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国民・子供・民間団体の環境保全への取組みに関するアンケート調査結果について
本文


  1. 環境にやさしいライフスタイル実態調査結果について(国民アンケート)

     本調査は、国民の環境保全に関する取組の状況等の把握を目的に実施したものである。第一次環境基本計画については、同様の調査を平成7年度より平成9年度にかけて3回実施したが、第二次環境基本計画については、本調査が第2回となる。調査は、新計画に沿って項目の調整を行い、全国の20歳以上の男女から無作為抽出した3,000人を対象に平成15年5月22日から6月13日にかけて行った(有効回答数は1,211人)。
     調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 環境の状況については、地域レベルに比べ、国や地球レベルで「悪化している」と実感する人が多く、この傾向は前回と同様である。
       
    2. 現在関心のある環境問題は、「地球温暖化」(80%)、「オゾン層の破壊」(59%)「大気汚染」(55%)「不法投棄など廃棄物の不適正な処理」(54%)などで、前回の調査と比較すると、「地球温暖化」「開発途上国の大気汚染や水質汚濁などの公害環境問題」といった地球規模での環境問題と、「大気汚染」「騒音・振動」「悪臭」という身近な環境問題への関心が強まった以外は、全般的に関心が低くなった。
       
    3. 環境問題について、「次世代を担う子供が環境保全について理解を深めるための教育が必要だ」「地球環境問題の解決は各国が協力して取り組む必要がある」「環境のことを考えて、使い捨てはやめ、リユース、リサイクルを進めるべきだ」という考え方を持つ人が多く、前回の調査と比較して、大きな変化はなかった。また、今回から追加した「環境保全への取組を進めることは経済の発展につながると思う」には、約6割が肯定的に答えた。
       
    4. 前回と同様、「ゴミの分別」「ビン、カン、ペットボトル類の分別」「新聞、雑誌の古紙回収」など、ルール化された「リサイクルのための分別収集への協力」に関する環境保全行動や、「節電」「冷暖房の省エネ」など実施することにより個人にも経済的メリットのある環境保全行動はよく行われているが、「環境保護団体への寄付」や「地域の緑化活動」、「地域の美化活動」、「環境保護団体の活動」等への参加といった能動的な環境保全意識に裏づけられた行動に関しては、あまり行われていない。
       
    5. 太陽熱温水器については、前回と比べ、利用者は増加したが、利用意向者が減少した。太陽光発電については、前回と比べ、利用者は横這い、利用意向者は微増しているが、未利用で今後の利用意向もないという人は減少している。
       
    6. 現在の住宅の構造が「高気密・高断熱住宅である」という人は18%、今後、高気密・高断熱住宅にしたいという人は17%で、前回と比べ利用者、利用意向者ともに減少した。
       
    7. 低公害車の保有・購入時の検討意向を尋ねたところ、「すでに購入したか発注済み」という回答は13%、今後「購入の際には検討の対象に入れる」は32%となり、前回と比べ、「すでに購入したか発注済み」が6ポイント上昇した。
       
    8. 自分の環境保全行動が環境問題の解決に役立っていると感じている人は、感じていない人より環境保全行動に熱心である。物の購入、省エネ、ゴミ処理、地域活動のどれについても、「環境保全のために良いことだと思う」と考える人は8割以上となった。
       
    9. 環境保全活動を行う民間団体にこれまで参加したことのある人は52%を占める。
       
    10. 参加の形態として多いのは、「署名活動に協力したことがある」「金銭や物品の寄付をしたことがある」で、参加頻度は「年2回程度」「年に1回程度」が中心となっている。参加の領域としては、「リサイクル・廃棄物」「環境問題全般」「自然保護・創出・緑化」等が多い。
       
    11. 民間団体の環境保全活動参加経験者の52%は、その活動への参加が環境問題の解決に「役立っている」と評価している。
       
    12. 環境保全活動を行う民間団体の参加については、「環境保全のために自分にできることである」「一社会人として参加したほうがよいと思う」という人が7割以上となっている。
       
    13. 環境に関する情報への関心は高いが、満足しているとする環境情報の種類は少ない。
       
    14. 環境に関する情報の主な入手経路は、「テレビ・ラジオ」「新聞・雑誌」などマスコミである。
       
    15. 環境基本計画の認知状況は14%に過ぎない。また、国が行っている環境行政の満足度(「満足している」「まあ満足している」の合計)は8%、地方自治体の行っている環境行政の満足度は15%にとどまる。

     
  2. エコ・アンケート結果について(子供アンケート)
    (小中学生版「環境にやさしいライフスタイル実態調査」)
     
     本調査は、国民の環境保全に関する取組の状況等の把握を目的に実施した調査と平行して、平成15年3月5日から3月20日にかけて、全国の小中学校の中から無作為抽出した計72校の小学5年生及び中学2年生それぞれ1,000名程度を対象に実施したものである(有効回答数は1,662人)。
     調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 身のまわりの環境については、「森や川などの自然が豊か」「野生の動物や昆虫などたくさんの種類の生き物がいる」と認識する子供は過半数を超えるが、海や河川、道路などの汚染を認識する子供も多い。
       
    2. 環境問題についての関心領域は幅広く、特に「水質汚濁」「森林減少」「地球温暖化」「大気汚染」に対する関心が高い。
       
    3. 環境問題に対する考え方としては、「ものの無駄づかいをしたり、大量のごみを出したりする今の生活は、改めた方がよい」「環境を守ると生活が豊かになる」「将来の環境のことを考えると心配だ」「環境問題は自分にも影響がある問題だと思う」は広く浸透している。
       
    4. 日常行っている環境保全行動として定着していることは、「水道の蛇口をきちんと閉める」「テレビや部屋などのあかりを消す」「ものは大切に使う」「ごみをきちんと分別する」であるが、「地域の掃除などに参加する」「買い物のときレジ袋をもらわない」「家族や友達などと環境問題について話し合う」の実施率は2分の1以下にとどまった。
       
    5. これらの環境保全行動は、母親・テレビ・学校の影響で始めた子供が多い。
       
    6. 環境保全行動を行った際の気持ちは、「あたりまえのことをした」「気持ちがよかった」「世の中にとって良いことをしたような気持ち」「もっと行おうと思った」が上位にあり、環境保全に前向きな姿勢が示された。
       
    7. 行っていなかった環境保全行動に対する今後の実施意向は、「水道の蛇口をきちんと閉める」「ものは長く使えるように大切に使う」「テレビや部屋などのあかりを消す」が6割以上と高く、このうち、「テレビや部屋などのあかりを消す」「水道の蛇口をきちんと閉める」は都市規模が小さくなるほどその行動意向が強くなっている。
       
    8. 環境保全に重要な役割を担うものとしては、「日本政府・国」をあげた割合が27%で最も高い。
       
    9. 環境問題に関する情報は、「テレビ・ラジオ」(78%)、「学校の授業や先生」(62%)が2大情報源となっている。
       
    10. 学校における環境保全活動への参加経験としては、「環境問題について、先生の話を聞いた」(56%)、「地域の掃除やごみ拾いなどに参加した」(50%)が半数以上にのぼる。
       
    11. 「こどもエコクラブ」の認知率は18%である。

     
  3. 環境基本計画で期待される民間団体の取組みについてのアンケート調査結果について(民間団体のアンケート)

     本調査は、環境保全活動を行う民間団体の取組の現状や課題などの把握を目 的に実施したものである。
      調査実施に当たっては、環境基本計画に沿って調査項目を検討・調整し、調査対象として「平成13年版環境NGO総覧(環境事業団編集)」から無作為に全国2,500団体を抽出した。アンケートは平成15年3月17日から同年4月14日にかけて郵送により実施し、有効回答数は1,188団体(回収率は47.5%)であった。調査項目と調査結果の概要は以下のとおりである。
      調査結果の概要は以下のとおり。


    1. 主たる事務所は関東や政令指定都市などの大都市に集中し、活動開始時期は1990年代以降が4割近くを占める。約8割が任意団体であり、民法法人とNPO法人はそれぞれ約1割である。
       
    2. 個人会員100人以下が約5割を占め、法人会員をもたない団体も半数近い。財政規模50万円未満が約5割を占め、1000万円以上は約2割である。主たる事務所は「自宅や勤務先」が約4割を占め、専用事務所は約2割と少なく、6割以上の団体には常勤スタッフがいない。
       
    3. 近年の環境は、地域レベル、国レベル、地球レベルの順に悪化が進んでいると認識されている。
       
    4. 政府の環境基本計画について、内容を知っているのは5割を越している。環境基本計画で期待される民間団体の役割のなかで重要と考えるのは、保全活動の促進と国民の意識向上の両面である。
       
    5. 主たる活動分野は“地域環境問題”が上位を占め“地球環境問題”も多いが、公害問題は少ない。主たる活動範囲は市町村レベルや都道府県レベルの地元中心の活動が約7割を占める。主たる活動場所は、自然環境などの現場が約6割であり、現場での実践活動が多い。
       
    6. 主たる活動形態は、環境保全の実践活動が7割を超え、普及啓発・情報提供や環境教育・環境学習も多い。環境保全活動は会員自身(自己実現)と国民 の意識や行動を変えるためが多い。
       
    7. 他主体との協力は約8割が行い、「自ら進んで」が多い。今後の協力意向は9割に増加する。協力の相手先は地方公共団体が6割以上を占めるが、有識者・専門家やNPO・NGOも多い。
       
    8. 協力内容は「実践活動の共同実施」が7割以上を占め、次いで情報や活動の相互支援、助成金関連や活動に関する助言・相談が多い。
       
    9. 他主体と協力する理由は、「活動内容の充実」が約8割を占め、次いで会員の見識・知識・情報の修得である。他主体との協力についての満足度は高く、相互の協議・コミュニケーションが効果的な推進方策と認識されている。
       
    10. 環境情報の入手方法は、環境問題や実践活動の現場、紙媒体、人間同士の直接的な情報伝達・交換、電子媒体など媒体別に類型化できる。発信方法には媒体類型別の優先順位はみられない。
       
    11. 入手する環境情報の内容は、地域環境問題、地域行政の環境施策、日常生活関連  が上位を占める。入手内容として多い情報は、発信内容としても多い。
       
    12. 自団体の環境保全活動の内容や達成度について、「満足している」は1割未満であるものの、「まあまあ満足している」を合わせると、5割以上が満足している。活動充実のための主な課題は団体運営における“カネ不足・ヒト不足”である。
       
    13. スタッフ育成上の課題は、主として“環境問題の基礎知識の習得”である。
       
    14. 環境負荷削減の取組として、『実施済み』が多いのは「再生紙の利用」と「イベントでのゴミ削減」であり、『現在、検討中』を加えると6割前後となる。
       
    15. 取組の成果や効果としては、「会員の環境意識向上」が約6割で最も多い。「地域の各主体の環境意識向上」も合わせると、様々な主体の環境意識向上に効果がでている
       
    16. 環境行政について満足度は低い。ただし、国(政府)、都道府県、市町村の順に地元(主たる事務所の所在地)に近づくほど、環境行政への満足度は相対的に高くなる。
       
    17. 民間団体がその環境保全活動の充実のために国に期待する支援策として最も多いのは、「資金援助」で約4割を占める。



 総合環境政策局 行政資料
 平成14年度環境基本計画の点検のためのアンケート調査(詳細)



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