資料2


 道路交通騒音対策の状況

1.発生源対策

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
自動車騒音単体対策

 

 
自動車構造の改善により自動車単体から発生する騒音の大きさそのものを減らす。 ・加速走行騒音規制の強化/昭和46年規 制と比較して車種により6〜11デシベル(音のエネルギーに換算して75〜92%)の低減
 (昭和51年〜62年)
・近接排気騒音規制の導入/車種により段階的に導入
 (昭和61年〜平成元年)
・今後の許容限度の低減予定
 (〜平成10年又は14年)
 加速走行騒音−車種により1〜3デシベル(同21〜50%)
 定常走行騒音−車種により1.0〜6.1デシベル(同21〜75%)
 近接排気騒音−車種により3〜11デシベル(同50〜92%)
電気自動車等の低公害車の普及促進 騒音の小さい電気自動車等の低公害車を普及させることによって道路交通騒音の低減を図る。 ・導入状況/電気自動車2,700台(平成 8年度末)
 
(参考)
・騒音低減効果/軽バンタイプの電気自 動車で約4〜9デシベル

2.交通流対策

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
交通規制等  交通管制システムの高度化、交通情報収集提供装置の整備等を行うとともに、効果的な交通規制、交通指導取締りを実施すること等により、道路交通騒音の低減を図る。 ・大型車の通行禁止
 環状7号線以内及び環状8号線の一部(土曜日22時から日曜日7時)
・大型車の中央寄り車線規制
 阪神高速道路(大阪府内の一部)、国道23号(四日市市)等
・信号機の高度化
 85,108基(平成7年度末現在における地域制御、感応式、系統式の合計)
バイパス等の整備  環状道路、バイパス等の整備により、大型車の都市内通過の抑制及び交通流の分散を図る 一般国道のバイパスの整備
国道1号静清バイパス、国道7号三川バパス、国道19号長野南バイパス、国道29号姫路西バイパス、国道54号可部バイパス等
物流拠点の整備  物流施設等の適正配置による大型車の都市内通過の抑制及び共同輸配送等の物流の合理化により交通量の抑制を図る。  流通業務団地の整備状況/札幌1、水戸1、宇都宮1、東京10、新潟1、富山1、名古屋3、岐阜1、大阪3、神戸3、岡山1、広島3、福岡1、熊本1、大分1、鹿児島1(平成8年度末)
(数字は都計決定されている流通業務団地計画地区数) 
 一般トラックターミナルの整備状況/3,846バース(平成7年度末) 
 共同配送の推進/福岡市天神地区・新宿副都心高層ビル地区

3.道路構造対策

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
遮音壁の設置  遮音効果が高い。
 沿道からの乗り入れのない有料道路等において有効な対策。
 環境改善効果/約10デシベル
(平面構造で高さ3mの遮音壁の背面、地上1.2mの高さでの効果(計算値))
 設置延長 約延べ3,800km(平成8年度末
環境施設帯の設置  沿道と車道の間に10または20mの緩衝空間を確保し道路交通騒音の低減を図る。 「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準」(昭和49年建設省都市局長・道路局長通達)
設置延長 約延べ700km(平成8年度末)

4.沿道対策

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
沿道地区計画の策定  道路交通騒音により生ずる障害の防止と適正かつ合理的な土地利用の推進を図るため都市計画に沿道地区計画を定め、幹線道路の沿道にふさわしい市街地整備を図る。 「幹線道路の沿道の整備に関する法律」
 (昭和55年施行)
 沿道整備道路指定要件/夜間騒音60デシベル超
 日交通量40,000台超他
 沿道整備道路指定状況/8路線、延べ約115.7km(平成8年度末)
 国道4号、国道23号、国道43号、国道254号、環状7、8号線等
道路開発資金制度  幹線道路に面する緩衝建築物の建設等に対する低利融資を行うことにより民間活力を活用した沿道整備を図る。  沿道環境整備事業/国道1号、2号、8号、41号、154号、環状7号、8号線等で実施。
 道路開発資金 40件約48億円(平成8年度まで)

5.障害防止対策

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
 住宅防音工事の助成の実施  道路交通騒音の著しい地区において、緊急措置としての住宅等の防音工事助成により障害の軽減を図る。  有料道路周辺の住宅防音工事累積戸数/約53,200戸(8年度末) ← 約51,400戸(7年度末)
 沿道整備計画に基づく一般道路の住宅防音工事助成累積戸数/環7世田谷区等/約6,800戸(8年度末) ← 約6,300戸(7年度末)

6.推進体制の整備

個 別 対 策 概    要 実績及び実施例等
 道路交通公害対策推進のための体制づくり  道路交通騒音問題の解決のために、関係機関との密接な連携を図る。  環境庁/関係省庁との連携を密にした道路公害対策の推進
 地方公共団体/国の地方部局(一部)、地方公共団体の環境部局、道路部局、都市部局等を構成員とする協議会等による対策の推進
 58都道府県・政令指定都市が設置

7.道路交通騒音に対する環境庁の取組み
 

 (1)  中央環境審議会答申について
 
{1}  環境庁は、道路交通騒音を低減させるため、数次にわたる自動車騒音規制の強化を中心とした自動車の単体騒音低減対策及び交通流対策、道路構造対策、沿道対策等の各種対策の推進を図ってきた。しかしながら、自動車騒音問題については、自動車交通量の増加等により、幹線道路の沿道地域を中心に環境基準が達成されていない地点が多く、依然として厳しい状況にあった。
 
{2}  このため、自動車から発生する騒音の低減を始めとした自動車騒音問題の改善のための有効な諸施策について総合的に検討し、これらを的確かつ着実に推進していく必要があるため、平成3年6月、中央公害対策審議会に対し「今後の自動車騒音低減対策のあり方について」を諮問し、平成4年11月、加速走行騒音を1〜3デシベル低減する目標値の設定を中心とした中間答申をいただいた。さらに、平成5年11月の環境基本法の制定により新たに中央環境審議会が設置された後も審議を継承し、平成7年2月、定常走行騒音を1.0〜6.1デシベル、近接排気騒音を3〜11デシベル低減する目標値の設定を中心とした最終答申をいただいた。
 また、自動車単体対策以外の対策(交通流対策、道路構造対策、沿道対策)の総合的実施については、平成4年11月より審議が開始され、平成7年3月、地域レベルの道路交通騒音対策の基本方針づくりの必要性、都市内幹線道路等道路交通騒音問題が深刻な地域での対策の優先実施等を内容とした答申「今後の自動車交通騒音低減対策のあり方について(総合的施策)」をいただいた。
 
(2)  道路交通騒音の深刻な地域の対策の実施方針と地域的な取組への支援
 
 平成7年8月30日、環境庁が中心となって関係省庁連絡会議で「国道43号及び阪神高速神戸線に係る道路交通騒音対策」をとりまとめた。その後、国道43号及び阪神高速関連地域以外にも騒音対策の早期実施が求められる地域が存在することにかんがみ、平成7年12月1日に関係省庁連絡会議において、既存の幹線道路で道路交通騒音が深刻な地域において想定される施策を「道路交通騒音の深刻な地域における対策の実施方針について」としてとりまとめ、環境庁を始めとする5省庁の関係局長連名で都道府県知事及び政令指定都市市長あてに、より一層の地域的な連携強化による総合的対策の推進を通知したところであり、平成8年度より、自治体に対してこのような地域的な取組への支援を行っている。現在、ほとんどの都道府県等において、地域レベルの関係機関の対策協議の場が設置されている。
 
(3)  今後の取組み
 
{1}  自動車単体対策の推進
ア.  自動車単体の騒音規制については、近年では、平成4年11月及び平成7年2月の中央環境審議会等答申で示された許容限度設定目標値に沿って、逐次、その強化を図っているところである。
平成8年12月20日には、「自動車騒音の大きさの許容限度(環境庁告示)」を改正し、平成10年から、{1}大型バス、{2}乗車定員6人以下の乗用車、{3}軽二輪自動車及び{4}第一種原動機付自転車に係る騒音規制を強化することとした。この改正により、答申において平成10年頃までに許容限度設定目標値を達成すべきとされた全車種について騒音規制が強化されることとなった。
  また、平成9年4月には、平成14年頃までに許容限度設定目標値を達成すべきとされた車種のうち、小型車の一部と乗車定員6人超の乗用車について、平成11年又は12年頃に目標値を達成できる見通しが立ったことから、現在、規制強化のための所要の手続きを進めているところである。
イ. これまでに具体的な見通しが立たなかった車種については、引き続き自動車騒音低減技術の開発状況についての技術評価を行うことにより、自動車メーカー等における技術開発の促進を図り、その開発状況の把握を踏まえて可能な限り目標値達成の前倒しに努めることとしている。
 
{2}  道路交通騒音防止対策の計画的・総合的推進について
ア. 平成7年3月の中央環境審議会答申に示された方針に沿い、地域レベルの道路交通騒音対策の基本方針の策定に対して支援を行っていくこと等により、地域が一体となった道路交通騒音対策を推進しつつ、関係省庁と連携して道路構造対策、交通流対策、沿道対策等の各種対策の総合的実施を図っていくこととしている。
イ. 公害防止計画では、重点的に取り組むべき主要課題の一つとして交通公害対策を明示しており、現在見直し作業中の地域においても、交通公害対策を主要課題としている。今後とも、交通公害対策を重視した公害防止計画に基づく各種施策が推進されることにより、沿道環境の改善が期待されるところである。
 
{3}  電気自動車等の低公害車の普及
 電気自動車等の低公害車の普及促進は大気汚染防止に加え、騒音環境の改善にも効果がある。環境庁では、平成8年度より、地方公共団体による低公害車の集中導入を促進する新たな補助制度を創設しており、今後とも、これらの支援策等の充実・強化を進め、低公害車の大量普及の促進を図ることとしている。
 
{4}  環境基準(一般環境及び道路沿道)における騒音評価手法の再検討
   昭和46年に設定された一般環境及び道路沿道の騒音環境基準ではL50(中央値)による評価を原則としてきたが、その後の騒音測定技術の向上や昨今の国際的な動向等を踏まえ、騒音評価手法の再検討を行うべく、平成8年7月25日に中央環境審議会に対して、「騒音の評価手法等の在り方について」諮問を行い、平成8年11月28日、騒音の評価手法のL50からLeqへの移行、騒音影響に関する基礎指針、一般地域のうち住居系地域についての指針値等を内容とする専門委員会中間報告をいただいたところ。現在、引き続き、一般地域の商工業系地域の指針値及び道路に面する地域の指針値等についてご審議いただいているところである。