資料1

瀬戸内海国立公園(六甲及び淡路地域)の公園計画の変更(点検)に関する意見の募集について


 瀬戸内海国立公園(六甲及び淡路地域)の公園計画の変更に当たり,これに関する意見を募集する。

〈瀬戸内海国立公園の概要〉

 瀬戸内海国立公園は,その比類ない内海多島海景観に加えて,自然と人文とが調和した特色ある景観を有することから,わが国最初の国立公園の一つとして,昭和9年3月16日に,備讃瀬戸を中心に指定された。その後,数回にわたる公園区域の拡張により,現在,紀淡,鳴門,関門,豊予の4つの海峡に囲まれた瀬戸内海のほぼ全域を占めるに至り,関係する府県も,大阪府,兵庫県,和歌山県,岡山県,広島県,山口県,徳島県,香川県,愛媛県,福岡県及び大分県の11府県に及んでいる。

六甲地域
(1)区域
 六甲地域は,瀬戸内海国立公園の東部に位置する六甲山系を占める山岳公園で,神戸市街など大都市に隣接している。その区域は,東西約20km,南北約7kmにわたる。

(2)景観の特徴
 六甲山系は,地殻の上昇運動に伴う数多くの衝上断層によって生じた構造山地で,地質は,主に花崗岩で構成されている。このため,浸食などにより生じた特異な地形(バッドランド地形)が随所に見られ,蓬莱峡,白水峡,ロックガーデンが,その代表的なものである。

(3)動植物
 戦中・戦後の混乱期に乱伐が行われたこともあり,大部分は二次植生となっている。モチツツジ−アカマツ群集が優先しているが,裏六甲の東部ではコナラ群落も見られる。
 鳥類は多く,特に春秋の渡りの季節には数が増え,コマドリ,サシバなどの通過も確認されている。布引貯水池には,毎年オシドリの群れが数千羽渡来している。

(4)利用形態
 六甲山の利用は,明治28年にイギリスの貿易商アーサー・ヘスケス・グルーム氏が山上に別荘を建てたのが始まりで,その後,各種利用施設や交通網の整備が図られたこともあり,神戸市民など阪神間の住民を中心に,手軽で身近な野外レクリエーションの場として親しまれている。
 平成7年1月17日の「阪神・淡路大震災」で,本地域における公園利用施設も甚大な被害を受けたため,その年の年間利用者数は,前年度の約872万人から約377万人にまで激減した。その後,復興にむけての整備が進められていることもあり,やや回復の兆しを見せ,平成10年の年間利用者数は約574万人となっている。

淡路地域
(1)区域
 淡路地域は,瀬戸内海に浮かぶ淡路島に位置し,明石海峡,常隆寺山,先山,慶野松原,三熊山,紀淡海峡,鳴門海峡,諭鶴羽山及び沼島の計9地区からなる。

(2)景観の特徴
 瀬戸内海公園の景観の特徴は,静かな海面の内海多島海景観と島々に見られる漁村集落や段々畑などの人文景観との調和にある。淡路地域も,白砂青松,海食崖など海岸景観の眺望にすぐれている。鳴門海峡は,干満時に大小多数の渦潮が発生することで知られており,最大20mもの渦潮が見られることもある。
 また,淡路島は,古くから本州と四国を結ぶ交通の要衝として栄えてきた島で,昭和60年6月8日の大鳴門橋開通に続き,平成10年4月5日には明石海峡大橋も開通した。海峡をまたいでまっすぐに伸びるこれらの巨大橋は,一種の造形美を醸し出しており,空と海とを背景に,鮮やかなシルエットを見せている。

(3)動植物
 古くから開かれた地域のため人為の影響が強く,大部分は二次植生となっている。
 鳥類では,メジロ,コマドリなど山地性,森林性の小鳥が比較的多く,淡路島の南に浮かぶ沼島には,ウミウの繁殖地もある。

(4)利用形態
 京阪神の大都市を控えていることもあり,年間を通した利用がなされており,鳴門の渦潮などの自然探勝のほか,ドライブ,海水浴,キャンプ,ヨット,魚釣り,潮干狩りなどが盛んである。
 平成7年1月17日の淡路島を震源域とする「阪神・淡路大震災」で,その年の年間利用者数は,前年度の約170万人から約150万人へと減少したが,その後の明石海峡大橋の開通による効果もあり,平成10年の年間利用者数は約795万人となっている。

〈変更案の概要〉

 瀬戸内海国立公園は,その比類ない内海多島海景観に加えて,自然と人文とが調和した特色ある景観を有することから,わが国最初の国立公園の一つとして,昭和9年3月16日に,備讃瀬戸を中心に指定された。

 六甲地域は,昭和31年5月1日に区域指定された。その後,昭和32年10月23日に特別地域が指定され,昭和46年4月12日には特別保護地区が指定されている。
 また,昭和59年6月15日に公園区域及び公園計画の全般的な見直し(再検討)が,平成5年7月19日には公園区域及び公園計画の変更(第1回点検)が行われている。
 一方,淡路地域は,昭和25年5月18日に区域指定され,昭和31年5月1日の区域拡張により,ほぼ現在の区域が形成された。昭和32年10月23日には特別地域が指定されている。また,昭和61年9月11日に公園区域及び公園計画の全般的な見直し(再検討)が,平成5年7月19日には公園計画の変更(第1回点検)が行われている。

 平成5年7月19日の第1回点検後,7年超が経過しているため,下記のとおり公園計画を変更(第2回点検)するものである。

 

六甲地域
(1)利用計画の変更
道路(車道)の変更
 利用の実態などを踏まえ利便性の向上を図るため,表六甲回遊線車道について,一部区間を追加する。
道路(歩道)の変更
 利用の実態などを踏まえ利便性の向上を図るため,修法ヶ原周遊線歩道について,一部区間を追加する。

計画名位置・区間
〔道路(車道)〕
表六甲回遊線(変更)〔変更前〕
起点−兵庫県神戸市灘区(高山植物園・車道分岐点)
終点−兵庫県神戸市灘区(記念碑台・車道合流点)

〔変更後〕
起点−兵庫県神戸市灘区(記念碑台・車道分岐点)
終点−兵庫県神戸市灘区(高山植物園・車道合流点)
終点−兵庫県神戸市灘区(西谷山・車道合流点)

〔道路(歩道)〕
修法ヶ原周遊線(変更)〔変更前〕
起点−兵庫県神戸市中央区(布袋谷・歩道分岐点)
終点−兵庫県神戸市中央区(再度越・歩道合流点)

〔変更後〕
起点−兵庫県神戸市灘区(記念碑台・車道分岐点)
終点−兵庫県神戸市灘区(高山植物園・車道合流点)
終点−兵庫県神戸市灘区(西谷山・車道合流点)

淡路地域
(1)利用計画の変更
集団施設地区の変更
由良集団施設地区について,自然探勝型利用の促進を図るため,整備方針などを変更する。
道路(車道)の変更
利用の実態などを踏まえ利便性の向上を図るため,三熊山線車道について,一部区間を追加する。

計画名位置・区間
〔集団施設地区〕面積(ha)
由良集団施設地区(変更)
〔変更後〕
兵庫県洲本市大字由良の一部
(計画目標)
当該集団施設地区は,明石海峡大橋の開通もあり,京阪神などの大都市圏から比較的近い好位置にある。「淡路橋立」と呼ばれる成ヶ島と,その対岸の生石地区からなり,紀淡海峡の雄大な景観が特徴である。成ヶ島は,大部分を二次林で占められる瀬戸内海国立公園にあっては,海浜植物群落や暖帯性広葉樹林などの植生に恵まれている。一方,生石地区は,日露戦争当時の砲台跡など歴史的遺構が見られる。これらの恵まれた環境を活かし,身近に自然にふれあえる場として,かつ,環境学習の場として,利用施設の整備を進める。

69.9
(整備計画区)
成ヶ島整備計画区
生石整備計画区


(35.8)
(34.1)
(整備方針)
成ヶ島整備計画区
成ヶ島を中心とした整備計画区で,自然体験型学習,野外レクレーションなどのフィールドとして整備を進める。
利用者を受け入れるため桟橋など係留施設を整備し,その付近には園地,案内機能を備えた休憩所,野営場などの諸施設を整備する。
紀淡海峡の眺望に優れた場所には,園地,展望施設などを整備する。島の中央部付近の丘場の平地には,野外レクレーションなど憩いの場として,園地などの整備を図る。
島内の諸施設や興味地点を結ぶ歩道を整備する。
また,島内に生育する海浜植物群落などの保全を図るため,防護柵など植生復元施設の整備を図る。

生石整備計画区
成ヶ島の対岸に位置する整備計画区である。
地区の高台は紀淡海峡の眺望に優れていることから,展望施設などを整備する。
また,日露戦争当時の砲台跡など歴史的遺構を活用し,歴史学習の場として園地などの諸施設を整備する。
地区内の諸施設や興味地点を結ぶ車道及び歩道を整備する。
〔道路(車道)〕
三熊山線(変更)〔変更前〕
起点−兵庫県洲本市(小路谷・国立公園境界)
終点−兵庫県洲本市(明田・国立公園境界)

〔変更後〕
起点−兵庫県洲本市(小路谷・国立公園境界)
終点−兵庫県洲本市(小路谷・国立公園境界)
起点−兵庫県洲本市(小路谷・国立公園境界)
終点−兵庫県洲本市(津田・国立公園境界)

〈スケジュール〉
平成12年10月16日(月)意見募集開始(環境庁ホームページに掲載)
平成12年11月14日(火)意見募集の締め切り
平成12年11月下旬(予定)自然環境保全審議会に変更案を諮問
平成12年11月下旬(予定)自然環境保全審議会より答申
平成13年3月30日(予定)自然環境保全審議会の答申を踏まえて,変更内容を告示