環境研究技術基本計画(答申案)の概要

 
 
第1章 計画策定の背景と意義
○ 環境研究や環境技術開発は、21世紀における我が国の最も重要な知的資産の一つを構成するものであり、エコビジネスなど新たな事業や雇用の創出に貢献する。
○ 米国では「持続可能な未来のための技術」と題する報告書により、環境技術の研究開発の方向性を示すなど、欧米先進国では環境研究や技術開発に関する国家的戦略を立てている。
○ 21世紀を見通した環境研究及び環境技術開発の方向性、重要課題、課題推進のための施策等を示すとともに、環境研究及び環境技術開発を総合的、一体的に推進していく必要。
○ 環境研究技術基本計画は、今後10年程度を見通した、今後5年間の環境研究及び環境技術開発の推進政策を具体化するものとして策定するもの。
 
第2章 環境研究技術の基本的方向
○ 環境問題の解決に貢献するという明確な目的を持ち、環境政策との密接な連携の下に推進。
○ 新たな科学的知見の集積、社会経済状況などの変化に対し、迅速かつ柔軟に対応して推進。
○ 分野横断的、学際的な取り組みなど、体系的・総合的な視点を一層重視。
○ 国、地方公共団体、大学、事業者、民間団体など各主体間の連携・交流を促進。
○ 国際研究ネットワークとの連携を促進し、世界に向けて成果を発信。
○ 地方公共団体、地域の事業者、民間団体等の研究開発ポテンシャルが十分に発揮される体制を構築し、地域の特性を踏まえた研究開発を推進。
○ 環境技術の開発、普及、移転を推進するため、国などによる適切な環境づくりや支援体制の整備を推進。
○ 環境ビジネスの振興を、我が国に新たな産業及び雇用をもたらす大きな契機の一つとする。
 
 
 
 
第3章 環境研究技術の重点課題
○環境変化の機構解明
 ・ダイオキシン・内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)などの環境中での挙動の解明
 ・地球温暖化など地球規模の環境変化の機構の解明・予測
 ・野生生物の生態の把握や生態系の実態解明など
 ・革新的な計測技術やモニタリング手法に関する研究開発など
○環境影響の把握
 ・化学物質による環境汚染、地球規模の環境変動の及ぼす影響、生態系の破壊による野生生物の種の絶滅などの諸課題についての環境リスクの評価研究
 ・政策の合意形成上重要な環境リスクの評価手法やコミュニケーション手法などの研究
○環境保全対策
 ・省資源・省エネルギー型の生産技術や製品、物質循環の確保を目指した廃棄物処理・リサイクル技術、環境負荷低減技術、自然環境の復元技術などの研究開発
 ・環境配慮を内在化した産業活動・社会経済システムのあり方、環境インフラの整備のあり方、環境保全のための国際的な枠組作りに係る研究、国際協調的な対策立案、環境保全対策の費用負担に関する研究
 ・環境マネジメント技術、政策の合意形成のための研究、効果的な環境教育に関する研究など
 
第4章 環境研究技術の推進方策
(1)環境研究及び環境技術開発の推進の基本的枠組み
  環境研究及び環境技術開発の課題を、@基盤的・先導的研究課題、A問題対応型研究課題、B政策提言・政策対応型研究課題、C環境技術開発の4つに分類し、的確な制度の構築と運用に向けた施策を展開していく。
 
(2)横断的・共通的に推進すべき施策
 ○環境研究及び環境技術開発の総合的な推進
・政策との密接な連携を確保するため、環境研究及び環境技術開発の総合推進体制を構築し、基本方針を定める。
・研究開発の企画システムの強化や個別研究の総合化を図る。
・環境技術について体系的に評価していく。
・地域的あるいは国際的ネットワークの中核となる中央及び地方の研究機関を育成する。
 ○連携と協同
  ・地方公共団体の試験研究機関が、地域の取り組みの中核的機能を果たすための体制の強化や役割の充実を図る。
・国際的・地球的共同研究の有する特別なニーズに対応した研究支援制度を推進していく。
 ○研究開発基盤整備
・人材の養成及び確保
 研修及び留学制度の拡充、フェローシップ制度の拡充、人材交流の推進、流動性のある研究制度の構築、研究支援者の確保、研究プロジェクトへの自由なアクセスなどの施策を推進する。
・研究資金の確保
 研究の性格に応じた資金メカニズムの創設と資金の柔軟性の確保、環境研究や技術開発の受益者の間での資金分担、補助金や税制上の措置などの施策を推進する。
・共同利用施設の整備
 大型施設や特定施設などの利用を、外部の組織や専門家にも、できる限り開放していく。
・情報基盤の整備
 公的な研究機関などは、外部からアクセスできるような情報ベースを整備していく。また、必要なデータを継続的に取得していくためのモニタリングの戦略作りを図る。
・普及啓発活動の促進
 シンポジウム、インターネット等により、環境研究や環境技術開発の成果の普及啓発活動に努める。また、優良環境技術の推奨を図る。
 
(3)各主体の役割
  環境研究技術の重点課題の具体的推進方策については、国の役割及び地方公共団体、大学、事業者、民間団体、国民に期待される役割に従い推進していく。