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| 分野名 | 事業者名 | 事業名 |
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| 廃棄物系バイオマス利活用技術開発 | 日立造船株式会社 | バイオディーゼル燃料副産物から生分解性プラスチック原料製造装置の開発 |
| 東京ガス株式会社 | 生ごみ等廃棄物系バイオマスからの高品質エネルギーのカスケード利用技術開発 | |
| 廃棄物適正処理技術 | 東急建設株式会社 | 廃棄物処分場における鋼管ケーシング削孔工法による多目的井戸システムの開発 |
| 廃棄物リサイクル技術 | 松下電工株式会社 | FRPの亜臨界水分解技術の実用化開発 |
| 株式会社エナジェン | 流通式加圧熱水装置を用いた高速メタン発酵処理技術の開発 |
2.採択課題における事業の概要
J1901「バイオディーゼル燃料副産物から生分解性プラスチック原料製造装置の開発」(日立造船株式会社)
バイオディーゼル燃料の製造時には約10%に相当するグリセリンが副生されるが、国内では一部が燃料に利用されるだけでほとんどが廃棄物として処理されている。また、バイオディーゼル燃料の生産が盛んなヨーロッパにおいては、これを精製して保湿剤や飼料として利用しているが、市場では既に供給過剰であるために新たな利用方法が求められており盛んに研究されている。
当研究グループは、アルカリを含んだ廃グリセリンを高温高圧水中で反応させることによって、高い収率で乳酸に転換できることを見出した。乳酸は生分解性プラスチック(ポリ乳酸)としての用途が期待できる。ポリ乳酸は石油原料ではなく植物由来のプラスチックであり生分解性を有することから、最終処分地不足を解決する対策のひとつとしても注目されている。当事業では、バイオディーゼル燃料の副生グリセリンからポリ乳酸を製造し有効利用することを事業目的とする。バイオディーゼル燃料製造工場からの廃棄グリセリンを乳酸に転換して生分解性プラスチックとして利用することで、バイオ資源の有効利用およびバイオディーゼル燃料の普及促進に通じると考えられる。
J1902「FRPの亜臨界水分解技術の実用化開発」(松下電工株式会社)
熱硬化性樹脂と無機物の複合材であるFRP(繊維強化プラスチック)は浴室ユニットやプレジャーボート等に幅広く使用されているが、再資源化が困難で大部分は埋立処分されている。
当社では世界で初めて亜臨界水分解(230℃、2.8MPa)による熱硬化性樹脂の水平リサイクル技術を開発し、FRPの80%(樹脂の70%、無機物の90%)が再利用可能であることを確認した。また、その実用化を目指し、分解条件・処理方式を最適化し、課題であるシステム効率化(処理時間短縮)のための高温高圧排出技術を確立した。これらの成果を踏まえ前処理(粉砕)・後処理(無機物分離)を含めた実用化プロセスを決定し、亜臨界水分解パイロット実証設備の概念設計を実施した。
本事業では上記成果をもとに、性能安定性や信頼性確保といった実稼動を想定した課題解決のための技術開発、前後処理工程との結合仕様の検討を行い、200t/年規模(0.8t/日)の亜臨界水分解パイロット実証設備を設計、当社FRP浴室ユニット工場内に建設する(既設の粉砕、無機物分離の各パイロット実証設備と結合)。完成後、製造工程端材を対象にリサイクル実用化技術の検証を行なう。
J1903「廃棄物最終処分場における鋼管ケーシング削孔工法による多目的井戸システムの開発」(東急建設株式会社)
廃棄物処分場の早期安定化技術のひとつとして,廃棄物層内を好気的雰囲気へ変換することが有効であると知られている。そのため既設処分場等では廃棄物層内の浸出水排除や,通気・ガス抜きを目的とした有孔管の建込みが必要となる。しかし,現在一般的に採用されているロータリー式ボーリング工法では廃棄物層の削孔は困難な場合が多く、コストも高額となっている。そのため安定化設備の普及は進んでいない。
本開発は,先端部分が脱着可能な鋼管ケーシングを採用した無水・無排土削孔による多目的井戸の設置工法を用いて,廃棄物層内を好気的雰囲気へ積極的に変換するための効果的な井戸システムを構築するものである。この工法は従来工法のボーリング工法等と比較して低コスト,短時間での施工が可能であり,平成18年度の本事業の成果として,直径160mm,最大深度40m程度の多目的井戸の設置を実現させることができた。本井戸は現在,モニタリングを継続しており,性能評価を行っている。
平成19年度の本事業概要は,前記多目的井戸のシステム化であり,設計手法も含めた安定化設備の構築を目指すものである。具体的には,井戸径,配置間隔,用途(通気,揚水,ガス抜等)など仕様別での効果を比較検討し,処分場での実証実験により最適な設備配置を決めるものとする。通気・ガス抜に関しては,無動力で運転するベンチレーションシステムの開発を行う。
また,廃棄物層内の削孔や安定化モニタリングを実施する上で廃棄物の物性値を確認することが重要である。本開発では,廃棄物層内の試料サンプリングを実施する装置の開発も行う。
J1904「流通式加圧熱水装置を用いた高速メタン発酵処理技術の開発」(株式会社エナジェン)
メタン発酵は、有機物の分解を多数の微生物による代謝機能に依存しているため、分解・発酵期間に長時間を要し、対象基質ごと(例えば野菜くずと汚泥)の分解速度にも大きな違いがある。不特定の廃棄物を混合処理する場合には、分解・発酵期間のトータルの短縮と平準化が課題となる。そこでこの問題を解決すべく、非水溶性で、分子量の大きな有機性廃棄物(タンパク質、多糖類、長鎖脂肪酸等)を、微生物が資化し易い単位物質へと変換する、可溶化技術の開発が進められている。
本事業では可溶化効率の高い水熱反応法に着目し、大容量のスラリーを連続的に処理することが可能な、多重コイル巻き方式による流通式加圧熱水装置を開発する。[1]水熱反応処理によるメタン発酵処理速度の大幅な高速化、[2]低温領域(170℃)での可溶化による操作条件の最適化、[3]ガス化効率の向上、発酵槽の減容化に起因する総合的なエネルギー収支の改善の三点を主眼とした事業を行なう。
J1906「生ごみ等廃棄物系バイオマスからの高品質エネルギーのカスケード利用技術開発」(東京ガス株式会社)
事業系一般廃棄物のうち生ごみ(厨芥)は含水率が高く焼却には適していないが、現状は、その多くが持込みごみとして、清掃工場で焼却処理されているのが実態である。厨芥は、本来、バイオマス資源として活用するのが望ましく、このためには、付加価値の高いエネルギーを効率的に回収する技術の開発が求められている。本事業は、自治体等の協力を得て、学校給食残渣を主体とした事業系厨芥(廃プラ等の混入が殆どないのが特徴)を対象に、微生物処理によりバイオエタノールを回収する技術を開発するとともに、その残渣等からバイオガス(メタン)を回収し、これを用いて、輸送用燃料として付加価値の高いエタノールの濃縮を図るなど、エネルギー利用効率を高めることを目的としている。本事業では、規模が小さいためエタノールは学校教育用で利用するなど、地産地消の実現を図る。本事業の成果は、事業系厨芥のリサイクルの推進や、国産バイオエタノール生産の推進に資するものと考える。
3.次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員
| 氏名 | 所属 ・職名 | |
|---|---|---|
| 委員長 | 田中 勝 | 岡山大学大学院 環境学研究科 教授 |
| 委員 | 井上 雄三 | 独立行政法人 国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター 副センター長 |
| 岡田 光正 | 広島大学理事 副学長 | |
| 嘉門 雅史 | 京都大学大学院 地球環境学堂 教授 | |
| 河村 清史 | 埼玉県環境科学国際センター 研究所長 | |
| 武田 信生 | 京都大学大学院 工学研究科 都市環境工学専攻 教授 | |
| 寺嶋 均 | 社団法人 全国都市清掃会議 技術部担当部長 | |
| 市戸 万丈 | 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 飼料生産管理部長 | |
| 馬場 寿 | 財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 調査研究部長 | |
| 林 愼也 | 独立行政法人 海上技術安全研究所 客員研究員 | |
| 藤吉 秀昭 | 財団法人 日本環境衛生センター 環境工学部長 | |
| 安井 至 | 国際連合大学 副学長 |
環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課
TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp