報道発表資料本文

原処分(水俣病ではないとした処分)を取り消す裁決の概要

  1. 処分庁     熊本県知事

     
  2. 審査請求人
    (1) 性別、年齢   男性、昭和12年生(満67歳)
    (2) 職業   無職
    (3) 居住歴   出生時〜昭和35年  熊本県葦北郡に居住
    昭和35年〜現在   愛知県名古屋市に居住
     
  3. 経過
     平成10年3月   請求人が水俣病の認定を申請
    平成11年1月   処分庁は、水俣病にかかっているとは認められないとして原処分を行った。
    同年  2月   請求人は、処分庁に対して異議申立てを行った。
    同年  3月   処分庁は、異議申立てを棄却した。
    同年  4月   請求人は、当審査会に審査請求を行った。
     
  4. 裁決の概要

    (判断の相違点)
     処分庁は、求心性視野狭窄の有無について、一般的に用いられているゴールドマン視野計等の自覚的視野測定法による検査では視野狭窄が認められたが、他覚的視野測定法である瞳孔視野計による検査では正常であり、頭部MRIの検査でも視野狭窄を呈するような病変は認められず、これらを総合的にみて、水俣病にみられる求心性視野狭窄はないと判断しているが、当審査会は、瞳孔視野計による視野測定法は、まだ確立されたものではなく、また、頭部MRIの検査についても、ゴールドマン視野計等の検査結果を否定するだけの精度の高い画像処理ができる段階ではないとして、処分庁の判断に疑問を呈した。
     また、請求人に求心性視野狭窄が認められると、疑いありとされた中枢性聴力障害が認められれば、昭和52年の判断条件に該当することとなるため、中枢性聴力障害について、さらに詳細な検査が必要としている。

    (審査会の結論)
     以上のことから、当審査会は「求心性視野狭窄がないとした熊本県公害健康被害認定審査会の判断には疑問があり、また、中枢性聴力障害について詳細な再検査が必要であると考えられるので、このような問題を含む熊本県公害健康被害認定審査会の判断に基づいて行われた原処分は妥当性を欠くものと言わざるを得ない」として原処分を取り消したものである。





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