![]() 「平成13年度廃棄物処理等科学研究費補助金」
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法人名 | 推進事業名 | 概要 |
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日本環境 衛生センター |
発表会、シンポジウム等による廃棄物研究の普及・推進事業 | 廃棄物処理等科学研究の成果の普及を図るため、平成12年度に実施された研究課題の成果発表会を一般に公開して開催し、併せて循環型社会の形成・廃棄物処理等の分野において、今後期待される研究や方向性に関するシンポジウムを開催する。これらの分野における研究ニーズについて調査し、シンポジウムの資料とする。さらに、研究発表会やシンポジウムの内容をインターネットやその他の広報媒体を通じて広く情報提供することによって、廃棄物処理等科学研究の推進を支援する。 |
4,企画委員会委員名簿(50音順)
氏名 | 所属 |
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浅野 直人 | 福岡大学 法学部長 |
飯野 靖四 | 慶応大学 経済学部教授 |
市川 陽一 | (財)電力中央研究所 狛江研究所大気科学部上席研究員 |
小林 康彦 | (財)日本環境衛生センター 専務理事 |
寺嶋 均 | (社)全国都市清掃会議 技術部長 |
中島 尚正 | 放送大学 教授 |
中杉 修身 | 国立環境研究所 化学物質環境リスク研究センター長 |
永田 勝也 | 早稲田大学 理工学部教授 |
花嶋 正孝 | 福岡県リサイクル総合研究センター 所長 |
平岡 正勝 | 立命館大学 エコテクノロジー研究センター長 |
藤田 賢二 | (財)水道技術研究センター 会長 |
森田 恒幸 | 国立環境研究所 社会環境システム研究領域長 |
森田 昌敏 | 国立環境研究所 総括研究官 |
○研究の概要
1. 齋藤 健 : 遺伝子工学的手法による残留ダイオキシン類の低減化法の開発2. 井上 雄三 : 最終処分場管理における化学物質リスクの早期警戒システムの構築
環境汚染の不安により設置や運営が困難となっている最終処分場において、より予防的かつ効率的なリスク管理を行う搬入廃棄物や浸出水等の現場監視ツールとして、細菌や環境生物を用いたバイオアッセイやバイオモニタリング等の「複合毒性パラメータ」の適用を考え、バイオセンサー等として現場用に簡易自動化するとともに、これらを用いて問題となる有害化学物質群を絞り込み、また施設の構造、運営方法また公害防止施設がリスク削減に与える効果を評価したうえで、施設の状況に対応した監視手法の組みあわせ(テストバッテリー)と、監視結果より合理的な対策発動を行うための基準値(アクションレベル)を設定することにより、最終処分場における監視技術と予防的対策を総合化した「早期警戒システム」を構築することを目指す。
3. 松藤 康司 : 最終処分場におけるダイオキシン類の抑制と環境安全性向上に関する研究
焼却灰等に含まれ最終処分場に持ち込まれたダイオキシン類を環境に放出させぬよう適切にコントロールし、さらには処分場の安定化を促進して安全性を向上させる手法を開する。具体的には、以下の研究を行う。(1)
処分場内のダイオキシン類の長期的挙動の解明 (2)
処分場内のダイオキシン類の分解促進と安全性向上の手法の開発 (3)
浸出水のダイオキシン類濃度管理と処理技術の開発 (4)
埋立処分場閉鎖時のダイオキシン類に関する評価手法の確立 (5)
ダイオキシン類に関する安全性向上・負荷低減を考慮した埋立システム、処分場設計(案)の策定年次計画としては、初年度より着手している(1)(2)(3)の研究に成果を加え、2年度目は特に安全性向上及びその評価手法と設計(案)を考え、(4)、(5)を開始し、最終年度は総合とりまとめを行う。
4. 八木 美雄 : 廃棄物処理過程におけるダイオキシン類縁化合物の挙動と制御に関する研究
本研究は平成11年度に厚生科学研究補助金を受けて調査研究を開始した「廃棄物処理過程におけるダイオキシン類縁化合物の挙動と制御に関する研究」の継続研究として申請するものである。
本研究では、循環・廃棄過程、とくに廃棄物焼却プロセスを念頭においたとき、ダイオキシン類縁化合物の挙動に関する基礎的知見と制御方策に関する実証的研究を推進する。ここで対象とするダイオキシン類縁化合物とは、コプラナーPCBの他、臭素化ダイオキシン類(PBDDs/DFs)や臭素化ジフェニルエーテル(類)(PBDEs)を中心とする。
平成13年度は、(1)ダイオキシン類縁化合物の分析法の課題・問題点克服調査、(2)廃棄物処理施設等からのダイオキシン類縁化合物の排出実態調査、(3)焼却処理施設におけるおけるダイオキシン類縁化合物、重金属類の抑制効果の実証的確認、(4)一般環境におけるダイオキシン類縁化合物の実態調査を実施する。
5. 古角 雅行 : 排ガス処理過程におけるDXN類の挙動に与える固定炭素の影響に関する研究
都市ごみ焼却飛灰中に存在する固定炭素は、ダイオキシン類(DXN)に対する吸着能力が高くバグフィルタ(BF)でのDXN除去に大きく影響する一方、その性状如何ではDXN生成要因となることが分かっているが、その影響について定量的評価はなされていない。
本研究は高温反応炉における鉄・非鉄金属の挙動と製錬工程で多用される炭素の物性・挙動に豊富な知見を有する鉄鋼および非鉄製錬分野の研究者と共同し、廃棄物処理プロセスにおけるDXNの生成挙動と固定炭素の関係を明らかにし、併せて飛灰の主要な成分である金属化合物の影響についても解析しようとするものである。高純度酸素および窒素から構成される模擬ガス雰囲気下において固定炭素性状に係る種々のパラメータとDXN生成レベルとの相関をラボ試験で調査すると共に、実排ガスを用いたフィールド試験を並行して実施することによりラボ試験で得られた知見の確認を行う。
6. 森口 祐一 : 耐久財起源の循環資源の適正管理に関する研究
既に建設解体廃棄物や耐久消費財は、廃棄物発生量に大きな割合を占めているが、今後、自動車や家電製品といった耐久消費財や、建造物や生産設備といった固定資本などストックとして蓄積された財が寿命を終えた段階で生じる循環資源・廃棄物はますます重要度を増すと考えられる。そこで本研究は、こうした耐久財起源の循環資源に焦点をあて、マテリアルフロー分析や統計的手法等を用いて耐久財起源の循環資源の発生量を予測する手法や、循環利用可能な物質、有害・適正処理困難な物質など耐久財の物質構成を把握する手法を開発し、質的側面を考慮した発生量予測を主要耐久財について行うとともに、これらのリサイクル・適正処理促進のための技術、経済的手段、法制度等について検討することにより、循環型社会形成に資する知見を提供することを目的とする。
7. 田中 勝 : 病院付設焼却炉の機能評価と運転管理技術の高度化に関する研究
国内外の病院付設焼却炉や院内焼却の実態調査を行い、病院付設焼却炉の炉形式、能力、運転操作条件、稼働実績や運転体制等を明らかにする。この事態調査をもとに、複数の焼却炉で、微量汚染物質の生成・排出特性を測定する。すなわち、焼却対象廃棄物別、炉形式別に排ガス,排水、焼却残渣中の汚染物質の排出状況を明らかにし、焼却炉の機能評価を行う。特に、病院付設焼却炉で炉の稼働条件や運転条件を人為的に操作した長期連続燃焼実験を行う。以上の検討によって、主としてダイオキシン対策を念頭に置いた病院付設焼却炉の適正なシステム構成のあり方及び運転管理のための手法を提案する。また、将来の医療廃棄物の望ましい処理システムを検討する。 国内外の病院付設焼却炉や院内焼却の実態調査を行い、病院付設焼却炉の炉形式、能力、運転操作条件、稼働実績や運転体制等を明らかにする。この事態調査をもとに、複数の焼却炉で、微量汚染物質の生成・排出特性を測定する。すなわち、焼却対象廃棄物別、炉形式別に排ガス,排水、焼却残渣中の汚染物質の排出状況を明らかにし、焼却炉の機能評価を行う。特に、病院付設焼却炉で炉の稼働条件や運転条件を人為的に操作した長期連続燃焼実験を行う。以上の検討によって、主としてダイオキシン対策を念頭に置いた病院付設焼却炉の適正なシステム構成のあり方及び運転管理のための手法を提案する。また、将来の医療廃棄物の望ましい処理システムを検討する。
8. 安原 昭夫 : 産業廃棄物の焼却に伴うダイオキシン類の発生挙動解明と抑制技術の開発に関する研究
産業廃棄物の焼却処理においては、焼却物の内容の複雑さや焼却炉の多様性のためにダイオキシン類の発生状況が詳細には研究されていない。本研究においては、不完全燃焼が起こりやすい固形廃棄物を対象にして、燃焼条件の変更や炉内部の改造が容易な小型焼却炉を用い、いろいろな産業廃棄物について完全燃焼に近い状態でのダイオキシン類発生量を測定して基準データとし、燃焼条件の変化とダイオキシン類生成量の関係を明らかにすると共に、ダイオキシン類生成の基本要素を明確にする。これらの基礎データを解析することから、産業廃棄物の焼却処理におけるダイオキシン類削減方法を提示する。
一方、焼却処理でダイオキシン類発生が確実な産業廃棄物処理の新技術開発として、超好熱菌による低コスト・迅速で、かつ分解生成物が無害で肥料として使える生物分解方法を開発する。
9. 川尻 聡 : 超臨界二酸化炭素によるダイオキシン類分析技術の研究
環境問題が国際的な関心事である現在、ダイオキシン類の分析における高速化及び簡易化技術の構築に対するニーズも高まっている。そこで、我々は、超臨界二酸化炭素抽出技術を応用し、分析に要する時間及びコストの低減を主眼とするダイオキシン類分析連続式高速前処理システムの構築を行う。平成11年度の研究では、超臨界二酸化炭素によるダイオキシン類の抽出における操作因子の最適化を行った。平成12年度には、抽出技術の買う率と抽出されたダイオキシン類の分離に関する検討を行った。2年間の研究により、超臨界二酸化炭素抽出でダイオキシン類をほぼ100%抽出できることを確認した。また、HPLC技術を利用すると、連続的に分離操作を行うことができると考えられる。この結果を元に、最終年度である今年度は、当該システムの確立及び実用化技術開発を行う。国内外の研究動向及び廃棄物処理行政に留意し最適なプロセスの構築を行う。
10. 久松 由東 : プラスチック類の熱分解、燃焼反応による有害化学物質生成の抑制に関する研究
生活関連材料あるいは建材等で多量に使用されるプラスチック類の使用後の処理方法として焼却処理、熱処理による再利用(再資源化)、埋め立て等が行われている。ポリ塩化ビニル等の燃焼過程や焼却処理施設の排出物の研究からダイオキシンなど多種の有害化学物質が排出されていることは知られているが、それらが焼却処理過程のどのような熱分解、燃焼反応によって生成するのか不明な点が多い。年々増加するプラスチック類の熱分解、燃焼過程で生成する有機塩素系化合物や多環芳香族炭化水素等の有害化学物質の生成を解明し、それに基づく有害化学物質の生成を抑制する方法を究明することは生活環境や健康影響に対する発生源対策として不可欠である。本研究では、ポリ塩化ビニルを主とし、熱分解や燃焼反応生成物の変異原性試験の結果を基に、有害化学物質の生成機構の解明や金属触媒等を用いた有害化学物質生成の抑制効果や誘導体化による無害化について研究する。
11. 大森 英昭 : 生活排水等の処理過程で発生する水、汚泥のリサイクル技術の向上に関する研究
生活排水等の処理過程で発生する水、汚泥のリサイクル技術の向上に資する方法を見出すために、平成13年度は実験的研究を実施する。
浄化槽処理水及び汚泥のリサイクルについて、処理水質の高度化及び消毒技術の基礎的研究を行うとともに、既存浄化槽に適用可能な簡易な減量・減容化技術の応用的研究を進める。また、処理水及び汚泥を農業利用するための施用技術等の研究を行う。その中で、コンポスト化に係る有用微生物の高濃度培養技術の研究を行う。
再生利用に係る衛生学的安全性確保について、水処理、汚泥処理過程における病原性微生物の消長の研究を行うとともに、大腸菌O-157に代表されるような病原性細菌をファージにより抑制する方法の検討を行う。さらに汚泥の農業利用以外の利用法について、浄化槽汚泥からプラスチックや活性炭を生産するための応用的試験、研究を行う。
12. 諸頭 達夫 : 化学物質の循環・廃棄物過程における制御方策に関する研究
本研究では多くの製品、化学物質の生産・廃棄過程及びリサイクル過程を念頭においた化学物質の挙動に関する基礎的研究と制御方策に関する実証的研究を推進する。対象とする化学物質は、残留性有機汚染物質類と重金属類とし、対象とする廃棄物は廃家電等(冷蔵庫、エアコン、洗濯機、テレビ、携帯電話、パソコン及び二次電池)と建設廃木材とした。
対象の廃家電製品等に使用されている有害物質の種類、使用量比率を調査し、次にその化学物質の廃棄・リサイクル工程の特性を明らかにすると共に作業場の安全管理環境へのリスク評価を行い、技術面でのモデルリサイクルの検討を行う。研究が多岐にわたるため研究部会を設置する。
廃木材専門部会:防腐剤等の環境への進入形態を調査⇒チップ、パーティクルボー
ド、炭化廃家電等専門部会:(1)鉛の循環、(2)金属の回収技術、(3)有害物資の環境排出モデル (4)環境負荷の多角的評価(PC) (5)廃棄・回収過程の安全管理評価手法等
化学物質動向調査部会:生産・廃棄・リサイクル工程における有害物質、重金属類のフロー及び廃棄過程での削減対策
13. 古市 徹 : 焼却灰中のダイオキシン類を対象とした微生物分解技術の開発に関する研究
焼却処理に起因するダイオキシン類(以下、DXNs)への一連の施策により、今後発生するDXNs量は大幅に削減されることが期待される。しかし、不適正最終処分場内の焼却灰に含まれるDXNsにより周辺土壌・地下水は汚染される可能性があり、また焼却炉周辺土壌は、すでに放出されたDXNsにより汚染されている可能性がある。従って、DXNsの影響の実態把握を行うことと、高濃度のDXNsによる汚染が存在する場合には、その修復を行うことが必要である。一方、これまでの物理化学的なDXNs類処理技術は、高コストで二次汚染の可能性が指摘されている。そこで、本研究では、不適正最終処分場や解体焼却炉周辺の土壌を対象に、焼却由来のDXNsを微生物により処理する技術の開発を行う。まず、本研究を行う前提として、焼却灰中のDXNs類による汚染の潜在的可能性について実態調査を通して検証する。そして開発する微生物処理技術としては、撤去処理を想定したバイオリアクター処理と、原位置処理を想定したバイオレメディエーション処理技術について、実用化の検討を行う。さらに我々が発見した菌によるDXNsの分解機構の解明と、実用化に向けた酵素・遺伝子解析を行う。
14. 酒井 伸一 : 非制御燃焼過程におけるダイオキシン類等の残留性有機汚染物質の生成と挙動
本研究は、非制御下の燃焼過程からの残留性有機汚染物質(POPs)の生成と挙動に種々の検討を加えるものである。具体的には、1)非制御下の燃焼過程から発生するPOPsの生成に関する実証的研究、2)POPsの環境進入と挙動に関する研究、を中心に検討する。1)の非制御燃焼過程に関する研究では、廃棄物埋立場の自然発火現象に関し、東南アジアをフィールドとして発生と影響に関する調査を行う一方、非制御下の燃焼過程からの発生と生成挙動を把握するための燃焼試験を実施する。2)の環境挙動研究では、非制御下の燃焼過程からの残留性有機汚染物質の生成は、物質文明の展開が顕著となった1世紀以上前から存在したものと考えられ、底質コアの年代特定研究から、POPsや重金属類の歴史トレンド解析に取り組む。POPsの底質蓄積と環境動態解析を行い、また海棲哺乳動物に含有されるPOPsの時系列変化をあわせて考察する。
15. 渡辺 征夫 : 廃棄物焼却炉の排ガス中のダイオキシン類制御のためのクロロフェノール類およびガス状総有機ハロゲン化合物の連続監視手法および排出抑制システムの開発
都市ごみ,産業廃棄物,汚泥などの処理法としての焼却は,我が国のような人口過密な国や地域では今後も主要な処理形態であり続けると推察される。しかし焼却処理に伴うダイオキシン類などの難分解性で毒性の高いハロゲン系の汚染物の排出は,量的な濃淡はあれ,不可欠であり,広域の生態系を含めた環境に影響をしないといったレベルまで削減するためには,不断の排出モニタリングと継続的な低減対策が不可欠である。
窒素酸化物などの従来型の汚染物の制御手法は排ガス中の汚染物濃度を連続測定機でモニターしながら,一定のレベルを超えると所定の対策を講じるといった方法が採られていた。しかしダイオキシン類の場合,その分析に複雑な前処理と大型の分析計,それに多大な時間と労力を必要とするため,そのような直接モニタリングを一般的な焼却炉で実現することは,現時点では困難である。そこで,本研究ではダイオキシン類と関連の深いクロロフェノール類などの前駆物質を連続モニターしながら,ダイオキシン類の排出抑制を図るための制御システムを構築することを目的としている。
16. 山口 光恒 : 拡大生産者責任(EPR)に関する費用便益・リスク便益分析
1991年ドイツの包装廃棄物政令に始まり、その後世界に広まった拡大生産者責任(EPR)は今や世界の廃棄物政策の中心的政策となりつつある。日本でも1997年施行の容器包装リサイクル法、2001年施行の家電リサイクル法などこの概念を取り入れた立法が行われている。OECDにおいても1994年以来検討が進められ、2001年3月に加盟国政府に対するガイダンスマニュアルが刊行されたところである。2000年度に共同研究者の一人である山口光恒が本補助金を得て(当時は単独研究で)EPRの経済分析を実施したが(「EPR経済分析序論」)、これは序論の段階である。EPRの経済分析は今後益々重要になるので、今後3年間かけて共同研究を深める。初年度は家電リサイクル法など法律の費用・便益分析を行い、2年目は日本のLCA(ライフサイクルアセスント)の研究成果を加味して研究を深め、3年目は有害物質使用に関するリスク便益分析を実施する。
17. 島岡 隆行 : 埋立処分量削減を目的とした廃棄物処理残さの土木資材化と環境負荷低減化技術
資源循環型社会の構築をめざし,各方面で様々な取り組みがなされつつある。また1996年時点の廃棄物処分量に対して,2010年までに処分量を半減させることが目標として定められたところである。本研究は,埋立廃棄物の約40%を占める一般廃棄物焼却灰の埋立処分を回避させることを目的として,焼却灰の「土木資材化」促進に関する研究と環境への負荷を最小限とする焼却灰の「海面埋立用材」としての高度な埋立工法の開発を主に行う。具体的には,次の3つを研究課題とする。
(1)リサイクル促進に伴う収集廃棄物及び処理残さの性状変化の予測
(2)焼却灰の土木資材化と環境負荷低減化技術の開発
(3)環境負荷低減が図れる焼却灰の海面埋立用材としての高度埋立工法の開発
18. 平石 明 : 生物学的ダイオキシン分解技術の開発研究
我々はダイオキシンの生物学的分解処理法を確立するため、これまでの分解菌の探索と主な候補菌の分解機構を研究すると同時に、汚染地域や自然界におけるダイオキシンの主要分解機構について調べてきた。その結果、汚染土壌、湖沼底土、およびコンポストなどに存在する複合微生物群集にはいずれも有機物存在下で多塩素化ダイオキシンを脱塩素化する能力があることが判明した。その事実から複合微生物群集の力を利用して多塩素化ダイオキシンを低塩素化し、さらにこの後、好気的酸化分解機能を有する好気性微生物を添加することによって、低塩素化ダイオキシンを完全分解する方法が有望な技術の一つであるとの結論に達した。本研究ではこれを実施するリアクターとして生ごみ処理機を利用し、焼却灰や汚染土壌と生ごみを混合してダイオキシンを脱塩素化することを試み、最も効率的な脱塩素化の条件を検討する。さらに好気的分解微生物としてSphingomonasやNocardioides等の候補菌を取り上げ、それらの菌の特性、分解機構、およびリアクター内での働きと生残性について検討する。
19. 竹内 定男 : フッ素樹脂の高付加価値リサイクル技術開発
循環型社会構築という社会的要請に対応するため、フッ素樹脂に焦点をあて、付加価値の高い新たなリサイクル技術を開発する。廃フッ素樹脂に高温照射を施して架橋させることにより、高度の耐摩耗性を付与する機能をもたせ、さらにこれを用いた高性能のしゅう動材料・製品を創製する。これにより、従来は固体潤滑剤としてしか再利用できなかった廃フッ素樹脂が、広範囲の用途に応用できることとなり、リサイクル率を大幅に向上するとともに、原料フッ素樹脂よりも付加価値の高い高機能添加剤として、新しい市場の形成が期待される。
20. 筧 淳夫 : 医療廃棄物の減量及びリサイクルに係る環境負荷に関する研究
現在、医療現場から排出されている医療廃棄物の「減量化」、及び「リサイクル」のシステムの確立が求められる。また同時に「減量化」の反面引き起こされる感染リスクや、「リサイクル」システムを導入する際にリサイクル自体が抱える環境負荷の問題を総合的に検討・評価する必要がある。また、在宅医療の現場において、医療廃棄物処理の問題があり、現状の在宅医療を踏まえて、将来新しい医療サービスが在宅において展開することを想定して、そこから排出される廃棄物の処理問題について検討を進める必要がある。
そこで、在宅から排出される医療廃棄物の処理問題を含めて、医療施設内における廃棄物のマネジメントについての調査・分析を行うことにより、医療廃棄物の「減量化」や「リサイクル」を推進する上での問題点やリスク等についての検討・評価を行う。
21. 佐古 猛 : 難処理プラスチック混合廃棄物からのクリーン燃料製造技術に関する研究
現在、埋立処分以外に適当な処理法がないポリ塩化ビニル等を含む難処理プラスチック混合廃棄物の中で、量の多さや環境への悪影響の点から、とりわけ早急に対応すべき主要な対象物として、廃電線ダストや廃家電製品・廃自動車のシュレッダーダストを取り上げて、安全で信頼性が高く、経済的な超臨界水利用ガス化技術を開発する。また本技術では超臨界水をガス化用溶媒として用いるので、有害なダイオキシン類を一切発生させずに、ポリ塩化ビニル等のハロゲン含有プラスチックを含む全てのプラスチックを高効率で水素やメタン等の付加価値の高い工業ガスに変換するクリーン・ケミカルリサイクル技術を構築できる。
22. 柴崎 康 : 廃棄物に係るダイオキシン類等分析の体系化に関する研究
廃棄物処理施設からの排ガス、排水及び灰中のPOPs、さらに、廃油及び汚泥等の混合系である廃棄物中のPOPsについて、迅速で高精度な分析方法の確立を目指し以下6テーマの研究を行った。
(1) 廃棄物中POPsの分析方法の検討
(2) 臭素系ダイオキシン類等の調査分析方法の検討
(3) 廃棄物処理に係るダイオキシン類簡易測定法の検討
(4) ダイオキシン類分析法の高感度・高精度化に関する検討
(5) イムノアッセイ等の適用に関する検討
(6) ダイオキシン類等代替物質による簡易分析法の検討
平成13年度は、前年度に継続し、6テーマの研究を行う。
23. 大森 英昭 : 合併処理浄化槽整備地域におけるITを用いた維持管理体制の確立に関する研究
浄化槽の処理機能が評価可能な測定器を研究・開発する。また、開発した測定器による測定値と浄化槽の処理機能の関係を解析し、浄化槽用情報交換システム(以下、エキスパートシステムと示す。)を開発する。さらに、開発した測定器とエキスパートシステムを浄化槽の維持管理に導入し、測定データの収集及び解析した結果を、ITを利用して浄化槽の維持管理に関係する業者及び期間が相互に情報交換するとともに維持管理記録をエキスパートシステムのデータベースに加えることで、浄化槽の処理機能を効率的に向上させるシステムの構築を図る。また、集積したデータを解析し、データ受信者が対象の浄化槽に関する現状や課題及び対策が理解されやすい形態となるよう、技術支援ソフトや出力形態について研究する。さらに、浄化槽により生活排水対策を実施している地域における総合的な浄化槽の機能状況が評価可能なシステムについて研究する。
24. 後藤 元信 : 超臨界二酸化炭素抽出法による固体廃棄物中の重金属類の除去技術
本研究では環境低負荷の超臨界二酸化炭素を溶媒としてキレート剤を用いることにより、固体廃棄物中に存在する重金属類を効率的に除去し、回収するシステムを構築する。超臨界二酸化炭素に重金属は溶解しないが、錯体を形成させるためにキレート剤を導入することで、重金属類の効率的な抽出が可能となる。本プロセスでは有機溶媒や水を用いないため、環境への2次汚染を防ぐことができる。また、超臨界流体は優れた物質移動特性を有している為、固体廃棄物中の細孔に容易に浸透し、効率的に重金属類を回収することができる。対象物質としては、処理が問題となっている焼却飛灰を用いる。また、キレート剤はプロセス内でリサイクルされるため、低コストで環境に低負荷のプロセスとなる。
25. 武政 剛弘 : 新燃焼方式よるダイオキシンフリーの小型焼却炉の開発研究
本研究においては水性ガス反応と旋回流燃焼による燃焼メカニズムを解明し、2002年に完全施行されるダイオキシン類の排出基準(新設の大型炉に対し0.1ng/N?)を完全にクリアーする新型の小型焼却炉を開発する。具体的には、小型実験炉及び排ガス処理装置を製作し、燃焼メカニズムの解明、最適燃焼条件の把握、排ガスの無害化処理技術を確立する。本研究の小型焼却炉が開発できれば、廃棄物焼却に伴うダイオキシン類の発生の抑制に大きく寄与することができ、廃棄物の発生量の増大、埋立処分場の逼迫の問題の解決にもつながるものと考える。また、2002年以降の法規制により、現在保有中の焼却炉の自主廃止の危機に晒されている中小企業にとっては、非常に有効な焼却炉となり、極めて市場性も高くなると考えられ、廃棄物処理業界の救世主となりうる。
26. 長田 純夫 : 不法投棄等による環境リスク低減化に関する研究
本研究は、日本における廃棄物の不法投棄・不適正処分等により発生したあらゆる土壌・地下水汚染等に対し、早期に汚染の程度を把握する調査手法と、適正な汚染リスク低減化技術の選定し、措置後のモニタリング手法を総括的に網羅した「汚染診断リスク低減化システム」を構築するものである。
汚染現場の状況は、アンケート及びヒアリング調査により把握し、その特徴からパターン化し類型化する。
例えば、ダイオキシン、重金属、有機物質主体又はこれらの複合汚染などが対象となる。また、実際の汚染現場又は模擬実験槽等で調査・実験を行い、リスク低減化技術の確立をめざすものである。さらに、このリスク低減化技術の開発を汚染診断修復システムへ展開し、充実させたシステムを運用することにより、汚染現場とその周辺環境の長期的な安全性の確保をする。
27. 田中 勝 : ダイオキシン類低減化技術の総合化に関する研究
ごみ焼却施設では、ダイオキシン発生削減を狙いとして設備の高度化が図られている一方、制御管理すべき要素は数多く、これらの要素は相互にトレードオフの関係にあるものが多い。従って、要素間のバランスをはかり最適な状態で維持管理する必要がある。本研究では、施設の高度化に伴い増加する制御要素の最適管理のための総合化したシステムの構築と運転操業等の安定性確認のために必要な各種モニタリング技術の高度化を狙いとし、具体的にはダイオキシン類の迅速分析を図る方法を検討する。その方法としてダイオキシン類の代替指標に注目し、その中でもダイオキシン類の前駆体であるクロロベンゼン類及び全有機炭素(TOX)を迅速かつ簡易的に計測することで、ダイオキシン類排出濃度をある程度推測する方法を検討し、その手法を用いて長期変動データの収集を行い、施設の最適運転管理のあり方を検討する。
28. 谷 昭英 : 廃棄物処理残さ物に係るダイオキシン類の分解・安定化技術に関する研究
平成12年1月15日のダイオキシン類特別措置法施行により、廃棄物残さ物に関し新たな基準が適用された。本研究では、廃棄物処理過程で発生する残さ物(焼却灰、ばいじん、洗煙排水、洗煙排水汚泥等)に含まれるダイオキシン類の実態を把握し、発生抑制、環境汚染防止の観点からダイオキシン類特別措置法に適応する分解・安定化技術を検討する。資源の有効活用、最終処分地の確保難から残さ物のリサイクルが望まれるところであり、リサイクル製品の流通とダイオキシン類に関する実
態調査を実施するとともにダイオキシン類に関しての基準化を検討し流通拡大を目指す。また、廃ガス洗浄施設のダイオキシン類挙動とりわけ洗浄水への溶解因子の解明を目指し、ダイオキシン類の排出抑制を図る。
29. 川島 修 : RDFの利用促進に関する研究
本研究は、ごみの広域化処理の推進とごみ資源をできる限り有効活用しようとする社会的要求に基づき、全国的に設置推進されているRDF施設及び製造されるRDFの安全性について実証的研究を行う。併せて、既存の有効活用方法である小型ボイラ、地域暖房用ボイラなどについてRDFの利用の有効性及び環境負荷面からの安全性について実証的研究を行う。
平成13年度は、前年度に継続して、(1)RDF利用可能施設(小型利用施設)でのRDF実用試験、(2)RDF施設でのダイオキシン類の生成調査(○乾燥工程を持たないRDF製造施設からのダイオキシン類排出状況の調査、○RDF製造施設でのダイオキシン類生成状況の追加確認調査(平成12年実施の「製造工程サンプル調査」と同様な分析調査)、(3)利用状況、研究情報の調査及び利用促進に向けたマニュアル作成を実施する。
環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課
TEL: 03-5501-3154 FAX: 03-3593-8263 E-mail: hairi-haitai@env.go.jp