「浄化槽普及率96%の村」下条村〈長野県)
水環境保全への取組(現場取材&インタビュー)
長野県(下條村) 下條村振興課 宮沢吉博さん
村の浄化槽の普及率は96%!
下條村では、昭和62年度から5ヵ年計画で簡易水道工事が進められましたが、起伏が多く住民が散在している地域性から総額29億8千万円の事業費を要し、借入額が12億2,450万円ほどになりました。そのような経済的な面と水環境保全などの観点から浄化槽を村の生活排水対策として採用することに決め、現在では96%の世帯に普及しています。村を通る河川は7本ありますが、住民から汚れていた川がキレイになったとの声が数多くきかれます。ホタルのでるところもあり、浄化槽の水環境保全への効果を実感しています。
浄化槽の法定検査の費用を全額村で負担しています!
浄化槽の法定検査の7条検査(設置後3~8ヵ月に行う水質検査)と11条検査(年1回行う水質検査)の費用は、設置者が負担しなければいけませんが、下條村では全額村で負担しています。その効果があってか、法定検査の受検率が65%と他の市町村より高めになっています。また年4回行う保守点検の費用(2万1千円)の半額を村が負担しています。
豪雨に負けない浄化槽
私は以前小田原で下水道工事をしていた経験がありますが、市街地などでは豪雨により下水管がパンクしマンホールを持ち上げて、下水が道路に流れ出ることがありました。浄化槽は雨水は入らない仕組みとなっているため、豪雨の影響は受けません。異常気象による豪雨が増えている今の時代に合っているように思います。
<浄化槽導入の理由>
- 起伏が多く、下水道の管路を通すのが難しい。
- それぞれの地域で水量が確保される。
- 経済的にも時期的にも設置者の事情に合わせて推進できる。
- 河川の自然浄化能力が活用できる。
- 井戸水や河川等の浄化対策として大いに期待できる。
- 設置にかかる期間が短く、投資効果の発現が極めて早い。
- 恒久的な生活排水処理施設として評価が得られている。
- 設置者個人の自己管理・自己責任が徹底され、地元業者の育成もできる。
- 事業が単年度ごとに処理され、繰り越すことがなく、財務体質を健全な形で維持できる。
- 地震など災害に対し復旧が迅速でコストも少なくてすむ。
- 下水道・農業集落排水・合併処理浄化槽の3つを使い分けことによる維持管理費の不公平感がない