[別紙2]非公式会合における各国の発言の概要とそれに対する主な反応(発表順)
 
国 名 発 言 の 概 要 主 な 反 応
オーストラリア
ベルリンマンデート・プロセスは、 差異化を要請している
一人当たりの国民総支出についての 損失を均等にするように各国別の削 減率を決め、先進国全体としての削 減を図るべし
いかにして、附属書I国全体と しての削減が確保されうるのか が明確でない
 [EU(アイルランド)]
ガンビア
先進国と途上国との間には、大きな 差がある
途上国経済への悪影響を避けるべき こと及び途上国における温暖化への 適応対策が重要である
途上国の間にも大きな格差があ る(米国)
適応対策についても新議定書は 規定を置くべき (サウジアラビア)
アイルランド(EU代表)
数量目的も政策措置も拘束力のある ものとする
新議定書の締約国と条約の附属 書I国との異同等について、質 問があった。
ニュージーランド
全てのガスを対象とすべき
排出権取引は柔軟性を確保する上で 重要である
短期的で非現実的な目標にこだわる よりは、長期的な大気中の温室効果 ガスの安定化を図ることが重要であ る
費用最小化を図れる手法が重要であ る
政策措置は基本的には各国の裁量に 委ねるべきだが不適切な補助金の除 去や国際的なバンカー燃料への課税 等は、各国間で調整する必要がある
 
ノルウェイ
全世界の合計削減率(ただし、現状 の対策のままのケース(BAUケース) の将来見通し排出量からの削減率) を国毎の事情により特定の式により 加減するアイディアを提示
 
どのような式を使おうとも代入 するデータが時とともに変化す るので、約束に安定性がない (米国)
BAUケースのベースライン排 出量見通しについても信頼性が 低い(米国)
先進国全体が、果たして削減さ れるか疑問である(EU)


 
国 名 発 言 の 概 要 主 な 反 応
ロシア
先進国全体としての目標と差異化された責任とを強く主張
共同実施について好意的
 
西サモア
(AOSIS代表)
従来から提案しているAOSISの議定書案はベルリンマンデートに完全に即した内容となっている
 
サウジア

ラビア

CO2に偏らない包括的アプローチ、吸収源の増進、適応対策の位置づけ、既存の不適切な補助金の除去が必要
エネルギー需要の抑制のための需要側での課税強化に反対
産油国の福祉が低下するより、水没により国が絶滅するおそれがあることの方が重要である
 (マーシャル諸島連邦)
スイス
全体的構成としてはEU案を支持
国毎の差異化として、1人当たり排出量に応じ、先進国を3〜4のグループに分け、1人当たり排出量の大きな国程大きな削減を担うべし
 
イギリス
EUの提案に含まれない詳細な事項、特に審査の仕方や気候変動の指標(Climate change indicators)づくりなどを訴えた
指標に照らした判断がどのように国際社会や各国の行為に結びつくのか(米国)
 
米国
排出量の貸借り(目標以上の削減を達成した場合には、その分を次の目標の達成に繰り越すこと)などの柔軟性が必要
次のステップにおける途上国の対策参加が必要
米国は議定書の履行確保や強制力を強調するが、10年間の目標では事実上、履行が確保されているかどうかが最終年まで分からず、実質的に義務がないのと同じ
(EU、マーシャル諸島連邦)
→これに対し、米国より、借り出しの上限を設けることを示唆
ザイール
先進国で既存の2000年目標が守れない国があるのは問題であり、こうした国々の2000年以降の目標については、より厳しいものにするべき
 
(注) AOSISは、他国の提案に対するコメントとして、フレキシビリティを確保することは否定しないが、チェックの確実性が犠牲にさせてはならないこと、緩和対策と同様に適応対策が重視されるべきこと、差異化の議論ゆえに国際合意が遅らされてはならないことを指摘した。



(別紙3)

フランス提案のポイントについて
 
 今回の各国の提案の中で、特にフランスの提案が注目されるところ、そのポイントは以下のとおり。
 
(1) 2000年以降は、先進国合計排出量の相当の削減が必要とのEUポジションに立つこと。
 
(2) 先進国の全温室効果ガスの一人当たり排出量を2100年に1.61炭素換算トン(必ずしも決まっていない。1.6〜2.2トンの範囲か、それより低い数字となることもある。)にするべく、各国の2000年時点の一人当たり排出量を1.6トンに向け毎年同じ率で削減していくこと。
 
(3) EUバブルの中でフランスは削減分担を果たしていくが、上記のQELROSは、EUがあたかも一つの国のように行動することにより、EUとして達成すべきものとしたいこと。
 
(4) EUが全体として、このQELROSを達成するために、EU内部の各国にこのQELROSを直接当てはめるのではなく、EU各国が行わなければならない先進国共通の拘束的な政策措置を各国が実施することにより、結果的にQELROSの達成が図られると期待されるものであることから、このQELROSは、拘束的な政策措置と一体のもの、パッケージと考えるべきものであること。



(参考2)
議長による結論
(環境庁仮訳)
 
 議長からの提案に基づき、ベルリンマンデート・アドホックグループは、その12月の第5回会合で、
(a) COP3で採択される議定書又はその他の法的文書がベルリンマンデートの条件を十分に実施すべきことを再確認するとともに、また、ベルリンマンデート・プロセスが非附属書I国に対する新たなコミットメントを課すものではなく、条約第4条1項の既存の約束を再確認し、第4条3項、第4条5項及び第4条7項を考慮しつつ持続可能な開発を達成するためにこれらの約束の実施を引き続き進めることを強調した。
 
(b) 締約国からの議定書案文の提案や議定書又はその他の法的文書の要素に関する締約国からのその他の提案を提案者がわかるような形で収めた、議定書の枠組みとなる文書を、事務局の支援を受けて議長が準備することを要請した。この文書は、1997年6月1日までに全ての国際連合の公用語で条文案を配布する必要があることを念頭に置きつつ、次回の第6回会合及びその後の会合において、詳細に検討されるとともに、締約国からの更なる提案のための基礎として役立つことととなる。
 
(c) 締約国が更なる提案、特に(法的)文書の条文案を収めた提案を提出することを求めるとともに、通常の例にならって、これらの提案を配布することを事務局に求めた。1997年1月15日までに受理された提案は、上記(b)で求められている議定書の枠組みとなる文書の作成において、考慮されることとなる。
 
(d) さらに、差異化の概念及び附属書[1]国に適用可能な差異化に関する基準について、多くの指標を分析、適用し、第6回の会合に際して開催されるこのテーマに関する非公式なラウンドテーブルにその結果を提出するため、議長が、関心を有する諸国とともに検討を進めるよう求めた。