I.目次
(1)砂漠化対処条約アジア・アフリカ・フォーラム
(2)第2回アフリカ
(1)環境分野に関する我が国の援助方針
(2)アフリカ地域に関する我が国の援助方針
(1)食糧安全保障のための体制の確立・強化
(2)代替的な生計手段の促進
(3)構造調整支援(貧困の撲滅及び食糧の安全保障の確保を目的とする計画を強化するための経済環境の改善)
(4)人口・家族計画
(5)水資源の保全(生活用水開発を含む)
(6)森林保全・植林
(7)農業開発
(8)多様なエネルギー源の開発及び効率的利用
(9)能力形成、普及啓発
(10)開発と女性
(11)砂漠化関係の調査・研究
(12)NGO活動等の支援
(1)砂漠化対処条約事務局
(2)国連環境計画(UNEP)
(3)国連食糧農業機関(FAO)
(4)世界食糧計画(WFP)
(5)国際農業開発基金(IFAD)
(6)国連開発計画(UNDP)
(7)世界気象機関(WMO)
(8)国連教育科学文化機関(UNESCO)
(9)国際農業研究協議グループ(CGIAR)
(10)国連工業開発機関(UNIDO)
(11)国際復興開発銀行(世界銀行:IBRD)
(12)地球環境基金(GEF)
(13)アフリカ開発銀行(AfDB)
II.概要
1.はじめに
我が国は、砂漠化への対処を含め、地球環境問題は我が国が貢献を果たしていくべき最重要分野の一つであると認識しており、地球環境保全に向けた国際的枠組の強化に積極的に協力してきた。砂漠化の問題は、多くの開発途上国における持続可能な開発に関わる問題であり、また砂漠化の影響を受けている地域に限らず地球規模の環境に脅威を及ぼす問題であるため、国際社会が一致して対策を進めていく必要がある。
こうした認識の下、我が国は、従来より政府開発援助(ODA)等による様々な砂漠化対処プロジェクトを推進するとともに、国際機関等への資金拠出等を通じて積極的な砂漠化対処支援策を講じてきた。また、砂漠化対処条約交渉についても、政府間交渉会議において、我が国代表がビューローメンバーや第二作業部会の議長を務める等、その作成に積極的に貢献した。さらに、条約締結に先立ち、1993年以降、国連総会決議第188号により設置された信託基金及び特別ボランタリー基金への拠出を行っており、1998年までに500万ドル近い貢献を行ってきた。
我が国は1998年9月11日に受諾書を国連事務総長に寄託し、同年12月10日に我が国について条約発効し、第2回締約国会議の会期中に締約国となった。我が国は、先進締約国として、砂漠化の影響を受ける開発途上締約国が砂漠化に対処し干ばつの影響を緩和するために計画・戦略を策定・実施することを援助するため、相当の資金その他の支援を提供する義務等を負うほか、自国の法令又は政策に従い、適切な技術の移転等を促進する等砂漠化の対処のために貢献することが求められている。我が国は条約締結後も締約国として引き続き貢献を行っている。
本国別報告書では、本条約の発効した1996年以降の我が国の取組について記述することとした。
2.1.我が国が関わる協議手続及び連携に関する取決め
我が国はアフリカ地域の開発のための協議手続や連携に関する取決めについて積極的にイニシアティブを取ってきた。特に、(i)これまで2回開催(第1回:96年於北京、第2回:97年於ニジェール)された「砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」に対する支援及び(ii)今後のアフリカ開発の方向性を指し示した第2回アフリカ開発会議(TICADII、98年於東京)の我が国における開催は代表的な例である。
2.2.行動計画(各レベル)の作成・実施を支援するために講じた措置
砂漠化への対処及び干ばつの影響を緩和するため、我が国は従来より政府開発援助(ODA)その他の予算を利用し、砂漠化地域の緑化推進プロジェクト、水資源の有効利用及び砂漠化した土地の回復に関する調査・研究等様々な協力を行ってきている。このような我が国の協力措置は、二国間の支援プロジェクトの実施、国内の機関による調査・研究、NGOによる砂漠化対処活動への支援、関係国際機関への拠出等の形態で行われている。
関係分野における支援及び関係機関に対する協力の概要は以下のとおり。
(1)二国間協力等
(i)食糧安全保障のための体制の確立・強化
干ばつが生じ、砂漠化が進行している地域における慢性的な食糧不足の解消を図るために、タンザニア、中央アフリカ等サブサハラアフリカの各国において、食糧購入のための資金協力を実施しており、食糧安全保障の強化に役立てている。
(ii)代替的な生計手段の促進
砂漠化の進行や干ばつによる被害が進行している地域住民に対し、代替的な生計手段を確保する観点から、農業訓練所その他の職業訓練センターの施設の改善等を図り、ひいては、地域住民の生活水準の向上に資するための協力を行う。
(iii)構造調整支援(貧困の撲滅及び食糧の安全保障の確保を目的とする計画を強化するための経済環境の改善)
干ばつが生じ、砂漠化が進行している地域における慢性的な食糧不足の解消や安定した食糧生産の増加を図るために、ニジェール、ブルキナ・ファソ等サブサハラアフリカの多くの国において肥料、農薬、農業機械の購入のための資金協力を実施することで、経済環境の改善を図ることに寄与している。
(iv)人口・家族計画
人口の急激な増加により、食糧増産のための農地確保に伴う森林伐採等、ひいては砂漠化の進行や干ばつによる被害が生じているのに対し、ガーナ、ケニア等において、家族計画思想の普及といった直接的な協力に加え、母子保健の推進等を含めた包括的な協力を行うことで人口増加に対する問題に対処する協力を実施している。
(v)水資源の保全(生活用水開発を含む)
年間降水量が少なく、慢性的な干ばつが生じがちなモロッコ、ケニア、セネガル等の乾燥地域において、深井戸等の給水設備の建設といった安定的な水供給を確保するための協力を行っている。
(vi)森林保全・植林
降水量の減少、人口増加、過放牧等による森林面積の減少から砂漠化が進行するのに対し、セネガル、ベナン、マリ等において、苗木生産体制の確立のための技術者養成、苗畑の整備等への協力を行うとともに、既存の森林の管理計画の策定・調査を行っている。
(vii)農業開発
安定した水供給を確保し、農業生産を行えるようにするために、エジプト、テュニジア、マラウィ等において、地下水の開発や処理済下水の有効利用等の水資源の確保や水路の改修等を通した灌漑施設を整備するための協力を行い、地域住民の定住、生活向上に努めている。
(viii)多様なエネルギー源の開発及び効率的利用
ジンバブエ、カメルーン等において地方電化を進めるに当たり、太陽光発電を中心とした代替エネルギー源の開発のための協力を行っている。
(ix)能力形成、普及啓発
各国の砂漠化に対処するための科学技術的能力の向上や地域住民に対する農林業及び水資源の活用を目的として、被影響開発途上国の研究者、行政担当者、地域住民に対する研修、専門家の派遣等を行っている。
(x)開発と女性
モザンビーク、エティオピア等において、一般的に女性の労働である水汲みの負担を解放する観点から井戸の掘削に対する援助や農作業での負担を軽減するための野菜栽培等に対する援助を実施することにより、女性の地位向上、土地浸食の防止や水供給の確保等を行っている。
(xi)砂漠化関係の調査・研究
各国、各地域に応じた効果的な砂漠化対処対策を進めるために必要な知見を得るため、各国の研究者、地域住民等の参加を得つつ、土壌保全、水資源の保全、農業開発、社会経済的手法等、広範な調査・研究を実施している。
(xii)NGO活動等の支援
砂漠化や干ばつによる被害に対処するため、草の根無償資金協力、NGO事業補助金、環境事業団に設置された地球環境基金、郵便局で提供する国際ボランティア貯金、(財)国際緑化推進センターなどにより、我が国のNGOやローカルNGOの活動に対する資金協力等を行っている。
(2)国際機関等への拠出を通じた協力
国連機関その他の国際機関は、従来から様々な形で砂漠化対処の活動に関わってきており、我が国はこれらの国際機関への拠出等を通じ砂漠化対処のための協力を行っている。
(i)砂漠化対処条約事務局
我が国は、砂漠化対処条約事務局が管理する「信託基金」及び「特別ボランタリー基金」への拠出を通じ、開発途上国の締約国会議等への参加支援や条約事務局が主催する地域行動計画作成のための地域会合を初めとする種々の会合の開催支援等を積極的に行ってきた。我が国の94年以降の拠出総額は4,892千ドルで、世界第1位の貢献を行っている。
(ii)国連環境計画(UNEP)
UNEPは、砂漠化対処条約作成以前から砂漠化の観測を行ってきており、1992年、1997年には"World Atlas of Desertification"を作成したほか、啓発・情報普及活動、種々の技術支援等を行っている。我が国は、UNEPに対して多額の拠出を行っているほか、UNEP/GRID(地球資源情報データベース)にデータを提供している。
(iii)国連食糧農業機関(FAO)
食糧・農業に関する恒久機関であるFAOに対し、我が国は、分担金、任意拠出等を通じ、FAOが行う農林水産業に関する活動を通じて砂漠化対処に貢献している。
(iv)世界食糧計画(WFP)
干ばつの影響を受け飢餓に苦しんでいる人々に対する緊急食糧援助、Food For Work(FFW)プロジェクトを通じた植林や灌漑用水路の修復等を行っているWFPに対し、我が国は積極的に拠出を行っている。
(v)国際農業開発基金(IFAD)
農業分野に特化した開発金融機関として農地の砂漠化防止に資する各種農業プロジェクトへの融資等を通じて砂漠化問題に取り組んでいる国際農業開発基金(IFAD)に対し、これまで当初拠出以来累計で約2.2億ドルを拠出するなどIFADの諸活動を支えてきている。
(vi)国連開発計画(UNDP)
アフリカ、中東、中南米等各地域において、砂漠化に関する情報ネットワークの構築、砂漠化地域における給水管理のワークショップ開催及びパイロット・プロジェクトの実施等により人材育成を行うUNDPに対し、積極的に拠出を行っている。
(vii)世界気象機関(WMO)
世界気候計画、農業気象計画等を通じて、干ばつ及び砂漠化に関する気候情報の収集・情報提供の体制を各国気象機関が構築、維持する活動の支援等を行う世界気象機関(WMO)に対し、WMO条約に基づく分担金及び任意拠出金を毎年拠出している。
(viii)国連教育科学文化機関(UNESCO)
MAB(人間と生物圏:Man and the Biospehre)計画、「女性と水資源利用」(Women and water resource supply and use)に関する特別計画等の一環として砂漠化対処に資する調査研究やワークショップを行っているUNESCOに対し、我が国は分担金拠出を通じ協力を行っている。
(ix)国際農業研究協議グループ(CGIAR)
CGIARの傘下で、耐乾燥性作物の研究を行っている国際半乾燥熱帯地作物研究所(ICRISAT)に対する拠出を通じ協力を行っている。
(x)国連工業開発機関(UNIDO)
開発途上国における工業開発を促進するための専門機関で、近年アフリカ地域における環境に配慮した持続可能な工業開発に対して積極的に取り組んでいるUNIDOに対し、加盟国の中で最大の財政貢献を行っている。
(xi)国際復興開発銀行(世界銀行:IBRD)
世界銀行(世銀)は、土地管理運営・劣化対策にかかるベスト・プラクティスの統合・主流化、全国環境行動計画への土地管理運営問題の統合、乾燥地管理にかかるトレーニング・プログラムの立案・実施等、援助協調の促進等の開発支援活動を実施している。我が国は、世銀に対する出資や世銀に設けた開発政策・人材育成基金への拠出を通じ、こうした開発支援活動に積極的に貢献している。
(xii)地球環境基金(GEF)
開発途上国等が地球規模の環境問題に対応するために新たに負担する費用に対して新規かつ追加的な無償資金及び譲渡的資金を提供することを目的とした地球環境基金(GEF)に関し、我が国は、GEF1に対し約4.15億ドルを拠出、GEF2に対し約4.13億ドルの拠出を表明するなど積極的に貢献を行っている。
(xiii)アフリカ開発銀行(AfDB)
テュニジアの水供給プロジェクトやジンバブエの灌漑プロジェクト等、砂漠化対処に資する開発支援を行っているアフリカ開発銀行グループに対し、出資を通じ積極的に支援を行っている。
III.我が国が関わる協議手続及び連携に関する取決め
我が国はアフリカ地域の開発のための協議手続や連携に関する取決めに関し、これまで積極的にイニシアティブを取ってきている。ここでは、(i)砂漠化対処分野におけるアジア・アフリカ地域間協力の具体化に向けてこれまで2回開催された「砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」に対する支援及び(ii)アフリカの開発における主体性(オーナーシップ)とアフリカ諸国の政府、民間セクター及び市民社会並びにドナー国・機関からなる全ての開発アクターが協力する枠組みを作り出すグローバルパートナーシップの原則の下、今後のアフリカ開発の方向性を指し示した第2回アフリカ開発会議(TICADII)について記述する。
(1)砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム
(i)「砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」(第1回)
1996年8月、北京において国連本部事務局(OSCAL)、砂漠化対処条約事務局及び我が国の協力の下、中国主催により「砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」が開催された。本会合は、砂漠化対処条約の実施について、アジア・アフリカの砂漠化問題を抱える関係各国間の協力を促進するとともに、93年の「アフリカ開発に関する東京国際会議」(TICAD)で採択された東京宣言及び94年のインドネシアにおける「アジア・アフリカ・フォーラム会合」で提唱されたアジア・アフリカ協力を具体的な分野で実際に進めることを目的として開催されたものである。我が国は、本会合の開催支援として約10万ドル拠出するとともに、共同議長を務めるなどの貢献を行った。
本会合では、砂漠化対処におけるアジア・アフリカ協力の原則や推進すべき活動分野などを掲げた「砂漠化対処のためのアジア・アフリカ協力に関する行動枠組み」が採択されるなど、砂漠化対処条約の実施に当たっての南南協力の具体化に向けた第一歩となった。
(ii)「第2回砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」
1997年9月、ニアメ(ニジェール)において国連本部事務局(OSCAL)、砂漠化対処条約事務局、我が国及びニジェールの協力の下、「第2回砂漠化対処に関するアジア・アフリカ・フォーラム」が開催された。我が国は、本会合の開催支援として約20万ドル拠出を行った。
本会合は、第1回フォーラムを受けて開催されたものであり、早期警戒システム、伝統的知識、研究開発、砂漠化対処に関する実地経験等につき議論されるとともに、アジア・アフリカ協力の優先的活動について議論された。
(2)第2回アフリカ開発会議
1998年10月、我が国は国連(OSCAL及びUNDP)並びにGCAとの共催で第2回アフリカ開発会議(TICADII)を開催し、アフリカ、アジア、欧米より80ヶ国、40国際機関、22NGOが参加した。参加者の中には15ヶ国の元首或いは首脳が含まれている。
会議ではアフリカ諸国の主体性(オーナーシップ)とそれを前提とした国際社会の支援(パートナーシップ)という基本精神に基づき、アフリカ開発問題につき包括的な話し合いが行われた結果、教育、保健・人口、貧困層支援等の社会開発、民間セクター・工業・農業開発、対外債務問題等の経済開発、良い統治、紛争予防と紛争後の開発といった開発の基盤の3分野で具体的数値目標を含む優先的政策・行動につき合意する「東京行動計画」を採択し、またそれとあわせて約370の開発プログラム・プロジェクトを記載した「例示リスト」を作成した。
東京行動計画の中では、「キャパシティ・ビルディング」及び「ジェンダーの主流化」と並び「環境の管理」を持続的開発に不可欠な要素として横断的テーマの一つに掲げており、「アフリカ開発のための政策、計画及び意思決定過程は、砂漠化、土壌劣化、水管理、森林伐採、生物多様性及び自然災害の防止・軽減を含む緊急の環境諸問題を考慮しなければならない。」と規定している。
また、農業開発の項ではアフリカ諸国の行動のためのガイドラインとして「国連砂漠化対処条約を実施するための域内及びアジア・アフリカ間の協力を強化し、また、適正な土壌と作物耕作技術による土壌肥沃度の向上を図る。」と記され砂漠化対処条約の重要性にも触れている。
今後東京行動計画に沿いアフリカ諸国及びその開発パートナーがアフリカ開発に積極的に臨んでいくこととなるが、第2回アフリカ開発会議を通じ砂漠化防止をはじめとする環境問題への配慮を多くの関係者に再確認させるとともに、高い人口増加率が天然資源基盤に重い負荷を与えているアフリカにおける開発問題への指針となる「東京行動計画」という文書に具体的な項目を盛り込んだことは大きな功績であった。
IV.行動計画(各レベル)の作成・実施を支援するために講じた措置(条約の 下で行った二国間、多数国間の資金援助を含む)
砂漠化への対処及び干ばつの影響を緩和するため、我が国は従来より政府開発援助(ODA)その他の予算を利用し、砂漠化地域の緑化推進プロジェクト、水資源の有効利用及び砂漠化した土地の回復に関する調査・研究等様々な協力を行ってきている。このような我が国の協力措置は、二国間の支援プロジェクトの実施、国内の機関による調査・研究、NGOによる砂漠化対処活動への支援、関係国際機関への拠出等の形態で行われている。
ここでは、まず、環境分野に関する我が国の援助方針及び今回の報告書の主眼であるアフリカ地域に関する我が国の援助方針について紹介し、具体的な二国間協力、多数国間協力等について紹介することとする。
(1)環境分野に関する我が国の援助方針
我が国の環境ODAは、92年にリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED)の際に表明した目標(「92年から5年間で9,000億円から1兆円を目途として環境ODAを拡充・強化する」)を4割以上上回る約1兆4,400億円の実績を達成した。97年度の実績は2,430億円。
97年6月の国連環境開発特別総会において、橋本総理大臣(当時)が、ODAを中心とした日本の国際的な環境協力政策を包括的に示す「21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」を表明した。この構想は、環境の5分野(@大気汚染・水質汚濁・廃棄物対策、A地球温暖化、B水問題、C自然環境保全・森林保全、D環境意識向上)にわたり行動計画を示しており、その個々の分野につき具体化のため様々な努力が払われている。
(2)アフリカ地域に関する我が国の援助方針
アフリカ地域では、多くの国が複数政党制の下での議会選挙・大統領選挙といった民主化の推進、市場経済の導入等、政治・経済面で変革期にあるが、大半の国は後発開発途上国(LLDC)であり、貧困、感染症等様々な問題に苦しんできた。こうした状況に対し、我が国は、97年度には、アフリカ地域に対して、有償資金協力402億円(交換公文ベース)、無償資金協力921億円(交換公文ベース)、技術協力284億円(JICA経費実績ベース)の援助を実施し、分野としては、教育、保健・人口、貧困層支援等の社会開発や民間セクター・工業・農業開発、対外債務問題等の経済開発等の援助を実施している。また、アフリカ地域に援助を実施するに際して、アフリカ諸国による自助努力(オーナーシップ)を最大限活用し、また、国際社会に平等なパートナーとして参加させる(パートナーシップ)ことに留意しつつ、援助を実施してきたところである。
環境分野に関していえば、これまで、砂漠化、土壌劣化、水管理、森林保全等の分野に関し、援助を実施してきたところである。
1.二国間協力等
砂漠化対処条約では、国家行動計画(第10条)、小地域行動計画及び地域行動計画(第11条)において具体的に講じる措置について規定している。
ここでは、砂漠化対処条約の行動計画に関連する分野における我が国の取組・支援の実績について紹介することとする(注1〜3)。具体的には、(1)食糧安全保障のための体制の確立・強化、(2)代替的な生計手段の促進、(3)構造調整支援(貧困の撲滅及び食糧の安全保障の確保を目的とする計画を強化するための経済環境の改善)、(4)人口・家族計画、(5)水資源の保全(生活用水開発を含む)、(6)森林保全・植林、(7)農業開発(8)多様なエネルギー源の開発及び効率的利用、(9)能力形成、普及啓発、(10)開発と女性、(11)砂漠化関係の調査・研究、(12)NGO活動等の支援の各分野におけるアフリカを対象とした取組例について記述する。
(注1)砂漠化対処条約は、96年12月に発効したことも踏まえ、原則として96年度〜99年度予算について記載することとするが、ODAは実績額について記載している。
(注2)調査・研究については、現在アフリカ地域以外で実施しているものであっても、他地域への汎用性も考えられることから広く掲載することとした。
(注3)NGO等を通じた支援についても、原則として、実際に配布された額を記載している。ただし、一部の予定事業の未実施等により返還等された場合がある。
(1)食糧安全保障のための体制の確立・強化
国民の多くが農業に従事しているものの、干ばつが生じ、砂漠化が進行している地域においては、慢性的な食糧不足が生じている状況にある。これに対し、食糧不足の解消を図るために、食糧購入のための資金協力をサブサハラアフリカの各国で実施しており、食糧安全保障の強化に役立てている。
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・タンザニア「食糧援助」
【97年度実績額:5.00億円】
干ばつの影響による食糧不足に対処するため、食糧購入のための資金協力を行う。
・中央アフリカ「食糧援助」
【97年度実績額:5.00億円】
干ばつの影響による食糧不足に対処するため、食糧購入のための資金協力を行う。
・ニジェール「食糧援助」
【96年度実績額:1.50億円、97年度実績額:4.00億円】
天水利用を行って主に農業を営んでいる同国において、慢性的に生じる食糧不足に対応するため、食糧購入のための資金協力を行う。
・ブルキナ・ファソ「食糧援助」
【96年度実績額1.50億円、97年度実績額:3.50億円】
干ばつの影響による食糧不足に対処するため、食糧購入のための資金協力を行う。
・モーリタニア「食糧援助」
【96年度実績額:2.00億円、97年度実績額:2.00億円】
近年の恒常的な干ばつの影響による砂漠化、耕地の疲弊等の結果、主要穀物生産は大きな被害を受け、深刻な食糧不足に対応するため、食糧購入のための資金協力を行う。
(2)代替的な生計手段の促進
砂漠化の進行や干ばつによる被害が進行している地域住民に対し、職業の転換を図り、代替的な生計手段を確保する観点から、農業訓練所その他の職業訓練センターに対する施設の改善や機材の供与等による施設の強化を図り、ひいては、地域住民の生活水準の向上に資するための協力を行う。
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・ウガンダ「農業普及・訓練所計画」
【97年度実績額:4.20億円、98年度実績額:1.72億円】
農業普及・訓練所の改修等の協力を行う。
(3)構造調整支援(貧困の撲滅及び食糧の安全保障の確保を目的とする計画を強化するための経済環境の改善)
国民の多くが農業に従事しているものの、干ばつが生じ、砂漠化が進行している地域においては、慢性的な食糧不足が生じている状況にある。これに対し、食糧不足の解消や安定した食糧生産の増加を図るために、肥料、農薬、農業機械の購入のための資金協力をサブサハラアフリカの多くの国において実施することで、経済環境の改善を図ることに寄与している。
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・中央アフリカ「食糧増産援助」
【96年度実績額:4.00億円、97年度実績額:4.00億円、98年度実績額:2.60億円】
同国で策定されている「サバンナ地域農業生産振興計画」の一環をなすものであり、食糧の自給率向上のために必要な肥料等の購入のための資金協力を行う。
・ニジェール「食糧増産援助」
【97年度実績額:5.40億円】
長期にわたる干ばつによる大きな被害を受けているが、食糧増産を図るために、肥料等の購入を行うための資金協力を行う。
・ブルキナ・ファソ「食糧増産援助」
【96年度実績額:4.50億円、97年度実績額:3.50億円、98年度実績額:4.50億円】
農業事情改善を目的とした食糧増産計画を策定し、この計画実施のための農業、農機等の購入のための資金協力を行う。
・マリ「食糧増産援助」
【96年度実績額:3.50億円、97年度実績額:3.50億円、98年度実績額:4.50億円】
長期にわたる干ばつによる大きな被害を受けているが、食糧増産を図るために、肥料等の購入を行うための資金協力を行う。
(4)人口・家族計画
人口の急激な増加により、食糧増産のために農地を確保する必要があり、そのために森林伐採等の現象が生じ、砂漠化の進行といった環境の悪化や干ばつによる被害が生じる。これに対し、家族計画思想の普及といった直接的な協力に加え、母子保健の推進等を含めた包括的な協力を行うことで人口増加に対する問題に対処する協力を実施している。
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・ガーナ「母子保健医療サービス向上プロジェクト」
【96年度実績額:1.01億円、97年度実績額:1.25億円、98年度実績額:未集計】
適切な計画に基づく保健医療従事者の訓練範囲の拡大により、保健医療従事者にかかる再訓練制度の構築・強化を図る。
・ケニア「人口教育促進プロジェクトU」
【96年度実績額:2.41億円、97年度実績額:1.76億円、98年度実績額:未集計】
マルチメディア教材の開発により人口関連の情報を普及させ、生活改善型家族計画を促進させる。
・タンザニア「母子保健プロジェクト」
【96年度実績額:2.20億円、97年度実績額:2.42億円、98年度実績額:未集計】
医療サービスの普及を行い、乳幼児・妊産婦死亡率の低下等を目指し、併せて人口増加率の抑制を達成すべく、母子保健に携わる人材育成等を行う。
・マラウィ「母子保健・家族計画指導用機材」
【97年度実績額:788万円】
母子保健・家族計画を一般国民に普及させるための機材供与を行う。
(5)水資源の保全(生活用水開発を含む)
アフリカの乾燥地域においては、年間降水量が少なく、地表水の利用や浅井戸の建設によって水を確保している。しかし、慢性的な干ばつが生じがちであり、生活用水の確保に努める必要がある。このような状況に対し、我が国は、深井戸等の給水設備の建設といった安定的な水供給を確保するための協力を行っており、このような協力により、ひいては地域住民の生活向上に資することになる。
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・モロッコ「地方給水計画」
【96年度実績額:4.30億円】
砂漠性気候のため伝統的手掘り井戸を利用しているが、衛生的な安定的な水供給を行い、農村部の給水施設改善率を高めるために、給水施設機材の導入を行う。
・ケニア「地方地下水開発計画」
【98年度実績額:4.41億円】
半乾燥・乾燥地域における安全な飲料水供給のための深井戸建設を行う。
・ザンビア「南部州給水計画」
【96年度実績額:7.02億円、97年度実績額:6.62億円】
干ばつの被害を受けやすい南部州における給水事情を改善するために、深井戸を建設する協力を行う。
・スワジランド「地方給水計画」
【96年度実績額:1.66億円、97年度実績額:4.50億円】
干ばつの影響が大きい農村地域の公衆衛生改善に資するための深井戸、給水施設の建設を行う。
・セネガル「地方給水施設拡充計画」
【96年度実績額:5.14億円、97年度実績額:5.85億円】
慢性的な干ばつによる生活用水の不足に対応するため、給水施設を拡充する。
・セネガル「地方村落給水計画」
【97年度実績額:4.24億円、98年度実績額:1.41億円】
半乾燥地域における安全な飲料水計画のための給水施設を建設する協力を行う。
・象牙海岸「村落給水計画」
【98年度実績額:8.89億円】
給水事情が特に劣悪な中部地区の村落を対象に、井戸建設を行う。
・ブルキナ・ファソ「ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」
【98年度実績額:7.39億円】
半乾燥地帯に位置し、不衛生な水の使用を余儀なくされている中、安定した水供給を確保するため、深井戸建設を行う。
・マダガスカル「南部地方給水計画」
【96年度実績額:7.64億円、97年度実績額:7.67億円】
年間降水量が400mm〜600mmと少ない南部地区において、良質な飲料水を安定的に供給するために給水施設の建設を行う。
・マラウィ「ムジンバ西地区給水計画」
【96年度実績額:0.74億円、97年度実績額:3.59億円、98年度実績額:9.90億円】
乾期における水資源枯渇等による安全な生活用水供給のため、地下水を開発する一環として深井戸を建設する。
・マリ「コロフィナ地区給水計画」
【96年度実績額:0.82億円、97年度実績額:11.74億円、98年度実績額:9.45億円】
近年、生活用水の不足が生じているマリの首都バマコにおいて、需要水量に応えるための給水設備を整備し、安定的な飲料水を供給する。
・モザンビーク「ガザ州村落飲料水供給計画」
【96年度実績額:5.60億円及び2.93億円】
年間降水量が400〜500mm程度と雨量に乏しいガザ地区において、井戸及び関連施設の建設並びに井戸掘削に必要な機材を購入する。
・モーリタニア「ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」
【98年度実績額:6.99億円】
半乾燥地帯に位置し、不衛生な水の使用を余儀なくされている中、安定した水供給を確保するため、深井戸建設を行う。
(6)森林保全・植林
降水量の減少、人口増加、過放牧等による森林面積の減少から砂漠化が進行し、これに対して、我が国は、苗木生産体制の確立のための技術者養成、苗畑の整備等への協力を行っている。また、砂漠化を防止する観点から、既存の森林を管理すべく計画を策定し、調査を行っており、ひいては、地域住民の生活に資することを目的としている。さらに、持続可能な森林経営を現場レベルで実践・検証するモデル森林の取組を推進する国際会議を開催した。
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・ガーナ「移行帯地域森林保全管理計画調査」
【96年度実績額:0.18億円、97年度実績額:1.23億円、98年度実績額:未集計】
ガーナ北部のサバンナ地域と南部の森林地帯の中間部分である移行帯地域の森林保全を対象として、同地域のサバンナ化を防止するための持続的な森林管理計画に関する調査を実施する。
・ケニア「社会林業訓練計画フェーズ2」
【96年度実績額:1.99億円、97年度実績額:1.31億円、98年度実績額:未集計】
人口増加による薪炭資源の枯渇に対応するため、苗木生産体制の確立と社会林業の発展に必要な技術者養成を目指し、地方住民の生活水準向上を目指す。
・ケニア「半乾燥地社会林業普及モデル開発計画」
【97年度実績額:0.59億円、98年度実績額:未集計】
半乾燥地において住民による農地林の造成を通じて社会林業普及モデルの開発を目指す。
・セネガル「苗木育成場整備計画」
【96年度実績額:3.25億円】
降水量の減少等による森林面積の減少に対し、優良な苗木を生産するため、国営苗畑を整備する。
・セネガル「第三次苗木育成場整備計画」
【98年度実績額:7.39億円】
降水量の減少等による森林面積の減少に対し、優良な苗木を生産するため、国営苗畑を整備する。
・タンザニア「キリマンジャロ村落林業計画フェーズ2」
【96年度実績額:1.34億円、97年度実績額:0.02億円、98年度実績額:未集計】
タンザニアにおける村落林業の推進に資するため、半乾燥地における社会林業活動に必要な造林及び普及にかかる技術の開発・改良を行う。
・ベナン「北部保存林森林管理計画調査」
【97年度実績額:0.24億円、98年度実績額:未集計】
ベナンにおいて降水量の少ない北部地域のサバンナ化を防止するため、北部の保存林を対象として、森林に係る基礎情報の整備と森林管理計画策定に係る調査を実施する。
・ニジェール「カレゴロ緑の推進協力プロジェクト」
【96年度実績額:940万円、97年度実績額:630万円、98年度実績額:730万円】
適切な砂丘固定技術の開発、定着、地域住民を巻き込んでの植林活動の展開、苗畑の整備、地域住民に対するアグロフォレストリーの普及啓蒙等を行う。
・タンザニア「緑の推進協力プロジェクトフェーズ2」
【96年度実績額:838万円、97年度実績額:630万円】
植林及び関連野菜・果樹の栽培技術指導等アグロフォレストリーを中心とした協力を行う。
・セネガル「緑の推進協力プロジェクトフェーズ2」
【96年度実績額:683万円、97年度実績額:835万円、98年度実績額:741万円】
セネガルにおける植林等緑の増進を図るため、技術指導、普及活動を通じて地域住民、組織の啓蒙活動を行い、もって農村等地域住民の生活向上に寄与する。
・マリ、イエメン「砂漠化地域森林復旧技術指針策定調査事業」
【96年度実績額:0.42億円】
砂漠化の進行地域において、森林の生育条件、森林復旧対策事例等の調査、技術実証造林等を通じ、アグロフォレストリー手法を含む、森林復旧のための施行技術指針を作成。
・アフリカを含む開発途上国「持続可能な森林経営広域実証プロジェクト(モデル森林)推進会議開催」
【96年度実績額:0.21億円、97年度実績額:0.21億円】
関係各国、国際機関のハイレベル森林専門家の参加による国際会議(シンポジウム等)を開催し、モデル森林に係わる科学的、技術的知見を交換し、モデル森
林のネットワークを推進するための取組を展開する。
(7)農業開発
乾燥、半乾燥、乾燥半湿地域では、降水量が少なく、その変動が激しいので、天水に依存する農業がしばしば干ばつによる被害を蒙る傾向にある。このため、安定した水供給を確保し、農業生産を行えるようにするために、地下水の開発や処理済下水の有効利用等の水資源の確保や水路の改修等を通した灌漑施設を整備するための協力を行い、地域住民の定住、生活向上に努めている。
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・エジプト「バハル・ヨセフ灌漑用水路整備計画」
【96年度実績額:14.24億円】
砂漠性気候のため降雨量がほぼ皆無であるエジプトにおいて、ナイル川沿岸の可耕地における灌漑施設を整備するため、用水路整備を行うもの。
・エジプト「第二次アレキサンドリア市廃棄物処理改善計画」
【96年度実績額:9.00億円、97年度実績額:10.80億円】
廃棄物減量とともに、農業生産拡大のために、コンポストプラント(廃棄物から有機物を抽出し土壌改良材・肥料を生産する施設)の増設を行う。
・テュニジア「南部オアシス地域灌漑計画」
【96年度実績額:81.06億円】
テュニジア南部のステップ地帯において、オアシス水源の効率的使用・節水、地下水保全、塩害防止等のために、灌漑末端水路の改修、排水路整備等を行う。
・テュニジア「グベラート灌漑計画」
【96年度実績額:26.37億円】
テュニジア北部のグベラート地区に灌漑施設を整備し、乾期においても安定した農業生産を行う。
・テュニジア「処理済下水利用灌漑計画」
【97年度実績額:17.07億円】
干ばつによる被害に対し、農業生産の拡大を図るため、処理済下水を利用した灌漑施設の整備を行う。
・テュニジア「バルバラ灌漑計画」
【97年度実績額:19.13億円】
乾期における農業生産を可能とするために、灌漑施設を整備し、穀物等の農業生産を拡大する。
・テュニジア「南部オアシス地域灌漑施設整備計画」
【96年度実績額:0.10億円】
同国南部地区に位置するオアシスにおける地下水の有効利用を図るために、その灌漑施設の整備を目指すべく調査を行う。
・モロッコ「ウェルガ川流域農村開発計画」
【96年度実績額:3.30億円、97年度実績額:3.85億円】
近年干ばつが著しく、主要作物の生産が落ち込み、また、砂漠化防止対策のために、ダム・灌漑建設を建設する。
・ケニア「バリンゴ県半乾燥地域地方開発計画調査(M/P)」
【98年度実績額:未集計】
バリンゴ地域において、小規模農家の生活向上のためのインフラ整備、制度作り等に関する計画を住民参加の視点を含めつつ策定する。
・ニジェール「ティラベリ県砂漠化防止計画調査」
【97年度実績額:1.35億円、98年度実績額:未集計】
灌漑農業のポテンシャルの高いニジェール川流域のうち、人口の集中している同県において、持続可能な農牧林業開発や生活改善に係る具体的な計画を策定し、砂漠化の防止を図る。
・ニジェール「第二次ウアラム農村復興開発計画」
【96年度実績額:4.27億円、97年度実績額:2.68億円】
干ばつによる被害、砂漠化による農村の荒廃に対し、生活用水の安定的確保及び乾期灌漑農業を目的として、小規模灌漑施設を建設する。
・マラウィ「ブワンジェバレー灌漑開発計画」
【96年度実績額:0.45億円、97年度実績額:3.59億円、98年度実績額:3.30億円】
年間降水量が600mm〜900mmで干ばつの被害を受けやすいブワンジェバレー地区において、灌漑施設の整備を行う。
(8)多様なエネルギー源の開発及び効率的利用
開発途上国には未電化村落が存在し、特に都市から離れた農村地域や山岳等の未電化地域には、将来的に送配電線の配備の計画がなされていない状況にある。また、エネルギー源の確保を行うに際し、砂漠が進行しているような地域では、一般的に太陽エネルギーが豊富であり、太陽光発電を中心とした代替エネルギー源の開発に努めているところである。
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・ジンバブエ「太陽光発電地方電化計画調査」
【96年度〜97年度:204,453千円】
ジンバブエの地方電化を促進するため、UNDPのプロジェクトによりこれまで実施されてきた太陽光発電普及計画の基盤を基に、太陽電池(PV)を試験設置し、その実証試験結果を元にさらに効率的に電化を推進するための施策を提言するもの。
・カメルーン「小水力発電による地方電化開発調査」
【97年度〜98年度:165,052千円】
小水力発電候補地点の現地調査を行い、技術的・経済・環境的側面を含めた包括的評価により地方電化計画を策定し、必要とする施設に係るF/S調査を行うもの。
・セネガル「太陽光発電地方電化促進計画調査」
【99〜2001年度:金額未定】
セネガルの地方電化を促進するため、太陽電池(PV)を試験設置し、その実証試試験結果を元にさらに効率的に電化を推進するための施策を提言するもの。
(9)能力形成、普及啓発
各国の砂漠化に対処するための科学技術的能力の向上や地域住民に対する農林業及び水資源の活用を目的として、被影響開発途上国の研究者、行政担当者、地域住民に対する研修を行っている。
また、我が国における砂漠化問題の普及啓発、ひいては、NGO、企業等の取組を通じた被影響国への砂漠化対処技術の普及を目的として、シンポジウムを開催した。
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・鳥取大学乾燥地研究センターにおける研修活動
鳥取大学乾燥地研究センターでは、ケニア、セネガル等の外国人研修員に対して講義,実験等による研修を実施している。
・砂漠化研究国際シンポジウム
我が国における砂漠化問題の普及啓発、砂漠化に関する知見の向上、ひいては、NGO、企業等の活動を通じた被影響国への砂漠化対処方策の普及を目的として、99年3月に国内外の研究者、NGO等を招き、シンポジウムを開催し、砂漠化研究及び対策を紹介した。
・研修員実績
水資源開発及び農林業開発に関して、行政担当者や住民代表等を対象として本邦への研修員受入や第二国・第三国研修を行っている。
【96年度実績:208人、97年度実績:215人、98年度実績:未集計】
・専門家派遣
水資源開発及び農林業開発に関して、行政担当者や住民代表等を対象として本邦から専門家を派遣している。
【96年度実績:74名、97年度実績:55名、98年度実績:未集計】
(10)開発と女性
砂漠化の進行、森林面積の減少に対処するため、一般的に女性の労働である水汲みの負担を解放する観点から井戸の掘削に対する援助や農作業での負担を軽減するための野菜栽培等に対する援助を実施することで、女性の地位向上につながるとともに、土地浸食の防止や水供給の確保が可能となり、砂漠化の進行に対する生活水準の維持に努めることができるようになる。
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・ブルキナ・ファソ「ギニアウォーム撲滅対策飲料水供給計画」
【98年度実績額:7.39億円】
半乾燥地帯に位置し、不衛生な水の使用を余儀なくされている中、安定した水供給を確保するため、深井戸建設を行う。
・モザンビーク「ガザ州村落飲料水供給計画」(2件)
【96年度実績額:5.60億円及び2.93億円】
年間降水量が400〜500mm程度と雨量に乏しいガザ地区において、井戸及び関連施設の建設並びに井戸掘削に必要な機材を購入する。
・「女性の地位向上支援フォーラム(ローカルNGO)」がエティオピアで行った女性による農林業・環境保全事業の実施
【98年度実績額:670万円】
森林の減少が見られ、砂漠化現象に対処するため、苗木及び野菜の栽培を行うことで、短期的には女性の地位向上、長期的には土地浸食・地味の低下防止等を目指す。
(11)砂漠化関係の調査・研究
各国、各地域に応じた効果的な砂漠化対処対策を進めるために必要な知見を得ることを目的として、土壌保全、水資源の保全、農業開発、社会経済的手法等、広範な調査・研究を実施している。その際、各国の研究者、地域住民等の参加を得て調査を実施することにより、技術移転、普及啓発にも貢献している。
我が国では、鳥取大学乾燥地研究センターを中心とした研究、「地球環境研究総合推進費」による砂漠化関連研究、その他の各種調査研究が実施されている。
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○鳥取大学乾燥地研究センターにおける研究
鳥取大学乾燥地研究センターは、乾燥地の砂漠化防止及び開発利用に関する基礎的研究を行うために設置された我が国唯一の研究機関であり、常時世界各国から数多くの研究者が参画し、国内外において研究活動が行われている。なお、同センターにおける個々の調査研究については予算額を特定できない。
・ニジェール、ガーナ、ケニア、イラン、中国「乾燥地の灌漑農業における砂漠化防止に関する総合調査研究」
各国現地研究者と共同して、灌漑農法に起因する砂漠化機構の解明、砂漠化と地理情報システムの構築,効率的な灌漑法の構築等を行った(1995年〜1995年)。
・スーダン「農地の砂漠化とその防止」
スーダン農業研究機構の研究者を招へいし、アリドドーム実験施設等を用いた基礎実験を1994年から実施するとともに、共同のプロジェクト研究を1997年から実施している。
○「地球環境研究総合推進費による砂漠化関連研究の推進」
【96年度:131,771千円、97年度:121,840千円、98年度:85,966千円】
環境庁の地球環境研究総合推進費による、国立試験研究機関、大学等における様々な分野の研究者の総力を結集して、政府一体となった、学際的、国際的な観点から地球環境研究を推進している。このうち、汎用性のあるものとして次のような調査・研究を行っている。また、99年度よりアフリカ地域を対象とする研究を実施する予定である。
・「砂漠化防止対策の適用効果の評価手法の開発に関する研究」(農業環境技術研究所)
【96年度:65,487千円、97年度:57,897】
放牧地の環境容量評価モデルの開発、砂漠化地域総合開発モデルの開発及び 砂漠化防止のための要素技術の実証試験等を実施した。
・塩類集積土壌の回復手法の確立に関する研究(国際農林水産業研究センター)【96年度:66,284千円、97年度:63,943千円、98年度:38,144千円】
塩類集積土壌の回復のための灌漑、土壌改良等の開発研究を実施した。
・「持続的土地利用のための砂漠化防止技術適用に関する実証的研究」(農業環境技術研究所)
【98年度:39,018千円】
中国北部における土地利用計画の検討や西オーストラリアにおける植生回復試験等の実施を通じ、砂漠化対策技術の評価及び持続可能な土地利用計画のあり方の検討を行っている。
・「砂漠化研究の総合化と砂漠化防止技術の体系化に関する研究」(国立環境研究所)
【98年度:8,804千円】
砂漠化防止技術及び研究に関する情報を収集し、その整理、体系化等を実施している。
○その他
・「地下水有効利用のためのモデル事業」
【96年度79,740千円、97年度135,544千円、98年度:150,488千円、99年度:74,012千円】
ブルキナ・ファソに設置した地下ダム等の実証施設を利用し、被影響国での環境に配慮した地下水の有効利用等の砂漠化対策に関する科学技術面、社会経済面での知見・情報を得るための調査を行っている。
・「砂漠化対処条約支援調査」
【96年度12,866千円、97年度:13,097千円、98年度:13,105千円、99年度:31,642千円】
科学技術委員会及び地域行動計画策定を支援するため専門家の知見の集積。
・ニジェール、ブルキナ・ファソ、マリ「砂漠化防止等環境保全対策調査」
【96年度:420,058千円、97年度:434,201千円、98年度:414,623千円、98年度:476,781千円】
西アフリカサヘル地域を対象として、現地に設けた実証ほ場における調査を通じて、広範に普及可能な持続的農業の技術体系を確立し、当該地域における砂漠化防止に資する調査を1990年から実施している。
・「農地・土壌侵食防止対策基礎調査」
【96年度:21,317千円、97年度:21,359千円、98年度:21,359千円、99年度:98,203千円】
土壌侵食の被害が大きい地域を対象として、被害と対策の現状を把握するとともに、モデル地域を設定し、現地に適用可能な土壌侵食防止対策の技術体系の確立する調査を1995年から実施している。
・「農地水資源管理モニタリングシステム構築調査」
【96年度:113,224千円、97年度:111,616千円、98年度:111,196千円、99年度:100,076千円】
衛星画像データとGIS技術を応用し、植生の減少、塩類集積等の広範囲に拡がる砂漠化の要因を一度に把握することができるモニタリングシステムを構築する調査を1994年から実施している。
(12)NGO活動等の支援
砂漠化や干ばつによる被害に対処するため、我が国は、草の根無償資金協力、NGO事業補助金により、我が国のNGOやローカルNGOの活動に対する資金協力を行っている。また、環境事業団に設置された地球環境基金により民間と共同で支援を行っていいるほか、郵便局で提供する国際ボランティア貯金では預金者からの寄付金を基にした支援等を行っている。具体的な分野としては、植林や苗床整備といった森林保全分野、野菜栽培、アグロフォレストリー等の農業開発、地域住民による営農や生活水準の向上のために必要な水資源の確保といった分野に対して協力している。また、(財)国際緑化推進センター等では、我が国のNGOが開発途上国で行う植林プロジェクトに対する支援も行っている。
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○草の根無償資金協力による主な支援例
開発途上国の多様な援助ニーズに的確かつ迅速に対応する必要性等から、開発途上国の地方公共団体、医療機関及び途上国において活動しているNGO等が実施する比較的小規模なプロジェクトに対し、当該国の諸事情に精通している我が国の在外公館が中心となって資金協力を行うものであり、平成元年度に小規模無償資金協力(平成7年度から草の根無償資金協力)として創設された。96年度〜98年度に砂漠化防止の観点からアフリカ地域に行われた活動は以下のとおり。
・「カンブ村青年会(ローカルNGO)」
セネガルで行ったアグロフォレストリー開発計画の実施
【96年度:4,280千円】
深刻な砂漠化に対処するため、植樹林による日陰で土地の乾燥化を防ぎつつ、農業、畜産業を営むアグロフォレストリーを実施する。
・「グループ”ルワッシュ”(ローカルNGO)」
モーリタニアで行った植林野菜栽培計画の実施
【96年度:3,830千円】
植林のための苗床を整備し、砂漠化が進む中でも耕作地を確保できるようにし、また、野菜栽培も行い、生活環境、植林事情の改善を図る。
・「マブロク・アティラ組合(ローカルNGO)」
モーリタニアで行った植林野菜栽培計画の実施
【96年度:1,340千円】
植林のための苗床を整備し、砂漠化が進む中でも耕作地を確保できるようにし、また、野菜栽培も行い、生活環境、植林事情の改善を図る。
・「デュオリ地域青年開発協会(ローカルNGO)」
ガーナで行った灌漑ダム建設計画の実施
【97年度:8,460千円】
干ばつによる被害に対処するため、雨期中の降雨を貯水し、右を乾期中にダム付近で行われる農業に役立てる。
・「サコティ開発委員会(ローカルNGO)」
ガーナで行った灌漑ダム建設計画の実施
【97年度:9,770千円】
干ばつによる被害に対処するため、雨期中の降雨を貯水し、右を乾期中にダム付近で行われる農業に役立てる。
・「村落開発協議委員会(ローカルNGO)」
セネガルで行ったアグロフォレストリー計画の実施
【97年度:4,510千円】
深刻な砂漠化に対処するため、植樹林による日陰で土地の乾燥化を防ぎつつ、農業、畜産業を営むアグロフォレストリーを実施する。
・「ン・ビタンヌ村農業畜産協同組合(ローカルNGO)」
モーリタニアで行った自然環境復元計画の実施
【97年度:2,410千円】
野菜畑を取り囲むように防風林・防砂林を設けて野菜栽培を充実させ、村民生活状況の改善を目的とする。
・「女性の地位向上支援フォーラム(ローカルNGO)」
エティオピアで行った女性による農林業・環境保全事業の実施
【98年度:6,700千円】
森林の減少か見られ、砂漠化現象に対処するため、苗木及び野菜の栽培を行うことで、短期的には女性の地位向上、長期的には土地浸食・地味の低下防止等を目指す。
・「緑のサヘル(日本のNGO)」
ブルキナ・ファソで行った植林活動用運搬車供与
【98年度:4,620千円】
ブルキナ・ファソ北部で植林活動を実施するため、資材を運搬するための車の供与を行う。
○NGO事業補助金による助成
NGOによる開発協力活動は、途上国国民の自立を促し、草の根レベルでの協力を実施でき、柔軟、迅速かつきめ細かい対応が可能となる等国民参加による開発協力の推進に重要な役割を果たしている。本事業は、我が国のNGOが途上国で行う開発協力活動に対し、その事業の一部を補助する制度である。96年度〜98年度に砂漠化防止の観点からアフリカ地域で行われた活動は以下のとおり。
・「緑のサヘル」
チャードで行った育苗所への支援
【97年度:1,970千円、98年度:2,100千円】
森林破壊による砂漠化が進行し、住民の生活環境が脅かされている同地域において、農民組合が自ら運営する小規模育苗所への支援を行い生活圏内で積極的に緑を増やすことで住民の生活安定と環境保全、自然生態系の復元に資する。
・「緑のサヘル」
ブルキナ・ファソで行った野菜栽培の普及に対する支援
【98年度:2,000千円】
森林破壊による砂漠化が進行し、住民の生活環境が脅かされている同地域において、野菜栽培の普及と植生保護活動を行うことによって住民の生活安定と環境保全、自然生態系の復元に資する。
○地球環境基金によるNGO支援
環境事業団に設けられた地球環境基金により、環境保全活動を行うNGOへの支援を行っている。96年度〜98年度において、アフリカ地域を対象とした活動は以下のとおり。
【96年度:32,800千円(7件)、97年度:26,500千円(6件)、98年度:32,500千円(6件)】
・「アフリカ日本協議会」
サブサハラアフリカで行った砂漠化(土壌劣化)防止と生活自立についての調査等
【96年度:5,000千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリで行ったバブグー村及び周辺地域環境整備
【96年度:4,000千円】
・「緑のサヘル」
チャード(シャリ・バギルミ州)で行った砂漠化防止活動
【96年度:5,500千円】
・民間アフリカ救護団体「ミコノの会」
ケニア(東北地方ガリッサ県)で行ったプロソフィス樹による裸地植林事業
【96年度:5,000千円】
・「アフリカ教育基金の会(AEF)」
ソマリア南部で行った戦争被災地における環境保全事業
【96年度:5,000千円】
・「SAVE AFRICA PROJECT アフリカ村おこし運動」
ザイール(シャバ州・ルブンバシ市)で行った環境技術研究研修センターの建設
【96年度:3,800千円】
・「(財)緑の地球防衛基金」
タンザニアで行ったキリマンジャロ山麓における植林活動
【96年度:4,500千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリ(クーラ郡)で行った砂漠化防止のための環境保全活動
【97年度:5,000千円】
・「(社)農業土木学会」
乾燥地域における塩類集積及び砂漠化防止のための適正な資源管理方法の研究
【97年度:4,000千円】
・民間アフリカ救援団体「ミコノの会」
ケニア(コースト州タナリバー県)で行った裸地でのプロソフィス植林事業
【97年度:5,000千円】
・「(財)緑の地球防衛基金」
タンザニアで行った住民グループによる村落植林活動の支援及びネットワーク化の支援
【97年度:4,000千円】
・「チーム トゥデイ アンド トゥモロウ」
エチオピア南ウォロ地域ケレラ地区環境保全及び農村開発事業
【97年度:4,000千円】
・「I.C.D.C.神戸」
ルワンダ等における環境回復のための緑化と環境保全型農業の推進活動
【97年度:4,500千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリ(クリコロ県クーラ郡及びシラコローラ郡)で行った環境保全活動
【98年度:6,100千円】
・「砂漠に緑を育てる会」
ジブチで行った砂漠等乾燥地の緑化と農業生産環境整備
【98年度:4,100千円】
・民間アフリカ救援団体「ミコノの会」
ケニア(コースト州タナリバー県)で行った裸地でのプロソフィス植林事業
【98年度:5,100千円】
・「日本ハンガー・プロジェクト」
ガーナ(ヴォルタ地)で行った植林活動
【98年度:6,100千円】
・「(財)緑の地球防衛基金」
タンザニアで行った住民植林活動とそのネットワークづくりの支援
【98年度:4,600千円】
・「チーム・トゥデイ・アンド・トゥモロウ」
エチオピア(南ウォロ地域ケレラ地区)で行った環境保全及び農村開発事業
【98年度:6,500千円】
○国際ボランティア貯金によるNGO支援
全国約24,600の郵便局で誰でも手軽に参加できる国際ボランティア貯金は、寄附された通常郵便貯金の利子を、民間海外援助団体(NGO)を通じて、開発途上地域の住民の福祉の向上のために活用することにより、国民参加の民間レベルでの海外援助の充実に資することを目的として、1995年1月から取扱いを開始。これまでの8年間で、アフリカ地域(26か国)で活動するNGOに対し、延べ284事業、約30億7千万円を配分。96年度〜98年度の支援のうち砂漠化の対処に関連する活動は次のとおり。
・「(社福)基督教児童福祉会」
エティオピア(アジスアベバ)で行ったストリートチルドレンに対する職業訓練、衣服・給食の支給
【96年度:3,620千円】
・「日本国際飢餓対策機構」
エティオピアで行った農耕用家畜の巡回診療、家畜病害の媒介虫(ツェツェバエ)の防除、住民の自立のための製粉所の建設
【96年度:6,405千円】
・「日本国際ボランティアセンター」
エティオピアで行った森林保護のための植林、育苗場の設置、住民の生活用水確保のための井戸掘り
【96年度:7,039千円】
・「世界の子どもたちに学校を贈ろう会」
ガーナ(アクラ)で行った女性のための職業訓練所の建設・運営
【96年度:8,128千円】
・「(財)家族計画国際協力財団」
ガーナで行った女性・児童を中心とした保健衛生の改善指導(保健衛生指導、保健指導員の育成等)、診療、トイレの設置
【96年度:5,705千円】
・「ICA文化事業協会」
ケニアで行った女性に対する家畜飼育指導
【96年度:5,557千円】
・「アフリカ児童教育基金の会」
ケニアで行った学校に対する教科書の配布、子供に対する診療、職業訓練所の運営
【96年度:10,889千円】
・「ミコノの会」
ケニア(ガリッサ県)で行った小学校の建設、孤児に対する奨学金支給、裸地緑化のための植林、女性に対する縫製技術指導、巡回診療等
【96年度:16,473千円】
・「Jua Salamaスラムの女性を支援する会」
ケニア(ナイロビ)で行った女性のための洋裁技術指導、洋裁学校の運営
【96年度:3,179千円】
・「(社福)国際視覚障害者援護協会」
ケニア(国内招へい)を対象に行った鍼・灸・マッサージ技術者の育成
【96年度:1,686千円】
・「SAVE AFRICA PROJECT アフリカ村おこし運動」
ザイール(シャバ州)で行った農民のための農業技術研修センターの備品(机・椅子・研修用器具)の配備
【96年度:7,731千円】
・「ICA文化事業協会」
ザンビアで行った農村の青年に対する職業訓練(溶接技術・木工技術)
【96年度:5,162千円】
・「難民を助ける会」
ザンビアで行ったザイール難民に対する環境保全のための植林、木炭製造指導、輸送手段確保のためのリヤカー製造指導
【96年度:8,400千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
ザンビアで行った飲料水確保のための井戸掘り、井戸補修技術者の育成、住民に対する保健衛生教育
【96年度:5,089千円】
・「砂漠に緑を育てる会」
ジブティで行った砂漠化防止のため植林、農業技術指導
【96年度:4,970千円】
・「南部アフリカの教育を支える会」
ジンバブエで行った女性に対する識字教育、職業訓練、生活共同組合の運営
【96年度:3,995千円】
・「(財)家族計画国際協力財団」
タンザニアで行った女性・児童を中心とした保健衛生の改善指導(保健衛生指導、保健指導員の育成、寄生虫予防指導等)
【96年度:7,841千円】
・「地球緑化の会」
タンザニアで行った環境保全のための植林、環境回復型モデル農場の建設、農業技術指導
【96年度:4,462千円】
・「緑のサヘル」
チャード(シャリ・バギルミ州)で行った森林保全のための植林、育苗センターの整備、農民に対する農業技術指導等
【96年度:17,681千円】
・「日本ブルキナファソ友好協会」
ブルキナ・ファソで行った農民のための医薬品の配布、小学校の建設
【96年度:4,943千円】
・「ラバックジャパン」
マダガスカルで行った住民に対する生活改善指導、職業訓練(縫製)、医療施設の整備
【96年度:7,544千円】
・「ボランティア サザンクロスジャパン協会」
マダガスカルで行った育苗センターの整備、住民に対する植林技術・野菜等栽培技術指導、環境保全指導
【96年度:6,486千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリ(クリコロ県)で行った住民に対する保健衛生指導、識字教育、井戸掘り、マラリア予防薬投与、食糧確保のための野菜園の造成等
【96年度:6,380千円】
・「マザーランド・アカデミー」
マリ(バマコ)で行った女性のための職業訓練所(洋裁等)の運営、砂漠化防止のための植林場建設、井戸掘り、農場の整備
【96年度:14,797千円】
・「サヘルの会」
マリで行った砂漠化防止のための植林、住民に対する農業技術指導、識字教育 【96年度:4,857千円】
・「SAVE THE AFRICA」
モーリタニアで行った防砂ネットの設置、砂漠化防止のための植林、車両の配備、車両整備技術指導
【96年度:7,920千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
ルワンダで行った内戦被災農民に対する農機具・種子・家畜の配布、農業技術指導、農業用倉庫の整備
【96年度:4,972千円】
・「日本国際ボランティアセンター」
南アフリカで行った住民に対する生活改善・地域開発指導、生活改善指導員の育成
【96年度: 6,851千円】
・「(社福)基督教児童福祉会」
エティオピア(アジスアベバ)で行ったストリートチルドレンに対する衣服・給食の支給及び職業訓練
【97年度:3,523千円】
・「日本国際飢餓対策機構」
エティオピアで行った住民の飲料水確保のための井戸掘り、衛生施設の建設及び保健衛生指導、緑化・土壌保全のための育苗
【97年度:8,384千円】
・「日本国際ボランティアセンター」
エティオピアで行った森林保護のための植林、育苗場の整備
【97年度:7,565千円】
・「世界の子どもたちに学校を贈ろう会」
ガーナ(アクラ)で行った女性のための職業訓練所の建設・運営 【96年度:6,811千円】
・「日本ハンガー・プロジェクト」
ガーナで行った農民に対する農業技術(野菜栽培)指導、井戸掘り
【96年度:4,985千円】
・「アフリカ児童教育基金の会」
ケニアで行った子供に対する診療、診療所・職業訓練所の運営
【96年度:7,720千円】
・「アフリカゾウ国際保護基金日本」
ケニアで行っ女性のための縫製教室の建設、縫製技術指導、識字教育
【96年度:2,268千円】
・「Jua Salamaスラムの女性を支援する会」
ケニア(ナイロビ)で行った女性のための洋裁技術指導、洋裁学校の運営
【97年度:3,304千円】
・「ICA文化事業協会」
象牙海岸で行った青少年に対する職業訓練(整髪、洋裁、織物)
【97年度:4,269千円】
・「ICA文化事業協会」
ザンビアで行った農村の青年に対する職業訓練(溶接技術・木工技術・養鶏技術)
【97年度:5,270千円】
・「難民を助ける会」
ザンビアで行った難民に対するリヤカー製造、建築技術指導
【97年度:5,418千円】
・「徳島で国際協力を考える会」
ザンビアで行った貧困地区に暮らす子供の栄養改善(野菜・ニワトリ銀行の運営)
【97年度:3,088千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
ザンビアで行った飲料水確保のための井戸掘り、井戸補修技術者の育成、住民に対する保健衛生教育
【97年度:4,346千円】
・「砂漠に緑を育てる会」
ジブティで行った砂漠化防止のため植林、農業技術指導
【97年度:5,275千円】
・「南部アフリカの教育を支える会」
ジンバブエで行った女性に対する識字教育、職業訓練、生活共同組合の運営
【97年度:3,317千円】
・「アフリカ教育基金の会」
タンザニアで行ったザイ−ル難民のための給食支給、栄養改善指導
【97年度:6,463千円】
・「地球緑化の会」がタンザニアで行った環境保全型モデル農場の整備、農場管理指導
【97年度:3,828千円】
・「緑のサヘル」
チャード(シャリ・バギルミ州)で行った森林保全のための植林、育苗センターの整備、農民に対する農業技術指導等
【97年度:13,658千円】
・「(財)自然環境研究センター」
マダガスカルで行った自然保護区の施設改修・整備・運営
【97年度:2,901千円】
・「ラバックジャパン」
マダガスカルで行った住民に対する伝統工芸(木工品)製作機材の配備及び製作技術指導、植林
【97年度:4,725千円】
・「ボランティア サザンクロスジャパン協会」
マダガスカルで行った育苗センターの整備、住民に対する植林技術・野菜等栽培技術指導、環境保全指導
【97年度:4,597千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリ(クリコロ県)住民に対する保健衛生指導、識字教育、井戸掘り、野菜園の造成等
【97年度:6,315千円】
・「サヘルの会」
マリで行った砂漠化防止のための植林、住民に対する農業技術指導、識字教育
【97年度:3,885千円】
・「SAVE THE AFRICA」
モーリタニアで行った砂漠化防止のための砂防ネットの設置及び植林、車両整備技術指導
【97年度:6,475千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
ルワンダで行った内戦被災農民に対する農機具・種子の配布、農業技術指導、農業用倉庫の整備。
【97年度:7,649千円】
・「日本国際飢餓対策機構」
エティオピアで行った住民の飲料水確保のための井戸掘り、衛生施設の建設、保健衛生指導、緑化・土壌保全のための育苗。
【98年度:11,897千円】
・「日本国際ボランティアセンター」
エティオピアで行った森林保護のための植林
【98年度:7,123千円】
・「オアシス・ガ−ナ友の会」
ガーナで行ったモデル農場の運営のための井戸掘り、野菜・綿栽培技術指導
【98年度:902千円】
・「ミコノの会」
ケニア(ガリッサ県)で行った小学校の建設、備品・教材の配布、女性に対する縫製技術指導、巡回診療等
【98年度:18,921千円】
・「アフリカゾウ国際保護基金日本」
ケニア(コースト州)で行った女性のための縫製技術指導、識字教育等
【98年度:2,621千円】
・「Jua Salamaスラムの女性を支援する会」
ケニア(ナイロビ)で行った女性のための洋裁技術指導、洋裁学校の運営
【98年度:3,210千円】
・「ICA文化事業協会」
象牙海岸で行った青少年に対する職業訓練(裁縫、織物)、識字教育
【98年度:4,166千円】
・「SAVE AFRIKA PROJECT アフリカ村おこし運動」
コンゴ−民主共和国で行った農業技術指導のための農場用車両の配備、保管倉庫の建設
【98年度:4,426千円】
・「徳島で国際協力を考える会」
ザンビアで行った都市の生活困窮者居住地区の子供のための栄養改善、ニワトリ銀行の運営等
【98年度:4,262千円】
・「ICA文化事業協会」
ザンビアで行った農村の青年に対する職業訓練(溶接・木工・養鶏・レンガ工技術指導)、農業技術指導
【98年度:6,936千円】
・「砂漠に緑を育てる会」
ジブティで行った砂漠化防止のため植林、農業技術指導
【98年度:6,046千円】
・「地球緑化の会」
タンザニアで行った環境保全型モデル農場の整備、農場管理指導
【98年度:6,595千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
タンザニアで行った飲料水確保のための井戸掘り、井戸補修技術者の育成、農業技術指導、農業用種子・肥料の配布
【98年度:11,492千円】
・「緑のサヘル」
チャード(シャリ・バギルミ州)で行った森林保全のための植林、育苗センターの整備、農民に対する農業技術指導等
【98年度:13,406千円】
・「日本ハンガー・プロジェクト」
ブルキナ・ファソで行った農民に対する農業技術指導、家畜飼育指導、識字教育
【98年度:8,216千円】
・「ボランティア サザンクロスジャパン協会」
マダガスカルで行った育苗センターの整備、住民に対する植林技術・野菜等栽培技術指導、環境保全指導
【98年度:6,532千円】
・「カラ=西アフリカ農村自立協力会」
マリ(クリコロ県)で行った住民に対する保健衛生指導、識字教育、井戸掘り、トイレの建設、野菜園の造成等
【98年度:8,133千円】
・「サヘルの会」
マリで行った砂漠化防止のための植林・苗の配布
【98年度:1,681千円】
・「SAVE THE AFRICA」
モーリタニアで行った砂漠化防止のための砂防ネットの設置、植林、車両整備技術指導
【98年度:8,198千円】
・「ワールド・ビジョン・ジャパン」
ルワンダで行った内戦被災民に対する職業訓練、識字教室、学用品等の支給、カウンセリングの実施
【98年度:10,213千円】
○(財)国際緑化推進センターを通じた我が国のNGO支援
(財)国際緑化推進センターを通じて、我が国のNGOが開発途上国で行う植
林プロジェクトに対し、事前調査への支援、カウンターパートの受け入れや専門家派遣による技術指導等を行っている。
・アフリカを含む開発途上国「世界緑化民間活動支援事業」
【96年度実績:0.93億円、97年度実績:1.51億円、98年度実績:1.51億円】
世界緑化の普及啓発、緑化技術者の育成、緑化NGO支援及び我が国民間企業等の資金協力による国際民間協力の森造成を支援する事業の実施。
○(社)国際農林業協力協会を通じた我が国のNGO支援
(社)国際農林業協力協会を通じて、我が国のNGOの海外での農林業協力活動現場 に専門家派遣等を行う。
・アフリカを含む開発途上国「NGO等農林業協力推進事業」
【96年度実績:0.85億円、97年度実績:0.91億円、98年度実績:0.85億円】
(例)マリ植林指導(サヘルの会)
2.国際機関等への拠出を通じた協力
国連機関その他の国際機関は、従来から様々な形で砂漠化対処の活動に関わってきており、我が国はこれらの国際機関への拠出等を通じ砂漠化対処のための協力を行っている。
ここでは、(1)砂漠化対処条約事務局、(2)国連環境計画(UNEP)
(3)国連食糧農業機関(FAO)、(4)世界食糧計画(WFP)、(5)国際農業開発基金(IFAD)、(6)国連開発計画(UNDP)、(7)世界気象機関(WMO)、(8)国連教育科学文化機関(UNESCO)、(9)国際農業研究協議グループ(CGIAR)、(10)国連工業開発機関(UNIDO)、
(11)国際復興開発銀行(世界銀行:IBRD)、(12)地球環境基金(GEF)、
(13)アフリカ開発銀行(AfDB)に対する我が国の協力について紹介することとする。
(1)砂漠化対処条約事務局
(i)我が国は、国連総会決議47/188により設立され、砂漠化対処条約事務局が管理する「信託基金」(注1)及び「特別ボランタリー基金」(注2)への拠出を通じ、開発途上国の締約国会議等への参加支援や条約事務局が主催する地域行動計画作成のための地域会合を初めとする種々の会合の開催支援等を積極的に行ってきた。我が国の94年以降の拠出総額は4,892千ドルで、世界第1位の貢献を行っている。96年度〜98年度の我が国の拠出額はそれぞれ次のとおり。
【96年度:887千ドル、97年度:1,076千ドル、98年度:1,800千ドル】
(ii)我が国が条約事務局を通じて行った主な支援は以下のとおり。
・砂漠化対処条約交渉委員会第10回会合への開発途上国参加支援:300千ドル
・アフリカ・アジア・グローバルNGOフォーラム(96年12月):57千ドル
・ニジェール国家行動計画(98年4月)及びモザンビーク国家行動計画(99年4 月):32千ドル
・アフリカ各国代表技術ワークショップ(98年4月):47千ドル
・砂漠化対処条約アジア・アフリカフォーラム(96年8月):109千ドル
・国別普及啓発セミナー(イラン、ミャンマー、パキスタン、モンゴル、ネパー ル、バングラデシュ、カンボジア、キューバ、パナマ、ホンデュラス、エルサ ルバドル):159千ドル
・アジア地域行動計画の作成:53千ドル
・砂漠化対処条約アジア大臣会合:54千ドル
・UNDP/SEED専門家会合(97年3月):45千ドル
・砂漠化対処条約第2回アジア・アフリカフォーラム(97年9月):202千ドル
・NGOのCOP2への参加支援:50千ドル
・砂漠化対処条約情報システム:60千ドル
・科学技術委員会(CST)に対する支援(既存のネットワークの調査・評価) :50千ドル
・LDCに対する制度的支援(トーゴー、ハイチ、キルギスタン、ウガンダ、マ ダガスカル、カンボジア、ミャンマー、ザンビア、タンザニア、アンゴラ):
161千ドル
・アフリカ小地域活動の支援(CILSS小地域フォーラム(97年7月)、早期 警戒システムに関するSADC会合(97年):106千ドル
・アジア各国代表者会合(98年5月):25千ドル
・西アジア小地域活動の支援(マスカット専門家会合(98年9月)、バンコク専 門家会合(98年11月)):99千ドル
・ラテンアメリカ小地域活動の支援(第4回地域会合(98年4月)):70千ドル
・アジアにおける活動促進プログラム:200千ドル
・アフリカ国別報告書作成支援:80千ドル(99年)
(注1:開発途上国のNGOの締約国会議等への参加支援、条約事務局や締約国会議の作業の支援等を行うもの。1999年以降「補助基金」に名称変更。)
(注2:開発途上締約国の締約国会議等への参加支援を行うもの。1999年以降「特別基金」に名称変更。)
(2)国連環境計画(UNEP)
(i)UNEPは、砂漠化対処条約作成以前から砂漠化の観測を行ってきており、1992年には"World Atlas of Desertification"を作成。その後1997年にはその第2版を作成している。また定期刊行物として"Desertification Control Bulletin"を発刊しており、啓発・情報普及活動に努めている。また、第1回締約国会議においては、条約により設置された科学技術委員会の要請により、グローバル・ネットワークに参加しうる機関・団体の検討を行った。各国に対する支援としては、98年にカザフ共和国において国家行動計画策定の支援及び国内の啓発活動を行った他、ロシア連邦において土地の再生・管理及び流砂の安定化のためのプロジェクトを実施し、また南アにおいても啓発活動を実施している。地域又は小地域行動計画策定についても、98年には西アジア、アジア及び太平洋、ラテンアメリカ及びカリブ各地域の行動計画策定会議に参加し、また南欧、ロシア連邦のアジア部分、アフリカ南部等の小地域における行動計画策定を支援した。これらの他にもNGOに対するワークショップ等の開催等、種々の技術支援を行っている。
UNEPに対する日本の拠出額は次のとおり(なお、UNEP側の予算調整により、96年度拠出のうち500万ドルが97年度予算に繰り越され、97年度拠出、98年度拠出がそれぞれ次年度予算に繰り越されている)。
【96年度:900万ドル、97年度:600万ドル、98年度:492万8千ドル】
(ii)また、我が国は、アジア地域の植生等データベースの作成協力として、衛星画像データからアジア地域の人間活動による植生や土地被覆状況の変化をデータベース化し、UNEP/GRID(地球資源情報データベース)に提供している。
【96年度10,835千円、97年度11,034千円、98年度:10,975千円、99年度:10,975千円】
(3)国連食糧農業機関(FAO)
(i)食糧・農業に関する恒久機関であるFAOに対し、我が国は、96年から98年の間、合計約159百万ドルという第2位の分担金の拠出を行っているほか、96年から98年までにFAOのトラストファンド事業に約15百万ドルを任意拠出しており、FAOが行う農林水産業に関する活動を通じて砂漠化対処に貢献している。我が国のFAOに対する拠出額は以下のとおり。
・分担金
【96年度:5,300万ドル、97年度:5,400万ドル、98年度:5,300万ドル、99年度:6,500万ドル(拠出予定)】
・拠出金
【96年度:600万ドル、97年度:500万ドル、98年度:400万ドル(未定)】
(ii)また、我が国の任意拠出によるFAOのフィールドプロジェクトのうち、特に砂漠化対処に関連が強い事業は以下のとおり。
・ビクトリア湖水資源管理プロジェクト
【96年度:50万ドル、97年度:40万ドル】
・パキスタン灌漑開発プロジェクト
【96年度:30万ドル、97年度:20万ドル】
・森林資源評価プロジェクト
【96年度:25万ドル、97年度:15万ドル】
・アジア地域市場経済移行国林業活性化計画プロジェクト
【96年度:44万ドル、97年度:44万ドル、98年度:34万ドル】
・中南米諸国持続的農業開発のための農地管理対策調査プロジェクト
【96年度:43万ドル、97年度:43万ドル、98年度:39万ドル】
・アフリカにおける灌漑可能性評価プロジェクト
【96年度:28万ドル、97年度:28万ドル、98年度:25万ドル】
(4)世界食糧計画(WFP)
WFPは、食糧を開発途上国の経済開発及び緊急食糧援助に役立てることを目的とした国際機関で、砂漠化対処に関する活動等としては、(1)干ばつの影響を受け飢餓に苦しんでいる人々に対する緊急食糧援助、(2)Food For Work(FFW:食糧を労働の対価として配給することにより、慢性的な飢餓状態にある人々に対する食糧供給と同時にこれらの人々の自立促進及び資産形成を目的とした活動。)プロジェクトを通じた植林や灌漑用水路の修復等を行っている。
我が国はこれらのWFPの活動を支援するため、次のような拠出を行った。
【96年度:124,032千ドル、97年度:98,991千ドル、98年度:123,757千ドル】(注)
(注:食糧援助及び緊急無償援助を含む)
(5)国際農業開発基金(IFAD)
国際農業開発基金(IFAD)は、農業分野に特化した開発金融機関として農地の砂漠化防止に資する各種農業プロジェクトへの融資、乾燥地農法に関する諸研究に対する資金贈与による技術協力等を通じて砂漠化問題に取り組んでいる。
また、IFADは、砂漠化の影響を受ける締約国が砂漠化問題に対応するための資金調達を促進することを目的とする「砂漠化対処条約」の地球機構のホスト機関に選ばれたことを受けて、同条約の協力機関である世界銀行及びUNDPとの協力の下、これらの活動を通じて地球的な砂漠化問題に取り組んでいくことが期待されている。我が国は、IFAD設立当初よりの加盟国であり、これまで当初拠出以来4回の増資を通じた累計で約2.2億ドルを拠出しており、拠出シェアで約6%の第3位の拠出国としてIFADの諸活動を支えてきている。
(6)国連開発計画(UNDP)
UNDPは、アフリカ、中東、中南米、アジア等各地域において、砂漠化に関する情報ネットワークの構築、砂漠化地域における給水管理のワークショップ開催及びパイロット・プロジェクトの実施等により人材育成を行っているところ、
我が国は、右国際機関に対し、総額555.7百万ドル(96年〜99年)を拠出している。
(7)世界気象機関(WMO)
世界気象機関(WMO)では、世界気候計画、農業気象計画等の科学技術計画を通じて、干ばつ及び砂漠化に関する気候情報の収集及び政策立案者、農業関係者等に対する適時適切な情報提供の体制を各国気象機関が構築、維持する活動を支援するほか、各種の研修活動を通じて関係国気象機関の能力向上を支援している。我が国はこれらのWMOの活動を支援するため、WMO条約に基づく分担金及び任意拠出金を毎年拠出しており、96年度から99年度までに合計2,761百万円の拠出を行っている。
【96年度:612,825千円、97年度:738,499千円、98年度:742,067千円、99年度:667,894千円】
(8)国連教育科学文化機関(UNESCO)
UNESCOの砂漠化対策事業の中で、我が国が任意拠出金を通じて直接実施している事業はないが、ユネスコに対する加盟国からの分担金総額の25%(99年)を拠出しており(97年65,53億円、98年71,84億円、99年83,01億円)、こうした加盟国からの分担金で実施されるユネスコの事業全体の中には、砂漠化対策事業がいくつか含まれている。
まずMAB(人間と生物圏:Man and the Biospehre)計画の一環として、1997年3-4月、イスラエルにおいて乾燥地帯作物に関する国際計画(International Programme on Arid Land Crops:IPALAC)の枠組みのワークショップ゚をアフリカ諸国のイニシアチブにより開催。それを受けて、西アフリカ諸国の若手研究者を対象とした短期フェローシップを実施し、ニジェールでは地域ワークショップを開催した。
また、「女性と水資源利用」(Women and water resource supply and use)に関する特別計画の一環として、ニジェール及びチャドの村落における水資源と女性の役割に関する研究及び、ブルキナ・ファソではカナダの大学と共同で水質と女性の生活環境に関する評価調査を行った。モーリタニアでは仏企業の援助により水資源管理における女性の参画を促進するためのプロジェクトが実施されている他、International Water and Sanitation Centreとの共催により、アフリカ9ヶ国のNGO、政府関係者に対する地域研修を実施した。また、水資源調査を行うアフリカの学生を対象とする奨学金の援助、ケニアにおける雨水の利用に関するパイロット・プロジェクトの実施(99年まで)、さらに97年11月には、UNICEF、UNDP/世銀と共催で、南アフリカにおいて地域ワークショップ゚を開催し、この成果を実施に移すための、UNICEF、UNDP/世銀と共催で行う特別計画が98-99年に予定されている。
また、IHP(国際水文学計画:International Hydrological Programme)では、乾燥地、半乾燥地域の総合的水資源管理やサハラ及びその周辺地域の地下水研究の支援を行っている。
(9)国際農業研究協議グループ(CGIAR)
CGIARは、国際農林水産業研究に対する長期的且つ組織的支援を通じて、途上国に於ける食糧増産、農林水産業の持続可能な生産性改善を行い、もって住民の福祉向上を図ることを目的としており、傘下に16の国際農業研究所を擁する。砂漠化対処の取組としては、国際半乾燥熱帯地作物研究所(ICRISAT、本部インド)が耐乾燥性作物の研究を行っている。我が国はICRISATに対して、98年度は3.40億円の拠出を行った。
(10)国連工業開発機関(UNIDO)
UNIDOは開発途上国における工業開発を促進するための専門機関で、近年アフリカ地域における環境に配慮した持続可能な工業開発に対して積極的に取り組んでいる。砂漠化防止に対しては、砂漠化の主要な要因となっている薪炭材の過剰採取を改善するために、代替エネルギー(ソーラーエネルギーや風エネルギー)の利用を促進させることを目的する技術開発の支援や国際シンポジウムの開催という形で貢献している。
我が国はUNIDOに対して、加盟国の中で最大の財政貢献を行っており、拠
出額は次のとおりである。
【分担金:96年度:20.9億円、97年度:21.8億円、98年度:17.5億円】
【拠出金:96年度: 6.3億円、97年度: 5.2億円、98年度: 3.0億円】
我が国の拠出金の一部は、アフリカの砂漠化の影響を受ける地域の代替的な生計手段を促進普及するプロジェクトに使われており、例えば、マリなどの西アフリカ地域の伝統繊維産業の振興開発プロジェクト(約270千ドル)やエティオピアの農業関連工業分野における女性起業家を育成するためのプロジェクト(約
850千ドル)が実施された。
(11)国際復興開発銀行(世界銀行:IBRD)
世界銀行(世銀)は、砂漠化への対処として、貧困と土地劣化との関係を強調して右に対処せんとする農村開発戦略を活性化させること等を通じて協力してきているが、我が国は、世銀(IBRD・IDA)に対する米国に次ぐ第2位の出資国として(それぞれ8.22%、98年6月末現在。18.00%、第12次増資後。)、このような砂漠化対処を含む世銀の開発支援活動を支援している。また、我が国は世銀の開発支援活動を側面から支援する目的で、世銀の行う技術支援等に活用される開発政策・人材育成(PHRD:Policy and Human Resource Development)基金を世銀に設け拠出を行ってきている(11年度予算:8,940百万円)。右基金による開発支援活動の中にも砂漠化対処に貢献している案件がある。
具体的には、ブルキナ・ファソのコミュニティ・ベース農村開発プロジェクト(PHRDからの配分額:40万ドル)、イエメンのサナア盆地水管理プロジェクト(同じく50万ドル)、象牙海岸の環境支援プログラム(同じく40万ドル)などが砂漠化対処に資する案件と考えられる。
(12)地球環境基金(GEF)
地球環境ファシリティー(GEF)は、開発途上国や市場経済移行国が地球規模の環境問題に対応するために新たに負担する費用に対して新規かつ追加的な無償資金及び譲渡的資金を提供することを目的とした資金メカニズムであり、(a)気候変動、(b)生物多様性、(c)国際水域、(d)オゾン層の破壊の4分野のプロジェクトに対し、資金供与が行われている。また、砂漠化、森林伐採を含む土地の劣悪化に係る活動については、上記4分野に関連する場合に資金供与の対象となっている。
我が国は、94年7月から98年6月までのGEF1に対し約4.15億ドルを拠出。右拠出額は、GEF1資金規模約20.2億ドルの約20.5%にあたり、米国の拠出額に次ぐもの。さらに、我が国は、98年7月から2002年6月までのGEF2に対し約4.13億ドルの拠出を表明している。右拠出表明額はGEF2ニューマネー約20.6億ドルの約20.0%にあたり、米国の拠出表明額に次ぐものとなっている。また、毎年2回開催される評議会に評議員として参加し、プロジェクトの承認等運営全般に助言を行っている他、GEFの運営方針やプロジェクト等に関し科学技術面での助言を行う科学技術諮問委員会(STAP)に対して委員を派遣し、GEFの効果的、効率的な運営に協力している。
(13)アフリカ開発銀行(AfDB)
アフリカ開発銀行(AfDB)は、テュニジアの水供給プロジェクトやジンバブエの灌漑プロジェクト等、砂漠化対処に資する開発支援を行ってきている。
我が国は、AfDBの域外加盟国の中では、アフリカ開発銀行(AfDB)に対しては米国に次ぐ第2位の出資国であり(域外加盟国の中では、13.89%。97年末現在。)、アフリカ開発基金(AfDF)に対しては第1位の出資国であり(域外加盟国の中では、14、56%。97年末現在。)、砂漠化対処を含むアフリカ開発銀行グループの開発支援活動を支援している。