- 水質汚濁防止法に基づく閉鎖性海域に係る窒素・燐の暫定排水基準について
水質汚濁防止法においては、平成5年10月1日から、閉鎖性海域の富栄養化防止のため、一日当たりの平均的な排出水の量が50立方メートル以上の工場・事業場に対して窒素・燐の排水規制を行っています。
その際、一般排水基準に対応することが著しく困難と認められる一定の業種については、暫定排水基準を設定しました。
暫定排水基準は平成10年に見直しを行い、暫定排水基準値の強化等を行っています。
- 窒素・燐に係る暫定排水基準の適用工場・事業場
現在、暫定排水基準が適用されている窒素9業種、燐3業種に属する工場・事業場においては、これまで一般排水基準の達成に向けて排水処理の各種技術検討・施設改良等が進められ、排出濃度の低減に向けた努力が続けられています。その結果、窒素に係る暫定排水基準適用9業種のうち化学発泡剤製造業及びイットリウム酸化物製造業、燐に係る暫定排水基準適用3業種のうちアルマイト加工業については、今回の適用期間で一般排水基準へ移行することが可能となりました。
しかしながら、残りの業種に属する工場・事業場については、排水処理技術が開発・実用化の途上にある等の理由により、現時点においてなお、直ちに一般排水基準を達成することが困難な状況にあります。
- 見直し案
こうした状況を踏まえ、環境省としては、下表の見直し案のように排水基準を定める環境省令を改正し、化学発泡剤製造業、イットリウム酸化物製造業及びアルマイト加工業については暫定排水基準を廃止し一般排水基準へ移行させ、残りの業種については、現時点において達成可能な濃度レベルまで排水基準値を強化した新たな暫定排水基準を平成20年9月30日を適用期限として設定する予定です。
[閉鎖性海域に係る窒素・燐の暫定排水基準の見直し(案)]
○窒素含有量(単位:mg/L) ( )内は日間平均値
業種 |
現行
(〜平成15年9月30日) |
改正案
(〜平成20年9月30日) |
参考 |
暫定排水基準 |
暫定排水基準 |
一般排水基準 |
化学発泡剤製造業(過酸化水素を使用するアゾジカルボンアミド製造工程を有するものに限る。) |
150( 100) |
暫定排水基準を廃止し、一般排水基準へ移行 。 |
120( 60) |
天然ガス鉱業 |
170( 150) |
160( 150) |
畜産農業 |
260( 200) |
190( 150) |
酸化銀製造業 |
350( 300) |
240( 210) |
酸化コバルト製造業 |
1100( 880) |
900( 750) |
黄鉛顔料製造業 |
1500(1000) |
1300( 950) |
イットリウム酸化物製造業 |
3500(1200) |
暫定排水基準を廃止し、一般排水基準へ移行。 |
バナジウム化合物製造業及びモリブデン化合物製造業 |
8000(6000) |
* 6000(5000) |
(注)*: |
改定案ではバナジウム化合物又はモリブデン化合物の塩析工程を有するものに限る。 |
○燐含有量(単位:mg/L) ( )内は日間平均値
業種 |
現行
(〜平成15年9月30日) |
改正案
(〜平成20年9月30日) |
参考 |
暫定排水基準 |
暫定排水基準 |
一般排水基準 |
アルマイト加工業(燐酸を使用する化学研磨行程を有するものに限る。) |
50( 25) |
暫定排水基準を廃止し、一般排水基準へ移行。 |
16( 8) |
畜産農業 |
50( 40) |
30( 24) |
燐及び燐化合物製造業 |
90( 40) |
* 40( 10) |
(注)*: |
改正案では暫定排水基準適用業種を「燐及び燐化合物製造業」から「燐化合物製造業」に変更するとともに、「燐化合物製造業」においては縮合燐酸塩製造工程を有するものに限る。 |
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