1.調査方法
平成14年度ダイオキシン類の人への蓄積量調査では、我が国の一般環境におけるダイオキシン類の人体への蓄積状況を把握するために、全国5地域14地区の対象者に対し、血液中のダイオキシン類(PCDDs+PCDFs+Co-PCBsを「ダイオキシン類」という。)濃度を測定するとともに、食事調査、及び食習慣や喫煙歴等に関するアンケート調査を実施した(以下、「全国調査」という)。
また、人体でのダイオキシン類の蓄積状況に関する経年変化を把握するために、平成10年度より環境省が血液中のダイオキシン類の調査を行った大阪府能勢町地域、埼玉県地域(所沢市、狭山市、川越市等)の対象者に対し、ダイオキシン類濃度を測定するとともにアンケート調査を実施した(以下、「継続調査」という)。
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全国調査 |
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血液測定(人体の蓄積状況について) |
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全国5地域(北海道東北、関東甲信越、東海北陸近畿、中国四国、九州沖縄)の都市地区、農村地区、漁村地区の対象者259名に対して血液中ダイオキシン類濃度を測定した。 |
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食事測定(蓄積量との関連について) |
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人体へのダイオキシン類の摂取経路のうち最も寄与割合が高いとされる食事とダイオキシン類蓄積量との関係を明らかにするため、血液測定の対象者のうち75名に対して食事中ダイオキシン類濃度を測定し、食事経由のダイオキシン類摂取量を計算した。 |
(2) |
継続調査 |
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血液測定(経年変化について) |
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大阪能勢町地域と埼玉県地域の43名に対して血液測定を行い、過年度の測定結果と比較した。 |
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測定法の比較について |
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43名については、マニュアルに従った「50ml法」と、新規に行った「10ml法」の2つの測定を行い、測定法の比較を行った。 |
2.調査結果
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全国調査 |
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血液中ダイオキシン類濃度については、対象者全員の平均値は27pg-TEQ/g-fat、中央値は23pg-TEQ/g-fatであり、範囲は1.6〜110pg-TEQ/g-fatであった。 |
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5地域の平均値の範囲は22〜34pg-TEQ/g-fat、3地区の平均値の範囲は24〜34pg-TEQ/g-fatであった。また濃度レベルは、これまで我が国で行われた既存調査とほぼ同じであった。 |
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加齢により血液中ダイオキシン類濃度が増加する傾向が認められた。 |
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調査期間中の食事経由のダイオキシン類摂取量については、対象者全員の平均値は1.3pg-TEQ/kg体重/日、中央値は0.86pg-TEQ/kg体重/日であり、範囲は0.067〜6.6pg-TEQ/kg体重/日であった。 |
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5地域の平均値の範囲は0.93〜1.8pg-TEQ/kg体重/日、3地区の平均値の範囲は0.92〜1.7pg-TEQ/kg体重/日であった。 |
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血液中ダイオキシン類濃度と調査期間中の食事経由のダイオキシン類摂取量との間に関連が認められた。 |
(2) |
継続調査 |
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大阪府能勢町地域及び埼玉県地域の対象者について、経年変化を見た場合、個人により差は見られたものの、平成14年度の平均値(26〜27pg-TEQ/g-fat)と昨年度までの結果(24〜33-teq/g-fat)は、全体的にはほぼ同じレベルの濃度であった。 |
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マニュアルに従った分析方法と、少量分析法の2つの測定を行ったところ、相関は非常に高かった。 |