- 環境の状況については、地域レベルに比べ、国や地球レベルで「悪化している」と実感する人が多く、この傾向は前回、前々回と同様である。
- 現在関心のある環境問題は、「地球温暖化」(82%)、「オゾン層の破壊」(60%)、「不法投棄など廃棄物の不適正な処理」(57%)、「大気汚染」(54%)、などで、前回の調査と比較すると、「国内の原生林や湿地帯などといった手つかずの自然の減少」「野生生物や希少な動植物の減少や絶滅」といった自然に直結した問題と、「不法投棄などの廃棄物の不適正な処理」という都市問題両面の関心が高まった。
- 環境問題について、「地球環境問題の解決は各国が協力して取り組む必要がある」「次世代を担う子どもが環境保全について理解を深めるための教育が必要だ」「環境のことを考えて、使い捨てはやめ、リユース、リサイクルを進めるべきだ」という考え方を持つ人が多い。回の調査と比較して、「環境保護のために、産業や技術の発展が妨げられないか心配であ前る」という考え方を持つ人が減少しているのに対し、「環境保全の取組を進めることは経済の発展につながると思う」という考え方を持つ人が大きく増加している。
- 前回と同様、「ゴミの分別」「ビン、カン、ペットボトル類の分別」「新聞、雑誌の古紙回収」など、ルール化された「リサイクルのための分別収集への協力」に関する環境保全行動や、「節電」「冷暖房の省エネ」などを実施することにより個人にも経済的メリットのある環境保全行動はよく行われているが、「緑化活動」「リサイクル活動」などの地域活動や「環境保護団体への寄付」「環境保護団体の活動」等への参加といった能動的な環境保全意識に裏づけられた行動に関しては、あまり行われていない。
- 日常的に自然とふれあって過ごす日数は幅広く分布し、ライフスタイルや居住地域により様々であることがうかがえる。自然とふれあう機会を持ちたいというニーズは非常に強く、大多数(96%)の人が現状かそれ以上の機会を求めている。その機会を増やすためには「身近に整備された自然とふれあうための場所」「自然環境の保全・育成」「自然に関する情報の提供」が必要であると考える人が多い。
- この1年間に自然に関連した旅行をした人は約6割、今後の意向も約6割となっている。旅行の内容としては、「自然に囲まれた旅館やホテルでゆったり滞在する旅行」をあげた人が多い。また、様々な種類の観光資源をあげて、居住地域にあるものを選んでもらったところ、「自然公園、自然名所、海、川、湖沼、山、滝など自然の景観」をあげた人が最も多く5割にのぼった。自然をテーマとして人々が行き来していると考えられる。
- 太陽熱温水器については、前回と比べ、利用者、利用意向者ともわずかに減少した。太陽光発電については、前回と比べ、利用者は横這い、利用意向者はわずかに減少した。双方とも、未利用で今後の利用意向もないという人も増加している。
- 住宅の断熱については、「住宅全体の断熱をしている」人は25%、「住宅の一部で断熱をしている」人は23%と、約5割が住宅の断熱をはかっている。「現在は断熱していないが将来はそうしたい」という意向を持つ人も19%おり、全体として住宅の断熱に対するニーズは強いといえる。
- 低公害車の保有・購入時の検討意向を尋ねたところ、「すでに購入したか発注済み」という回答は16%、今後「購入の際には検討の対象に入れる」は31%となり、前々回から今回にかけて継続して「すでに購入したか発注済み」が上昇した。
- 環境保全行動を「行っている」と自己評価する人は59%であるが、前回と比べ3ポイント減 少した。自分の環境保全行動が環境問題の解決に役立っていると感じている人は48%で、前回とほとんど変化はない。
- 日常生活の中では、物の購入時の環境への配慮、省エネ、ゴミ処理のどれについても、「環 境保全のために良いことだと思う」と考える人は8割以上となった。
- 環境に配慮している企業については、「当然の行為である」という印象を持つ人が約半数(48%)であるが、「信頼できる」「その企業の製品を買いたい」という好意的な印象を持つ人もそれぞれ4割程度となった。しかし、製品やサービスを選択する際に環境によいかどうかを「いつも考えている」人は24%で、7割以上の人がいつも考えると回答した「機能や品質」「価格」には全く及ばない。
- 環境保全行動全般についての「気持ち」としては、「環境保全のために自分にできることはすべきである」「一社会人として行ったほうがよいと思う」「環境によいことを行うのは気持ちがいい」という前向きな意識を持つ人が非常に多く、「家計の圧迫につながる」「近所の人の目があるので、行わなければならない」「生活の便利さや快適さを損なう」といった後ろ向きの意識を持つ人は少ない。
- 環境保全活動を行う民間団体にこれまで参加したことのある人は22%で、そのうちの57%の人が「団体の主催するイベントに参加したことがある」とした他は活動形態に広がりは見られない。参加頻度は「年2回程度」が中心となっている。
- 民間団体の環境保全活動参加経験者の68%は、その活動への参加が環境問題の解決に「役立っている」と評価している。
- 環境に関する情報への関心は高いが、満足しているとする環境情報の種類は少ない。
- 環境に関する情報の主な入手経路は、「テレビ・ラジオのニュースや番組」「新聞・雑誌の記事」などマスコミが中心で、どちらも約8割の人があげている。「自治体の広報誌やパンフレット」が約5割、「企業の広告、広報誌、パンフレット、環境報告書」は4割の人があげている。
- 環境基本計画の認知状況は12%に過ぎない。また、国が行っている環境行政の満足度(「満足している」「まあ満足している」の合計)は9%、地方自治体の行っている環境行政の満足度は17%にとどまる。
|