平成11年度夏期観察の実施計画及び平成10年度冬期観察の結果について
1 平成11年度夏期観察の実施計画
(1)観察期間: |
平成11年8月1日(日)から8月14日(土)まで |
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(この期間中に1日以上観察) |
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(2)観察方法: |
[1]肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察する。 |
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[2]双眼鏡を用い、こと座の織姫星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。 |
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[3]こと座の1等星ベガを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。 |
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(3)参加方法: |
都道府県・指定都市・中核市の大気保全担当部局(別表参照)へ参加申込みを行い、「観察の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気保全担当部局まで報告する。
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2 平成10年度冬期観察の結果
(1)観察期間: |
平成11年1月7日(木)から1月20日(水)まで |
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(この期間中に1日以上観察) |
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(2)観察方法: |
[1]肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。 |
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[2]双眼鏡を用い、“すばる(プレアデス星団)”のラケットの中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。 |
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[3]おうし座の1等星アルデバランを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。 |
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参加団体から報告された3項目の観察結果については、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長 村山定男:国立科学博物館名誉館員)が集計・解析を行った。 |
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(3)参加団体・
参加者数: |
全国で45都道府県の361団体、延べ5,606人が参加 |
表1 観察参加団体・人数の推移(冬期)
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年度 |
参加団体数 (都道府県・市区町村) |
参加延べ人数 |
昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度 |
75団体 ( 38 ・ 73 )
166団体 ( 39 ・146 )
142団体 ( 37 ・140 )
179団体 ( 39 ・157 )
188団体 ( 40 ・158 )
250団体 ( 43 ・194 )
286団体 ( 44 ・218 )
291団体 ( 45 ・265 )
345団体 ( 44 ・254 )
386団体 ( 46 ・286 ) |
1,556
3,198
2,774
3,003
2,831
4,090
4,108
4,454
5,197
5,562 |
平成10年度
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361団体 ( 45 ・292 )
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5,606
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(4)観察結果
[1]天の川の観察結果
星空を観察する際、観察する部分の高度が低いほど、大気環境の影響を受けやすくなり、星が観察しにくくなる。冬期観察では、天空(高度の高い位置)から順に、「ペルセウス座付近」、「ふたご座付近」、「いっかくじゅう座付近」の天の川の観察状況を調査している。
平成10年度における部分別の観察状況(天の川の見えた地点の割合)は、「ペルセウス座付近」44.6%、「ふたご座付近」40.0%、「いっかくじゅう座付近」26.9%であった。
また、「ペルセウス座」付近の天の川の観察できた割合を、都市の規模に見ると、巨大都市(人口100万人以上)12.5%、大都市(人口30万人以上100万人未満)11.8%、「中都市(人口10万人以上30万人未満)23.0%、小都市(人口10万人未満)63.9%であり、都市の規模により観察状況に大きな差が生じている。
[2]双眼鏡による観察結果
参加者各人に双眼鏡を用い、“すばる(プレアデス星団)”のラケットの中の何等級の星まで見えるかを観察してもらい、その結果を基に、都市の規模別の平均観察等級を算出した。(表2・図1参照)
表2 すばるのラケットの中に見える星の平均観察等級の都市規模別比較
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都市の規模
(人口)
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巨大都市
(100万以上)
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大都市
(30万以上
100万未満) |
中都市
(10万以上
30万未満) |
小都市
(10万未満)
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全観察地点
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昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度 |
7.3
7.9
7.8
7.5
8.0
8.2
8.5
8.0
8.0
7.8 |
8.1
8.3
8.0
8.5
8.1
8.2
8.4
8.0
8.1
8.2 |
8.3
7.9
8.0
8.2
8.3
8.3
8.4
8.1
8.1
8.2 |
8.6
9.1
9.1
9.2
9.4
9.1
9.0
8.8
8.8
8.5 |
8.5
8.6
8.6
8.8
8.8
8.6
8.7
8.5
8.4
8.3 |
平成10年度
|
8.2
|
8.4
|
8.6
|
8.7
|
8.6
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注)星の等級について
天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約 2.5倍明るくなる。
表2においては、数字が大きいほど暗い星まで見えることとなる。
[3]カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
夜空の明るさは、撮影範囲・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それから求めた夜空の明るさを星の等級に換算した値で求めており、星の等級と同様に数値が小さいほど夜空が明るく、大きいほど夜空が暗い状態を示す。(表3・図2参照)
表3 カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の都市規模別比較
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都市の規模
(人口)
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巨大都市
(100万以上)
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大都市
(30万以上
100万未満) |
中都市
(10万以上
30万未満) |
小都市
(10万未満)
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全観察地点
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昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度 |
―
17.5
17.0
17.8
17.0
17.7
18.2
18.5
18.0
17.7 |
18.6
18.3
18.3
17.9
18.1
17.7
18.1
18.4
18.0
17.7 |
19.7
18.8
18.6
18.6
18.2
18.4
18.9
18.9
19.0
19.2 |
21.8
21.0
21.0
20.8
20.8
20.6
21.1
21.4
20.8
20.7 |
20.7
19.9
19.8
19.8
19.6
19.5
19.9
19.7
19.8
19.7 |
平成10年度
|
18.1
|
18.1
|
19.4
|
20.6
|
19.9
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[参考]
平成10年度冬期観察において夜空の明るさが星の観測に適していた場所
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夜空の
明るさ
(等級) |
都道府県
|
市区町村
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観 察 場 所 ( 参 加 団 体 )
|
22.3
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栃木県
熊本県
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大田原市
田浦町
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与一公園駐車場(夢集団・星とロマンを語る会)
御立岬公園(熊本県葦北郡田浦町役場) |
22.2
|
三重県
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松阪市
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村林史郎天体観測所広場
(法田町星空観察会) |
22.1
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鹿児島県
熊本県 |
伊仙町
龍ヶ岳町 |
面縄中学校屋上(面縄中学校星見会)
龍ヶ岳山頂公園広場(龍ヶ岳町役場) |
21.9 |
東京都 |
小笠原村 |
玉川ダム(母島観光協会) |
21.8 |
熊本県 |
清和村 |
清和高原天文台(清和高原天文台) |
21.7
|
鹿児島県
岐阜県 |
姶良町
金山町 |
姶良町立天文台スターランドAIRA屋上
(姶良星の会)
岩屋ダム東仙峡金山湖湖畔(金山町役場) |
21.6
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佐賀県
高知県
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相知町
佐川町
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相知町尾部田宮浦橋付近(相知町)
佐川町立山崎記念天文台(佐川星を観る会)
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注1)「星の観察に適していた場所」については、カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ(暗さ)」を基本に、肉眼や双眼鏡を使った観察結果や観察日時等も考慮して評価したものである。
注2)この評価の結果は、平成10年度冬期全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)に自発的に参加した団体による任意の地点の観察結果に基づいて評価したものであり、全国の星空を網羅的に調査したものではない。従って、ここで発表した観察地点以外で、「星の観察に適した場所」の存在もあり得る。
3 ホームページの紹介
(1)環境庁ホームページ
(2)NTTホームページ
4 平成11年度冬期観察の実施予定
平成11年度冬期観察は、以下の日程により実施する予定。
観察期間:平成12年1月25日(火)から2月 7日(月)まで
<資料> 観察対象の星座