報道発表資料本文

「水底土砂に係る処分方策基礎調査検討委員会」報告書の概要

  
 報告書では、[1]海防法に基づき講じることが必要な措置、及び[2]それ以外に必要な措置に分けて、それぞれの考え方が整理されている。
  
1.海防法に基づき講じることが必要な措置について
 まず、海防法上の措置に関しては、[1]排水基準が定められている有害物質を含む水底土砂については、従来より、すべての物質に関して規制措置が講じられてきたこと、[2]各地港湾等の底質からダイオキシン類が検出されており、それらによる海洋汚染が懸念されていることなどを勘案し、ダイオキシン類含有水底土砂については、早 急に海防法の体系の中に位置付け、規制措置を講じる必要があると結論された。
 その際には、PCBをはじめとする他の有害物質の取り扱いとの整合性などを考慮して、最も厳しい措置が講じられることとなる海防法施行令第5条第2項第4号に規定する水底土砂に分類し、海洋投入を禁止するとともに、同法施行令第5条第2項に規定された埋立場所*以外への排出を禁止すべきであるとされた。また、その判定基準値は、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排出水に係る水質排出基準値である10pg-TEQ/Lとすることが適切であるとされた。
  
* 海防法施行令第5条第2項に規定された埋立場所とは、「廃棄物及び海水が海洋に流出し、又は浸出しないように護岸、外周仕切施設その他の施設が設けられ、当該埋立場所等が当該埋立場所等以外の海域としゃ断されている」埋立場所である。
  
  
2.その他講じるべき措置について
 上述した海防法に基づく規制措置にとどまらず、ダイオキシン類に係る底質環境基準が設定されている状況等に鑑みて、以下のような取組を実質的に担保することが必要であるとされた。
  
2−1 海洋投入処分に関する追加措置について
 底質環境基準の確保の観点から、ダイオキシン類に係る底質環境基準(含有濃度150pg-TEQ/g)を超過する水底土砂については、海洋投入処分の中止を実質的に担保していくことが求められるとされた。
  
2−2 埋立処分に関する追加措置について
 潜在的な環境リスクをできる限り低減していくことの必要性に鑑みて、溶出濃度が10pg-TEQ/Lを超える水底土砂については、埋立処分よりも無害化処理を優先させていくことが望ましく、特に含有濃度が3000pg-TEQ/gを超える場合にあっては、無害化処理を前提とすべきであるとされた。
  
 一方、溶出濃度が10pg-TEQ/L以下であって、かつ底質環境基準(含有濃度150pg-TEQ/g)を超えるダイオキシン類含有水底土砂を埋立処分する場合には、底質環境基準及び水質環境基準確保の観点から、必要な場合には追加的な措置が求められるとされた。
 海防法においては、当該水底土砂は同法施行令第5条第1項第1号、第2号及び第2項に規定された埋立場所等への排出が可能であるが、同法施行令第5条第2項もしくは同法施行令第5条第1項第2号**に規定された埋立場所にこれらの水底土砂を投入処分する場合については、適切な環境汚染防止対策が確保されており、特段の問題がないものと評価された。
 しかしながら、海防法施行令第5条第1項第1号に規定された埋立場所***にこれらの水底土砂を投入処分する際には、十分な環境汚染防止効果を確保することが必要とされ、
 [1]  埋立場所開口部において水質環境基準の確保が図られること
 [2]  底質環境基準を超過する水底土砂が埋立場所から流出しないこと
を必須要件として、措置を講じるべきとされた。
 また、この要件を確保するためには、
 [1]  適切な汚染防止対策
 [2]  投入前の環境影響評価
 [3]  適切な環境監視
の3つの要素を適切に組み合せて実施していくことが重要であることが示された。
  
** 海防法施行令第5条第1項第2号に規定された埋立場所とは、「廃棄物及び海水が海洋に流出しないよう必要な措置が講じられている」埋立場所である。
  
*** 海防法施行令第5条第1項第1号に規定された埋立場所とは、「水底土砂以外の廃棄物が海洋に流出しないよう必要な措置が講じられている」埋立場所である。
  
  
 報告書は、以上のようにダイオキシン類含有水底土砂の処分のあり方を整理した上で、必要とされる施策を的確に講じることにより、ダイオキシン類含有水底土砂の円滑かつ適正な処分の促進を図り、もって海洋汚染の一層の防止を図っていくことが重要であるとしている。




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