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別添2

水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等に関する意見の募集結果について

 

平成12年12月

 

 平成11年2月22日に中央環境審議会に対して諮問された「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」の答申案については、平成12年10月19日の同審議会水質部会において審議され、11月10日までに了承された。
 これを受け、11月11日から12月8日まで、広く国民から意見の募集(パブリックコメント手続)を行った。寄せられた意見の概要及びそれに対する意見の考え方については以下のとおりである。

【意見の提出状】

封書によるもの2通
FAXによるもの25通
電子メールによるもの12通
 
39通
 
意見ののべ総数62件


1 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等について

意見の概要意見に対する考え方
 水質環境基準では、
硝酸及び亜硝酸性窒素の濃度
=0.2259*硝酸イオンの濃度
+0.3045*亜硝酸イオンの濃度
となっているが、答申案の表現は、上記の式に、アンモニアイオンの濃度*(14/18)*0.4を加えたものとするという意か。
 ご意見のあった0.2259、0.3045は、分析によって得られる硝酸イオン(NO3:分子量62)、亜硝酸イオン(NO2:分子量46)を窒素(N:14)の重量に換算するための係数です。
 一方、環境中に排出されたアンモニア性窒素は、生物化学的作用を経て硝酸性窒素等を生成することが知られています。
 このため、環境中に排出されたアンモニア性窒素が硝酸性窒素等に変化する程度として、アンモニア性窒素濃度の0.4倍(4割)としました。
 なお、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素の濃度計算に係る考え方は、ご意見の通りです。
 アンモニア性窒素について、
[1]今年の夏頃から議論され規制することの周知徹底が十分行われたとは思わない。また、最終段階でアンモニア性窒素が対象になったことで下水道への排出について早急な対応が出来ず苦慮している。
[2]アンモニア性窒素は影響を与える範囲が広く、特に中小企業に与える影響が大きい。
[3]閉鎖性海域や陸水域と同じ排水基準を下水道から日本海等への排出に適用するのが妥当か。魚貝類への生態影響を含め検討をお願いしたい。
[4]海外製品との価格競争の中で、脱窒設備に投資する事が経済的に成り立つか見極める必要があり、事業の継続を含め検討する必要がある。
 このため、基準の設定は3年間の延期をお願いする。
<類似意見含め全3件>
 環境中に排出されたアンモニア性窒素は、生物化学的作用を経て硝酸性窒素を生成することから、アンモニア性窒素が硝酸性窒素等に変化する程度を勘案して一体的に排水規制等の対象とする必要があります。
 硝酸性窒素等は有害物質であることから、全国的な排水規制を実施することが必要であり、全国一律に適用する排水基準の速やかな達成が技術的に困難な業種に係る工場等には暫定排水基準を設定し、その適用期間を3年間として、将来的な技術開発の動向等を踏まえ、その見直しを行うこととしています。
なお、工場等から下水道に排除される下水の受け入れ基準は下水道法の範疇ですが、答申案ではご意見のあった下水道終末処理場の実態を踏まえて暫定排水基準を設定しています。
 硝酸性窒素等の処理技術について、生物学的窒素除去法は栄養源を含まない排水には不適当であるなど問題がある。
 企業レベルで処理技術の開発は非常に困難なため、環境庁による将来的な技術開発をお願いする。
<類似意見含め全2件>
 硝酸性窒素等の排水処理技術として、既にいくつかの技術が実用化されており、また各方面において新たな技術の開発・高度化に向けた調査・研究が進められています。
 このため、環境庁をはじめ国として新しい技術の開発・実用化に向けた研究が一層推進されるよう技術的支援を行うとともに、それらの技術の評価付けを行い、それらの普及を促進するなどの措置を講じる必要があると考えています。
 アンモニア性窒素が硝酸性窒素等へどのように移行しているのかという科学的根拠を定量的に説明願うとともに、それらによって引き起こされる人への健康障害のリスク評価の結果を説明願いたい。
 また、それらに関する文献、データ、審議内容等について開示願いたい。
<類似意見含め全3件>
 環境中に排出されたアンモニア性窒素は、生物化学的作用を経て硝酸性窒素を生成することから、アンモニア性窒素の排出に起因した硝酸性窒素等の汚染防止、人の健康保護を図るためには、アンモニア性窒素についても排水規制等の対象とする必要があると考えています。
 硝酸性窒素等による人の健康影響やアンモニア性窒素から硝酸性窒素等への形態変化に係るデータ等については、答申案に記載しているほか、排水規制等専門委員会の各資料として既に公表しており、また、議事録も既に公表しています。
 閉鎖性水域に適用される全窒素規制と硝酸性窒素等の規制のいずれが優先するのか。 有害物質である硝酸性窒素等に係る排水規制は、全国のすべての特定事業場に適用されることとなり、閉鎖性海域等へ排出する場合にあっては、全窒素に係る排水規制も併せて適用されることとなります。
 ふっ素については、TVのCMで盛んに宣伝しており、身体に良いのか悪いのかはっきりしない。
 ほう酸団子にして、ゴキブリの餌の中には乳幼児の致死量5gを超えている物が売られている。
 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に至っては、食肉加工品や魚肉加工品の中に既に発色剤として添加されている。メトヘモグロビン血症やニトロソアミン(発癌性物質)の生成が懸念されているのに、ずっと以前(昭和30年代)から人の口に入れられている。
 この3物質は半導体産業には欠かすことの出来ない物質である。規制するには、装置やランニングコストのかからない処理方法を教えてほしい。ましてや、地域によって値が違うと言うのは言語道断。
 貴金属の精錬等にホウ砂を使用しているところがあると思うが、その後処理にどのような方法で対処しているのか公表してほしい。
 また、窒素の処理は下水道の役割であると考える。零細企業にとっては死活問題であり、どうしても規制をするということであれば、規制値を引き上げてほしい。
<類似意見含め全2件>
 硝酸性窒素等、ふっ素及びほう素は、自然界に広範に存在する物質ですが、飲用水や食物等を通じて一定量以上摂取すると人の健康に影響を及ぼす有害物質であることから、平成11年2月、水質環境基準の健康項目に指定されました。
 この水質環境基準を維持・達成するためには、排水基準の設定、農地への施肥量の適正化等の対策が必要であると考えています。また、工場等から下水道に排除される下水の受け入れ基準は下水道法の範疇であり、別途、検討が進められるものと考えています。
 ふっ素、ほう素については、これらの有害物質を人が摂取する経路が、陸水域と海域とで異なっており、それに応じた健康リスク(人の健康に影響を及ぼす可能性)を考慮したためです。
 今回検討した項目の排水処理方法は、答申案や排水規制等専門委員会の各資料に記載しているとおりであり、全国一律に適用する排水基準を達成するためには、原材料の使用抑制・排水処理の実施等が必要となりますが、それらが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置として暫定排水基準を設定しています。
 なお、ほう素等を使用し排出する工場等については、今後ともその排出・処理の実態等の把握に努め、必要な措置について検討することとしています。

 

2 ふっ素について

意見の概要意見に対する考え方
 ふっ素は自然界に多く存在し、土壌、海水、植物及び食品類からも高い濃度で検出される。人体中にもふっ素は多く存在し、重金属等の有害物質とはハザードの質が大きく異なる。ふっ素の多量摂取で斑状歯の影響が言われているが、現在ふっ素過剰による斑状歯の発生は報告されていない。
 ふっ素は虫歯予防のための塗布や歯磨きに使用されており最近ではわが国においても水道水にふっ素を添加する議論が盛んである。
 また、ふっ素の環境基準は、諸外国の水道水基準やWHOガイドラインと比較しても疑問。
 どのような根拠を基本にして規制を行っているかが不明確であり、環境基本法が求めている科学的な判断の必要性に反している。
 ついては科学的知見の充実を図り、十分な議論、審議をお願いする。
<類似意見含め全8件>
 ふっ素は自然界に広範に存在するものの、一般的な環境レベルに人為的な負荷が加わることで人の健康影響が生じないような対策が必要と考えています。また、虫歯予防の観点からふっ化物応用の検討が進められていますが、一方で飲用水経由でのふっ素の摂取による集団的な斑状歯の発生が社会問題となるなど、高濃度かつ継続反復的な摂取による人の健康影響も懸念されています。
 このため、ふっ素については、内外の基準等の設定状況や人の健康保護に関する知見の集積、公共用水域の検出状況の推移等を踏まえ、中央環境審議会水質部会環境基準健康項目専門委員会での検討、同審議会水質部会での審議を経て、平成11年2月、水質環境基準の健康項目に指定されました。
 これを受け、排水規制等専門委員会において内外の科学的知見や発生源の実態の把握に努めるとともに、関係業界からヒアリングを行うなど十分慎重に専門的な調査・検討を行い、関係省庁と調整を図りつつ報告が取りまとめられました。これについて水質部会で審議を行い、水質環境基準の維持・達成、人の健康保護を図るためには、ふっ素を水質汚濁防止法の排水規制等の対象とする必要があると考えています。
 なお、水質環境基準は環境基本法第16条第3項に基づき、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならないと考えています。
 ふっ素の海域への規制について、海域への排出と人体への影響がクリアにされていないにもかかわらず基準が決められている。現在、ふっ素については、生活環境項目としての規制もすでにあり、さらに事業場由来の海域の汚染は報告されてなく、深刻な状況にあるとは考えにくい。
 海域への排水基準を決めるのは早急であり、人の健康影響の観点からよく検討をお願いしたい。
 併せて、現行の生活環境項目であるふっ素の排水基準について、どのような議論がなされ削除されたのか教示願いたい。
<類似意見含め全8件>
 平成11年2月、ふっ素が水質環境基準の健康項目に指定されたことを受け、排水規制等専門委員会での検討及び中央環境審議会水質部会での審議の結果、ふっ素については人の健康に影響を及ぼす有害物質として水質汚濁防止法の排水規制等の対象とする必要があるとの答申案を取りまとめました。この答申案を踏まえた排水規制が行われれば、ふっ素は現行の生活環境項目としてではなく、有害物質としての排水規制が行われることとなります。
 また、ふっ素を水質環境基準の健康項目に指定するに当たり、水質環境基準を海域に適用しないとされましたが、これは人為的負荷を許容したという意味ではなく、人為的負荷によって自然状態の海域濃度が大幅に上回らないような対応を検討することが必要とされました。
 このため、海域についても水質汚濁防止法の排水規制を適用する必要があると考えています。海域に適用する排水基準は、自然状態の海域濃度が大幅に上回らないよう、現行の排水規制レベルも併せ考慮して15mg/l以下とすることが適当であると考えています。
 環境基準は、本来「望ましい基準」である。ふっ素等について現在の日本の汚染状況を考えると今すぐにでも規制すべき状況にあるとは思えない。モニタリングの結果も環境基準の超過は、平成6年から10年で6709件中で7件となっている。
 モニタリングの継続等、十分議論して国民の理解が十分得られる審議をお願いする。
<類似意見含め全2件>
 平成11年2月、ふっ素は水質環境基準の健康項目として指定されました。したがって、環境基本法第16条第4項に基づき、政府は公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講じ、水質環境基準の確保に努める必要があります。
 ふっ素による汚染の状況として、工場等からの人為的な排出に起因した汚染が既に見受けられているだけでなく、更に今後、人為的活動に起因した汚染が生じるおそれがあることから、水質汚濁防止法の有害物質として排水規制等の対象とする必要があると考えています。
 なお、ふっ素が水質環境基準に指定されたことを受け、平成11年度より、全国的な常時監視(モニタリング)が既に実施されているところであります。
 ふっ素について、排水処理技術が確立されていない中での厳しい規制値の決定は業界にとって死活問題。十分な調査に基づいた説得性ある決定を希望する。 ふっ素の排水処理方法としては、凝集沈殿処理をはじめとする各種の技術が普及していますが、排水処理汚泥の発生などの問題もあります。
 有害物質であるふっ素について、全国一律に適用する排水基準を速やかに達成するためには原材料の使用抑制・排水処理の実施等が必要となりますが、それらが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置と
 して暫定排水基準を設定することとしています。

 

3 ほう素について

意見の概要意見に対する考え方
 ほう素について、工場等からの排水に起因した汚染は報告されていないとあり、またほう素により人の健康に影響があったとする事例報告は聞いたことがない。こうした状況において、全国一律に排水基準を設定する必要性は認められない。
 また、環境基準が適用されない海域について、排水基準を設定することに素朴な疑問を感じている。
 排水基準は、人の健康保護を基準として決められるべきであり、直接飲料水として摂取する可能性のない海水中のほう素の健康影響について言及されていない。
 海域の排水基準の設定に際しては、人の健康影響についての科学的な検討が必要である。
 このように科学的根拠が明瞭となっていない状況で、規制のみを先行させることは「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が防がれることを旨とし」た環境基本法の考え方にも反する。
 なお、排水基準設定に際しての実態、根拠等を公表すべきではないか。
<類似意見含め全5件>
 ほう素については、人の健康保護に関する知見の集積、公共用水域の検出状況の推移等を踏まえ、中央環境審議会水質部会環境基準健康項目専門委員会での検討、同審議会水質部会での審議を経て、平成11年2月、水質環境基準の健康項目に指定されました。
 このとき、ほう素の水質環境基準を海域に適用しないとされたものの、これは人為的負荷を許容したという意味ではなく、人為的負荷によって自然状態の海域濃度が大幅に上回らないような対応を検討することが必要とされました。
 このため排水規制等専門委員会において内外の科学的知見や発生源の実態の把握に努めるとともに、関係業界からヒアリングを行うなど十分慎重に専門的な調査・検討が行われまた水質部会で審議を行いました。
 その結果、ほう素は人の健康に影響を及ぼす有害物質であり、陸水域については人為的な排出に起因した汚染はこれまで報告されていないものの、汚染の未然防止を図ることが必要であること、海域については自然状態の海域濃度が大幅に上回らないような対応が必要であることから、いずれも水質汚濁防止法の排水規制を適用する必要があると考えています。
 適用する排水基準は、人の健康保護に関する水質環境基準の設定経緯を十分に踏まえて設定しました。
 なお、排出実態や議論の経緯等は、排水規制等専門委員会の各資料・議事録として既に公表しています。
 条例によりほう素の規制を実施している地方自治体に対して設定の考え方が異なることを中央環境審議会での審議等と併せて十分に説明し、適切な実施がなされるよう指導してほしい。また、地方自治体が上乗せ排水基準を設定するにあたっては、その設定の科学的根拠及び妥当性があるものとなるよう、必要に応じ地方自治法に基づき技術的助言・勧告を行ってほしい。
<類似意見含め全2件>
 地方自治体の条例によるほう素の規制に関して、中央環境審議会における排水規制の考え方、上乗せ排水基準の設定の考え方については、環境庁から各都道府県に対して別途連絡されるとともに、適宜、必要な技術的助言等が行われることとなります。
 大阪府ではすでに条例によりほう素の排水基準を設定している(許容限度2mg/l)。答申案が採用され、条例の排水基準がそのまま有害物質の排水基準に格上げされた場合、水質汚濁防止法の排水基準に対して非常に厳しい上乗せ排水基準になる。
 他の都道府県も含めて本当にそこまで厳しい規制が必要か否かを調査した上で、水質汚濁防止法の排水基準に対する条例の排水基準の見直し等を検討し、必要に応じて実施していくべきではないか。
 ほう素については、大阪府をはじめ、いくつかの地方自治体で条例による排水規制が行われています。
 今後、ほう素について水質汚濁防止法の排水規制が行われれば、法第3条第3項に基づき、都道府県はその区域に属する公共用水域の自然的、社会的条件から判断して、水質環境基準が維持されるため必要かつ十分な程度の上乗せ排水基準を定めることができることとなります。
 上乗せ排水基準の設定については、従前の条例との整合性を含め、各都道府県において適宜判断されることとなります。
 排水中のほう素については、化合物の形態・性状による影響を評価することが必要となるので、ほう素の処理方法を通達のような形式で示す予定はあるか。 ほう素の排水処理技術は、答申案や排水規制等専門委員会の各資料に記載しており、これらは既に公表しています。
 なお、ほう素の処理技術については、引き続き、技術開発の動向等を踏まえ、環境庁をはじめとする国により、技術の評価付け、普及促進等が行われるものと考えています。
 処理技術の開発等に技術的支援を行う主体とは何か。また、技術的支援の方策、誘導施策の具体的な内容は何か。 処理技術の開発に関しては、環境庁をはじめとする国の行政・研究機関において、新しい技術の開発・実用化に向けた調査・研究を直接実施する場合や、その他の機関・団体等を財政的・技術的に支援する場合があります。
 また、誘導施策としては、環境庁等がそれらの普及啓発を行うことや、それらが実用化されるよう、あらゆる機会を通じて紹介することなどがあります。

 

4 暫定排水基準について

意見の概要意見に対する考え方
 化成肥料の製造工程において、りん酸液とアンモニアを反応させ、りん安の製造を行っているが、排水中に含まれるアンモニア性窒素の処理設備の導入及び運転に多大な費用を要する。また、新規処理プロセスの導入はかなりの時間と経費負担を要する。
 以上の状況から、暫定値として160mg/lを要望する。
 今回検討した項目は、いずれも人の健康に係る被害を生ずるおそれがある有害物質であり、それらによる汚染防止、人の健康保護を図るためには、全国一律に適用される排水基準を速やかに達成する必要があると考えています。
 しかしながら、全国一律の排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置として暫定排水基準を設定することとしています。
 暫定排水基準は、現時点において現実的に対応が可能な排水濃度のレベルとして各業種ごとに定めることとし、化学肥料製造業に対しては、
・硝酸性窒素等:160mg/l以下
・ふっ素(海域に直接排出するものを除く。):15mg/l以下
としています。なお、暫定排水基準の適用期間は3年間とし、将来的な技術開発の動向等を踏まえ、必要に応じその見直しを行うこととしています。
 化成肥料の製造工程において、りん鉱石と硫酸を反応させてりん酸液を製造するが、原料であるりん鉱石中にふっ素が含まれている。排水中のふっ素は石灰により除去しているが、実際の排水中の濃度は10〜15mg/lが限界。また、新規処理プロセスの導入については、技術的にも未確立であること等から極めて困難。
 以上の状況から、暫定値として15mg/lを要望する。
 銅フタロシアニン系顔料の製造にあっては、高濃度のアンモニア態窒素等を副生し、排出せざるを得ない。
 アンモニアとして課せられる全国一律の排水基準を直ちに達成することが困難であるため、暫定排水基準の設定はぜひとも必要である。
<類似意見含め全5件>
 全国一律の排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置として、各業種の実態を踏まえ現時点において現実的に対応が可能な排水濃度のレベルとして暫定排水基準を設定することとしています。
 銅フタロシアニン系顔料製造業については、硝酸性窒素等の暫定排水基準として450mg/l以下としています。
 黄鉛顔料の主原料は硝酸鉛で、原料として使用した硝酸が排水中に含有する。排水中の窒素処理技術はいくつかあるが、コスト面等対応が困難である。
 黄鉛顔料の代替品は見つからず、また道路標識に不可欠である。
 国内の黄鉛顔料メーカー存続のためにも暫定排水基準が必要となる。
<類似意見含め全2件>
 全国一律の排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置として、各業種の実態を踏まえ現時点において現実的に対応が可能な排水濃度のレベルとして暫定排水基準を設定することとしています。
 黄鉛顔料製造業については、硝酸性窒素等の暫定排水基準として1500mg/l以下としています。
 酸化コバルト製造業においては、アンモニウム塩を使用している。現在、アンモニア性窒素の除去方法及び設備化を検討しているが、それまでの間は猶予期間が必要。このため、酸化コバルト製造業の暫定排水基準1200mg/lは妥当。 全国一律の排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種に係る工場等に対しては、経過措置として、各業種の実態を踏まえ現時点において現実的に対応が可能な排水濃度のレベルとして暫定排水基準を設定することとしています。
 酸化コバルト製造業については、硝酸性窒素等の暫定排水基準として1200mg/l以下としています。
 ジルコニウム化合物製造業等では多量の硝酸やアンモニアを使用しており代替品を用いることは技術的に多くの困難を抱え、また排水中の窒素を経済的に除去する方法は未だ確立されていない。答申案に示された暫定排水基準は当面止むを得ないものである。 暫定排水基準は、現時点において現実的に対応が可能な排水濃度のレベルとして、ご意見のあった、ジルコニウム化合物製造業等、硝酸性窒素等を使用・排出する各業種の実態を踏まえて設定しています。
 硝酸性窒素等について、バナジウム・モリブデン化合物製造業に暫定排水基準を設けたことは適切だと考えている。
 <類似意見含め全3件>
 バナジウム・モリブデン化合物製造業については、硝酸性窒素等の暫定排水基準として5800mg/l以下としています。
 貴金属回収製錬業に係る工場においては、高濃度のほう素を含む写真廃液を処理する場合がある。このとき、現状の処理フローで処理した場合でも、ほう素が十分に除去されず、高濃度で排出せざるを得ない。
 このため、貴金属回収製錬業に係るほう素の暫定排水基準を150mg/lにしてほしい。
 貴金属回収製錬業に属する工場の排出実態等を踏まえて暫定排水基準を提案しましたが、同じ業種に属する他の工場において、高濃度のほう素を含む汚水を受け入れ排水として排出している事例としてご意見がありました。
 このため、当該工場の排出実態や適用可能な排水処理技術等を検討したところ、答申案に示す考え方に基づき、以下の通り、暫定排水基準を設定することとしたいと考えます。
 ・貴金属回収製錬業(海域に直接排出するものを除く。)
 ほう素150mg/l以下
 廃棄物処理施設及びし尿処理施設について、
[1]ふっ素等の発生原因が必ずしも明確でなく、根本的な排出削減策が取りにくく、また膨大な排水処理汚泥が発生する。
[2]施設改善・更新には相当の費用及び期間を要する。
[3]毎日排出される生活ごみやし尿処理を突然停止せざるを得なくなり、当該地域の生活環境に支障が生じる。
 このため、当面の間、以下の暫定排水基準の適用を要望する。
・廃棄物処理施設(海域に直接排出するものを除く。)
 ふっ素15mg/l以下
・し尿処理施設
 硝酸性窒素等200mg/l以下
 廃棄物処理施設及びし尿処理施設は、製品等の製造工程等でふっ素や硝酸性窒素等を使用するものではなく、受け入れる廃棄物に当該物質が含まれる場合があるなど排出源が明確でなく抜本的な対策が取りにくいなどの問題点を有しています。このため、当該施設の排出実態や適用可能な排水処理技術等を検討したところ、答申案に示す考え方に基づき、以下の通り、暫定排水基準を設定することとしたいと考えます。
・廃棄物処理施設(海域に直接排出するものを除く。)
 ふっ素15mg/l以下
・し尿処理施設
 硝酸性窒素等200mg/l以下
 「特に小規模かつ零細な事業者に対して多大なコスト負担となる」とあるが、事業者にとっては規模にかかわらず一様にコスト負担となることから、公平性を欠く表現ではないか。 有害物質に係る水質汚濁防止法の排水規制等は、いかなる規模の工場等に対しても適用されます。したがって、規模の大小にかかわらず排水基準の遵守はコスト負担を伴うこととなりますが、小規模かつ零細な工場等にとっては、その企業全体の資金負担能力等に照らし、特に負担が重いという趣旨であります。
 温泉排水中のほう素の除去技術が確立されていないなど、温泉排水について、低廉かつ維持管理が容易な除去施設の実用化に向けた研究が推進されるよう、国として支援をお願いする。 ふっ素・ほう素の排水処理技術については、引き続き、環境庁をはじめとする国として、新しい技術の開発・実用化に向けた研究が一層推進されることとなるよう技術的支援を行うとともに、それらの技術の評価付けを行い、それらの普及を促進するなどの措置を講じる必要があると考えています。
 なお、温泉水を排出する旅館業については、経過措置としてふっ素・ほう素の暫定排水基準を設定することとしています。

 

5 検定方法について

意見の概要意見に対する考え方
 全窒素の測定については、総和法と紫外線吸光光度法の2種類がある。
 紫外線吸光光度法の分析では、有機物濃度の高い試料の分析値は低く出る傾向がある。また、低価格の紫外線吸光光度法による分析の依頼を受けた場合でも、有機物の多い試料の実体に合わして総和法で測定しようとするとコスト・時間の無駄との指摘を受ける。試料中の有機物濃度には関係なく、回収率を気にせずに一律に紫外線吸光光度法で測定する業者もある。
 紫外線吸光光度法では適用範囲として「試料中の有機物が分解されやすく少量であり」との規定があるが、どこまでが少量であるかの見解がない。
 濃度不明の未知試料の場合は、自然と紫外線吸光光度法を適用するケースが増えてしまう。窒素濃度の低い試料の場合は、総和法の方が精度が悪くなる。
 有機物の高い試料について、何らかの見解か基準を明確にしてほしい。
 答申案は、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素に係る排水規制等のあり方をまとめたものであり、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素の測定方法として、ここではイオンクロマトグラフ法等を提案しており、総和法、紫外線吸光光度法のいずれも用いるものではありません。
 なお、現在、生活環境項目として水質汚濁防止法の排水規制が実施されている全窒素濃度の測定については、測定しようとする試料に応じて総和法又は紫外線吸光光度法から選定すべきものと考えます。
 海洋観測指針ではフローインジェクション分析方法が標準的方法で、広く使用されていることから、アンモニア性窒素の検定方法にフローインジェクション方式を加える必要がある。 排水基準の検定方法は、工場等の排水濃度を測定することを目的としていることから、工場排水の試験法を規定している日本工業規格(JIS)K0102から適切な方法を選定しています。
 ご意見のあったフローインジェクション方式など、他の測定方法についても、引き続き、排水基準の検定方法としての適用性等について検討を進めることとしています。

 

6 その他

意見の概要意見に対する考え方
 家庭排水について、合成洗剤の成分とそれらの水質への影響を早急に調査し結果を国民に発表して環境庁推薦の家庭用洗剤などを指定する。
 できるだけ洗剤を使用しないですむ家事の方法など研究して、マスコミ・インターネットなどを利用して多くの主婦に提案していく。
 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の汚染については、未処理の生活排水の排出に起因する場合があると推測されることから、下水道や合併処理浄化槽の整備をはじめとする各種の生活排水対策を強力に推進し、汚染防止を図る必要があると考えます。
 なお、生活排水対策については、これまで国や地方公共団体等により各種の調査・研究が進められており、引き続き、その推進に努めるとともに、その成果等についてはインターネット等を通じて国民の皆様により広く提供されることが必要であると考えています。