報道発表資料概要



国民・子供・民間団体の環境保全への取組みに関するアンケート調査結果について
本文


  1. 環境にやさしいライフスタイル実態調査結果について(国民アンケート)

     本調査は、国民の環境保全に関する取組の状況等の把握を目的に実施したものである。第一次環境基本計画については、同様の調査を平成7年度より平成9年度にかけて3回実施したが、第二次環境基本計画については、本調査が第3回となる。調査は、新計画に沿って項目の調整を行い、全国の20歳以上の男女から無作為抽出した3,000人を対象に平成16年6月4日から平成16年7月5日にかけて行った(有効回答数は1,267人)。
     調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 環境の状況については、地域レベルに比べ、国や地球レベルで「悪化している」と実感する人が多く、この傾向は前回、前々回と同様である。
       
    2. 現在関心のある環境問題は、「地球温暖化」(82%)、「オゾン層の破壊」(60%)、「不法投棄など廃棄物の不適正な処理」(57%)、「大気汚染」(54%)、などで、前回の調査と比較すると、「国内の原生林や湿地帯などといった手つかずの自然の減少」「野生生物や希少な動植物の減少や絶滅」といった自然に直結した問題と、「不法投棄などの廃棄物の不適正な処理」という都市問題両面の関心が高まった。
       
    3. 環境問題について、「地球環境問題の解決は各国が協力して取り組む必要がある」「次世代を担う子どもが環境保全について理解を深めるための教育が必要だ」「環境のことを考えて、使い捨てはやめ、リユース、リサイクルを進めるべきだ」という考え方を持つ人が多い。回の調査と比較して、「環境保護のために、産業や技術の発展が妨げられないか心配であ前る」という考え方を持つ人が減少しているのに対し、「環境保全の取組を進めることは経済の発展につながると思う」という考え方を持つ人が大きく増加している。
       
    4. 前回と同様、「ゴミの分別」「ビン、カン、ペットボトル類の分別」「新聞、雑誌の古紙回収」など、ルール化された「リサイクルのための分別収集への協力」に関する環境保全行動や、「節電」「冷暖房の省エネ」などを実施することにより個人にも経済的メリットのある環境保全行動はよく行われているが、「緑化活動」「リサイクル活動」などの地域活動や「環境保護団体への寄付」「環境保護団体の活動」等への参加といった能動的な環境保全意識に裏づけられた行動に関しては、あまり行われていない。
       
    5. 日常的に自然とふれあって過ごす日数は幅広く分布し、ライフスタイルや居住地域により様々であることがうかがえる。自然とふれあう機会を持ちたいというニーズは非常に強く、大多数(96%)の人が現状かそれ以上の機会を求めている。その機会を増やすためには「身近に整備された自然とふれあうための場所」「自然環境の保全・育成」「自然に関する情報の提供」が必要であると考える人が多い。
       
    6. この1年間に自然に関連した旅行をした人は約6割、今後の意向も約6割となっている。旅行の内容としては、「自然に囲まれた旅館やホテルでゆったり滞在する旅行」をあげた人が多い。また、様々な種類の観光資源をあげて、居住地域にあるものを選んでもらったところ、「自然公園、自然名所、海、川、湖沼、山、滝など自然の景観」をあげた人が最も多く5割にのぼった。自然をテーマとして人々が行き来していると考えられる。
       
    7. 太陽熱温水器については、前回と比べ、利用者、利用意向者ともわずかに減少した。太陽光発電については、前回と比べ、利用者は横這い、利用意向者はわずかに減少した。双方とも、未利用で今後の利用意向もないという人も増加している。
       
    8. 住宅の断熱については、「住宅全体の断熱をしている」人は25%、「住宅の一部で断熱をしている」人は23%と、約5割が住宅の断熱をはかっている。「現在は断熱していないが将来はそうしたい」という意向を持つ人も19%おり、全体として住宅の断熱に対するニーズは強いといえる。
       
    9. 低公害車の保有・購入時の検討意向を尋ねたところ、「すでに購入したか発注済み」という回答は16%、今後「購入の際には検討の対象に入れる」は31%となり、前々回から今回にかけて継続して「すでに購入したか発注済み」が上昇した。
       
    10. 環境保全行動を「行っている」と自己評価する人は59%であるが、前回と比べ3ポイント減 少した。自分の環境保全行動が環境問題の解決に役立っていると感じている人は48%で、前回とほとんど変化はない。
       
    11. 日常生活の中では、物の購入時の環境への配慮、省エネ、ゴミ処理のどれについても、「環 境保全のために良いことだと思う」と考える人は8割以上となった。
       
    12. 環境に配慮している企業については、「当然の行為である」という印象を持つ人が約半数(48%)であるが、「信頼できる」「その企業の製品を買いたい」という好意的な印象を持つ人もそれぞれ4割程度となった。しかし、製品やサービスを選択する際に環境によいかどうかを「いつも考えている」人は24%で、7割以上の人がいつも考えると回答した「機能や品質」「価格」には全く及ばない。
       
    13. 環境保全行動全般についての「気持ち」としては、「環境保全のために自分にできることはすべきである」「一社会人として行ったほうがよいと思う」「環境によいことを行うのは気持ちがいい」という前向きな意識を持つ人が非常に多く、「家計の圧迫につながる」「近所の人の目があるので、行わなければならない」「生活の便利さや快適さを損なう」といった後ろ向きの意識を持つ人は少ない。
       
    14. 環境保全活動を行う民間団体にこれまで参加したことのある人は22%で、そのうちの57%の人が「団体の主催するイベントに参加したことがある」とした他は活動形態に広がりは見られない。参加頻度は「年2回程度」が中心となっている。
       
    15. 民間団体の環境保全活動参加経験者の68%は、その活動への参加が環境問題の解決に「役立っている」と評価している。
       
    16. 環境に関する情報への関心は高いが、満足しているとする環境情報の種類は少ない。
       
    17. 環境に関する情報の主な入手経路は、「テレビ・ラジオのニュースや番組」「新聞・雑誌の記事」などマスコミが中心で、どちらも約8割の人があげている。「自治体の広報誌やパンフレット」が約5割、「企業の広告、広報誌、パンフレット、環境報告書」は4割の人があげている。
       
    18. 環境基本計画の認知状況は12%に過ぎない。また、国が行っている環境行政の満足度(「満足している」「まあ満足している」の合計)は9%、地方自治体の行っている環境行政の満足度は17%にとどまる。

     
  2. エコ・アンケート結果について(子供アンケート)
    (小中学生版「環境にやさしいライフスタイル実態調査結果」)
     
     本調査は、国民の環境保全に関する取組の状況等の把握を目的に実施した調査と平行して、平成16年3月5日から3月30日にかけて、全国の小中学校の中から無作為抽出した計72校の小学5年生及び中学2年生の各1学級を対象に実施したものである(有効回答数は2,221人)。
     調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 身のまわりの環境については、「森や川などの自然が豊かである」「野生の動物や昆虫などたくさんの種類の生き物がいる」と認識する子どもは過半数を超えるが、海や河川、道路などの汚染を認識する子供も多い。
       
    2. 環境問題についての関心領域は幅広く、特に「森林減少」「水質汚濁」「大気汚染」「地球温暖化」に対する関心が高い。
       
    3. 環境問題に対する考え方としては、「ものの無駄づかいをしたり、大量のごみを出したりする今の生活は、改めた方がよい」「環境問題は自分にも影響がある問題だと思う」「将来の環境のことを考えると心配だ」「環境を守ると生活が豊かになる」という考え方は広く浸透している。
       
    4. 日常行っている環境行動として「使わないときは、水道の蛇口をきちんと閉める」「使わないときは、テレビや部屋などのあかりを消す」「ごみを、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミにきちんと分別する」「ものは長く使えるように大切に使う」という行動はほぼ定着しているが、「買い物のとき、レジ袋をもらわないように気をつける」「地域の人たちが木や花を植える時には参加する」「家族や友達などと環境問題について話し合う」の実施率は約2割以下にとどまった。
       
    5. 環境保全行動は、母親・学校・テレビの影響で始めた子どもが多い。特に小学生で学校、テレビ、女子で母親、学校の影響が強い。
       
    6. 環境保全行動を行った際の気持ちは「あたりまえのことをしたと思った」「気持ちがよかった」「世の中にとって良いことをしたような気持ちになった」「もっと行おうと思った」が上位にあり、環境保全に前向きな姿勢があらわれている。
        
    7. 環境保全行動に対する今後の実施意向は、「使わないときは、テレビや部屋などのあかりを消す」「使わないときは、水道の蛇口をきちんと閉める」「ものは長く使えるように大切に使う」の行動意向が8割前後と高い。
       
    8. 環境保全に重要な役割を担うものとしては、「日本政府・国」をあげた割合が29%で最も高い。
       
    9. 環境問題に関する情報は、「テレビ・ラジオで」(72%)、「学校の授業や先生から」(65%)が2大情報源となっている。小学生は「学校の授業や先生」、中学生は「テレビ・ラジオ」が最大の情報源。
       
    10. 学校における環境保全活動への参加経験としては、「環境問題について、先生の話を聞いた」(62%)、「ごみ処理場や下水処理場などの施設を見学した」(50%)「地域の掃除やごみ拾いなどに参加した」(46%)が約5~6割にのぼる。また、全般的に10万人未満での活動が活発で、10万人未満の参加経験率は「環境問題について、先生の話を聞いた」「植物栽培や動物の飼育、観察をした」「山や川などで自然の観察をした」「みんなで環境問題の解決方法について話し合った」が全体を大きく上回っている。
       
    11. 「こどもエコクラブ」の認知率は24%で、小学生は32%と高い。

     
  3. 環境基本計画で期待される地方公共団体の取組についてのアンケート調査結果について(地方公共団体アンケート)

     本調査は、地方公共団体の環境保全に関する取組の状況や進捗等の把握を目的に実施したものである。
     平成15年度調査として環境基本計画に沿って調査項目の調整を行い、全地方公共団体3,208団体(47都道府県、13政令指定都市ならびに東京都23特別区、3,125市町村)を対象に、平成16年3月8日から同3月29日にかけて郵送により実施し、有効回答数は2,101団体(回答率は65.5%)であった。
     調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 地方公共団体の条例・計画・数値目標の制定・策定は、全体的に「既に、実施中」が増えている。特に、都道府県と政令指定都市の取組は進んでいる。
       
    2. 条例の制定については、『環境政策の基本を定める条例』が3割強、『環境影響評価に関する条例』は1割未満である。計画の策定では、『廃棄物削減・処理に関する計画』が5割を超え、『地球温暖化防止計画』や『環境に関する総合的な計画』が3割弱である。『自然環境・生物多様性に関する計画』は1割未満である。
       
    3. 独自の数値目標の設定については、『廃棄物削減やリサイクル』が3割を超し、次いで『地球温暖化対策』が3割弱となった。
       
    4. 『環境に関する総合的な計画』の策定では、約8割が国の基本計画を参考とした(している)。
       
    5. 環境問題の中で「特に問題意識をもつもの」と「重点的に取組むもの」の相関は強く、いずれも廃棄物問題、水質汚濁、地球温暖化が多い。特に『不法投棄』が著しいが、『リサイクル・リユース』や『地球温暖化』も増えている。
       
    6. 広域連携・協力の実施も全体に増加傾向にある。特に『廃棄物処理の検討』が約6割、次いで『流域を考慮した水環境保全』が約4割、『環境情報の共有』が約3割となっている。『都市と農山漁村の交流』は2割に達していない。
       
    7. 地域づくりにおける環境保全の配慮については、基本構想や総合計画などの『各種計画における環境配慮』では都道府県や政令指定都市で7~8割が実施済みで、市区町村では約2割である。『環境情報の共有化』と『地域づくり環境配慮指針等の策定』は全体で1割未満である。
       
    8. 都道府県による市区町村の支援・調整では、『環境情報の提供』が進み9割を超える。『環境マネジメントシステムの導入』や『人材派遣や研修などの人材育成』も6割以上で実施され、環境保全のための基盤整備が上位を占める。『総合的な環境計画の策定』や『各種の環境保全計画の策定』の支援も半数を超える。
       
    9. 事業者の環境保全への取組促進のための施策内容は、全体的にみると廃棄物、水質汚濁、大気汚染などの直接的な環境負荷の削減が中心である。グリーン購入・調達や環境情報公開などの取組も進んでいる。
       
    10. 事業者への促進策の手法では「普及・啓発」が多く、内容は3R(リデュース、リユース、リサイクル)とともに『環境情報の住民への開示』や『環境配慮商品の購入・発注』などが多い。「支援・誘導策」と「規制的手法」は少ないものの、着実に増加している。
       
    11. 事業所との連携・協働は増えており、都道府県や政令指定都市では約9割が実施するものの、市区町村ではなお2割未満である。『環境保全に関する協定』についても増加傾向にあり、都道府県や政令指定都市の8割弱、市区町村の約5割が締結している。
       
    12. 住民の環境保全への取組促進のための施策内容は、全体的にみると野外焼却の禁止、ゴミのポイ捨て禁止や3R、廃棄物対策、節水などの環境負荷の削減が中心であるが、エコマーク商品の購入や自然環境重視も少なくない。
       
    13. 住民への促進策の手法では「普及・啓発」が多く、内容は『野外焼却の禁止』、『アイドリングの禁止』、『簡易包装・買い物袋持参』、『節水』が中心である。「支援・誘導」の取組は1割強だが、『合併処理浄化槽の設置』や『コンポストの購入』が多い。「規制的手法」は1割未満ながら取組が増えており、特に『ゴミのポイ捨てを禁止』が増えた。
       
    14. 住民や環境NPOとの連携・協働については、都道府県で約9割、政令指定都市では全団体が取り組んでいる。市区町村でも取組が進んでおり、住民との連携・協働が約6割、環境NPOとは2割強となった。
       
    15. 各主体の自主的取組の推進策の実施は必ずしも多くはないが、『学校と連携した環境教育』や『フリーマーケットの開催』などが中心である。『エコツーリズムの推進』はまだ少ない。
       
    16. 環境情報の提供方法は、紙媒体である『広報誌やパンフレット』が7割強で最も多く、次いで『環境の日、環境月間』や『環境セミナー・展示会』のイベントが多い。3割強ながら『ホームページ』がIT化の進展を背景に大きく伸びており、さらに増加することが予想される。
       
    17. 環境情報の提供内容は、全体に取組団体が増える中で多彩かつ豊富になっている。『環境問題に対する政策』が首位を占めるが、続けて『暮らしの中の工夫や行動』、『環境問題の相談窓口』、『地域環境問題』、『自然とのふれあい』、『地球環境問題』などと多岐にわたる。商品の環境負荷あるいは環境NPOや企業活動に関する情報は少ない。
       
    18. 住民などの意見の取り入れについては、全体で半数に達していないが、都道府県や政令指定都市での取組は進んでおり、『パプリック・コメント』が最も多い。市区町村では『自治会・町内会』が最も多く、『パプリック・コメント』は少ない。
       
    19. 環境保全に関する知見を活かした国際協力への取組はわずかであり、そのほとんどは都道府県や政令指定都市である。取組内容は『開発途上国からの研修員の受け入れ』や『環境保全に関する国際会議等への参加』が多い。
       
    20. 率先実行は積極的に取り組まれているが、“職員個人レベルのオフィスでできる環境行動”が多く、“組織として体制やシステムが必要な環境行動”は遅れている。現在検討中のものも多く、今後の増加が期待される。




 報道発表概要に戻る