報道発表資料本文

別紙2

3Rイニシアティブ閣僚会合議長サマリー概要


はじめに
 2004年6月のG8シーアイランドサミットで合意された3Rイニシアティブを公式に開始することを目的に、3Rイニシアティブ閣僚会合が2005年4月28日から30日にかけて東京で開催された。この会合には、20か国及び4国際機関(UNEP、OECD、バーゼル条約事務局、アラブ連盟)の代表が参加し、国際的に3Rの取組を推進するため、議論を行った。

課題I:3Rの推進
 21世紀において持続可能な生産消費パターンが確立された社会を実現するためには、「もったいない」精神を世界に広める3Rの推進が鍵である。持続可能でない生産消費パターンを変革するための10年計画の一環として、3R推進ビジョンや戦略を幅広い利害関係者の参加を得て策定し、パートナーシップを構築しつつ、様々な取組を進めることを世界の国々に推奨する。
 また、行政による計画的なアプローチ、関係者間のパートナ ーシップの構築、環境負荷の少ない製品の市場拡大、意識の向上、技術開発、インフラの整備が重要であることを確認する。
(各国機関の各々の3Rの取組については、添付資料としてとりまとめ)

課題II:国際流通に対する障壁の低減
 リサイクルや再生産される物品等、又はこうした製品の国際移動は、適切なメカニズムがあれば、資源の有効利用と環境汚染防止の両方に貢献する。リサイクルや再生産される物品等、又はこうした製品の国際移動については、高い税率や非関税障壁があることが指摘された。再生産された製品の国際移動が世界中で進行していることを踏まえ、こうした製品に対する障壁を減らすことが、新品と再生産品の越境移動についての公平な競争条件の確保に役立つ。
 WTOドーハ・マンデートにおける環境関連製品とサービスのリスト作成は、環境と貿易の双方にとってウィン・ウィン(WIN−WIN)の機会を提供することが指摘された。
 再生資源と廃棄物を区別する判断基準とその能力の必要性、また、地域的なアプローチや協力の必要性、さらに途上国における能力向上と適当な施設の必要性が指摘された。
 多くの国にとって、廃棄物は発生した国において最少化することが最優先である。廃棄物の越境移動は、受入国において適切に利用され、適正に処分される場合に限って実施できる、との見解があった。再生資源や廃棄物の越境移動と、その適正処理の監視に関する国際協力を強化する必要性が指摘された。また、二国間や地域間における情報交換や優良事例の共有も重要である。

課題III:先進国と開発途上国との協力
 増大する廃棄物の処理は地球的課題であることが強調された。先進国と途上国は、経験の共有、共同研究、キャパシティビルディングの実施から始まる。優良事例の蓄積と普及が期待される。キャパシティビルディングは、それぞれの国が、法的枠組、国家戦略、優良事例の活用等の具体的なテーマを優先分野として行うことが望ましい。
 ミレニアム開発目標は、3R活動を推進する基礎となるべきである。本3R会合の成果は、2005年7月の英国グレンイーグルスG8サミットの準備や、持続可能な消費生産に関する国連マラケシュプロセスに報告されるべきである。
 地域的な協力が重要である。南南協力は特に効果的である。経済的手法や他のインセンティブをもっと重視すべきである。3Rイニシアティブをフォローアップする高級事務レベル会合を2006年の春までに開催するという日本の提案が歓迎され、支持された。

課題IV:関係者間の協力
 3Rと廃棄物の適正処理を推進するためには、中央政府、地方政府、民間部門、非政府機関、研究機関、地域社会等の利害関係者が、各国・地域・地球レベルでパートナーシップを構築することが最も重要であり、そのためには情報の共有化、意識の向上及び環境教育が必要であることについて、認識を共有する。
 中央政府の役割として3R施策の推進、基盤整備、率先実行、地方政府の役割として3R法令の遵守、主体間の調整、地方に即した取組の推進を、民間部門の役割として拡大生産者責任(EPR)を踏まえた3R活動の実施、技術開発、情報公開の促進、地域社会の役割としてライフスタイルの見直し等を含む3R活動への参加協力、政府の意思決定への参画、NGOの役割として3R活動の実施、普及啓発、民間・政府の取組の監視等があることについて同意する。
 各関係主体間の協力によって3Rを促進するためには、特に、製品や廃棄物に関する情報、汚染可能性のある製品の国際流通に関する情報、3Rに関する優良事例などを、関係主体間で共有することが必要であることを認識する。

課題V:3Rに適した科学技術の推進
 持続可能な生産・消費パターンを実現する上で、科学技術の役割は極めて重要であり、3Rに関する科学技術は、環境保全だけでなく、社会の潜在的需要を引き出す新しい価値創造や産業界の効率化を促進することを認識する。
 研究及び技術革新が必要な分野として、再生産、廃棄物の最少化、リサイクル、リカバリーなどのクリーン技術、資源効率性を向上させ環境負荷を低減化するためのエコデザインなどがあり、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーのような新技術の可能性についても追求していくことが必要であることを認識する。
 製品・サービスの環境影響を把握するためのライフサイクルアナリシス(LCA)や物質フローの分析は、製品の品質改善や3Rの促進に関する評価活動に資するものであり、OECDなどの関連する機関との国際研究協力が求められていることを認識する。
 技術開発や環境リスクに関して、政府、民間部門、地域社会、研究機関の間で情報の共有化とコミュニケーションを図ることが必要であり、3R地域研究ネットワークの構築等が必要である。特に、世界に3Rを普及していくためには、技術移転の促進が必要であり、3Rに関する人材育成が強く求められることを認識する。




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