環境省廃棄物処理技術情報

廃棄物処理等科学研究費補助金
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「平成16年度次世代廃棄物処理技術基盤整備事業補助金」に係る交付対象研究等の決定について

 環境省では、廃棄物に係る諸問題の解決及び循環型社会形成に資する研究・技術開発を推進する目的として、競争的資金である次世代廃棄物処理技術基盤整備事業補助金制度を設けています。
 「廃棄物適正処理技術」、「廃棄物リサイクル技術」、「循環型設計・生産技術」の3つの技術分野を対象として公募を行い、次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員会での評価を得て、交付対象を決定しました。

交付対象となった課題 (12課題)

事業番号 事業者名 事業名
J1601 北陸電力株式会社 無声放電による微量PCB含有絶縁油の無害化技術の開発
J1602 株式会社コシダテック 感染性廃棄物トレーサビリティシステムの開発
J1603 石川島播磨重工業株式会社 再生ペットボトル樹脂を利用した低コスト粉体塗料の実用化
J1604 株式会社神鋼ソリューション 最終処分場から掘り起こされたPCBを含む土壌化した廃棄物の無害化に関する研究
J1605 石川島芝浦機械株式会社 水蒸気処理による低コストな植物廃棄物リサイクルプロセスの開発
J1606 東洋ラジエーター株式会社 使用済み発泡スチロール(EPS)連続燃焼式油化装置の開発
J1607 農事組合法人エヌチキン 廃棄羽毛の断熱・吸着分野へのリサイクル技術の開発
J1608 協和化工株式会社 産業廃棄物、廃プラスチックより再生プラスチックへのリサイクル技術の開発
J1609 田中建材株式会社 木質アスファルト加熱混合機及び配合割合の技術開発
J1610 株式会社パンウォッシュレット 産業廃棄物を水周り部品へ再利用する成形技術の検討
J1611 株式会社エナジェン 難分解性有機物の生分解性化過程から成る高効率メタン発酵システムの開発
J1612 近畿環境興産株式会社 亜臨界水反応を用いた有機塩素化合物を含んだ廃棄物のリサイクル技術の開発

平成16年度 次世代廃棄物処理技術基盤整備事業審査委員

氏名 所属 ・職名
田中 勝 岡山大学 環境理工学部 教授
市戸 万丈 独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 畜産工学研究部 主任研究員
井上 雄三 独立行政法人 国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 最終処分技術研究開発室長
岡田 光正 広島大学大学院 工学研究科長
嘉門 雅史 京都大学大学院 地球環境学堂 教授
河村 清史 埼玉県環境科学国際センター 研究所長
杉山 吉男 財団法人 廃棄物研究財団 研究企画・振興担当部長
武田 信生 京都大学大学院 工学研究科 教授
田中 信壽 北海道大学大学院 工学研究科 教授
寺嶋 均 社団法人 全国都市清掃会議 技術部担当部長
永田 勝也 早稲田大学 理工学部 教授
馬場 寿 財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 調査研究部長
林 愼也 独立行政法人 海上技術安全研究所 客員研究員
藤吉 秀昭 財団法人 日本環境衛生センター 環境工学部長
安井 至 国際連合大学 副学長

採択課題における事業の概要

J1601「無声放電による微量PCB含有絶縁油の無害化技術の開発」(北陸電力株式会社)

 日本電機工業会(JEMA)から変圧器の新油であるはずの絶縁油から微量のPCB(数ppm)が検出された事例が報告され、その汚染範囲はかなりの量にのぼると懸念され、その汚染油の処理が新たな問題となっている。その処理については、低濃度のPCB濃度(50ppm)を念頭に開発された既存の方法を適用することは経済的な観点から躊躇されるところであり、廃棄物が発生しない、簡易な無害化技術の開発が期待されている。
 そのため、本技術では、微量PCB含有絶縁油を密閉容器内に、絶縁油を噴霧し、無声放電空間を通過させ、放電エネルギーによる脱塩素化によってPCBを分解させるものである。さらに、微量PCBを分解した絶縁油は火力発電所の燃料油として再利用する。

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J1602「感染性廃棄物トレーサビリティシステムの開発」(株式会社コシダテック)

 本事業では、GPS・ICタグ・モバイル通信の先端技術を活用した産業廃棄物のトレーサビリティシステムを開発する。他業種で販売実績のある「GENES:車輌位置及び車輌状態管理システム」とICタグとの連携試験まで既に実施した「E-SIS:廃棄物適正処理管理システム」のASPサーバーを接続する為、その接続ソフトウェアを開発する。また、ICタグリーダーを内蔵し車載機器と接続可能なハンディターミナル及びアプリケーションを開発し、GPSによる車両管理とICタグ情報の連動したトレーサビリティシステムを実現する。
 本事業では、対象廃棄物を感染性廃棄物とし、その専門容器へICタグを組み込む。また、焼却施設直前にICタグリーダーアンテナを設置することにより焼却処分が適切に行われることを確実なものとする。共同研究者として産業廃棄物処理業者である三友プラントサービス株式会社に参画してもらい、排出から中間処理までの一連の流れの中で、適切に廃棄物がトレースされるかを確認するための実証試験を行う。

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J1603「再生ペットボトル樹脂を利用した低コスト粉体塗料の実用化」(石川島播磨重工業株式会社)

 「再生PETを利用した低コスト粉体塗料の実用化」開発を行ない、「回収PETボトルの再資源化の促進」と、低コスト粉体塗料の普及により「溶剤系塗料に起因する揮発性有機化合物(VOC)の削減」に寄与する。
 本技術開発は、平成14年度に補助金事業に採択頂き開発を進めたものである。年度成果としては、PET樹脂の微粉砕技術の開発に留まり、塗料としては流動性に起因する塗膜面のピンホールやレベリングに課題が残り、製品化には至らなかった。
 平成15年度は、製品化の為の残った課題の試験を自社内で進め、塗膜面の流動性改善の見込みが得られた。

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J1604「最終処分場から掘り起こされたPCBを含む土壌化した廃棄物の無害化に関する研究」(株式会社神鋼ソリューション)

・古い最終処分場の廃棄後埋立物を掘り起こし、改めて選別・再生・減容化することで処分場の容量の拡大、残余年数の確保を図る技術が検討されている。
・掘り起こし後の廃棄物の処理方法としては、大規模な最終処分場ではガス化溶融により全廃棄物をスラグ化するが、最終処分場の大多数を占める10万m3以下の場合、プラスチックは焼却等の処理、金属は再利用を行ない、不燃物は減容して埋め戻すことが経済的と考えられる。
・ただし、これら廃棄物の中には、不作為にPCBが混入されたものがあり、掘り起こし処理の実用化を進める上で課題となっている。特にPCBが含まれていた有機性廃棄物が土壌化し覆土と選別できないものや、重金属とともに固化処理された土壌廃棄物などについては、大量に、かつ経済的に処理する技術は開発されていない。
・本技術開発では、廃棄後埋立物の掘り起こし時に問題となるPCBで汚染された土壌化した廃棄物を経済的に処理できる技術を確立するものである。

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J1605「水蒸気処理による低コストな植物廃棄物リサイクルプロセスの開発」(石川島芝浦機械株式会社)

 現在我が国では、管理緑地(公園、高速道路、街路樹、事業所、ゴルフ場、サッカー場、校庭等)が増加しているが、それにともない植物廃棄物も増加傾向にある。施設により様々な処理形態が採用されているが、自ら管理する緑地にリサイクルして外部に排出しないという試みはまだ緒についたばかりである。弊社は基礎技術を有する石川島播磨重工業(株)からの指導と協力のもと、水蒸気処理による植物廃棄物リサイクルプロセスの基礎研究に取り組んできた。この結果、この技術を植物廃棄物に適用すると植物の繊維構造体が速やかに分解・軟化し、栄養成分などが生成されるのみならず微生物にとっては極めて分解しやすく改質されるため、ただちに土壌改良材として利用できる事が判明、実用化の見通しを得ることができた。この技術を基に大学や経験豊富な緑地管理者 の指導・協力を仰ぎながら実際の緑地を対象とした実証適用試験を行い、植物廃棄物をゼロにする 低コストなリサイクルプロセスを開発する。

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J1606「使用済み発泡スチロール(EPS)連続燃焼式油化装置の開発」(東洋ラジエーター株式会社)

 廃棄物として排出される使用済み発泡スチロールを、効率的に破砕・熱分解することにより、有用性の高いスチレン油を取出す装置を製作し、その実用性を証明する。本装置では発泡スチロールを最初に圧縮・減容し、次にこれを微砕片に破砕して、一定割合の生成液に溶解させる。溶解液を燃焼ガスにより加熱して、約400℃に保持すると発泡スチロールは熱分解しスチレン蒸気となるので、これを冷却してスチレン、および、その派生物のオイルが得られる。生成されたオイルはスチレンモノマーの割合が高く、種々の用途に使用可能である。
 本装置は、小形で、安全、かつ自動運転が可能なため、市街地のスーパマーケット等に設置して、使用済み発泡スチロールをその場で処理出来る。更に、特殊な破砕機と溶解液送油ポンプの採用により、従来のこの種装置に必須であった、人手によるラベルやゴミの除去という苦渋作業をなくしているため、処理費用が非常に低く抑えられる。

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J1607「廃棄羽毛の断熱・吸着分野へのリサイクル技術の開発」(農事組合法人エヌチキン)

 成鶏の約1割を占める副生羽毛の資源化については、多くの試みにも拘わらず未だに有効な方法が開発されていない。大部分がケラチン蛋白質であるが、止む無く埋め立てや焼却処分されているのが現状である。本開発は、従来のコンセプトとは全く異なる、ケラチン構造を保持しつつ該羽を化学的に粉砕するもので、必要に応じて新規湿式機械粉砕により容易に微粉化され得る。当該微粉体は羽本来の機能を保持し、特に安全で断熱性に優れており、保冷・保温流通容器や断熱建材等への利用が最適である。
 当該利用技術の開発は、従来の廃棄物処理による環境負荷性とその社会的コスト負担性を大幅に低減させるばかりか、廃棄物の資源化に資する。本開発で用いるのは下記の優れた加工技術である。

  1. 羽の希薄アルカリ水溶液処理の化学的粉砕技術((独)食品総合研究所等の特願2001-83516の応用)簡便で大量処理が可能であることが従来の機械粉砕より優れ、より廉価粉末が得られる。
  2. 湿式粉砕機の活用(SGエンジニアリング(株)のH08-160079を応用した粉砕機)化学的粉砕終了水溶液のまま連続的に微粉砕が可能で、粒径も調節出来る。
  3. 塗工用に水系樹脂を活用
    乾燥微粉末はコストが嵩み極めて使いにくいため、含水粉末が好適でありその水分が障害にならない当該樹脂が最適である。

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J1608「産業廃棄物、廃プラスチックより再生プラスチックへのリサイクル技術の開発」(協和化工株式会社)

 食品包装や雑貨物の包装材料に使用されているプラスチックフィルム印刷物は、その印刷工程で出る「印刷ロスフィルム」は、現在大半が産業廃棄物として端に処理されています。(多くは焼却、埋立処分)
 本事業は、この印刷ロスフィルムを溶剤で洗浄して、印刷面のインクを剥がして透明なフィルムに戻してから、再度ペレット化して、又、フィルムに成形する技術です。(同一商品に再利用するリユース形式のリサイクルシステムです。)
 印刷面を洗浄する溶剤は、自社で廃液から蒸留再生した「再生溶剤」を使って洗浄する。又、洗浄後の汚れた洗浄廃液は、自社の再生処理装置で蒸留再生して、循環使用する完全な循環型のリサイクルシステムであります。

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J1609「木質アスファルト加熱混合機及び配合割合の技術開発」(田中建材株式会社)

本計画では、次の項目について研究し、木質加熱混合物の量産化及び経済的条件を確立する。

  1. 木質加熱アスファルト舗装の品質面の向上と証明
    木質加熱アスファルトの性能と製造方法や材料による違いを数値化し使用条件に適した製品を作り上げるとともに現在評価基準が明確でない国内の木質舗装に一定の基準を提起する。
  2. 粒状アスファルト実験機の改良による実証
    実証化施設を改良し、より現実的な製造方法の確立と性能の向上を目指す。
  3. 半製品の改良
    常温木質合材の性能の向上を目指す。

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J1610「産業廃棄物を水周り部品へ再利用する成形技術の検討」(株式会社パンウォッシュレット)

企業から排出される産業廃棄物をトイレ室内、洗面室内、浴室内、台所内などの水周り部品にリサイクルさせる射出成形技術を構築する。リサイクルさせる産業廃棄物としては、陶器粉、FRP粉、木屑、金属粉などである。これら産業廃棄物と熱可塑性樹脂の混合物を押出し機によるペレット化工程なしに、直接射出成形機に投入することにより成形する技術検討を実施する。検討対象となる射出成形部品としては、温水洗浄便座用部品、衛生陶器水洗タンク内に設置されるロータンク、洗面所内、浴室内における手すり等である。

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J1611「難分解性有機物の生分解性化過程から成る高効率メタン発酵システムの開発」(株式会社エナジェン)

 嫌気性(メタン)発酵システムにおける様々な課題の多くは、食品残さや紙くずに含まれる繊維分や、余剰汚泥の細胞壁部分(ペプチドグリカン等)に代表される難分解性成分の分解効率が低い点に起因している。これらの難分解性有機物を、嫌気性微生物群が資化することの可能な、生分解性の単位分子(単糖類)に改質し、加水分解を促進することにより、バイオガスの回収効率を高める。
 本システムは、難分解性有機物を含む高分子類の可溶化及び加水分解促進過程と、分解産物の代謝からメタン生成までの過程を、それぞれ独立させることによって、発酵効率の向上を図る。
 難分解性有機物を簡易に可溶化する手段として、高速・高圧ミキシングポンプを活用する。ミキシングポンプに、一定量の気体を気泡核として流入させ、超微細気泡に粉砕すると、超音波領域を含んだ衝撃波が発生する。この衝撃波を用いて植物細胞壁内部の圧力を急激に変化させ、飽和蒸気圧によって発生した気泡の崩壊時の高衝撃圧力で、難分解性有機物の結晶構造を損傷し、単位物質への分解を促進することを特徴とする。

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J1612「亜臨界水反応を用いた有機塩素化合物を含んだ廃棄物のリサイクル技術の開発」(近畿環境興産株式会社)

 本技術は、亜臨界水反応を用い、有機塩素化合物を含む廃油に含まれる有機塩素化合物の脱塩素を行い、塩素は塩化カルシウムとし、脱塩素を行なった有機塩素化合物はアルコールとしてそれぞれ回収し、脱塩素後の廃油は燃料油とすることより、有機塩素化合物を含む廃油のリサイクルを行なうものである。
 基礎研究(脱塩及び塩化カルシウム・アルコール生成に関する亜臨界水反応についての研究)及び応用研究(100L/Hの流通管式ベンチスケール試験機による試験)から、流通管方式では実際の廃棄物を処理する場合、廃油中に含まれている樹脂・塗料カスなどの固形分が装置の円滑な運転を阻害する要因となることがわかった。
 本事業では、廃油に含まれる固形分を分離除去が出来る縦型及び縦型固液接触式亜臨界水反応装置(処理能力100L/H)を作成し、既存の流通管式亜臨界水反応装置と組み合わせることにより、有機塩素化合物を含む廃油の効率のよい脱塩及び塩化カルシウム・アルコール・燃料油へのリサイクル処理技術の確立を目指す。

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環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課

TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp

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