「省エネルギーと高度処理」一般社団法人 浄化槽システム協会

水環境保全への取組(現場取材&インタビュー)

社団法人 浄化槽システム協会 理事・事務局長 酒谷 孝宏さん

これからの浄化槽は省エネルギーと高度処理

浄化槽は、国からの助成などを受け普及が進められています。このような中、各浄化槽メーカーは日夜、新しい技術開発に取組んでいます。今回、浄化槽メーカーの団体である浄化槽システム協会の酒谷さんに、浄化槽における最近の技術トレンドについてお話をうかがいました。

二極化する浄化槽開発の方向性

浄化槽設置の際に、旧厚生省が補助制度を設けたのは昭和62年のことです。その後は環境省による助成に変わりましたが、その制度は現在も継続されています。この間メーカーは、その時々のニーズに応じて様々なタイプの浄化槽を開発してきました。開発の方向性については、「槽の少容量化や消費電力量の削減による低炭素化」と、「有機物(BOD)の除去性能向上や窒素やリンを除去する高度処理化」という2つに分けることができます。浄化槽のタイプで言うと「コンパクト型」と「高度処理型」。これからの浄化槽はこれらの2つのタイプに分かれて技術開発が進んでいくだろうと考えています。

浄化槽のコンパクト化
技術の進歩とともに浄化槽のコンパクト化は年々進んでいます
写真提供:浄化槽システム協会

低炭素化と高度処理の効果

コンパクト型の浄化槽が目指す「低炭素化」とは、浄化槽の製造時・施工時・使用時におけるエネルギーを減らすことで、CO2の排出と電力などの資源消費を抑えることを目的としています。また、コストの削減にもつながります。平成21年度に実施される環境省のモデル事業に対応する省エネルギー型浄化槽を採用した場合、5人槽で1基1年あたりのCO2削減量は、約10年前と比べるとおよそ20kg以上にもなります。 高度処理型の浄化槽とは、窒素・リン・BODの除去が高度に処理できるタイプのことです。水道水源地域や湖沼など、水質汚濁や富栄養化を高いレベルで防止する場合に用いられることが多いです。

これからの浄化槽に求められるもの

現在ではさまざまな構造や機能を持つあらゆるタイプの浄化槽が製品化されており、特に水質保全の面ではほぼ網羅されていると言っても良いのではないでしょうか。世界的な不況が叫ばれる中、ローコストで地球にやさしい浄化槽に対するニーズは国内外を問わず高まっていくと思います。今後の傾向として、省エネルギー化と高度処理化は、国が奨励し助成が受けられることもありますし、技術開発競争はさらに加速していくだろうと考えています。