報道発表資料概要


ASEM 環境大臣会合議長サマリー(全訳)
(環境省仮訳)

2003年10月13日 イタリア レッチェ

  1.  第2回ASEM環境大臣会合はイタリアのレッチェにて2003年10月13日開催され、アルテーロ・マッテオリ・イタリア共和国環境・国土保全大臣兼欧州連合環境協議会議長が議長を務めた。アジアの10カ国、ヨーロッパの15カ国の環境大臣又は代表、および環境担当の欧州委員会委員が出席した。国連環境計画のクラウス・テプファー事務局長が特別招待者として会議に参加した。
     
  2.  各国大臣は北京市主催にて2002年1月17日に開催された第1回ASEM環境大臣会合の成功につき中華人民共和国に対し繰り返し感謝の意を表し、イタリアに対し、今次第2回会合の主催に対して謝辞を述べた。
     
  3.  各国大臣は持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)のフォローアップ、地球環境問題、特に多国間環境協定間の相互作用、気候変動、ASEM内における環境問題についての将来的な対話のあり方について議論を行った。
     
  4.  各国大臣はASEM加盟国が共通の課題を抱え、地球環境問題への取り組みには持続可能な開発に向けた国際協力の強化が必要であることを強調した。また、環境と持続可能な開発についてASEM各国間におけるより意見の収斂が一層必要であると述べた。各国大臣は環境保全と経済社会開発政策を統合するべきであること、修復策より予防および上流部門での対策がより効率的で費用対効果が高いことを強調した。

 持続可能な開発に関する世界首脳会議のフォローアップ

  1.  各国大臣は持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)の成果の実施の重要性を強調し、この会議のフォローアップに関する共通理解を確認した。各国大臣は第11回国連持続可能な開発委員会(CSD11)において採択された多年度作業計画を念頭に、ミレニアム宣言およびWSSDで概略された目標の達成促進に向けた対話・協力・パートナーシップについての展望を探った。その際、CSDの第1サイクルのテーマ別クラスターである水・衛生・人間居住の重要性を確認した。
     
  2.  各国大臣は持続可能な開発にとって水が中心課題であることを認識した。淡水の不足および汚染は経済開発・貧困撲滅・社会福祉・食糧安全保障・健康・環境・生物多様性・平和と安全保障にとって脅威となることを認識した。各国大臣は、地方での問題とは区別して、都市及び都市周辺における水と衛生の特別な必要性を認識し、第12回CSD及び第13回CSDにおいてこの問題に取組むことを求めた。
     
  3.  2015年までに安全な飲料水や基本的な衛生設備を利用できない、又は入手できない人の割合を半減し、2005年までに統合的水資源管理および水効率プランを策定するとのヨハネスブルグ実施計画の目標を再確認した。各国大臣は2005年までに統合水資源管理及び水効率プランの開発に焦点を当てることが喫緊に必要であると強調した。これらの計画は2015年の目標への進展の基礎となるものである。各国大臣はまた、欧州連合の「生命のための水イニシアティブ」などのWSSDにて開始された水パートナーシップ及び2003年3月に日本で開催された第3回世界水フォーラムにおいて合意された「水行動集」を確認した。各国大臣は、第3回水フォーラム及びその閣僚会合の成果を歓迎し、国際協力等を通じた、水資源の持続可能な利用・保護・汚染防止・管理を促進する必要性及び統合河川管理の重要性を強調した。各国大臣は、水・衛生サービス供給に関し、関係主体や機関の積極的な関与、パートナーシップの活動などの優良事例を共有することに合意した。各国大臣はまた、インフラへの投資の流動性を高めるための、特に途上国におけるこれらの投資向けの世界銀行資金及び民間資金の減少傾向を克服するための、世界銀行の最近の行動計画を歓迎した。
     
  4.  各国大臣は水問題の解決には、効果的なガバナンス・能力向上・あらゆる資金源の効果的な利用など各レベルにおける包括的で組織的な行動が必要である点で合意した。
     
  5.  各国大臣は持続可能な開発のためには女性が水管理へ積極的に関与する権限を与えることが不可欠であることを強調した。また国内の統合水資源管理計画と衛生プログラムにおいて男女の平等を促進することで合意した。
     
  6.  各国大臣は2020年までに少なくとも1億人のスラム居住者の生活に意味ある改善をもたらすというヨハネスブルグ実施計画および国連ミレニアム開発宣言の目標を確認した。このためには持続可能な都市交通・都市管理・土地利用計画・建設および都市デザインといった優先すべき分野横断的な問題に対し、包括的な政策対応が必要であると強調した。
     
  7.  各国大臣は生態系の収容力の範囲内において社会及び経済の発展を助長するために、持続可能な生産消費形態への転換を加速するための地域および国内でのイニシアティブを支援する計画に関する10年間の枠組みの策定を奨励し、促進することの重要性を強調した。全ての関係者による約束と協調とに基づき調和を取りながら、統合管理システム・ライフサイクルツール・生産政策と経済手法の統合・環境に優しい技術の開発及び移転・企業の環境上社会上の責任と指標などによる説明・教育・消費者情報・市民社会の強化など、供給と需要の両方からの幅広い取組が必要であることを強調した。各国大臣は2003年6月16〜19日にモロッコのマラケシュにて開催された持続可能な生産・消費パターンの促進に関する専門家会合の成果およびアルゼンチンやインドネシアで開催された会合をはじめとする地域プロセスの進展を歓迎した。いわゆる「マラケシュ・プロセス」の開始は、10年枠組計画の進展に向けての重要なステップであり、特に今後2年以内に国際専門家会合を開催することにより、奨励し推進するべきである。「マラケシュ・プロセス」の重要な要素として、またヨハネスブルグのフォローアップにおける持続可能な生産消費形態の達成に寄与するものとして、地域における協力及び活動並びに他地域との協力を継続する。各国大臣はまた持続可能な生産消費パターンへの変更は第11回CSDで決定した通り、CSDの多年度作業計画の全サイクルを通じて分野横断的な課題として取り上げられることを歓迎した。
     
  8.  各国大臣は持続可能な開発を達成するためには、あらゆるレベルでの断固とした行動が必要であることを強調した。また2005年までに持続可能な開発に向けた国別戦略の実施を開始するとのヨハネスブルグ実施計画の公約を強調した。国別戦略には、持続可能な開発の視点からの経済、社会及び環境の統合を含めた貧困削減戦略を取り入れる。
     
  9.  森林に関する問題について、各国大臣は、特に森林生物多様性の利用と持続可能な利用に資する、国・地域・世界レベルにおいて植林や補植活動を始めとする持続可能な森林管理実施の重要性を強調した。この観点から各国大臣は森林に関する政府間パネル/森林に関する政府間フォーラムの行動提案および生物多様性条約の森林生物多様性に関する拡大作業計画を実施するとの公約を再確認する。各国大臣はASEM加盟国が違法伐採やそれに関連する貿易への対処を始めとする持続可能な森林管理を行っていることを評価した。各国大臣は欧州委員会により最近発表された森林法令の執行ガバナンスおよび貿易 (FLEGT)について取り上げた。各国大臣はまた京都議定書のクリーン開発プログラムに基づき発生すると思われる機会を探ることを始め、WSSDパートナーシップおよび持続可能な森林管理改善のためのパイロットイニシアティブを実施することの重要性を強調した。
     
  10.  各国大臣は珊瑚礁などに関する協力とパートナーシップを通じた、海洋および沿岸の保護と生物多様性の重要性を強調した。各国大臣は、沿岸及び海洋資源の不適切な又は不法な利用を防止するとともに、マングローブや珊瑚礁のような脆弱な沿岸・海洋の資源及び生態系を保護することが重要であるとの認識を向上させることを求めた。航行中および荷揚げ荷降ろし時の船舶事故による汚染防止のために環境の観点から海洋の安全に対する意識を向上させることが必要であるとした。2003年5月のIMO会議にて採択された、海難事故被害者への補償額を現在の5倍に増額する国際油濁保障追加基金(International Oil Pollution Compensation Supplementary Fund)を設立するという新議定書採択を歓迎し、早期発効を目指し早期の批准を求めた。各国大臣は、シングルハルタンカーの段階的廃船スケジュールの更なる前倒しおよび建造後15年以上のタンカーへの状態評価の適用、シングルハルタンカーでの重質油輸送の禁止の提案などのIMO第49回海洋環境保護委員会での議論の進展について取り上げた。各国大臣は、MARPOL73/78の改定に関連し、このスケジュールを12月までに終了させることを目指す。各国大臣はまたポートステートコントロールなどのIMO措置の効果的な実施と管理に関し、旗国の責任強化を求めた。地域海協定協力(Regional Seas Conventions and Programme) による海洋保全の方法の一例として、船舶からの油および化学物質の流出に対する予防および緊急措置の概念を紹介したバルセロナ協定新緊急議定書(Barcelona Convention of the New Emergency Protocol) での外交会議の採択を歓迎した。バラスト水が海洋環境に与える影響に関して、船舶のバラスト水の規制及び管理のための条約が間もなく採択される見通しであることを始めとして、国際的な協力が重要である。
     
  11.  各国大臣は持続可能な開発においてエネルギーが果たす重要な役割を強調し、よりクリーンで持続可能なより効率の高いエネルギー利用についての公約を強調した。各国大臣は再生可能エネルギーの割合を高める方法をさらに追求した。各国大臣はヨハネスブルグ再生可能エネルギー連合(Johannesburg Renewable Energy Coalition)の構築および他国におけるエネルギー部門でのパートナーシップに言及し、またASEM各国において協力が進展したことを歓迎した。また、持続可能で入手可能なエネルギーサービスへのアクセスを改善することによる貧困の撲滅に焦点を置いた、EUによるエネルギーに関するイニシアティブを歓迎した。2004年6月、ドイツで開催予定の再生可能エネルギー国際会議(International Conference on Renewable Energies)を歓迎するとともに、同会議を成功させるために、あらゆる努力を払い、協力することで合意した。さらに、特に発展途上国において、エネルギー部門における技術協力、技術移転の重要性とともに、地球規模での気候変動対策として温室効果ガスを削減するために、気候変動枠組条約の関連条項や排出量取引、共同実施、クリーン関発メカニズム(CDM)といった京都議定書の柔軟なメカニズムを利用することの重要性を強調した。また、各国大臣は、オランダが2004年末にエネルギー開発会議を開催することを歓迎し、デンマークで9月16-19日に開催された再生可能エネルギー会議で得られた成果を確認した。
     
  12.  各国大臣は企業・マスメディア・主要グループ・市民社会の全ての人たちは持続可能な開発促進のために重要な勢力であることを確認した。リオ宣言第10原則に基づき、情報へのアクセス、意思決定への市民参加、司法・立法手続きへのアクセスなどの重要性を強調し、経験の交換、優良事例の普及、市民参加へのガイドライン作成の促進について合意した。優良事例集は、アジア・ヨーロッパ環境技術センターによるASEM環境協力の一環であり、リオ宣言第10原則に従い、例えば国連の地域枠組み内において、市民参加に関するさらなる作業のための適切な基礎を提供している。各国大臣は、UNEPとアジア・ヨーロッパ基金が協力して2003年6月にアジア・ヨーロッパ環境フォーラムを立ち上げたこと、ハンス・シーデル基金(the Hans Seidel Foundation)と地球環境戦略研究機関がWSSDの成果を実施するために市民社会のステークホルダー間の非公式な会合を設けたことを歓迎した。

 砂漠化対処、生物多様性及びその他の環境問題についての多国間環境協定

  1.  各国大臣は、条約の遵守や多国間環境協定(MEAs)相互の相乗作用、相互作用に対処する活動を協力して行うことが必要であるということを強調した。2002年2月15日にカルタヘナで開催されたUNEP第7回管理理事会特別会合/第3回グローバル閣僚級環境フォーラムにて確認されたMEAsの強化と遵守に関するガイドラインの実施を公約した。各国大臣はまた、全てのMEAsの効果的な遵守メカニズムの開発を支援することの重要性を強調した。
     
  2.  各国大臣は、人間の健康と環境を守るために、持続可能な開発に向けてのライフサイクル全体での化学物質と有害廃棄物について適切な管理を行うとのWSSDでの公約を新たにした。特に、リオ宣言第15原則で位置づけられた予防的取組(precautionary approach)を考慮して、透明性を有する科学に基づいたリスク評価と科学に基づいたリスク管理を用いて、人間の健康と環境への重大な悪影響を最小化するような方法で化学物質を利用・製造することを、2020年までに達成することを目指す。各国大臣は、遅くともそれぞれが2003年と2004年までに発効する見込みである有害な化学物質及び農薬の国際貿易における事前通報・合意手続きに関するロッテルダム条約(PIC条約)及び残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)を始めとする、化学物質および有害廃棄物に関する国際的な措置の批准および実施を促すことに合意した。また、人間の健康と環境への脅威となっている重金属による危険の軽減をさらに促進することをで合意した。
     
  3.  各国大臣は2003年2月ナイロビで開催されたUNEP管理理事会で合意された通り、2005年までに国際化学物質管理への戦略的アプローチ(SAICM)の更なる進展を約束し、水銀とその化合物による人間と環境への危険性の軽減を促進することを表明した。WSSDで合意された通り、2008年までに化学物質の分類とラベリングの国際的な統一システム(GHS)が全面的に実施されるとの観点から、各国において、できるだけ早くGHSを実施することを奨励する。第4回化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)および 2003年11月、バンコクで開催予定のSAICMのさらなる進展のための第1回準備会合などにおいて更に協力することを期待した。
     
  4.  各国大臣は環境分野での国際ガバナンスの強化が最も重要であるという点で合意した。各国大臣は、UNEPは環境分野での国際的な行動において重要な触媒の役割を果たすものであり、役割を強化し資金基盤を広げていくべきであることを確認した。各国大臣は多国間環境条約(MEAs)は国際環境ガバナンスの柱であり、UNEPはMEAs事務局と協力してMEAs間の相互作用と連携を強化し効果を高めるべきであると述べた。2004年3月韓国にて開催予定の第8回UNEP管理理事会・グローバル閣僚級環境フォーラムにて国際環境ガバナンス強化に向け、更なる進展を期待した。
     
  5.  各国大臣は生物多様性の損失の大幅な増加は持続可能な開発と環境にとって脅威であることを強調した。各国大臣は生物多様性とそれを支える生態系は人類の存在にとって重要であり持続可能な開発にとって中心的な役割を果たすことを再確認した。各国大臣はまた2010年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させるというWSSDの公約を再確認した。生物多様性条約(CBD)とそのバイオセーフティ議定書はこの問題に対する国際協力の枠組みを提供している。各国大臣は国家生物多様性戦略および行動計画をはじめとする、国、地域および地球規模の行動計画を通じて、CBDの実施を促進する必要性を強調し、同時に戦略および行動計画を部門横断的な戦略、プログラム、政策にさらに統合する必要性を強調した。
     
  6.  各国大臣はバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の発効を歓迎し、2004年2月クアラルンプールで開催予定の第1回締約国会議にて、幅広い参加を確保し、決定事項に対して確実に支持をするためにより多くの国が早期に批准することが重要であると強調した。
     
  7.  各国大臣は2004年2月クアラルンプールで開催予定の生物多様性条約第7回締約国会議(COP7)に向けて各国の協力が重要であることを強調した。2010年の目標達成が重要であるとの観点から、COP7では各締約国の目標達成に向けての進展のレビューを行うことを約束した。この目標に向け、COP7は、科学的な情報に基づく十分な管理及び保護された地域の確立や生態系ネットワークの設立を含む戦略計画(Strategic Plan)の実施、多年度作業計画の採択および戦略計画の実施、ボンガイドラインを考慮に入れた各国が遺伝資源利用による利益を公正で公平に分配することを促進するための交渉、山岳における生物多様性に関する新規で目標を絞った作業計画、技術移転および技術協力、などを目指す重要な決定を下すべきである。
     
  8.  各国大臣は多国間環境条約間の相互作用、協力・協調を促進するうえで、地球環境が全体として複雑で相互に関連する生態系の中にあるという考え方が重要であることを強調した。砂漠化防止条約(UNCCD)および国連生物多様性条約(UNCBD)のフォーカルポイントを含むUNFCCCの下での気候変動のための国家適応活動計画(NAPA)など、リオで合意された条約とその他の活動の間により強力な相互作用を確立するために、一層の努力が必要である。国家、地域、国際レベルでの相互作用を確立する必要がある。
     
  9.  各国大臣は多国間環境条約(MEAs)実施に向けて、担当の機関間で国家レベルの協力協調体制の必要性を強調した。
     
  10.  同時に貧困削減戦略ペーパー(PRSP)の枠組と関連のマクロレベルの立案プロセスにおいてはWSSDでの合意事項などの持続可能性の問題をよく考慮するべきである。PRSPなどの国家レベルの立案プロセス、対応するマクロレベルの立案プロセスおよびアジェンダ21は貧困削減対策に環境上の持続可能性の問題を統合する機会を提供する。
     
  11.  WSSDの結果を受けて、ASEM環境大臣はリオで合意された条約の相互実施の方法論を作成すること、途上国において途上国が関与する、相互作用に基づくパイロットプロジェクトを実施することを支援する。土地利用計画、農業管理、流域管理、土壌と水保全、洪水の予防と対応策、再生可能エネルギー、持続可能な森林管理、植林・補植方法などに焦点を当てた統合プロジェクトは、リオで合意された条約への完全参加を可能にし、意見交換と調査結果から利益を得るひとつの方法である。

 気候変動

  1.  各国大臣は、気候変動は今日世界が直面する最も深刻な課題であると繰り返し述べた。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及び京都議定書では、気候変動に対処するための効果的な枠組みと国際協力のルールを確立した。各国大臣は、すべての国がこの枠組みに効果的に参加することが重要であること、そして京都議定書はその課題の克服のための重要なステップであることを強調した。各国大臣は、京都議定書の早期発効の重要性を強調し、このゴールのためにミラノでの締約国会議(COP9)が役立つことを希望する。
     
  2.  各国大臣は、気候変動への取組の重要性を強調し、この観点から、京都議定書とその柔軟な京都メカニズムの実施が、緩和や適応、より高い資源効率及び新しい生産過程と製品の分野における技術発展・普及・移転を助長することにより、経済社会の近代化、経済上の便益をもたらすことを強調した。各国大臣は、再生可能エネルギーやエネルギー効率分野などにおける技術革新や普及が、京都議定書の目標達成に大いに貢献する可能性があることを強調した。クリーン関発メカニズム(CDM)は重要な役割を果たす可能性を有している。各国大臣はCDMにおける相乗効果を志向したプロジェクト開発を支援する。各国大臣はまた、緩和・適応措置の協力を発展させる必要があると合意した。
     
  3.  各国大臣は、適切な措置とイニシアティブ、全エネルギー消費における再生可能エネルギーの割合の向上、より効率的なエネルギー利用、省エネルギー、代替エネルギー資源の利用を通じ、気候変動に取り組む国内の努力を強化することの重要性を強調した。各国大臣はまた、気候変動緩和政策および酸性雨や大気環境を含めたその他の環境政策との相乗効果について、可能な範囲でその必要性を強調した。これにより大幅な健康上の便益、コスト削減、大気環境の改善をもたらす可能性がある。各国大臣は、エネルギーおよび運輸の分野など、全ての関係する分野ごとの政策に気候変動防止対策を統合させる必要性について合意した。
     
  4.  各国大臣は、将来を展望する必要性について合意し、2002年9月23日及び24日にデンマークで開催された第4回ASEM(アジア欧州会合)において、各国首脳及び政府代表が気候変動に取り組むコミットメントを再確認し、気候変動枠組条約及び京都議定書の枠組内において更なる行動をとる必要性を強調したことを想起した。
     
  5.  各国大臣は、2003年12月にミラノ(イタリア)にて開催予定の第9回締約国会議(COP9)を踏まえた密接な協力の重要性を強調し、全ての京都議定書未批准国に対して批准を働きかけた。

 さらなる対話と協力

  1.  各国大臣はASEM加盟国間の環境協力は公平で完全なパートナーシップを基にするべきであることを強調した。当該ニ地域間で行われている協力は、地球規模および地域における環境及び持続可能な開発に関する問題に対処する上で重要である。環境に適正な産業を助長し、環境配慮を取り入れた新規産業の発展を促進する環境協力及び環境に適正な技術の移転は持続可能な開発にとり重要な存在である。各国大臣は投資と技術移転をもたらすパートナーシップ支援および環境マネジメントにおける優良事例の普及と環境に適正な技術および製品を推進することに合意した。各国大臣は持続可能な開発の達成に向けた民間企業の貢献の可能性と、企業の環境上及び社会上の責任と説明責任を促進することを認めた。
     
  2.  各国大臣は、迅速で効果的な情報の交換を促進するとともに、ASEM加盟国間の環境協力を促進するためにASEMフォーカルポイントの役割が重要であることを認識した。そのため、ASEMフォーカルポイントの役割を強化する方法を作成することに合意した。
     
  3.  各国大臣は、環境と持続可能な開発のための教育の重要性を強調し、ASEM-Duoフォローアッププログラムやその他の取組のようなASEM加盟国間の既存の教育交換プログラムにおける環境分野を強化することを勧告した。
     
  4.  各国大臣は、ASEM内の環境分野の協力を改善するアジア・ヨーロッパ環境技術センターA(AEETC)のパイロットフェイズの経験と成果を強調した。また、タイがAEETCパイロットフェイズを主導したことを歓迎した。
     
  5.  各国大臣は、パートナーシップの公約の促進および今後の協力強化のために、今後も対話を継続し意見交換を行い共通理解を深めることを期待した。各国大臣は、気候変動枠組条約COP9などの国際環境交渉の事前及び途中において、ASEM加盟国間の対話を進めることに合意した。また、2004年3月4日〜6日にローマにて開催予定の持続可能な開発のためのパートナーシップに関する国際フォーラム(International Forum on Partnership for Sustainable Development)をASEM加盟国間などの経験と対話の貴重な機会にするというイタリアのイニシアティブに注目した。
     
  6.  最後に、各国大臣は、第3回ASEM環境大臣会合をアジアで開催することに合意した。また、今次会合の成果は、2004年10月にベトナムのハノイで開催される第5回ASEM会合や関連する国際会合の場において発表していくことに合意した。




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