(参考)

有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約 (抄)

 

第1条 条約の適用範囲
1  この条約の適用上、次の廃棄物であって国境を超える移動の対象となるものは、「有害廃棄物」とする。
(a) 附属書Iに掲げるいずれかの分類に属する廃棄物(附属書IIIに掲げるいずれの特性も有しないものを除く。)
(b) (a)に規定する廃棄物には該当しないが、輸出国、輸入国又は通過国である締約国の国内法令により有害であると定義され又は認められている廃棄物
2  この条約の適用上、附属書IIに掲げるいずれかの分類に属する廃棄物であって国境を越える移動の対象となるものは、「他の廃棄物」とする。
3・4 (略)


第2条 定義
この条約の適用上、
1  「廃棄物」とは、処分がされ、処分が意図され又は国内法の規定により処分が義務付けられている物質又は物体をいう。
2・3 (略)
4  「処分」とは、附属書IVに掲げる作業をいう。
5~21 (略)


第3条 有害廃棄物に関する国内の定義
1  締約国は、この条約の締約国となった日から6箇月以内に、条約の事務局に対し、附属書I及び附属書IIに掲げる廃棄物以外に自国の法令により有害であると認められ又は定義されている廃棄物を通報し、かつ、その廃棄物について適用する国境を越える移動の手続に関する要件を通報する。
2  締約国は、更に、1の規定に従って提供した情報に関する重要な変更を事務局に通報する。
3  事務局は、1及び2の規定に従って受領した情報を直ちにすべての締約国に通報する。
4  締約国は、3の規定に従い事務局によって送付された情報を自国の輸出者に対し利用可能にする責任を有する。


第4条  一般的義務
(a)  有害廃棄物又は他の廃棄物の処分のための輸入を禁止する権利を行使する締約国は、第13条の規定に従ってその決定を他の締約国に通報する。
(b)  締約国は、(a)の規定に従って通報を受けた場合には、有害廃棄物及び他の廃棄物の輸入を禁止している締約国に対する当該有害廃棄物及び他の廃棄物の輸出を許可せず、又は禁止する。
(c)  締約国は、輸入国が有害廃棄物及び他の廃棄物の輸入を禁止していない場合において当該輸入国がこれらの廃棄物の特定の輸入につき書面により同意しないときは、その輸入の同意のない廃棄物の輸出を許可せず、又は禁止する。
2~13 (略)

 

附属書I  規制する廃棄物の分類

廃棄の経路

Y1 

病院、医療センター及び診療所における医療行為から生ずる医療廃棄物

Y2 

医薬品の製造及び調剤から生ずる廃棄物

Y3 

廃医薬品

Y4 

駆除剤及び植物用薬剤の製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y5 

木材保存用薬剤の製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y6 

有機溶剤の製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y7 

熱処理及び焼戻作業から生ずるシアン化合物を含む廃棄物

Y8 

当初に意図した使用に適しない廃鉱油

Y9 

油と水又は炭化水素と水の混合物又は乳濁物である廃棄物

Y10 

ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化テルフェニル(PCT)若しくはポリ臭化ビフェニル(PBB)を含み又はこれらにより汚染された廃棄物質及び廃棄物品

Y11 

精機、蒸留及びあらゆる熱分解処理から生ずるタール状の残滓

Y12 

インキ、染料、顔料、塗料、ラッカー及びワニスの製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y13 

樹脂、ラテックス、可塑剤及び接着剤の製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y14 

研究開発又は教育上の活動から生ずる同定されていない又は新規の廃化学物質であって、人又は環境に及ぼす影響が未知のもの

Y15 

この条約以外の法的な規制の対象とされていない爆発性の廃棄物

Y16 

写真用化学薬品及び現像剤の製造、調合及び使用から生ずる廃棄物

Y17 

金属及びプラスチックの表面処理から生ずる廃棄物

Y18 

産業廃棄物の処分作業から生ずる残滓


次に掲げる成分を含有する廃棄物

Y19 

金属カルボニル

Y20 

ベリリウム、ベリリウム化合物

Y21 

六価クロム化合物

Y22 

銅化合物

Y23 

亜鉛化合物

Y24 

砒素、砒素化合物

Y25 

セレン、セレン化合物

Y26 

カドミウム、カドミウム化合物

Y27 

アンチモン、アンチモン化合物

Y28 

テルル、テルル化合物

Y29 

水銀、水銀化合物

Y30 

タリウム、タリウム化合物

Y31 

鉛、鉛化合物

Y32 

ふっ化カルシウムを除く無機ふっ素化合物

Y33 

無機シアン化合物

Y34 

酸性溶液又は固体状の酸

Y35 

塩基性溶液又は固体状の塩基

Y36 

石綿(粉じん及び繊椎状のもの)

Y37 

有機りん化合物

Y38 

有機シアン化合物

Y39 

フェノール、フェノール化合物(クロロフェノールを含む。)

Y40 

エーテル

Y41 

ハロゲン化された有機溶剤

Y42 

ハロゲン化された溶剤を除く有機溶剤

Y43 

ポリ塩化ジペンゾフラン類

Y44 

ポリ塩化ジペンゾ バラ ジオキシン類

Y45 

この附属書(例えば、Y39及びY41からY44まで)に掲げる物質以外の有機ハロゲン化合物


附属書II   特別の考慮を要する廃棄物の分類

Y46 

家庭から収集される廃棄物

Y47 

家庭の廃棄物の焼却から生ずる残滓

 

附属書IV  処分作業

A 

資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用の可能性に結びつかない作業

 このA表は、資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用の可能性に結びつかない処分作業であって実際に行われるすべてのものを含む。


D1 

地中又は地上への投棄(例えば、埋立て)

D2 

土壌処理(例えば、液状又は泥状の廃棄物の土中における生物分解)

D3 

地中の深部への注入(例えば、井戸、岩塩ドーム又は天然の貯留場所へのポンプ注送が可能な廃棄物の注入)

D4 

表面貯留(例えば、液状又は泥状の廃棄物をくぼ地、池又は潟に貯留すること。)

D5 

特別に設計された処分場における埋立て(例えば、ふたをされ、かつ、相互に及び周囲から隔離されている遮水された区画群に埋め立てること。)

D6 

海洋を除く水域への放出

D7 

海洋への放出(海底下への挿入を含む。)

D8 

この附属書において他に規定されていない生物学的処理であって、その結果生ずる最終的な化合物又は混合物がこのA表に掲げるいずれかの作業方法によって廃棄されることとなるもの

D9 

この附属書において他に規定されていない物理化学的処理であって、その結果生ずる最終的な化合物又は混合物がこのA表に掲げるいずれかの作業方法によって廃棄されることとなるもの(例えば、蒸発、乾象、瑕焼、中和、沈殿)

D10 

陸上における焼却

D11 

海洋における焼却

D12 

永久保管(例えば、容器に入れ鉱坑において保管すること。)

D13 

このA表に掲げるいずれかの作業に先立つ調合又は混合

D14 

このA表に掲げるいずれかの作業に先立つこん包

D15 

このA表に掲げるいずれかの作業が行われるまでの間の保管

 

B  資源回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつく作業

 このB表は、有害廃棄物であると法的に定義され又は認められている物であって、このB表に掲げる作業が行われなかった場合には、A表に掲げる作業が行われていたはずのものに関するすべての作業を含む。


R1 

燃料としての利用(直接焼却を除く。)又はエネルギーを得るための他の手段としての利用

R2 

溶剤の回収利用又は再生

R3 

溶剤として使用しない有機物の再生利用又は回収利用

R4 

金属及び金属化合物の再生利用又は回収利用

R5 

その他の無機物の再生利用又は回収利用

R6 

酸又は塩基の再生

R7 

汚染の除去のために使用した成分の回収

R8 

触媒からの成分の回収

R9 

使用済みの油の精製又はその他の再利用

R10 

農業又は生態系の改良に役立つ土壌処理

R11 

R1からR10までに掲げる作業から得られた残滓の利用

R12 

R1からR11までに掲げる作業に提供するための廃棄物の交換

R13 

このB表に掲げるいずれかの作業のための物の集積