浄化槽の整備効果

三沢市:水質の改善を目的として、水質汚濁状況の調査(グラフ参照)を実施していますが、下水道や農業集落排水施設、浄化槽の整備が進むにつれて、市内を流れる河川では、急速に水質の改善が図られています。そのうち三沢川では、水質の改善により、平成10年頃から、一時は姿を消していた蛙が遡上するまでになっています。 藤里町:農業集落排水施設や下水道のほか、平成15年度から浄化槽市町村設置整備事業を実施し、年間20~30基程度ずつ整備しました。これらの効果により、生活雑排水による悪臭が軽減しました。また、水のきれいな小川で発生するオニヤンマが、小学校周辺で大量に見られました。
千代田町:平成元年度から浄化槽設置整備事業を開始し、生活排水処理施設の整備を進めました。町内の主要河川6箇所で実施している水質調査では水質の改善がみられました 埼玉県:埼玉県では、人との関わりを通じて水や生き物の豊かさに育まれる水辺空間を「里川」と定義し、住民が里川に近づいてその豊かさを取り戻していくための事業として、平成20年度から4年間「里川再生事業」を実施しました。その中で、街の中にある水路を利用している一定規模の地域を対象として集中的に浄化槽を整備し、当該地区出口の水路の水質調査を行い、浄化槽整備による水質改善効果の「見える化」を図りました。ある水路を利用している地域において本事業を実施し、全戸に浄化槽を整備した結果、事業実施前はBOD5.75mg/Lであった水路の水質は1.69mg/Lまで低下し、浄化槽整備による改善効果が明らかとなりました。
ときかわ町:町内に住宅が分散しているという実態を踏まえ、ときがわ町は平成15年度より街設置型※の浄化槽整備を推進しており、その結果、汚水処理人口普及率は34.9%(平成14年度)から63.1%(平成23年度)へと急速に増加しました。この結果、今まで未処理だった生活排水が浄化槽によって下水道の処理水と同等の水質まで浄化されて放流されるようになったため、町内を流れる都幾川の水質が良くなり、町内のいたるところでホタルが再び見られるようになりました。※浄化槽市町村整備推進事業により整備 栄村:平成6年度から浄化槽整備を開始し、平成17年度末現在426基が設置されました。これにより、整備された集落内の小河川の水質(BOD)の数値が、整備前の平成4年の調査数値に比べて50~60%減少しました。
池田町:池田町は、生活排水等の増加により町内の河川汚濁が深刻となり、平成6年度から公共下水道事業を平成2年度から浄化槽設置整備事業を開始して、平成17年度までに浄化槽113基を整備しています。その結果、町内の河川水質保全や、テレビCMにも採用された北アルプスと田園風景の織り成す景観が確保され、美しい眺望と清純な水で育った作物により街の経済の活性化にも寄与できています。 砺波市:栴檀山地区での浄化槽市町村整備推進事業により、同地区の主要水源である和田川周辺でホタルが年々多く見られるようになってきました。また、平野部での浄化槽設置整備事業により、夏場における団地周辺等の流れの悪い排水路での蚊やボウフラ発生による苦情や問い合わせが聞かれなくなりました。
小矢部市:公共用水域の水質汚濁防止と河川の水量確保を目指して、合併処理浄化槽の設置促進を図ってきました。平成17年6月、市内6小学校が川の中にすむ生物調査を行ったところ、きれいな水にすむ生物がたくさんみつかり、水辺環境の回復が確認できました。 牧之原市:合併前の旧相良町では、平成2年度から浄化槽整備事業を開始し、平成17年度までに1,003基が設置されました。これにより、旧町の中心部を流れる萩間川では、以前は雑排水が垂れ流しにされていたため、洗剤の泡がいっぱいで悪臭もありましたが、今では洗剤の泡も消え、臭いもなくなってきています。
東近江市:合併前の旧永源寺町では、平成6年度から地区の中心を流れる愛知川上流の地域を整備したのをかわきりに浄化槽整備事業を実施し、毎年約10~20基を面的整備しました。これにより、水質汚濁をくいとめ、愛知川の清流を維持しています。キャンプ場には、自然観光資源を求めて多くの観光客が訪れています。また、ハエなどの害虫も減少しています。 多可町:多可町は、平成17年11月1日に多可郡3町が合併し、人口25,000人の町となりました。そのうち旧加美町(現多可町加美区)は、最上流部の集落がいち早く合併処理浄化槽整備を始め、平成17年度末には392基設置しました。このような浄化槽などの生活排水処理施設整備事業により、町の南北を貫流する杉原川やその支流の水質も改善され、減少していたホタルも年々増加し、今では阪神方面からも、観光客がホタルの見学に訪れています。また、きれいな水にしか生えないと言われる梅花藻(ばいかも)の花も見られるようになっています。
雲南市:平成2年度から浄化槽整備事業により年間約10~20基程度整備していましたが、平成10年度からは浄化槽市町村整備事業を開始し、年間約200基を目標に整備を行っています。この結果、ホタルの数も徐々に増加し、たくさんのホタルが飛び交う赤川が蘇りつつあります。 津和野町:平成4年度より整備を開始し、年間約20基の整備を行った結果、近年徐々に水質が改善傾向にあり、津和野川や殿町通りでは多くの感顧客が水にした親しんでいます。
邑南町:邑南町を流れ江の川に注ぐ出羽川には、国の天然記念物であるオオサンショウウオや、しまねレッドデータブック絶滅危惧1類に指定されているオヤニラミが生息しています。これらの種は、県内でも水のきれいな限られた河川にしか生息しておらず、産卵の際には特にきれいな水を必要とします。出羽川では、平成10年まで水質が徐々に悪化する傾向にありましたが、流域の浄化槽(年間約40基設置)や農業集落排水施設の整備により、近年BOD値が低下し水質が改善されています。 八幡浜市:当初計画の中で浄化槽の面的整備地区として位置づけた布喜川地区は、集落を南北に流れる流田川流域の役30世帯中109基の整備を行った結果、未処理の生活雑排水の洗剤等で白く泡だっていた水が、今ではきれいな処理水に変わり、ホタルの数も増えたと地域住民から喜びの声があがっています。
四国中央市:市の浄化槽整備事業は平成2年度から開始しました。平成17年度については220基を整備し、整備人口は約800人で、平成2年度から平成17年度までの累計では、整備基数は約3,000基、整備人口は約10,700人に及びます。これにより、平成13年度からは、土居町を南北に流れる関川中流域において、ホタルの数が格段に増加しています。また、以前は垂れ流し状態で水質悪化が著しかった旧川之江市を南北に流れる金生川中流域において、数年前から、アユの放流を始めました。 松山市:平成17年度までに、11,406基の浄化槽を補助事業により整備しました。その結果、平成4年度から実施している市内河川の水質調査でも、水質(BOD)の改善が見られます。
西予市:市民の関心の高い肱川水系の水質汚濁を改善するために、当市には宇和海及び肱川上流部の水質を保全する大きな責任があります。浄化槽整備等により、市内を流れる宇和川や稲生川等、肱川水系に生息する水生生物の生息数も回復しています。 上島町:上島町の海辺環境は生活雑排水のたれ流しのため、汚濁が進んでいましたが、公共下水道、農業集落排水施設及び浄化槽の導入により、生活雑排水の流入が削減され、水質は改善されました。それにより、水路にはメダカが増え、海のヘドロが少なくなり、水路がきれいになりました。
吉野川市:昭和45年(1970)年8月29日に、美郷地区全体が「美郷のホタル及びその生息地」として国の天然記念物に指定されました。ホタルを保護するために、様々な規制や自然保護の取り組みが行われているなかで、浄化槽整備による水環境の保全は必要不可欠であり、確実に成果を上げているものと思われます。 豊前市:市営河川の経済川について、平成14年度以前はBODの数値が高くなっていましたが、上流域での合併処理浄化槽の設置・普及等を行った結果、BOD数値が10分の1に改善され、河川の水質回復につながりました。
唐津市:浄化槽等の整備により、玉島川にすむヤマメ、アユ、ツガニなどの淡水魚が少しずつ増えはじめました。また昭和30年代まで各地域に多数生息していたホタルも近年増加し始めました。一番の効果は旧七山村の玉島川の清流が戻ったことにより、福岡市を中心に都会の子どもたちが、七山中央地区にある親水公園で親子づれの川遊びや、川泳ぎをする姿がたくさん見受けられ、7「清流と緑の自然公園の村」のイメージが実現し、活気ある村づくりにおおいに寄与したことです。 芦北町:芦北町では、健全な水環境の保全・快適な生活環境の整備のため、全国でも最初(平成7年)に「浄化槽市町村整備推進事業」をはじめました。球磨川支流の横居木川と吉尾川の上流に位置する横居木地区では、42戸中40戸(平成23年度末時点)に浄化槽が設置されており、地域住民の方々による河川清掃等の努力もあって、横居川、吉尾川の水質は昭和初期から中頃までの状態まで回復しました。この結果、水生生物も回復し、熊本県の「ホタルの里100選」にも選ばれる等ホタルの飛ぶ美しい水辺環境が保護されています。
姶良市:旧姶良市※では、浄化槽整備や秋祭り等での生活排水対策の必要性についてのPR活動を行った結果、平成8年から平成20年の12年間で浄化槽処理人口(12,470人→25,172人)と生活排水処理率(29.8%→57.0%)はともに約2倍に増加しました。この結果、浄化槽が未整備の場合、生活排水の放流先の水路(側溝)には清澄な放流水が流水してヘドロ状の堆積物は見られず、生活環境が大幅に改善されていることが確認されました。※2010年3月に旧姶良町は蒲生町、加治木町と合併して現在の姶良市となりました。 那覇市:那覇市では、平成8年度から「浄化槽整備事業」を開始し、年間6~10基ずつ整備してきました。これにより、下水道の整備が困難な地域における生活排水の浄化対策が、徐々に進んできています。市が実施している河川水質調査においても、環境基準を超えるポイントが減少し、平成16年度には安謝川はじめ、4河川中3つの川において基準値が上方修正されています。