(別紙1)

伊勢湾富栄養化対策について(案)

平 成 8年12月17日
伊勢湾富栄養化対策連絡会

 伊勢湾の富栄養化対策については、本連絡会の決定に基づき、昭和57年4月から3次にわたり岐阜県、愛知県及び三重県において伊勢湾富栄養化対策指導指針が策定され、栄養塩類の削減指導が実施されてきた。
 しかしながら、伊勢湾の水質は、近年、ほぼ横這いで推移するとともに、赤潮が発生するなど富栄養化の状態が継続していることから、本連絡会は、環境基準の達成を目指して引き続き栄養塩類の削減対策を実施していくことが必要であると認め、下記について合意する。

  1.  伊勢湾の富栄養化対策は、窒素及び燐の削減を図ることにより実施することとし、その実施に当たっては、岐阜県、愛知県及び三重県が本連絡会の検討結果「伊勢湾富栄養化対策の実績と今後の対策について」を踏まえ新たに策定する富栄養化対策指導指針に基づき行うものとする。
     
  2.  削減目標は、平成11年度に伊勢湾の富栄養化に関係ある地域において公共用水域に排出される窒素及び燐の量を、すべての県において現状(平成6年度実績)より減少させることとする。
     
  3.  以上の削減指導は、岐阜県、愛知県及び三重県並びに名古屋市において、平成8年12月18日から実施に入ることとする。



(別紙2)
伊勢湾富栄養化対策の実績と今後の対策について(案)

平 成 8年 12月17日
伊勢湾富栄養化対策連絡会

  1. 第3次削減指導の評価
     伊勢湾流域の全窒素及び全燐の削減実績は、次表のとおりである。
     全窒素については、平成6年度の負荷量は173.6トン/日であり、平成元年度の182.3トン/日を下回り、目標を達成した。(削減率 4.8%)
     これを発生源別にみると、生活系で0.9%の増加、産業系で12.9%の削減、その他系で3.7%の削減であった。
     全燐については、平成6年度の負荷量は18.5トン/日であり、平成元年度の20.7トン/日を下回り、目標を達成した。(削減率 10.6%)
     これを発生源別にみると、生活系で1.6%の増加、産業系で19.1%の削減、その他系で13.2%の削減であった。

    表 伊勢湾における全窒素及び全燐の負荷量
                          (単位:トン/日)
      平成元年度
    実 績
    平成6年度
    実 績
    削 減 率
    (%)
    全窒素 生 活 系 64.0 64.6 ▲ 0.9
    産 業 系 53.6 46.7 12.9
    その他系 64.7 62.3 3.7
    182.3 173.6 4.8
    全 燐 生 活 系 6.3 6.4 ▲ 1.6
    産 業 系 6.8 5.5 19.1
    その他系 7.6 6.6 13.2
    20.7 18.5 10.6

  2. 第4次削減指導の内容
    (1) 削減の目標
     平成11年度において、伊勢湾の富栄養化に関係ある地域において公共用水域に排出される窒素及び燐の量を、岐阜県、愛知県及び三重県のそれぞれにおいて、現状(平成6年度実績)より減少させること。
     
    (2) 削減の方途
     次の方途を、生活系、産業系等の均衡を図りつつ、実施可能性にも配慮し、総合的に講ずるものとする。
    1) 生活系に係る方途
     下水道の整備を促進するほか、地域の実情に応じ、合併処理浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラント等の各種生活排水処理施設の整備を進めるとともに、高度処理施設の設置等生活排水処理の高度化及び適正な維持管理の徹底等を図る。
     水質汚濁防止法に基づく生活排水対策重点地域の指定及び生活排水対策推進計画の策定の促進を図る。
    2) 産業系に係る方途
     工場・事業場の排水処理施設の整備、処理の高度化及び維持管理の適正化、工程内対策の推進、原材料の転換等を促進することとする。
    3) その他系に係る方途
     畜産対策、農業排水対策、養殖漁場対策等により窒素及び燐の効果的な削減対策を実施する。
    4) 特定事業場対策
     水質汚濁防止法の窒素及び燐の排水基準の遵守及び暫定排水基準適用業種の一般排水基準への円滑な移行のための指導を行うとともに、工場・事業場から排出される窒素及び燐を効果的に削減するため、水質管理目標値を定め、削減指導を行うものとする。
     また、窒素及び燐の上乗せ排水基準の設定については、環境基準の達成状況、排水処理技術の実態及び動向等を勘案し、検討を進めることとする。
    5) 直接浄化対策等
     底質の改善、河川の直接浄化、沿岸生態系の保全・回復等を推進する。
    6) 普及啓発等
     住民に対して、パンフレット等の広報手段により家庭でできる対策の普及、啓発等生活雑排水対策の推進を図るほか、工場・事業場に対しては、説明会等により周知に努めるなど目標達成のための理解と協力を要請することとする。
    7) 負荷量の把握
     削減対策の効果を把握するため、窒素及び燐に係る発生負荷量の的確な把握に努めることとする。
     
    (3) 削減指導の実施時期
     岐阜県、愛知県及び三重県は第4次の伊勢湾富栄養化対策指導指針を策定し、これに基づき、岐阜県、愛知県及び三重県並びに名古屋市において、平成8年12月18日から削減指導を実施することとする。


(参考1) 全窒素及び全燐の目標負荷量
 
 
                       (単位:トン/日)

 

平成6年度
実 績

平成11年度
目 標

削 減 率
(%)

全窒素

生 活 系

64.6

61.8

4.3

産 業 系

46.7

45.3

3.0

その他系

62.3

60.0

3.7

173.6

167.1

3.7

全 燐

生 活 系

6.4

5.8

9.4

産 業 系

5.5

5.3

3.6

その他系

6.6

6.0

9.1

18.5

17.1

7.6



(参考2) 窒素・燐の水質管理目標値

1. 水質管理目標値の基本的な考え方
 水質管理目標値は、伊勢湾の富栄養化対策の推進に当たり、公共用水域に排出される工場・事業場からの排水について、窒素及び燐の水質として目標年度までに達成することが望ましい値とする。
 
2. 水質管理目標値の設定方法
(1) 新設に対する水質管理目標値は、各県で同一の値とする。
(2) 既設に対する水質管理目標値は、各県の工場・事業場の排水の特性等を考慮して定める。
(3) 水質管理目標値が適用される排水は、伊勢湾の富栄養化に関係ある地域の特定事業場で排水量が1日当たり50立方メートル以上のものから公共用水域に排水される排水とする。
 
3. 今後の指導方法等
 各県市は、今後各県が策定する水質管理目標値に基づき、平成9年4月1日から、新設・既設の工場・事業場に対して理解と協力を得つつ具体的な指導を行う。