CEPF記者会見時 大木浩環境大臣 冒頭発言要旨(予定稿)


 今般、絶滅危惧種が多く生息し、生物多様性が脅かされている開発途上国の「ホットスポット」を、より効果的に保護するための「クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)」に、我が国が新たなメンバーとして参加することを決定したことを、まず、ご報告申し上げます。
 CEPFは、コンサベーション・インターナショナル(CI)、世界銀行、地球環境ファシリティー(GEF)が2000年に設立したもので、その後、米国のマッカーサー財団が2001年より参加し、ホットスポットの保全に努力する地域の団体の活動へ支援を行っている基金です。
 我が国がこのCEPFを支持することとした理由としては、1)世界の生物多様性保全は最も深刻な問題の1つであり、この基金の目指すホットスポットの保全は特に喫緊の課題であること、2)この基金のアプローチがホットスポットの保全と経済的繁栄を結びつけるものであり、基金への参加が貧困問題解決の一助になると考えたこと、3)実際に現場で自然と人との共生をめざす「地元の団体」に対する支援であること、が挙げられます。
 ホットスポットが我々に様々な恵みを与える生物多様性にとって重要な地域であることは言うまでもありません。しかしその一方で、貧困が、ホットスポットのような生物豊かな土地を圧迫し、そこからの恵みの減少が更に貧困に拍車をかける、という悪循環が生じています。
 これを断ち切るため、建設的な解決方策を探り、生態系に配慮した具体的なプログラムでホットスポットの保全を図ることが重要です。それが、我が国がCEPFに期待し、また共にやっていこうとする目標であります。
 また、地域の住民が自らの生活との関係において、ホットスポットの保全を地域の持続可能な発展の中へ融合していくことが、保全の取組みを成功に導く鍵であると信じています。
 我が国の位置するアジアでは、長い歴史の中で、地域の人々と自然が共生する生活が営まれてきました。私は、そうしたアジアの中にも多くのホットスポットが含まれていると聞き、その保全の重要性を強く感じざるを得ませんでした。また、我が国とアジアの間では、渡り鳥や海棲動物が往来し、地理的歴史的にも深いつながりを有し、生物多様性保全のうえでも密接な関係にあります。
 我が国がCEPFに参加することで、固有種や絶滅危惧種の保全に関し、我が国がこれまで培ってきた経験、すなわち知識や技術が、途上国、特にアジア地域を中心としたホットスポットの保全に活かされるものと信じています。
 我が国は、正式メンバーとして財政的にも技術的にもCEPFへの積極的な貢献を約束します。そして他のメンバーとの協力の下、ホットスポットの保全という目標が達成できることを期待しています。

(了)