(別添1)
1998年度(平成10年度)の温室効果ガス排出量について
平成12年9月22日
地球環境保全に関する関係閣僚会議
1998年度(平成10年度)の温室効果ガス排出量について
1.二酸化炭素
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(1) | 全体の状況 |
| 1998年度の二酸化炭素排出量は、11億8800万トン、一人当たり排出量は、9.39トン/人である(図1参照)。 これは、1990年度と比べ排出量で5.6%、一人当たり排出量で3.2%の増加である。しかしながら、前年度と比べると排出量で3.8%、一人当たり排出量で4.0%の減少となっている。 |
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| 図1.二酸化炭素の排出量の推移
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(2) | 部門別の傾向 |
| 部門別に見ると、排出量の4割を占める産業部門については、1990年度比で3.2%の減少となっており、前年度と比べると3.9%減少している。運輸部門からの排出は年々増加しており、1998年度において1990年度比21.1%増となっているが、前年度と比べるとほぼ横ばいとなっている。 一方、民生(家庭)部門は、1990年度比で9.3%の増加となっているが、95年度以降減少傾向にある。民生(業務)部門は、1990年度比で16.1%の増加となっているが、94年度以降ほぼ横ばい傾向にある。(参考の図を参照)
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2.その他の温室効果ガス
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(1) | メタン |
| 1998年度のメタン排出量は136万トン(実重量)であり、1990年度と比べ11%減少した。部門別に見ると、農業部門(稲作、家畜の反すう等)、廃棄物部門(埋立等)、エネルギー部門(天然ガス・石炭採掘時の漏出、燃料の燃焼等)のいずれにおいても減少傾向にある。
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(2) | 一酸化二窒素 |
| 1998年度の一酸化二窒素(亜酸化窒素)排出量は6万4000トン(実重量)であり、1990年度と比べ10%増加しているが、前年度と比べると5.5%減少した。部門別に見ると、工業プロセス(アジピン酸、硝酸の製造)、エネルギー部門(運輸、その他の燃料燃焼等)、廃棄物部門(焼却)が増加傾向にあったが、1997年度から1998年度にかけては増加が見られず、特に工業プロセスは12%減少している。
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(3) | HFC、PFC、SF6 |
| 1998年のハイドロフルオロカーボン(HFC)類の潜在排出量(注)は、1万1600トン(実重量。前年比14.1%減)、パーフルオロカーボン(PFC)類の潜在排出量は2300トン(実重量。前年比3.0%増)、六フッ化硫黄(SF6)の潜在排出量は2100トン(実重量。前年ほぼ同比)であった。
(注) | 潜在排出量 = 国内生産量+輸入量−輸出量−破壊量 |
| HFC、PFC、SF6の排出量の算定については、これまで潜在排出量として算定しているが、現在、実排出量として算定する方法を検討中である。 |
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3.温室効果ガスの総排出量 |
| 1998年度の温室効果ガスの総排出量(各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数(GWP)(注1)を乗じ、それらを合算したもの。)は、13億3600万トン(二酸化炭素換算)であり、京都議定書の規定による基準年(1990年。ただし、HFC、PFC及びSF6については1995年)(注2)の排出量(12億7200万トン)と比べ約5.0%の増加となっている。しかし、前年度と比べると約3.5%の減少となっている。 なお、HFC、PFC及びSF6の排出量としては、潜在排出量を用いていること、排出量算定に用いている一部のデータ(廃棄物関係等)については統計の関係上1996年度の値等を用いて推計していることなどから、総排出量の数値は暫定的なものであり、今後変更される可能性がある。
(注1) | 地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential):温室効果ガスの温室効果をもたらす 程度を、二酸化炭素の当該程度に対する比で示した係数。数値は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2次評価報告書(1995)によった。 |
(注2) | 京都議定書第3条第8項の規定によると、HFC等3種類のガスに係る基準年は1995年とすることができるとされている。また、京都議定書の規定では「年」とされているが、ここでは、統計の関係上、二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素については会計年度(4月から3月)の値を用いている。 |
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| 表.各温室効果ガスの排出量の推移 |
| 単位:百万CO2トン |
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| GWP | 1990 | 1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 |
二酸化炭素(CO2) | 1 | 1124.4 | 1147.8 | 1162.2 | 1144.0 | 1214.1 | 1221.1 | 1236.9 | 1233.9 | 1187.6 |
メタン(CH4) | 21 | 32.3 | 31.9 | 31.6 | 31.5 | 31.1 | 30.9 | 30.2 | 29.0 | 28.6 |
一酸化二窒素(N2O) | 310 | 18.1 | 17.6 | 17.7 | 17.6 | 18.9 | 19.3 | 20.3 | 21.1 | 19.9 |
ハイドロフルオロ カーボン類(HFC) | HFC-134a: 1300など | 17.6 | 18.1 | 19.4 | 20.9 | 28.1 | 29.8 | 30.0 | 33.6 | 31.6 |
パーフルオロ カーボン類(PFC) | PFC-14: 6500など | 5.7 | 6.4 | 6.4 | 8.7 | 11.7 | 15.3 | 16.2 | 16.4 | 17.8 |
6ふっ化硫黄(SF6) | 23900 | 38.2 | 43.5 | 47.8 | 45.4 | 45.4 | 52.6 | 50.2 | 49.7 | 50.0 |
計 | 1236.3 | 1265.2 | 1285.2 | 1268.1 | 1349.4 | 1369.0 | 1383.8 | 1383.7 | 1335.5 |
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| 図2.温室効果ガスの総排出量の推移
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4.備考
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(1) | 各温室効果ガスの排出量については、最新の知見を基に排出係数を修正したこと等に伴い、1990年度までさかのぼって再計算した。このため、ここに掲げられた排出量等は、昨年7月の「地球環境保全に関する関係閣僚会議幹事会及び地球温暖化対策推進本部幹事会合同会議」に報告したものと異なっているものがある。 なお、排出量等の算定方法は、科学的知見の充実や国際的な検討の動向に照らし、今後とも必要に応じて改良していく必要がある。
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(2) | 我が国において外航船舶及び国際航空に積み込まれる燃料(いわゆるバンカー油)の使用による平成10年度(1998年度)の二酸化炭素排出量は、3700万トン(二酸化炭素総排出量の約3%に相当)であるが、その排出量の取扱いについては、国際的な取り決めにより、当面各国の排出量とは別に計上することとされていることから、我が国の総排出量には加えていない。 |
(参 考)
○ | 1998年度の二酸化炭素排出量の部門別内訳 |
| 1998年度の二酸化炭素排出量の部門別内訳は下図のとおりである。内側の円は各部門の直接の排出量の割合(下段カッコ内の数字)を、また、外側の円は発電に伴う排出量を電力消費量に応じて最終需要部門に配分した後の割合(上段の数字)を、それぞれ示している。 |
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注) | |
・ | 統計誤差、四捨五入等のため、排出量割合の合計は必ずしも100%にならないことがある。 |
・ | 「その他」には統計誤差及び潤滑油等の消費に伴う分が含まれる。 |
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○ | 二酸化炭素の部門別排出量の推移 |
| 1990年度から1998年度までの二酸化炭素の部門別排出量の推移は下図のとおりである。 |
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注) | 発電に伴う二酸化炭素排出量を各最終需要部門に配分した排出量を基に作成。 |
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○ | 1998年度のメタン、一酸化二窒素排出量(実重量)の部門別内訳 |