(旧厚生省情報)


ご み の 話


目  次

今、ごみは…

廃棄物の区分

一般廃棄物の排出量の動向

産業廃棄物の排出量の動向

廃棄物処理・リサイクルに係る制度について

廃棄物処理に関する役割

再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

素材別のリサイクルの現状

廃棄物の減量化の目標量の設定について

減量化の推進方策

不法投棄と最終処分場の現状

広域移動の問題

今後の取組み

ダイオキシン問題への取組み

おわりに


ごみのはなし作成について


今、ごみは…

 私たちは毎日、実に多くのものやエネルギーを消費して生活しています。この日々の生活に伴って、目に見えるところで、また見えないところで様々なごみが排出され続けています。その結果、1年間に家庭等から排出される廃棄物(一般廃棄物)は、およそ5,115万トン(平成8年度)に達し、東京ドームのおよそ138杯分にもなります。このごみを標準的な2トントラックに積み込むと、2,500万台以上のトラックが必要となり、一列に並べると地球を3周以上する長さになります。さらに、工場や事業所等から排出される廃棄物(産業廃棄物)は平成8年度で約4億2,600万トンであり、このような大量の廃棄物を処理するために、多くの時間と経費をかけなければならないようになっています。さらに、廃棄物処理に伴い発生するダイオキシン類の対策や最終処分場の不足、不法投棄の問題といった課題が生じています。

 このような課題を解決していくために、廃棄物の排出を抑制し、その上で再生利用(リサイクル)を推進していく社会、すなわち循環型社会への転換を図っていかなければなりません。

 この冊子では、どのような廃棄物がどこで、そしてどのくらい発生し、どのように処理されているのか、その現状と流れを整理し、併せて今後の方向も考えてみたいと思います。


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○まず考えよう「本当に必要なものを買っていますか?」


廃棄物の区分

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 廃棄物処理法では、廃棄物とは、自ら利用したり他人に有償で譲り渡すことができないために不要になったもので、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚泥、ふん尿などの汚物または不要物で、固形状または液状のものをいいます。ただし、放射性物質及びこれに汚染されたものは別の法律の対象物となっており、ここからは除かれています。

 廃棄物は、大きく一般廃棄物と産業廃棄物の2つに区別されています。産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律で定められた19種類のものをいいます。一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物を指し、主に家庭から発生する家庭ごみとオフィスや飲食店から発生する事業系ごみと、し尿に分類されます。

 また、これらの廃棄物のなかで、爆発性、毒性、感染性、その他人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるものを「特別管理一般廃棄物」「特別管理産業廃棄物」と分類し、収集から処分まで全ての過程において厳重に管理することとされています。

○まず考えよう「ずっと使える物を買っていますか?」


一般廃棄物の排出量の動向

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 平成8年度の一般廃棄物の総排出量は約5,115万トンとなっています。これは東京ドーム138杯分に相当します。平成8年度の排出量は平成7年度と比べるとわずかに増加しています。国民一人当たりだと1日に約1kg排出することになります。

 一般廃棄物の総排出量、および、1人1日当たりの排出量は昭和60年度前後から急激に増加しましたが、平成元年度から平成8年度にかけてはほぼ横這い傾向が続いています。

 昭和54年度以降にみられる減少傾向は第二次石油ショックと重なっています。また、平成2年度をピークとする増加傾向とそれ以降の横這い傾向はバブル経済期とその破綻とに重なってみえます。しかし、これからは経済の好不況に関わらず廃棄物量の削減を図っていかなければなりません。そのためには、使い捨て製品の使用の自粛や、リターナブル容器を用いた製品を選択するなど、生活様式を見直し、可能な限り廃棄物の排出を抑制し、その上でリサイクルを進める循環型社会への転換が必要です。

○買い物の時「余分な包装は断っていますか?」


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 一般廃棄物は、直接埋め立てられるもの、焼却されるもの、焼却以外の方法で中間処理されるものに大別されます。焼却以外の中間処理施設には粗大ごみを処理(破砕、圧縮など)する施設(粗大ごみ処理施設)、資源化を行うための施設(資源化施設)、堆肥を作る施設(高速堆肥化施設)などがあります。焼却の際には、発電、熱利用等有効利用が行われている事例も増加してきています。焼却処理による焼却残さ(燃え残りや焼却灰のこと)などは最終的には埋立処分されます。直接埋め立てられる廃棄物、焼却残さ、焼却以外の中間処理施設の処理残さを合わせたものが最終処分場に埋め立てられる量になります。焼却や破砕処理あるいは資源化等の中間処理を行ったごみの割合を「ごみ減量処理率」と言います。この値は年々向上していて、平成8年度には89.7%に達しています。

○買い物の時「詰め替え製品を買っていますか?」


 市町村の分別収集や中間処理による資源化量と住民団体等によって集団回収され資源化されるものの合計の総排出量に対する割合を「リサイクル率」と呼びます。リサイクル率も平成元年度の4.5%から平成8年度の10.3%に大きく増加しています。

 一方、直接埋め立てられるごみの量は約518万トン(平成7年度572万トン)で、総排出量のおよそ1割ほどとなっています。直接埋め立て量の割合は年々減少しています。また、ごみ処理施設から排出される焼却灰などの処理残さを合わせた埋立総量は1,309万トン(平成7年度1,360万トン)であり、こちらも年々減少しています。総排出量が横ばいで、中間処理による減量やリサイクル量は増加しているため、最終処分される量は年々減少しています。しかし、一般廃棄物の最終処分場は、新たな最終処分場が作られないとすると、あと9年弱で満杯となると予想されています(平成8年度末時点)。


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○買い物の時「買い物袋を持って買い物に行っていますか?」


産業廃棄物の排出量の動向

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 平成8年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億2,600万トンとなっています。平成2年度以降の排出量の状況をみると、4億トン前後で大きな変化はなく、バブル経済の崩壊後はほぼ横這いとなっています。

 産業廃棄物の排出量を業種別でみると、排出量の最も多い業種が電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む)となっています。次いで建設業、農業、パルプ・紙・紙加工品製造業、鉄鋼業、鉱業と続き、この上位6業種で総排出量の約8割を占めています。

 産業廃棄物の排出量を種類別にみると、汚泥の排出量が最も多く、全体の半分近くにも達しています。これに次いで、動物のふん尿、がれき類となっています。これらの上位3種類の排出量が総排出量の8割を占めています。

 産業廃棄物の排出量を排出地域別にみると、関東地方からの排出量が最も多く、これに近畿地方と中部地方を合わせた地域からの排出量が全体の半分以上を占めています。

○台所で考えよう「作りすぎていませんか?」

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 平成8年度における産業廃棄物の処理状況は、総排出量、約4億2,600万トンのうち再生利用された量が約1億8,100万トン(全体の42%)、中間処理により減量化された量が約1億8,500万トン(43%)、最終処分された量が約6,000万トン(14%)となっています。

 再生利用量は、直接再生利用される量と中間処理された後に発生する処理残さのうち再生利用される量を足し合わせた量になります。また、最終処分量は、直接最終処分される量と中間処理後の処理残さのうち処分される量を合わせた量になります。

○台所で考えよう「何度も使える容器で保存していますか?」


廃棄物処理・リサイクルに係る制度について

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 私たちは、日常の生活の中で様々な廃棄物を排出しています。これらの廃棄物を適正にリサイクルしたり処理したりしないと、私たちの生活環境を衛生的に保てなくなるだけでなく、環境へ大きな負荷を与えてしまいます。

 わが国では、環境に関する基本的な考え方や環境の保全に関する施策の基本は「環境基本法」において定められており、廃棄物を適正に処理する必要があることが示されています。廃棄物の定義や処理責任、処理方法や処理施設に係る基準などは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)で定められています。さらに、リサイクルを促進するための法律として、「再生資源の利用の促進に関する法律」(再生資源利用促進法)、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)、「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)が定められています。

 また、廃棄物の処理を行う施設は、周辺環境への負荷を抑えるための基準や土地利用に関する基準を守らなければならないため、「大気汚染防止法」などとも深く関係しています。その施設の規模や立地が周辺環境へ大きな影響があると考えられる場合には、「環境影響評価法」とも関わりがあります。

 国際的には、先進国で発生した処理の困難な有害廃棄物がアフリカなどに輸出されていたことが契機となり、有害廃棄物の国境を越える移動を規制する「バーゼル条約」が結ばれています。そして、この「バーゼル条約」と海洋への廃棄物等の投棄を規制する「ロンドン条約」に応じた国内の法律も作られています。

○台所で考えよう「調理くずがでないように工夫していますか?」


廃棄物処理に関する役割

 一般廃棄物の処理に関する責任は、市町村にあり、市町村もしくは市町村が委託する事業者によって処理されるのが基本です。事業系の一般廃棄物については専門の処理業者によって処理されることもあります。

 一方、廃棄物を排出する事業者は、その事業活動によって生じた産業廃棄物を自らの責任において処理しなければなりません。これは、「汚染者負担の原則(Polluter-Pays Principle;略してPPP)」とよばれる考え方に基づいており、世界の多くの国で取り入れられている考え方です。廃棄物の処理の方法として、事業者が自分で処理施設を作って処理する場合と専門の処理業者に委託して処理する場合がありますが、廃棄物処理法では、いずれの場合も、排出事業者は最終処分まで適正に処理を行う必要があります。


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○毎日の生活の中で考えよう「最後まで使っていますか?」


再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)

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 再生資源利用促進法は、資源の有効活用を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全を図るために、平成3年に制定されました。主に企業におけるリサイクルの促進を目的としており、企業に対してその製品の設計段階から再生利用を考えて製品づくりを促すとともに、製造工程での再生資源の利用促進について定められています。

 また、分別回収を容易にするための表示についても定められています。

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○毎日の生活の中で考えよう「修理して使っていますか?」


容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

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 容器包装リサイクル法は、主に家庭から出るごみの中で容積比で約5~6割を占めるびんや缶、包装紙などの容器包装廃棄物を分別収集して再商品化することにより、ごみの減量と資源の有効利用を図るために、平成7年に制定されました。

 この法律では、消費者は、びんや缶、包装紙などを分別して排出し、市町村はそれを分別して収集し、その製造業者等は市町村が分別収集した容器包装廃棄物を再商品化する役割を担うことになっています。

 対象となる容器包装廃棄物は、びん、缶、プラスチック製品など、商品の容器及び包装で商品の消費に伴って捨てられるものです。平成9年の法律施行時点では、ガラス製容器、ペットボトル(飲料及びしょうゆ用のもの)の2種類が再商品化義務の対象になっています。平成12年4月からは、紙製の容器包装及びプラスチック製の容器包装が対象に追加されます。

○古紙を1トンリサイクルすると直径14cm、高さ8mの立木20本からパルプを作るのに相当する。


特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

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 平成10年には、家電製品についても具体的なリサイクルの制度が作られました。これがメーカーや販売店が、テレビ、冷蔵庫などの家庭用の電化製品の収集、運搬、再商品化の責任を負うことを明確にした特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)です。

 この法律では、家電製品を製造している企業に、小売業者から機器を引き取り、再商品化等を実施する義務を課しています。小売業者には、過去に販売した機器を引き取り、製造業者等に引き渡す義務があります。消費者は、再商品化のための費用を負担するとともに、家電製品をきちんと引き渡さなければなりません。そして、市町村が回収したものは、製造業者等に引き渡すことになります。

 対象となる家電製品は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4品目となっています。

 家電リサイクル法は、3年間の準備期間を置いて平成13年4月から施行されることになっています。

○リサイクルしたアルミ缶を利用すれば、約33分の1のエネルギーでアルミ缶を作ることができる。


素材別のリサイクルの現状

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 ガラスびんは1回限りの利用を前提として作られるワンウェイびんと洗浄して繰り返し利用されるリターナブルびんとに分けられます。

 ワンウェイびんは砕かれてカレットになり、新しいびんを作る原料としてリサイクルされています。カレットとはガラスを砕いたもので、カレット利用率とは、新しいガラスびんの生産量に対するカレット使用量の比率を表しています。

 一方、平成8年度のリターナブルびんの回収率は、種類毎に99%(ビールびん)、97%(牛乳びん)、88.4%(一升びん)、12%(清涼飲料びん)、5%(日本酒中小びん)となっています。リターナブルびんのびん全体に占める割合は36.3%(平成9年度)であり、平成元年度と比較すると半分程度にまで下がっています。

○再利用できる回数は、ビールびんは15~16回、牛乳びんは50~60回、1升びんは12~13回


素材別のリサイクルの現状

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 再資源化率が向上している背景としては、容器包装リサイクル法が施行され、自治体等の分別収集が進んでいることやリサイクル施設の整備が進みリサイクルの処理量が増加していること、技術の進歩により鉄くずとなった再生原料の質が向上し、鉄鋼メーカなどの利用量が増加していることなどがその要因として考えられます。


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 アルミ缶のリサイクル率は平成10年度で74.4%に達しています。回収されたアルミ缶を再びアルミ缶とする「Can to Can」の割合が平成10年度において回収量のうちおよそ79%となっています。回収されたアルミ缶の利用先が安定的に確保されることに加え、アルミスクラップを用いてアルミ缶を作れば、原料のボーキサイトから新たに地金をつくるよりも97%もエネルギーを節約することができますので、「Can to Can」の推進は重要です。

○アルミ缶1個のリサイクルで、40Wの電球を11時間30分点けられる。


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 プラスチックは加工のしやすさ、用途の多様さから非常に多くの製品として利用されており、その生産量・消費量は増加しています。

 プラスチックはPETボトルや食品ラップなどの容器包装のように使用後すぐに廃棄されるものと、家電製品や自動車などの耐久消費財の部品として利用され、生産と廃棄との間に長い時間的なギャップがあるものなど、さまざまな形態で利用されています。そのため、生産量に対するリサイクル量を短い時間で比較することはたいへん難しくなっています。平成9年には、プラスチックの廃棄物の総排出量に対して、埋め立て処理が約34%、焼却処理が53%、溶融などにより再度プラスチックとして再生し利用する量が12%と推計されています。

○紙を再利用すれば、原料から紙を作るときに必要なエネルギーの約75%を節約できる。


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 飲料用容器としての利用が増えているPETボトルは、年々生産量が増加していて、平成10年には、約25万トンに達しています。PETボトルのリサイクルはPETボトルリサイクル推進協議会を中心とした回収・再利用の取り組みが始められ、平成9年4月からの容器包装リサイクル法によるリサイクルの開始によって、平成9年に9.8%、平成10年には16.9%と、ここ数年回収率が大きく伸びています。市町村による分別収集も次第に進み、平成8年度には148市町村だったものが、平成11年12月末には1205市町村が分別収集を行っています。平成11年度には分別収集量が急増し、再商品化の能力が追いつかない状況が生じてきており、さらに再商品化の能力を拡大していく必要があります。

○鉄を再利用すれば、鉄鉱石から鉄を作るときに必要なエネルギーの約65%を節約できる。


廃棄物の減量化の目標量の設定について

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 これまで、廃棄物の発生からリサイクルの現状までを見てきましたが、政府は、ダイオキシン対策推進基本指針に基づいて、循環型社会の構築をめざし、平成11年9月28日のダイオキシン対策関係閣僚会議で、「廃棄物の減量化の目標量」を決定しました。

 減量化の目標年度を平成22年度とし、一般廃棄物と産業廃棄物のそれぞれについて、廃棄物の排出を抑制し、再生利用(リサイクル)を推進した上で、再生利用できない廃棄物については、脱水や焼却などの中間処理を行って廃棄物の量を減量(例えば、焼却により廃棄物の量は約十分の一になると仮定しています)し、最終処分量を半減することなどを目標としています。

 今後、この目標量を達成するため、政府が一体となって必要な施策の推進に努めていくことになりますが、さらに、地方自治体や企業、消費者がそれぞれの役割に応じて廃棄物の減量化に向けて取り組んでいかなければなりません。

○ガラスを再利用すれば、原料からガラスを作るときに必要なエネルギーの約20%を節約できる。


減量化の推進方策

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○ガラスは、道路や建築材料、タイルなどにも再利用されている。


不法投棄と最終処分場の現状

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 表に示すとおり、産業廃棄物の不法投棄の件数は、年々増加してきており、平成10年度には1273件となり、平成9年度の約1.5倍となっています。不法投棄された廃棄物の量は、それほど変化していないので、1件あたりの不法投棄の量は少なくなってきています。

 不法投棄された産業廃棄物の種類で最も多いのは、がれき類など建築物の解体により発生した廃棄物で約4割の量を占めています。

○ごみを焼却すると約10分の1の重さになります。

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 産業廃棄物の焼却施設や最終処分場を作る場合には、許可が必要ですが、新規の許可件数は年々減ってきており、特に平成9年の廃棄物処理法の改正のあとは、許可件数が急激に減少しています。このままの状態で、新たな最終処分場が建設されないと、あと1年半程度で最終処分場はなくなってしまうと推測されます。

 このような状況が続くと、国全体の産業経済活動にも支障を及ぼすことが考えられます。

○リサイクル製品を選んで買っていますか。


広域移動の問題

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 首都圏や近畿圏などの大都市では、土地が不足していたり、地価が高かったりするため、焼却炉などの中間処理施設や最終処分場を確保することが難しくなっています。そのため、廃棄物をその地域の中で処理することが難しく、一般廃棄物も産業廃棄物も、その多くが都道府県域を越えて運搬され処分されています。

 特に首都圏では最終処分場の確保が難しくなっています。平成7年度に首都圏の都県(一都六県:上図参照)において排出された一般廃棄物のうち最終処分されたものは約344万トンであり、そのうち約15万トンが首都圏外で最終処分されています。また、産業廃棄物については、約150万トンが首都圏外(主に東北地方、中部地方)で処理されています。

 廃棄物を受け入れている地域では、廃棄物が不法投棄されたり、それによる環境汚染が引き起こされたりした場合には、他の地域で発生した廃棄物を搬入することそのものに対する不安感や不公平感が高くなっています。一部の都道府県では、他の県からの廃棄物の搬入を制限するなどの動きも見られます。

 なお、近畿圏においては、広域臨海環境整備センター法に基づいて、昭和57年に大阪湾広域臨海環境整備センターが設立され、大阪湾に最終処分場を整備し、近畿2府4県の168市町村で排出される廃棄物の最終処分を行うフェニックス計画が行われています。

○ペットボトルをリサイクルするときに、キャップを外してだしていますか。


今後の取組み

廃棄物処理法の改正

 今後の廃棄物対策は、単に排出された廃棄物を焼却して埋め立てるということではなくて、排出抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再生利用(リサイクル)によって、廃棄物の減量化を促進し、その上でなお処理しなければならない廃棄物について、安全かつ適正に処理するという循環型へ転換していくことが重要です。

 厚生省では、当面の課題として不法投棄の増加と最終処分場の不足について、生活環境審議会の中間報告に基づき、次のような廃棄物処理法の改正案を国会に提出しました。

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○ペットボトルをリサイクルするときは、中を洗ってだしていますか。


再生資源利用促進法の改正

 平成3年に制定した「再生資源の利用の促進に関する法律」を抜本的に改正し、 (1)事業者による製品の回収・リサイクルの実施などリサイクル対策を強化するとともに、(2)製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や (3)回収した製品からの部品等の再使用(リユース)対策を新たに講じることにより、循環型経済システムの構築を目指します。

 このような総合的な資源の有効利用対策を講じることとなるため、法律の名称も「資源の有効な利用の促進に関する法律」と改めます。

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○あきびんやあきかんをリサイクルするときは中を洗ってだしていますか。


建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

 建設工事から多量の産業廃棄物が排出されており、建設廃棄物は産業廃棄物全体の排出量の約2割、最終処分量の約4割を占めています。また、昭和40年代以降に急増した建築物が更新期を迎えて、今後、建築物が解体されて排出される廃棄物が急増することが予想されています。

 このようなことから、建設廃棄物のリサイクルを推進するために、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案」を国会に提出しました。

 本法案では、一定規模以上の建設工事に対して、コンクリート、アスファルト、木材が分別できるような工事を行うことを義務づけ、分別されたコンクリート、アスファルト、木材を再資源化することを義務づけることとしています。また、この義務が履行されるように、発注者による対象建設工事の届出、解体工事業者の登録制度も設けます。

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○新しい建築物には、リサイクル資材を積極的に使いましょう。


食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律

 食品の売れ残りや食べ残しにより、又は食品の製造過程において大量に発生している食品廃棄物について、飼料や肥料等の原材料として再生利用するとともに、発生抑制、減量化等により最終的に処分される量を減少させるため、食品関連事業者(製造、流通、外食等)による食品循環資源の再生利用等を促進する法案を国会に提出しました。

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循環型社会の構築に関する基本的枠組み法案

 深刻化する廃棄物問題の解決のためには、大量生産、大量消費、大量廃棄という我が国の社会の在り方を見直し、物質の循環を基調とした環境への負荷の少ない「循環型社会」を構築する必要があります。このため、政府としては、平成12年度を「循環型社会元年」と位置付け、循環型社会の構築に関する基本的な枠組みとなる「循環型社会形成推進基本法案」を国会に提出しました。

○生ごみは水を切ってだしていますか。


ダイオキシン問題への取組み

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 廃棄物の処理に関連して、ダイオキシン類の問題は大変重要な問題ですので、最後にダイオキシン類への取組みについて、まとめておきたいと思います。

 ダイオキシン類は物の燃焼の過程等で非意図的に生成されてしまう物質です。そのため、環境中に広く分布しています。

 ダイオキシン類の現在の主な発生源は、ごみの焼却による燃焼ですが、その他に、製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車排出ガスなど様々な発生源があります。また、森林火災、火山活動などでも発生します。かつて使用されていたPCBや一部の農薬に不純物として含まれていたものが川や海の底の泥などの環境中に蓄積している可能性があるとの研究報告もあります。

 環境中にでた後の動きの詳細はよくわかっていませんが、例えば、大気中の粒子などにくっついたダイオキシン類は、地上に落ちてきて土壌や水を汚染し、また、様々な経路から長い年月の間に、底泥など環境中に既に蓄積されているものも含めて、プランクトンや魚介類に食物連鎖を通して取り込まれていくことで、生物にも蓄積されていくと考えられています。

 また、平成9年度に実施された母乳中のダイオキシン類に関する研究では、1973年度以降ダイオキシン類の濃度は減少してきており、母乳中のダイオキシン類濃度は最近までに概ね1/2程度になっています。

注;ここでは、原則としてポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナ-PCB)を含めて「ダイオキシン類」ということにします。

○スプレーなどの缶を捨てるときに使い切って捨てていますか。


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○あきびんやあきかんをお店に返すと、買うときに払ったお金の一部が戻ってくる制度をデポジット制度といいます。


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 ダイオキシン類については、平成9年に廃棄物処理法施行令の改正等が行われ、廃棄物焼却施設の排ガスの規制基準が定められました。さらに、平成11年7月12日には「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立し、これに基づいた排出ガスの規制や排水、廃棄物焼却施設のばいじん、焼却灰などに関する規制が行われることになりました。

 また、平成11年3月30日に開催されたダイオキシン対策関係閣僚会議において「ダイオキシン対策推進基本指針」を策定(同9月28日改定)し、政府一体となってダイオキシン類の排出量を大幅に下げる等の各種対策を鋭意推進しており、平成14年度までには、排出総量を平成9年に比べて「約9割削減」することにしています。

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○工夫して作ってみよう「使い終わったペットボトルを半分に切って、底に穴をあけると植木鉢に早がわり」

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 ダイオキシン類は、ものを燃焼する過程などで発生するので、ごみの量を減らすことが、ダイオキシン類の発生量を抑制する上でも効果的です。

 このため、私たち一人ひとりが、ダイオキシン問題に関心を持って、ものを大切に長く使ったり、使い捨て製品を使わないよう心がけ、ごみを減らし、再利用やごみの分別・リサイクルに協力することがとても重要です。

 また、従来、排出ガス濃度が規制されていなかった小型の廃棄物焼却炉についても、火床面積0.5m 以上又は焼却能力50kg/h以上のものについては、ダイオキシン類対策特別措置法により規制が行われることとなりましたので、これらを引き続き使用する場合は、維持管理に十分留意する必要があります。

 さらに、家庭用の簡易な焼却炉によるごみの焼却については、ダイオキシン類の発生量を総量として削減する観点からは、法の基準に適合した市町村のごみ焼却施設によって焼却することが望ましいと考えられます。このため、家庭ごみの処理については、分別収集など市町村ごとのごみ処理の計画に従ってごみを排出するなど、国民のみなさまのご協力をお願いしたいと思います。

 今後とも関係省庁が連携をとって、政府一体となってダイオキシン類対策を強力に推進していくこととしています。

○工夫して作ってみよう「あきびんも工夫をすれば花びんやペン立てに」


おわりに

 この冊子は、廃棄物の排出からリサイクルまでを記載したものです。今後、循環型社会を進めて行くに当たっては、より一層、廃棄物の排出を抑制し、資源の再利用や再生利用を進めて行かなくてはなりません。廃棄物問題については、国民一人一人の理解と協力が大切であり、このため、啓発、広報活動についても関係各省庁と連携しながら進めることが必要と考えています。


 本書は、廃棄物についての理解を深め、これからの課題を考えていくために、活用していただくことを目的として作成したものです。記載されている内容は、自由に引用して利用していただくことができます。

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