報道発表資料概要


全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)
平成17年度夏期観察の実施及び平成16年度冬期観察の結果について
本文





1 平成17年度夏期観察の実施

(1)観察期間

 平成17年7月27日(水)から8月9日(火)まで
 (参加者は、この期間中に1日以上観察する)

(2)観察方法

[1]
肉眼による観察
 高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察する。
[2]
双眼鏡による観察
 こと座のおりひめ星(ベガ)を含む三角形付近の星について、何等級の星まで見えたかを観察する。
[3]
星空の写真撮影
 一眼レフカメラを使用し、天頂部分の夜空をリバーサルフィルム(スライド用フィルム)に撮影する。

(3)参加方法

 都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境行政担当部局へ参加申込みを行い、「平成17年度夏期全国星空観察実施の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境行政担当部局まで報告する。

(4)定点観察

 別途依頼している全国24地点の定点観察地においての観察。
 一般参加団体による写真撮影の方法(上記の(2) [3])と同様の方法で行い、引き続き夜空の明るさを測定する。
今期より国立天文台(東京都三鷹市)が参加するため1地点増加した。

2 平成16年度冬期観察の結果概要

(1)観察期間

 平成17年1月1日〜1月14日 (1日以上観察)

(2)参加団体・参加者数

 全国から547団体の参加申込があったが、天候不順等の影響により359団体(392地点)が観察を実施した。観察の延べ参加者数は3,788人であった。(昨年度冬期は346団体、延べ3,491人が参加。)(図1)

図1 実施参加団体数の推移
図1 実施参加団体数の推移

(3)観察結果

[1] 肉眼による天の川の観察

 肉眼で「天の川」の高度の異なる部分(ペルセウス座付近[高々度]、ふたご座付近[中高度]、いっかくじゅう座付近[低高度])の見え方を観察した。(図2)

図2 肉眼による天の川観察(冬期)

図2 肉眼による天の川観察(冬期)

 星座の高度に応じて見え方に違いがあり、高度が低いほど「夜空が明るくて天の川が見えない」という回答の割合が高くなったことから、地上に近いほど人工光の影響を受けていることが確認できる。

[2] 双眼鏡による観察結果

 双眼鏡を用い、すばる(プレアデス星団)のラケットの中の星を対象に観察し、「平均観察等級」(何等級の星まで見えたのかの平均)を都市規模別にまとめた。(図3)

図3 都市規模別に見た「平均観察等級」の推移(冬期)
図3 都市規模別に見た「平均観察等級」の推移(冬期)
巨大都市 人口100万人以上
大都市 人口30万人〜100万人未満
中都市 人口10万人〜30万人未満
小都市 人口10万人未満

星の等級について

 天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約2.5倍明るくなる。図3においては、数字が大きいほど暗い星まで見えることになる。

 規模の大きな都市ほど明るい星しか見えず、星が見えにくいという結果となっている。

[3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
ア.一般参加団体による写真撮影結果

 平成13年度まで行っていた一般参加団体による天頂付近の夜空のカラースライド写真撮影を平成16年度より再開し、その結果をまとめた。(表1、2)

mag/□”(マグニチュードパー平方秒角)
 夜空の明るさを示す単位で値が大きいほど夜空が暗く、星が見えやすいことを示す。
天空の写真をスライドにしてスライド上で星が存在しない部分の明るさ(mag)を単位平方秒角あたり(□”)で示したもの。

表1 都市規模別に見た「夜空の明るさ」(平成16年度冬期)
都市規模 観察数 平均値(mag/□″)
巨大都市 7 18.5
大都市 20 19.6
中都市 30 18.9
小都市 60 20.9
全体 117 19.9

表2 観察地点の周囲の土地利用状況別に見た「夜空の明るさ」(平成16年度冬期)
周辺状況 観察数 平均値(mag/□″)
商業地域 17 18.1
工場地帯 1 17.7
住宅地 36 19.2
農業地域 27 20.4
森林・山間地 27 21.4
その他 9 20.0
全体 117 19.9

イ.定点観察地(23地点)における写真撮影結果
 全国23地点の定点観察地で、実施した結果をまとめた。(図4)
図4 同一観測地点での夜空の明るさの推移(冬期)

 スライド撮影による明るさ判定は第3者が客観的に行うので、前記の肉眼や双眼鏡による観察と比べると観察者による差が出にくく、また、観察場所の移動がない分、経年的変動データとしての信頼度は高くなる。

 なお、次ページに全国の定点観測の結果を示す。




星空の写真撮影の結果



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