T.「ジュゴンと藻場の広域的調査」について
本調査は、沖縄周辺海域に生息するジュゴンの全般的な保護方策の検討に必要な情報やデータを確保することを目的に、平成13年度から概ね3カ年の予定で実施しているものです。
II.第1回検討会の概要
- 検討会の目的
ジュゴンと藻場の広域的調査の調査手法を策定するにあたり、手法の詳細、実施時期等具体的内容について、生物学的・科学的知見を有する専門家の意見を聞き、より適正な調査とすることを目的としています。
- 日 時
平成14年10月10日(木) 午後1時30分〜午後4時30分
- 場 所
東海大学校友会館「霞の間」
(東京都千代田区霞が関3−2−5 霞ヶ関ビル33階)
- 検討会の構成メンバー
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検討会は、平成13年度に引き続き、以下の委員から構成します。
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相生 啓子 |
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青山学院女子短期大学講師 (海草) |
井田 齋 |
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北里大学水産学部教授 (沿岸生態系) |
内田 詮三 |
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国営沖縄記念公園水族館館長(海棲哺乳類) |
粕谷 俊雄 |
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帝京科学大学理工学部教授 (海棲哺乳類) |
香村 眞徳 |
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(財)沖縄県環境科学センター専務理事 (藻類) |
山田 格 |
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国立科学博物館第一研究室長(海棲哺乳類)
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- 報道取材
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検討会の取材は、冒頭の頭撮りのみとさせていただきます。 |
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検討会終了後、16:30目途で検討会会場において取材をお受けする準備があります。 |
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頭撮りをご希望される場合は、担当まで事前に登録をお願いします。
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III.検討会で検討する調査手法案の概要
検討会では、平成13年度に引き続き実施する沖縄本島周辺海域を対象区域とした以下の4項目の調査手法について、専門家の意見を聞きます。
- 海草藻場調査
(1) |
浅場の海草藻場調査 |
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平成13年度に作成した「沖縄本島浅場藻場分布図」をベースに、以下の調査を実施します。
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[1] |
食跡調査 |
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ジュゴンの出現可能性の高い海域を中心に、浅場の海草藻場において水中観察によるジュゴンの食跡調査を実施します。
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[2] |
海草群落の構造調査 |
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浅場の海草藻場の分布要因に関する知見を得るため、数ヶ所の地点を選び、水中観察により、被度、構成種等の情報を分析し、群落構造を把握します。
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(2) |
深場の海草藻場調査 |
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深場の海草藻場の分布要因に関する知見を得るため、数ヶ所の地点を選び、水中観察により、被度、構成種等の情報を分析し、群落構造を把握します。
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- ジュゴンの分布調査
(1) |
航空機による目視調査 |
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平成13年度に引き続き、沖縄本島周辺海域(全域)において、セスナ機によるジュゴンの目視調査を、季節を変えて複数回実施します。
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(2) |
ジュゴンが出現する藻場における観察(予定) |
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「1.(1)[1]食跡調査」により、ジュゴンに遭遇する可能性が高い浅場藻場を発見した場合、陸地からの観測に適した箇所(1地点)で定点観測を行い、ジュゴンの日周行動に関するデータを収集します。
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(3) |
地元住民や関係団体等からの目撃情報の収集 |
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平成13年度に引き続き、地元住民や、NGOなどから、ジュゴンの目撃情報を収集するとともに、ポスターやホームページを通じ、情報の提供を呼びかけます。
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(4) |
ジュゴンの個体群の歴史的動向の考察 |
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沖縄県の郷土史家等の協力を得て、これまでに文献に記載されなかったジュゴンに関する情報を収集するとともに、ジュゴンの歴史的動向に関する情報を整理します。
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- ジュゴンの食性調査
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平成13年度に引き続き、死亡個体の胃及び腸の内容物の定性的分析を行い、ジュゴンの食性を把握します。
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- ジュゴンの遺伝学的調査
海外の個体との比較
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台湾、フィリピン、パラオ及びタイ等の研究機関の協力を得て、平成13年度に整理したDNAの分析手法を用い、これらの地域のジュゴンのDNAを分析し、沖縄のジュゴンとの類縁関係を調査します。
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IV.その他
ジュゴンのレスキュー対策の検討
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魚網に混獲されたり、海岸に漂着したジュゴンのレスキュー体制について、沖縄県(文化環境部局、水産部局及び教育庁)、関係行政機関、関係市町村、学識経験者(ジュゴン、水産業等)、地元関係者、NGOから構成される検討会を設置し、救助、リハビリ、放流などに関する方法を検討し、レスキューに関するマニュアルを作成するとともに、その具体的体制のあり方について検します。 |
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本検討は、沖縄県への施行委任により実施します。 |