諮 問 第 5 9 号
環 保 企 第 855 号
平成14年9月13日
 
中央環境審議会会長
      森嶌 昭夫 殿
 
 
                         環境大臣
                            大木  浩
 

今後の化学物質の審査及び規制の在り方について(諮問)



 環境基本法(平成5年法律第91号)第41条第2項第2号の規定に基づき、今後の化学物質の審査及び規制の在り方について貴審議会の意見を求める。

(諮問理由)
 我が国において新たに製造等される化学物質等については、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化学物質審査規制法」という。)の規定に基づき、当該化学物質の性状等に係る審査を行うとともに、その性状等に応じて、必要な規制等の措置が講じられているところである。しかしながら、化学物質審査規制法は「難分解性の性状を有し、かつ、人の健康を損なうおそれがある化学物質」による環境の汚染防止を目的とし、このような性状を有する化学物質のみを規制等の措置の対象としていることから、新規化学物質等について、生態系への影響に関する審査が制度的に行われておらず、かつ、必要な規制等の措置も講じられていない。
 他方、生態系への化学物質の影響については、国際的な認識が高まっており、本年1月のOECDによる我が国の環境保全成果レビューにおいては、化学物質管理において生態系保全を含むように規制の範囲をさらに拡大することが勧告されたところである。また、環境基本計画(平成12年総理府告示第70号)においても、化学物質対策に関して、人の健康の保護に留まらず、生態系に対する化学物質の影響の適切な評価と管理を推進することが必要とされているところである。このように、化学物質審査規制法に基づく化学物質の審査及び規制等に関して、生態系保全の観点を導入する必要性が指摘されている。
 併せて、より合理的かつ効果的な化学物質の審査の促進等を図るよう検討することが求められている。
 こうした状況等を踏まえ、今後の化学物質の審査及び規制の在り方について、所要の検討を行う必要がある。