで、客観・専門的な知見が広がらず、ムーブメントに限界をもたらしている可能性があると考えられる。そこで、3R関連情報をまとめ、専門分野と生活・現場をつなぐような知識の体系化をはかり、3Rに関する環境教育プログラムのモデル開発研究を行う。環境教育プログラムについては、検定というスタイルを念頭におき、初年度に実施したプロトタイプ試行版「第一回3R検定」([1]地域還元版)の実施・検討結果を踏まえて、改善した検定を準備・実施する。また、検定合格者へのアンケート・モニタリング結果等も踏まえて、継続的な教育プログラムを漸進的に導入する。また、[2]ハイレベル版、[3]子供・家庭版、[4]海外・国際版の具体的展開を検討し、その準備に入る。

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K2179 有害物質管理・災害防止・資源回収の観点からの金属スクラップの発生・輸出状況の把握と適正管理方策 寺園 淳

近年大量に中国などへ輸出されてきた金属スクラップは、有害物質や使用済み家電などの混入により相手国から貨物が返送された事例が生じている。貨物船や船積み現場で火災事故も生じているが、最近は経済情勢の変化によって輸出が滞り国内で行き場を失う状況も生まれるなど、環境と災害上の問題が懸念されている。このような金属スクラップについて、有害物質および混合物の内容や、火災の発生・拡大の原因などの知見が非常に不足している。このため、発生源・品目・組成調査や火災実験などを通じて、現在輸出されている金属スクラップの実態と火災発生原因を解明し、適正管理方策を提示することを目的とする。そのために、金属スクラップの組成調査・物質フロー分析、火災実験による発生原因の解明、ならびに管理制度とその実施状況に関する法的検討を行い、有害物質管理・防災・資源回収の観点から必要な適正管理方策を提示する。

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K2181 木質系バイオエタノール製造のためのコンバージミル連続粉砕技術開発 二階堂 満

本研究では、酵素糖化法によるバイオエタノール製造において、木質原料をコンバージミルでメカノケミカル粉砕し、原料を微粒子化・非晶質化して酵素糖化特性の向上を目指す。さらに、適切な酵素選択と糖化技術の確立を平行して実施し、量産性(経済性)を評価しながらバイオエタノール製造のためのメカノケミカル連続粉砕システムの開発を行う。
昨年度の研究においては、杉大鋸屑を原料としたときのバッチ式小型(1L)コンバージミルを用いた場合の最適なメカノケミカル粉砕条件を明らかにした。今年度は、さらなる粉砕条件の検討を実施し粉砕時間の短縮を目指す。また、今年度は様々な木質原料を用いてのコンバージミル粉砕を検討し、各種木質原料ごとの最適なコンバージミル粉砕条件、酵素糖化条件を明らかにする。さらに、コンバージミルを用いたメカノケミカル連続粉砕システムを設計・開発し、原料粉体処理量 2kg/dayを目標とする。

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K2185 災害廃棄物フローを考慮した大規模水害時における水害廃棄物処理計画策定手法の開発 平山 修久

水害発生時には、被災住宅より家財等の廃棄物が大量に発生する。一方、水害廃棄物処理に関する知見の体系化については十分なされているとはいえず、形式知の必要性が叫ばれている。
これらを背景とし、本申請研究は、迅速かつ適正な水害廃棄物処理を可能とするための科学的知見を導出することを目的とする。すなわち、災害廃棄物フローを考慮した水害廃棄物処理施策の指針ならびに策定に活用されることが期待される。それは同時に、災害後の復興において主役となるべき市民の環境衛生を衛(まも)るとともに、環境省重点施策に掲げられた「安全を確保できる生活環境行政を推進」するという目的に合致する。
(2)研究計画・方法
研究申請者は、これまでに、水害廃棄物発生量予測に関する検討をしている。ここでは、これまでの検討を一歩進めて、災害廃棄物フローを考慮した水害廃棄物処理計画策定手法について検討する。

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環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課

TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp