[環境大臣意見の内容]

  1. 予測、評価
     
     環境影響評価法及び電気事業法に基づく環境影響評価における評価は、対象事業の実施により環境要素に及ぶおそれのある影響が、事業者により実行可能な範囲内で回避され、又は低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにすることにより行うものとされ、また、国又は地方公共団体によって、環境基準等が定められている場合は、これらとの整合性が図られているか否かについても検討するものとされている。
     このため、大気環境及び水環境で環境基準等の定められている環境要素については、回避、低減に関する評価と、環境基準等の整合性の検討に関する評価を区別して分かりやすく記載すること。
     また、環境保全措置については、予測の前提となっているものと、影響を予測した後に追加的に採用した措置とが明確に区別できる記載とすること。
     
     
  2. 大気質
     
    (1) ばい煙の計画排出量に関しては、方法書段階以降に新設発電所及び既設製鉄所について検討が加えられ、新設発電所の稼働後においても、既設製鉄所を含めた事業場全体の排出量を現状より増加させないこととしているが、準備書にはそのための具体的な対策の検討内容が十分記載されていない。このため、評価書においては、これらの事項について分かりやすく記載すること。
    (2) 排ガス中の重金属等微量物質濃度については、運転開始後、速やかに測定を行い予測の妥当性を確認するとともに、使用燃料の性状が当初計画と著しく異なることとなった場合にも、適切な監視を行うこととし、その旨を評価書に記載すること。
     
     
  3. 水質
     
    (1) 化学的酸素要求量等に関し、発電所から排出される一般排水による寄与が小さいことから、環境に及ぼす影響は軽微又は少ないと評価しているが、前面海域においては年度により化学的酸素要求量の環境基準を超過している場合もあることから、一般排水に係る汚濁負荷について更に詳細な検討を加え、その削減を図るとともに、その結果を評価書に記載すること。
    (2) 一般排水による水の汚れの予測に当たっては、一般排水濃度の日間平均値だけでなく、最大値も用いた拡散計算を行うこと。
     
     
  4. 自然環境
     
    (1) 温排水が海生生物に与える影響について、施設稼働時において一定期間の環境監視を実施するとともに、必要に応じて適切な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (2) 緑化に用いる植裁種、緑化方法等については、郷土種、計画地周辺自生種の採用を含めて十分検討を行い、その結果を評価書に記載すること。特に、フジナデシコの播種・移植については、緑化植物がその生育に影響を与えないよう専門家の意見を聴き適切に実施すること。
    (3) 送電線の敷設工事箇所周辺において生態系の典型性対象種として選定したヒバリの営巣が確認されていることから、送電線の敷設工事に当たっては、ヒバリの営巣などに影響を与える恐れのある場所については営巣時期を避けるなどの環境保全対策をとること。また、その旨を評価書に記載すること。
     
     
  5. 二酸化炭素
     
     他の燃料と比較して発電量当たりの二酸化炭素排出量の多い石炭を燃料として使用することから、以下のとおり措置すること。
    (1) 事業場全体における二酸化炭素排出量及び二酸化炭素排出削減のための具体的な対策と当該対策による削減量を明らかにしたうえで二酸化炭素に対する予測、評価を行い、その結果を評価書に記載すること。
    (2) 毎年1%のエネルギー効率の改善目標を着実に達成すること。事業場全体として省エネルギーの推進、化石燃料の削減等を進め、更なる二酸化炭素排出量の削減に努めること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (3) 石炭種により、発電量当たりの二酸化炭素の排出量が異なることから、可能な限り排出量の少ない石炭種を採用するとともに、その旨を評価書に記載すること。
     
     
  6. 環境監視
     
     監視結果については、地域の住民に対して情報提供を行うことが重要であることから、監視結果を含む発電所の運転情報について、住民への情報提供を適切に行うこと。また、その旨を評価書に記載すること。