第1 趣旨・目的
1 実施主体 | ||
この事業は、環境省が実施し、事務の一部を茨城県に委託するものとする。 |
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2 対象者 | ||
対象者は、茨城県神栖町におけるジフェニルアルシン酸による汚染が確認された井戸(以下「汚染井戸」という。)の水を飲用に供していた住宅に居住し、又は居住していた者であって、ジフェニルアルシン酸の曝露が確認された者とする。 |
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なお、ジフェニルアルシン酸の曝露に係る確認については、毛髪検査、尿検査等の科学的検査を実施することにより行うものとし、その際は、環境省に設置する臨床医学等の専門家からなる検討会による審査を経るものとする。 |
3 緊急措置事業の内容 | |||
(1) | 医療等の給付 | ||
対象者に対して、以下の措置を講ずるものとする。 | |||
[1] | 医療手帳の交付 | ||
本事業の適用を受けようとする者の申出に基づき、対象者に該当するか否かの確認を行うものとし、対象者である旨の確認を受けた者に対しては、医療手帳を交付するものとする。その際は、環境省に設置する臨床医学等の専門家からなる検討会による審査を経るものとする。 | |||
[2] | 健康診査の実施 | ||
[1]の医療手帳の交付を受けた者に対して、年1回の健康診査を行うものとする。 | |||
[3] | 医療費の支給 | ||
[1]の医療手帳の交付を受けた者が、疾病等(ジフェニルアルシン酸の曝露に起因するものでないことが明らかな疾病等及び明らかになった疾病等を除く。)について、指定医療機関(※)等で医療を受けたときは、その者に対して、当該医療に要した費用の額を限度として、医療費を支給するものとする。ただし、その者が、社会保険各法その他国又は地方自治体の負担による医療の給付を受けることができる場合には、当該医療に要した費用の額から当該医療に関する給付の額を控除した額(自己負担分)の限度において支給するものとする。 |
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対象者に対する医療を担当させる医療機関をあらかじめ指定するものとし、指定医療機関においては、窓口での自己負担を要しない事務処理(現物給付)を行う。ただし、指定医療機関以外の医療機関で医療を受けた場合には、自己負担分は事後精算(償還払い)するものとする。 |
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[4] | 療養手当の支給 | ||
(ア) | [2]の健康診査を受けた者又は通院を行って[3]の支給に係る医療を受けた者((イ)に該当する者を除く。)に対しては、通院等に要する費用として、月額15,000円を支給するものとする。 | ||
(イ) | 入院を行って[3]の支給に係る医療を受けた者に対しては、入院に要する費用として、月額25,000円を支給するものとする。 |
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(2) | 健康管理調査等の実施 | ||
(1)の[1]の医療手帳の交付を受けた者のうち、特定住宅(特定汚染井戸(汚染井戸のうち、特に著しいジフェニルアルシン酸の汚染の影響を受けているものとして、検討会の意見を聴いて環境省が認めたもの(※)をいう。)の水を飲用に供していた住宅をいう。)に居住し、又は居住していた者(以下「健康管理調査対象者」という。)に対しては、以下の措置を講ずる。 | |||
[1] | 健康管理調査対象者に対して、3年間、健康状態等に係る調査を実施するものとし、所定の健康状態等に係る報告書を提出した場合には、当該健康管理調査対象者に対し、健康管理調査費用として、月額20,000円を支給する。 | ||
[2] | 本制度の初年度においては、健康管理調査対象者に対し、病歴、治療歴等に関する調査その他の重点的調査を実施するとともに、当該調査に協力する場合には、それぞれ以下の区分に応じた健康管理調査協力金を支給する。 | ||
(ア) | 本制度実施以前に入院歴(ジフェニルアルシン酸の曝露に起因するものでないことが明らかな疾病等に係るものを除く。(イ)において同じ。)のある健康管理調査対象者 700,000円 | ||
(イ) | 本制度実施以前に入院歴のない健康管理調査対象者 300,000円 |
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※ | 特定汚染井戸は、制度実施時において、汚染井戸のうち最も高い濃度でジフェニルアルシン酸が検出されている飲用井戸を想定。 |
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(3) | 専門家による調査研究の実施 | ||
[1] | 環境省は、臨床医学の専門家等からなる検討会を設置して、本事業に係る調査研究を行うものとする。 | ||
[2] | 検討会においては、(1)の[1]の確認及び(2)の認定に係る審査等を行うとともに、第1の目的の達成を図るため、(1)及び(2)の措置を通じて得られた資料等に基づき、必要な科学的、技術的検討を行うものとする。 |