「浄化槽のメンテナンスを通して」島田環境協会

水環境保全への取組(現場取材&インタビュー)

島田環境協会 富永麻美さん 茂木紀男さん

写真、島田環境協会 富永麻美さん

浄化槽のメンテナンスを通して、きれいな水環境を未来に残す

富永さんが社長を務める株式会社富永事業を含む静岡県島田市の浄化槽管理会社3社による島田環境協会。地域の水環境の向上のためにどんどん新しいことに挑戦しています。「良好な水環境を守るためには、身近な小さな積み重ねが大事」と語る若手経営者に、地域における浄化槽普及についてお話をうかがいました。

大きな目標のために、みんなで手を取り合って頑張っています

島田市を南北に流れる大井川は、昔は上流で伐った木材を川に流して運んだり、地域の発展になくてはならない川でした。「島田環境協会」は、平成14年に大井川をはさんだ島田市と金谷町が市町村合併したことをきっかけに、浄化槽管理企業3社が「手を取り合って大井川を守ろう!」を合言葉に平成16年に発足しました。 大井川のきれいな水を守るという、大きな目標を達成するためには、企業や個人宅などの浄化槽一つひとつからきれいな水が流れていくという小さな積み重ねが大切です。そのために、情報交換や行政への協力要請など、一つの企業だけでは難しいことも、みんなで協力して頑張っています。


くらしのフェア(島田市主催)というイベントで、景品付きのクイズラリーを行い、小さな子どもでも浄化槽を楽しく学べる出展をしました。また、各社が独自に作ったチラシを配布したり、浄化槽のモデルを展示してイベントに来た参加者に直接浄化槽の説明を行いました。
写真提供:島田環境協会

もっと多くの人に、浄化槽を見て、知ってほしい

私たちの活動は、個人で使われている浄化槽の使い方の指導や清掃が基本です。そういった日常的で小さな活動を通して、多くの人に「大井川の水域を守ろう」という認識をもってもらいたいと願っています。 協会では、会社同士の協力活動のほか、地元のイベントなどで浄化槽設置についての説明会も行っています。残念ながら今はまだ、浄化槽に対して興味がなかったり、どういう仕組みか知らない人が多いのが現状です。それでも、「みそ汁や油をきれいにするにはどのくらいの水が必要か」など、身近なことから水環境に対して正しい知識をもってもらえたらいいと考えています。
将来的には、浄化槽をメンテナンスする現場を見てもらい、自分の家の浄化槽がどんな仕組みでできているのか、どんな風に機能しているのかを知ったうえで、「環境に良いこと」について考えていただけるようになれば最高ですね。


島田環境協会の取り組みの一環として、浄化槽製造メーカーからプロを講師として招き、新しい浄化槽の使い方や点検・清掃の際の工夫やポイントなどの勉強会行いました。各社の社員の士気も上がり、とてもいい経験になりました。
写真提供:島田環境協会

協会での活動を通して生まれた強い使命感

目先の目標は、まずお客様に提供するサービスの適正な基準づくりになる島田環境協会ブランドを立ち上げることです。島田環境協会に加盟している全社で、「エコアクション21」を取得することや、作業マニュアルの作成・作業員の指導を通じてサービスの質の向上を目指していきます。また、11条検査(年1回行う水質検査)の受検率を上げていくことも課題として残っています。産業祭などに参加して、市民の方にも呼びかけを行っていきたいと思います。 協会で3社が協力し合っていくことで、いい刺激になり強い使命感も生まれました。協会の活動を、今後もずっと続けていきたいです。