資料3

国立公園制度の概要


国立公園制度の概要
 国立公園は,わが国を代表するすぐれた風景地で,自然公園法に基づき,環境庁長官が都道府県及び自然環境保全審議会の意見を聞いて指定し,国が管理しています。
 平成12年8月10日現在,全国で28公園あり,総面積は2,051,167haで,国土面積の約5.43%を占めています。
 国立公園では,自然の保護とともに,野外レクリエーションの場としての利用がなされ,年間約4億人が訪れています。

〈国立公園の歴史としくみ〉
 世界で最初の国立公園は,アメリカのイエローストン国立公園で,1872年に指定されました。
 アメリカの国立公園は,自然環境や風景の保全を図るため,公園当局(国)が土地を占有する方式(「営造物公園」)を採っています。これに対して,わが国の国立公園制度は,公園当局が土地の管理権を有することを要件とせず,土地の所有形態に関係なく一定の素質条件を有する地域を公園として指定し,風致景観の維持を図るため,一定の行為規制を課す方式(「地域制公園」)で運用しているものです。
 地域制公園は,国土が狭く,所有関係が複雑で,土地の多目的利用を前提とするわが国の状況に適した制度です。わが国に類似した地域制公園の制度を採っている国として,イギリス,ドイツ,韓国などが挙げられます。
 なお,わが国の国立公園制度は,昭和6年(1931年)の国立公園法の制定が始まりで,昭和9年(1934年)に第1号の国立公園として瀬戸内海,雲仙,霧島を指定しました。その後,昭和32年(1957年)に,国立公園法を自然公園法に改正し,ほぼ現在の制度が確立しました。

公園計画の概要
 国立公園の保護と利用を適正に行うために,それぞれの公園ごとに公園計画を定めていますが,大別すると保護計画と利用計画があります。
 保護計画には,一定の行為規制のもとで風致景観の維持を図るため,風致景観の特質,公園利用上の環境の保全の必要性などに応じて,「特別保護地区」,「第1種,第2種,第3種特別地域」,「海中公園地区」,「普通地域」に地域を区分する保護規制計画と,植生の復元のための植生復元施設など,景観の保護や利用上の安全を図るために必要な施設に関する保護施設計画があります。
 利用計画には,適正な公園利用を図るために一定の行為を制限,禁止する措置などを定める利用規制計画と,国立公園利用にふさわしい施設を計画的に整備するための利用施設計画があります。
 概ね5年ごとに定期的に公園計画の変更(点検)を実施し,整合性のある公園計画のもとに適切な公園管理が行えるよう措置しています。

国立公園の管理機構
 国立公園内における風致景観の保護や管理,公園事業者に対する指導,公園利用者への自然解説など様々な業務を行うため,全国11箇所に自然保護事務所を,また,各国立公園に自然保護官事務所を置いています。
(*)自然保護事務所は,以下のとおりです。
[1]東北海道地区(北海道釧路市)
[2]西北海道地区(北海道札幌市)
[3]東北地区(青森県上北郡十和田湖町)
[4]北関東地区(栃木県日光市)
[5]南関東地区(神奈川県足柄下郡箱根町)
[6]中部地区(長野県南安曇郡安曇村)
[7]近畿地区(和歌山県新宮市)
[8]山陰地区(島根県米子市)
[9]山陽四国地区(岡山県岡山市)
[10]九州地区(熊本県阿蘇郡阿蘇町)
[11]沖縄地区(沖縄県那覇市)

国立公園内における行為規制
 国立公園内には,風致景観の保護のため,特別地域,特別保護地区及び海中公園地区が指定されています。これらの地域内において建物などを作ろうとする場合は,あらかじめ環境庁長官の許可が必要です。
 また,普通地域内においては,あらかじめ届出が必要となります。

国立公園内における事業整備
 公園計画に基づき,自然の保全や復元のための施設(植生復元施設など)や,自然とのふれあいや自然を学ぶための施設(園地,宿舎,野営場,博物展示施設など)整備など,国立公園内における保護と利用の充実を図るための事業を展開しています。
(*)公園計画において決定することのできる施設は,以下の37種類です。
(利用施設)
[1]道路(車道,歩道,自転車道),橋
[2]広場,園地
[3]宿舎,避難小屋
[4]休憩所,展望施設,案内所
[5]野営場,運動場,水泳場,舟遊場,スキー場,スケート場,乗馬施設
[6]車庫,駐車場,給油施設,昇降機
[7]運輸施設(自動車運送施設,船舶運送施設,水場飛行機運送施設,鉄道運送施設,索道運送施設,一般自動車道,係留施設)
[8]給水施設,排水施設,医療救急施設,公衆浴場,公衆便所,汚物処理施設
[9]博物館,植物園,動物園,水族館,博物展示施設,野外劇場
(保護施設)
[10]植生復元施設,動物繁殖施設
[11]砂防施設,防火施設