序章  検討の目的と経緯

第1章 環境影響評価法の概要
 本報告書のテーマであるスコーピングについての理解に必要な資料として、環境影響評価法に関わる経緯、法の目的、法に規定される対象事業や手続等について整理するとともに、技術的な事項について規定している基本的事項や主務省令のポイントについて整理した。

第2章 生物の多様性分野のスコーピングの進め方

1 生物の多様性分野の環境影響評価の意義
 生物の多様性分野について環境影響評価を行うことについての意義を、特に生態学の視点から整理し、アセスメント実施に際して重要なポイントについて示した。

2 スコーピングの考え方と実施手順
 スコーピングと方法書手続に関して、その目的とアセスメントに与えうる効果を整理するとともに、方法書作成の考え方やスコーピングの留意点についてまとめた。また、手順の流れにあわせて、具体的な作業上の留意点について整理した。

3 地形・地質、植物、動物に関するスコーピングの進め方
 動物及び植物、そして生物の多様性と関連性が深い地形・地質についてもあわせて、各項目ごとに地域特性の把握の手法を整理した。
 それぞれの項目について、対象地域における概要の把握、重要な要素を抽出する手法と抽出に当たっての考え方(重要性の評価の視点)、影響要因との関係の整理と手法の重点化・簡略化、調査・予測・評価手法の選定などについて記載した。

4 生態系に関するスコーピングの進め方
 (上位性・典型性・特殊性の考え方)
 基本的事項には地域の生態系への影響を把握するため、注目される生物種・群集を複数選び、これらの生態や生息・生育環境などへの影響を把握することにより生態系への影響を把握する手法が例示されている。その生物種・群集の抽出は「上位性・典型性・特殊性」の視点によることが、併せて示されており、これらの抽出に当たっての考え方について、具体的に解説した。
 (陸域の生態系に関するスコーピング)
 陸域の生態系については、地形・地質項目で把握した地形・地質の概要や植物項目で把握した植生等の基盤環境を整理するとともに、植物や動物項目で把握した生物種・群集に関する情報を生態学的な知見を基に整理し、それらを合わせて検討することにより地域の生態系の特性を捉え、その特性を踏まえた調査・予測・評価手法を選定する方法について、具体的なモデル的手順を示して解説した。
 (海域の生態系に関するスコーピング)
 海域の生態系についても陸域と同様、生態系の特性把握とそれを踏まえた調査・予測・評価手法選定の方法を示した。その中で、特に海底の基質(砂、泥、岩礁などの物理的性状やサンゴ、海草、海藻類等の生物基質)に着目した類型区分、数値モデルの利用、物質循環上の重要な機能の評価についての考え方を示した。

第3章 今後の検討課題
 今後の課題について整理した。

(3)自然との触れ合い分野の環境影響評価技術検討会中間報告書の概要

 中間報告書は序章、第1章から第5章までと資料編で構成されている。副題として「スコーピングの進め方について」と付してあるとおり、スコーピングの技術手法を具体的に示すことをテーマとした。


序章  検討の目的と経緯

第1章 環境影響評価法の概要
 本報告書のテーマであるスコーピングについての理解に必要な資料として、環境影響評価法に関わる経緯、法の目的、法に規定される対象事業や手続等について整理するとともに、技術的な事項について規定している基本的事項や主務省令のポイントについて整理した。

第2章 自然との触れ合い分野の環境影響評価の課題と検討の進め方
 自然との触れ合い分野の環境影響評価を行うことの意義と役割について整理するとともに、景観、触れ合い活動の場の項目ごとにその特性と検討課題等を示した。

第3章 自然との触れ合い分野のスコーピングの進め方
 スコーピングに関して、その目的と手順を解説するとともに、方法書の記載の内容及び留意点についてまとめた。

第4章 自然との触れ合い分野のスコーピング段階での技術手法の解説
 「景観」「触れ合い活動の場」のそれぞれの項目についてスコーピングの技術手法を整理した。
 まず、地域特性の把握について、山地、里地、平地、沿岸海域といった地域類型に応じた基本的な考え方と基礎とすべき資料を示すとともに、具体的な事例を基にGIS(地理情報システム)を用いた解析作業の手順と整理の方法を示した。
 さらに、項目・手法の選定手法、具体的には環境影響評価の対象とすべき要素を抽出する手順と手法の重点化・簡略化などについて記載するとともに、調査・予測・評価手法の選定に関する考え方を整理した。特に、手法の選定に関する基本的な考え方として、社会学的・心理学的な手法の導入による人間の認識の把握に踏み込んだ影響評価の必要性を示した。

第5章 今後の検討課題
 今後の検討課題について整理するとともに、効果的なスコーピングの実現に向けての課題を提起した。

  資料編 調査・予測・評価の枠組みと手法レビュー
 調査・予測・評価の技術手法について枠組みを示すとともに、従来から知られている手法のレビューを行ってリストを示すとともに、参考となる文献の事例を掲載した。

(4)その他
 これらの検討は3カ年計画で、平成12年度末まで行われる。11年度は、各項目に関する調査・予測・評価手法の検討を行う予定である。
 なお、生物の多様性分野については、今回は検討しなかった陸水域についても検討を開始する予定である。
 また、今回の報告書については、各省庁・各都道府県のアセスメント担当課に配布し、さらにはインターネットを利用する等、様々な方法で広く公開・普及を図りたいと考えている。