(資料1)

環境省環境配慮の方針

  1. はじめに
     
     今日の環境問題は、廃棄物問題や自動車環境問題など地域的な問題から、地球温暖化や生物多様性の喪失、化学物質問題など空間的、時間的広がりを持つ問題にまで拡大し、深刻化しています。政府としては、こうした問題を解決し、持続可能な社会を構築するため、21世紀初頭における環境政策の基本的な方向と取組の枠組みを明らかにする「環境基本計画−環境の世紀への道しるべ−」を平成12年12月22日に閣議決定しました。
     環境基本計画の掲げる持続可能な社会の実現のためには、社会の構成員であるすべての主体が公平な役割分担の下に、様々な施策、取組を自主的かつ積極的に推進する必要があります。そのためには、同計画に示されているように各主体が自らの行動に環境配慮を織り込み、具体的な取組目標を設定して、その取組を適切に進行管理することが有効です。特に、関係府省は、環境基本計画を踏まえながら、自主的に環境配慮の方針を明らかにするとともに、その推進を図るため、政府は、率先して、自主的に、環境管理システムの導入に向けた検討を進めることとされています。
     このため環境省では、以下のとおり、環境基本計画の実行計画となる自らの「環境省環境配慮の方針」を策定し、達成目標を含めた具体的取組とその推進体制の枠組みを定め、その取組の推進を図ります。
     さらに、この取組に関する情報開示を進めることで、国民に対する行政の透明性と説明責任を徹底するとともに、すべての主体が自らの環境保全活動を進めることを触発するよう配慮します。
     
      
  2. 環境省環境配慮の方針の理念
     
     環境基本計画は、環境基本法に掲げられた環境政策の基本理念を具体化していくための戦略を明らかにしたものです。環境保全に一元的な責任を持つ中央行政機関である環境省は、「環境省環境配慮の方針」によって同計画の着実な推進を図り、各主体の参画も得ながら「簡素」で「質」の高い活力ある持続可能な社会の実現を目指します。
     環境省においては、既に、経済活動の主体としての活動を環境に配慮したものとするため、「環境省環境マネジメントシステム」を構築し、目標設定と実施状況の点検を行っているところであり、また、政策の企画立案と実施については、「環境省政策評価基本計画」により、毎年、目標設定及び実施状況の評価を行っています。
     「環境省環境配慮の方針」の推進に当たっては、これらの仕組みを活用し、計画(Plan)、実施(Do)、点検(Check)、見直し(Act)を繰り返すことによって自らの継続的な改善を図る手続である環境管理システムを構築・運用します。
     このように、環境省自らの達成目標を含めた具体的取組を明らかにし、これを適切に進行管理することで、組織としての取組の効果的な実施を進めるとともに、職員一人ひとりの自覚と意識向上を促し、環境保全施策の効率的・効果的な推進を図ります。
     
      
  3. 環境配慮の基本的な方針
     
     環境省の活動を以下のような3つの類型に区分し、そのそれぞれについて基本的な方針を示します。
      
    (1) 環境保全のための政策の企画立案と実施
       環境省の任務は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全を図ることであり、これら施策のすべてが環境保全を目的とするものです。
     このため、環境省は、すべての施策について、環境基本計画を踏まえた目標とその達成のために推進すべき事務事業を示した「環境省政策体系」を定めます。そして、この体系に示した施策及び事務事業の実施と、「環境省政策評価基本計画」による評価を通じ、環境基本計画の着実な推進を図ります。
     なお、年度ごとの取組については、重点施策も踏まえて進めます。
       
    (2) 公共施設整備等における環境配慮
       環境省の施策の中には、環境の保全を目的とした施策であっても、その実施に当たり環境に負荷を与える可能性がある施策があります。このような場合には、環境への負荷をできるだけ最小限にとどめるための配慮を行います。
     このうち、自然公園等の施設の計画・設計に当たっては、「自然公園等事業技術指針」(平成13年3月作成)に基づき環境に配慮した取組を行います。
     また、廃棄物処理施設整備に当たっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及びその他の関係法令・通知等の遵守により、環境への負荷をできる限り低減します。
      
    (3) 通常の経済活動の主体としての活動における環境配慮
       通常の経済活動の主体として国の占める位置は極めて大きく、国自らがその経済活動に際して環境保全に関する行動を実行することによる環境負荷の低減が大きく期待されています。また、地方公共団体や事業者、国民の自主的積極的な行動を求めるためにも、国自らが率先して実行することの意義は高いと考えられます。平成12年5月にはグリーン購入法が制定され、また、平成14年7月には、地球温暖化対策推進法に基づく政府の実行計画が策定され、経済主体としての国の活動に環境配慮を織り込んでいく取組が進められています。
     環境省としても、自ら率先して、通常の経済活動の主体としての活動について、グリーン購入法や地球温暖化対策推進法に基づく政府の実行計画の適切な実施に努めるため、環境省本省の活動を対象に、「事業者としての環境省の環境方針」を定め、「環境省環境マネジメントシステム」(平成14年7月ISO14001認証取得)により、目標を設定し、その取組を推進します。また、本省以外の組織においても、「事業者としての環境省の環境方針」に準じた取組を推進します。
     
      
  4. 配慮の方針推進システム(環境管理システム)
     
     本方針の進行管理のための基本的事項及び体制については、「環境省環境配慮の方針推進システム設置要綱」において定めます。このうち、上記III(1)及び(2)の進行管理については「環境省政策評価基本計画」、(3)の進行管理については「環境省環境マネジメントシステム」において行うこととします。
     特に、本方針の実施状況については、自律的な仕組みである推進システムの趣旨を踏まえ、毎年個別の進行管理の中で評価を行うことにより、自己点検を実施します。
     このような自己点検結果や環境配慮の方針にかかわる事項については、環境省の取組の透明性及び説明責任の確保を図るため、個別の進行管理の仕組み及び本システムにおいて広く国民に公表します。
     さらに、本方針及びその推進システムの継続的改善を図るため、毎年の自己点検結果や中央環境審議会の意見などを踏まえ、取組の改善措置を講じるとともに本方針及び推進システムの見直しを行います。
     
     


平成14年11月25日
環 境 大 臣