平成10年度の分別収集・再商品化等について

 

1.対象品目

 容器包装リサイクル法に基づく分別収集及び再商品化が開始され2ヶ年が経過した。
 分別収集及び再商品化の対象となる品目は、
 
 (1)無色のガラスびん,(2)茶色のガラスびん,(3)その他のガラスびん,(4)ペットボトルの4品目。有償または無償で引き取られるため分別収集のみの対象となる品目は、 (5)スチール缶,(6)アルミ缶,(7)飲料用紙パックの3品目である。

2.実施状況

 (1)無色ガラスびん

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
322,284トン
(1.10倍)
292,775トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
94.1%
94.0%
実施市町村数(計画に対する実施率)
1,862 (94.7% )
1,610 (96.9%)
3月末時点の分別収集対象人口
1億0,618万人
(1.10倍)
9,621万人
上記人口の総人口に占める割合
84.6%
76.8%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (2)茶色ガラスびん

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
274,374トン
(1.12倍)
243,916トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
93.4%
93.5%
実施市町村数(計画に対する実施率)
1,866 (94.7% )
(1.16倍)
1,610 (96.6%)
3月末時点の分別収集対象人口
1億0,623万人
(1.10倍)
9,649万人
上記人口の総人口に占める割合
84.6%
77.0%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (3)その他ガラスびん

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
136,953トン
(1.27倍)
107,533トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
90.0%
88.5%
実施市町村数(計画に対する実施率)
1,784 (93.0%)
(1.16倍)
1,535 (95.4%)
3月末時点の分別収集対象人口
1億0,289万人
(1.11倍)
9,283万人
上記人口の総人口に占める割合
81.9%
74.1%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (4)ペットボトル

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
47,620トン
(2.23倍)
21,361トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
94.9%
90.5%
実施市町村数(計画に対する実施率)
1,011 (87.2%)
(1.60倍)
631 (88.1%)
3月末時点の分別収集対象人口
7,786万人
(1.49倍)
5,238万人
上記人口の総人口に占める割合
62.0%
41.8%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (5)スチール缶

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
471,638トン

(1.02倍)

464,662トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
97.8%
95.4%
実施市町村数(計画に対する実施率)
2,572 (97.8%)
(1.07倍)
2,411 (97.8%)
3月末時点の分別収集対象人口
1億1,478万人
(1.06倍)
1億0,836万人
上記人口の総人口に占める割合
91.4%
86.5%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (6)アルミ缶

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
121,214トン
(1.08倍)
112,527トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
96.8%
95.5%
実施市町村数(計画に対する実施率)
2,587 (97.9%)
(1.07倍)
2,420 (97.9%)
3月末時点の分別収集対象人口
1億1,511万人
(1.06倍)
1億0,859万人
上記人口の総人口に占める割合
91.7%
86.7%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

 (7)飲料用紙パック

 
平成10年度
平成9年度
年間分別収集量
8,939トン
(1.35倍)
6,644トン
再商品化率(再商品化量/分別収集量)
97.0%
96.6%
実施市町村数(計画に対する実施率)
1,111 (81.3%)
(1.12倍)
993 (84.7%)
3月末時点の分別収集対象人口
6,863万人
(1.26倍)
5,431万人
上記人口の総人口に占める割合
54.7%
43.4%

 ※下段の括弧内の数字は、平成9年度に対する伸び率

 

3.分別収集実績について

(1) 1年間の分別収集実績を見ると、いずれの品目についても、分別収集量、分別収集実施市町村数、分別収集対象人口とも平成9年度と比べ順調に増加している。
 
(2) 特にペットボトルの分別収集量は、昨年度の分別収集量の2.23倍と急増し、計画量に対する達成率も106.8%に上っており、分別収集の急速な進捗がみられている。
 その結果、平成9年度のペットボトル収集量21,361トン、生産量に対する収集量の比率(回収率)9.8%(生産量は平成9年(暦年)で約219,000トン;PETボトル協議会調べ)に対し、平成10年度の収集量は47,620トン、回収率16.9%に達した(生産量は平成10年(暦年)で約282,000トン;PETボトル協議会調べ)。
 このようなペットボトルの分別収集量の急速な伸びは、分別収集実施市町村数や対象人口の増加に加え、ペットボトルの生産量が増大(平成10年度は9年度の約1.29倍)しているためと考えられる。
 
(3) また、ガラスびん、スチール缶、アルミ缶については、分別収集対象人口が80%を超え、これらの容器の分別収集は概ね全国的に普及するに至ったと考えられる。
 
(4) 計画量に対する分別収集量の割合は、ペットボトルは100%を超過したが、それ以外の6品目(ガラスびん3色、スチール缶、アルミ缶、紙パック)は100%には及ばなかったが、その理由としては、 
    1. 計画量は分別収集を実施する各市町村が平成8年に設定したもので、当時、分別収集を行っていなかった市町村においては、この値が目標値として高めに設定されていた場合があること
    2. 準備の都合で分別収集開始時期が遅れたり、まだ年度内に分別収集を開始しなかった市町村があること
    3. 初めて分別収集を実施したため、排出する住民側に戸惑いがあった等の理由で計画どおり収集が進まなかった市町村があること

等が想定される。

なお、紙パックについては、収集量が計画量に対して特に低率であるが、紙パックは種々の回収ルートにより収集されており註)、市町村がすべての回収ルートでの収集量を把握することが難しいためと考えられる。

註)全国牛乳容器環境協議会によれば、平成8年度の紙パックの回収量は30,800トンと推計され、その回収ルートの内訳は、スーパー等の店頭回収が16,400トン、自治体による分別収集が5,300トン、自治体の支援を受けた集団回収が7,600トン、自治体の支援を受けない集団回収が1,500トンとなっている。

 

4.再商品化実績について

分別収集されたものが再商品化事業者に引き取られて再商品化された量を示す「再商品化率」はいずれの品目も90%前後と高率であった。
 再商品化率が100%に達しない主な理由としては、分別収集されて市町村によって保管されたものが、再商品化事業者に引き取られるまでには、一定量溜まる必要があるため通常タイムラグがあること等によるものと考えられる。
 以上を考えると、平成11年度に繰り越されたものはほとんどなく、平成9年度同様、平成10年度の再商品化は滞留することなく、順調に行われた。

 

5.分別収集・再商品化等の月別の状況

項目・品目名
無色ガラス
茶色ガラス
その他ガラス
ペットボトル
スチール缶
アルミ缶
紙パック
分別収集実施市町村数
4月
1,803
1,802
1,689
882
2,522
2,529
1,045
5月
1,812
1,809
1,718
912
2,527
2,537
1,049
6月
1,819
1,823
1,734
920
2,539
2,550
1,062
7月
1,835
1,839
1,755
943
2,553
2,566
1,077
8月
1,835
1,839
1,758
946
2,553
2,566
1,081
9月
1,837
1,841
1,761
952
2,554
2,567
1,085
10月
1,851
1,854
1,773
973
2,559
2,572
1,089
11月
1,858
1,861
1,779
983
2,563
2,576
1,094
12月
1,859
1,863
1,781
987
2,564
2,577
1,095
1月
1,860
1,864
1,782
1,000
2,568
2,583
1,103
2月
1,861
1,865
1,783
1,008
2,568
2,583
1,107
3月
1,862
1,866
1,784
1,011
2,572
2,587
1,111

 

項目・品目名
無色ガラス
茶色ガラス
その他ガラス
ペットボトル
スチール缶
アルミ缶
紙パック
分別収集量
(トン)
4月
24,552
20,851
10,320
2,686
38,260
8,420
608
5月
26,507
22,733
11,025
3,403
39,716
9,740
615
6月
26,068
22,716
10,934
3,554
38,975
9,787
585
7月
27,451
24,383
11,073
4,319
41,471
11,049
694
8月
27,671
25,538
11,505
4,722
42,962
13,257
601
9月
30,531
25,483
11,366
4,673
43,157
12,647
744
10月
25,197
23,134
10,894
4,797
39,701
10,312
1,064
11月
27,177
21,769
10,544
3,868
37,760
9,664
576
12月
25,183
21,720
11,498
3,648
39,089
8,602
643
1月
24,695
20,481
12,741
3,671
34,521
8,273
503
2月
26,788
21,072
11,603
3,578
34,582
8,718
611
3月
30,463
24,496
13,450
4,701
41,443
10,744
1,697
合計
322,284
274,374
136,953
47,620
471,638
121,214
8,939

 

項目・品目名
無色ガラス
茶色ガラス
その他ガラス
ペットボトル
スチール缶
アルミ缶
紙パック
再商品化量
(トン)
4月
23,542
19,436
8,845
2,182
37,703
8,225
574
5月
23,975
20,700
9,331
3,065
38,126
9,218
599
6月
24,547
21,414
9,780
3,389
37,809
9,622
587
7月
25,413
22,327
9,846
3,918
40,048
10,777
596
8月
25,367
23,238
9,832
4,205
42,173
11,640
572
9月
29,181
23,992
10,381
4,541
42,670
12,531
731
10月
23,705
21,716
9,721
4,558
38,706
10,049
1,045
11月
25,790
20,265
9,632
3,728
37,164
9,448
562
12月
23,073
19,830
10,077
3,408
38,008
8,353
604
1月
23,062
18,596
11,549
3,409
33,789
8,075
501
2月
25,367
19,703
10,811
3,512
33,968
8,601
588
3月
30,218
25,011
13,420
5,277
41,181
10,778
1,712
合計
303,240
256,227
123,227
45,192
461,347
117,315
8,670

   ※四捨五入しているため、合計値が累積値と合わない場合があります。 

 7品目のどの容器も3月期に分別収集量が増大しているが、これは、市町村が収集した時点では重量の把握ができず、再商品化事業者が引き取って初めて計量される場合が多く、これまで保管施設に溜めていたが計量できずにいたものが、年度末になって一斉に再商品化事業者に引き取られて計量されたことによるものと考えられる。

 

6.まとめ

 平成10年度は容器包装リサイクル法施行後2年目ということもあり、分別収集を行う市町村数も増え、分別収集・再商品化の着実な進展がみられている。
 しかしながら、今後とも本法を円滑に施行し、リサイクルをさらに強力に推進していくためには、市町村の一層の創意工夫による分別収集の効率化、収集量の増加、それに応じた再商品化能力の拡大、そして製品の需要拡大等、さらに検討すべき課題は多い。
 また、現在、市町村においては、平成12年度を始期とする第2期市町村分別収集計画の策定作業を行っているところであるが、これまでの2年間の本法の実績等を踏まえ、より実態に即した計画の策定が可能となるよう、厚生省としても情報提供に努めてきたところである。
 本法による分別収集・再商品化は緒についたばかりであり、今後の実施状況を見てその傾向を把握、評価・検討し、さらなる分別収集・リサイクルの推進に役立てていくことが必要である。