<照会先> 旧厚生省生活衛生局水道環境部 環境整備課 浄化槽対策室 TEL 03-3595-2373 |
わが国の水質への汚濁負荷の多くが生活排水とされており、トイレ排水のみしか処理しない「単独処理浄化槽」に代えて、トイレ排水と台所、風呂等からの排水とを併せて処理する「合併処理浄化槽」を普及することが、生活排水対策上の重要な課題の一つとなっている。 このため、厚生省は平成8年5月に、浄化槽工業会とその会員の浄化槽メーカーに対し、単独処理浄化槽の製造の廃止と合併処理浄化槽の供給体制の整備を平成10年度中を目途に行う旨の要請を行ったが、本日、浄化槽工業会から厚生省に対し、浄化槽工業会の会員の浄化槽メーカー22社のうち、以下の20社が、本年4月以降の単独処理浄化槽の製造を廃止するとの報告があった。 平成11年度以降、浄化槽メーカーにおいて単独処理浄化槽の製造の廃止が行われることにより、合併処理浄化槽の設置を義務付ける条例、要綱等の制定や、浄化槽関係業界・団体による合併処理浄化槽のみを製造する浄化槽メーカーの推奨等の取組とあわせ、今後新たに設置される浄化槽の大半が合併処理浄化槽となることが期待される。 厚生省においては、今回の浄化槽メーカーの単独処理浄化槽の製造の廃止の決定を契機として、行政と浄化槽関係業界・団体との連携の強化をさらに促すとともに、合併処理浄化槽の設置に対する国庫補助制度の一層の活用と当該制度を平成11年度に拡充することなどにより、単独処理浄化槽の廃止が広く受け入れられるよう努めていくこととしている。 |
アムズ(株),キリンマシナリー(株),(株)クボタ,積水化学工業(株),大栄産業(株),ダイキ(株),(株)長野液化,西原ネオ工業(株),ニッコー(株),日本ゼオン(株),(株)ハマネツ,日立化成工業(株),フジクリーン工業(株),藤吉工業(株),ベスト工業(株),前澤化成工業(株),松下電工(株),(株)三好商会,山正産業(株),山本工業(株) |
浄化槽工業会会員のうち、残る2社にあっては、平成11年度中のできるだけ早期での単独処理浄化槽の製造廃止を目指して、引き続き準備中である。
1.生活排水対策としての合併処理浄化槽の普及
水質汚濁防止法等により、工場、事業場からの産業排水の規制が進んだ結果、わが国の水質への汚濁負荷の多くが、一般の家庭から排出される生活排水といわれており、トイレ排水のみしか処理しない単独処理浄化槽を廃止し、トイレ排水と台所、風呂等からの排水を処理する合併処理浄化槽を普及することが、生活排水対策上の重要な課題の一つとなっている。
図1.化学的酸素要求量(COD)でみた生活排水、産業排水の汚濁負荷の割合(平成6年度,環境庁調べ)
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2.浄化槽工業会に対する厚生省の要請
厚生省では、生活環境の保全上、合併処理浄化槽による生活排水の処理の推進が重要な課題であることから、平成8年5月に、浄化槽工業会及びその会員の浄化槽メーカーに対し、平成10年度中を目途に、単独処理浄化槽の製造の廃止と合併処理浄化槽の供給体制の整備について要請を行った。
(資料1;浄化槽工業会等に対する厚生省の要請文)
3.浄化槽工業会会員浄化槽メーカーによる単独処理浄化槽の製造廃止
厚生省の要請に応じて、浄化槽工業会会員浄化槽メーカー22社のうち、単独処理浄化槽の製造を行ってきた浄化槽メーカー18社では、平成9年より「単独処理浄化槽廃止自主活動推進プログラム」活動として、平成10年度限りで単独処理浄化槽の製造を自主的に廃止する計画をそれぞれ策定、公表し、これを実施してきた。
本日、上記の活動に参加した18社のうち、計画どおり単独処理浄化槽の製造廃止を行うことを決定した16社と、浄化槽工業会の会員で従来から単独処理浄化槽の製造を行っていなかった4社を加えた会員20社が、本年3月31日をもって単独処理浄化槽の製造を廃止するとして、浄化槽工業会から厚生省に対し別添のとおり報告があったものである。(別添;浄化槽工業会の報告文書)
4.合併処理浄化槽の設置の現状
毎年新たに設置される浄化槽のうち合併処理浄化槽の占める割合は、平成10年度上半期の全国平均で47.6%である。(平成9年度;41.0%)
地方公共団体や国において合併処理浄化槽の設置に対する費用助成や単独処理浄化槽の設置抑制等を行ってきた結果、合併処理浄化槽の新設基数と新設率は年々上昇してきているが、未だ設置される浄化槽の半分以上は単独処理浄化槽である。
また、合併処理浄化槽の新設率が90%を超える府県が4つある一方で、10%以下の県も存在し、都道府県における格差が大きい。
表1 都道府県別の合併処理浄化槽の新設率(%)
(平成9年度と10年度上半期の比較)
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(注)平成10年度上半期の新設率の高い順に整理 |
5.単独処理浄化槽の製造廃止により期待される効果
今回、単独処理浄化槽の製造を廃止する浄化槽メーカーの製造基数の市場シェアは合計で9割を超えており、次年度以降、新設される浄化槽のうちのほとんどが合併処理浄化槽となることが期待される。
浄化槽メーカーの取組に加えて、行政においては、多くの地方公共団体で単独処理浄化槽の設置を抑制する条例、要綱等を定めるなどの対応を行っており、また、(社)全国浄化槽団体連合会においては、単独処理浄化槽の製造を廃止する浄化槽メーカーの推奨や自主的に単独処理浄化槽を設置しない運動を行うなどにより浄化槽メーカーの取組を全面的に支援するとしている。
さらに、浄化槽を利用する地域住民の皆様の理解と協力が加わることにより、今回の浄化槽メーカーの取組が実を結び、わが国の生活環境の保全に大きく寄与するものと考えている。
6.厚生省の合併処理浄化槽の普及に関する取組
厚生省では、昭和62年度に「合併処理浄化槽設置整備事業」を創設し、合併処理浄化槽の設置費用に対する国庫補助を行っている。
平成11年度の予算案においては、他省庁計上分もあわせ、対前年度比 4.8%増の 165億円を計上したほか、窒素等を除去する高度処理型の合併処理浄化槽に対する補助額の引き上げ等の制度拡充を行っている。