報道発表資料本文

原処分(大気系)を取り消す裁決の概要


  1. 処分庁       横浜市長

     
  2. 審査請求人
    (1) 性別、年齢   女性、大正15年生(満78歳)
    (2) 職業   無職

     
  3. 被認定者
    (1) 性別、生年   男性、明治45年生
    (2) 死亡年月   平成13年5月(享年89歳)
    (3) 審査請求人との関係   審査請求人の夫
    (4) 居住歴   昭和21年10月から死亡時まで、横浜市鶴見区に居住
    (5) 認定疾病
    (認定年月)
      気管支ぜん息(昭和50年11月)

     
  4. 経過
    (1) 葬祭料支給請求関係
      平成13年6月   請求人が葬祭料の支給を請求
      同年  9月   処分庁は、被認定者の死亡は認定疾病に起因したとは認められないとして原処分を行った。
      同年 11月   請求人は、処分庁に対して異議申立てを行った。
      平成14年4月   処分庁は、異議申立てを棄却した。
      同年  5月   請求人は、当審査会に審査請求を行った。
     
    (2) 遺族補償費支給請求関係
      平成14年6月   請求人が遺族補償費の支給を請求
      同年  9月   処分庁は、被認定者の死亡は認定疾病に起因したとは認められないとして原処分を行った。
      同年 10月   請求人は、処分庁に対して異議申立てを行った。
      同年 11月   処分庁は、異議申立てを棄却した。
      同年 12月   請求人は、当審査会に審査請求を行った。

     
  5. 判断の相違点

    (1)処分庁の弁明
     死亡診断書には、被認定者の直接死因は「呼吸不全」、その原因は「けいれん発作」と記載されているが、このけいれん発作は、脳血管の高度な動脈硬化によるものであり、認定疾病によるものではない。したがって、被認定者は、認定疾病に起因して死亡したものではなく、葬祭料及び遺族補償費は不支給とした。

    (2)公害健康被害補償不服審査会の判断
     直接死因とされた「呼吸不全」と「けいれん発作」は、医学的には直接結びつくものではなく、他の病的状態の介在が一般的であることを考えると、死亡診断書、それに基づいた処分庁の判断は適当とは言い難く、加えて処分庁の弁明書は、被認定者の入院時の病状にのみ言及し、入院後死亡に至る間の病状の推移についての言及がないなど、綿密さを欠いている。

     被認定者の死亡に至る経過を考察すると、被認定者は、肺炎による呼吸不全で死亡したと考えられるが、その肺炎は沈下性ないし誤嚥性肺炎の可能性があり、認定疾病による痰の排出も肺炎の発症に関与したと考えるのが相当である。
     したがって、認定疾病は死亡の主因ではないが、その一因と認め、葬祭料及び遺族補償費の給付率を50%とすることが妥当である。




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