第4回日中韓三カ国環境大臣会合
共同コミュニケ(仮訳)
2002年4月21日 ソウル、韓国

  1. 金明子(キム・ミョンジャ)大韓民国環境部長官の招待により、解振華(かい・しんか)中華人民共和国国家環境保護総局長と大木浩日本国環境大臣はソウルを訪問し、2002年4月20日及び21日に第4回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)を開催した。また、この機会に三大臣は、李漢東(イ・ハンドン)国務総理大臣を表敬訪問した。
     
  2. 三大臣は、最近の各国及び北東アジア地域における環境への取組の進展について意見交換を行った。三大臣は、昨年11月、ブルネイにおいて行われた日中韓首脳会合において、TEMMとその活動が高く評価されたことを歓迎した。
     
  3. 三大臣は、環境保全は21世紀の方向を形づくる中心的な推進力となると認識した。この意味で、国際社会が持続可能な開発を達成するために、多大な努力をすることへ期待を示した。三大臣は、これに貢献する意思を共有し、また、TEMMに関する情報を他の地域的、世界的な環境会議に提供することは、国際的な環境への取組努力にとり、十分価値があるものであるということに同意した。このためには、北東アジア地域における他の環境プログラムとの連携を強化することが必要であるとの認識を共有した。
     
  4. 三大臣は、第2回TEMMで決定された5分野で形成されたプロジェクトについて、進捗状況のレビューを行った。三大臣は、昨年の環境産業円卓会議と合同環境研修プロジェクトの建設的な成果を賞賛し、あわせて、淡水(湖沼)汚染プロジェクト、TEMMウェブサイト、環境教育ネットワーク、中国北西部の生態系修復などの継続中のプロジェクトを評価した。TEMMの全ての活動が実り多い結果を挙げることを期待して、TEMMの組織的、財政的メカニズムの強化が重要との認識を共有した。
     
  5. 三大臣は、また、共通の関心事項である種々の話題について議論した。議論は、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)への準備、気候変動や生物多様性といったグローバルな課題から、砂塵(黄砂)や中国北西部の生態系修復といった地域的課題を対象とした。三大臣は循環型の経済社会のための協力を強化する意向を表明した。さらに、三大臣は、本年1月の北京における第1回アジア欧州環境大臣会合を中国が成功裡に開催したことを賞賛し、解大臣と大木大臣は、2004年の第8回国連環境計画管理理事会特別会合/グロ−バル閣僚級環境大臣フォーラムを開催するという韓国の申し出を歓迎した。
     
  6. 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)について、三大臣は、環境再生に向けた全地球的な取組の中での、WSSDの歴史的な重要性を確認した。三大臣は、中国、日本、韓国は、そのプロセスに積極的に貢献し、最終的な成果にこの地域の検討内容を盛り込むべきであるとした。特に、TEMMは、異なる経済、社会状況にある国の間の地域協力の顕著な例であるとの認識を共有した。それゆえ、三大臣はTEMMの活動をWSSDのプロセスに提供することで一致した。三大臣は、アジア諸国において、開発の枠組みに環境配慮を統合することの重要性を強調し、WSSDはこれらの問題にも焦点を当てるべきであると主張した。最後に、三大臣は、WSSDの成功や持続可能な発展のために三カ国のステークホルダー間の継続的な対話が重要であることを指摘した。
     
  7. 三大臣は、地球規模での参加を要請する緊急の課題である地球温暖化への三カ国の継続的な努力を評価した。気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)と京都議定書が国際協力の枠組みを設定するとともにこの問題への人類の努力の第一歩であることを再確認しつつ、三大臣は、共通だが差異ある責任に基づき地球温暖化に取り組むための国内努力と国際協力を強化するべきと主張した。三大臣は、WSSDの時期を念頭におきつつ2002年中に議定書が発効することへの期待を表明した。
     
  8. 三大臣は、北東アジアにおける生態系の劣化についての懸念を表明した。この地域の干ばつや土壌劣化によって一層悪化してきた砂塵嵐(黄砂)の最近における大発生に特別な注意を払った。TEMMプロジェクトによる生態系改善への効果を念頭に置きつつ、環境に関するセミナーや研修、科学的調査といった取組を通じて、三カ国における環境マネージメント能力の強化に焦点を当てるべきということで一致した。三大臣は、砂塵嵐に対応するため、モニタリング能力を強化する必要性についての認識を示した。さらに、三大臣は、砂塵嵐への対応のための取組に関して、この地域の国の環境行政機関と国連環境計画(UNEP)、地球環境ファシリティー(GEF)等の国際機関との一層の連携が重要であることを強調した。
     
  9. 大気汚染に関して、酸性降下物質は中国、日本、韓国三カ国が共通して直面する深刻な問題であると認識した。三大臣は、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)の活動を積極的に推進するという合意を再確認しつつ、研究やQAQCプログラム等の活動を推進することやEANETの基盤を強化することの重要性を強調した。大気汚染管理の分野では、三大臣は、大気汚染長距離越境移動物質に関する共同研究プロジェクト(LTP)の進展を評価し、また、北東アジア地域環境協力プログラム(NEASPEC)と北東アジア地域環境データ研修センター(NEACEDET)の先駆的な役割を評価した。しかしながら、三大臣は、大気汚染は、引き続き、北東アジアにおける重大な問題であることを認識した。運輸セクターが大気汚染、大気中の温室効果ガスの濃度上昇や騒音振動問題に一層の影響を及ぼしていることに留意しつつ、三大臣は、環境にやさしい輸送モードやインフラ整備の推進を含む環境面から持続可能な交通のための対策を検討する研究がなされるべきという認識を共有した。
     
  10. 水管理に関し、三大臣は、淡水資源の確保と水環境の保全が、地球の持続可能性の実現において重要であることを認識した。これに関し、三大臣は、WSSDプロセスでの淡水資源の重要性に関する国際社会の共通の認識を歓迎した。2003年に開催される第3回世界水フォーラムの成功に向け、三カ国が緊密に貢献すべきとの意見で一致した。
     
  11. 海洋汚染に関し、三大臣は、2002年3月に開催された北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の第7回政府間会合における、地域調整ユニット(RCU)の設立に関する成果を評価した。三大臣は、地域調整ユニットの早期の設立がNOWPAPのプロジェクトの推進にとって、特に重要であるということを再確認した。
     
  12. 生物多様性の保全に関し、三大臣は、生息地の保護が生態系の維持に極めて重要であることを認識した。特に、三大臣は、湿地が重要な生態系であり、絶滅に瀕した生物や渡り鳥を含む希少な動植物相に生息場所を提供しているということを認識した。三大臣は、湿地の状況、その保護と再生に向けた取組みに関する情報交換を積極的に行うことに合意した。
     
  13. 三大臣は、次回会合が中国で開催されることを決定した。時期及び開催地は開催国が提案し、各国が確認することとした。さらに、三大臣は、三大臣全員が参加する国際会議の際に会合を持つことに合意した。三大臣は、TEMMの枠組みの強化及び活動促進に関する事項については、将来の会合で議論すべきであるという見解を共有した。
     
  14. 三大臣は、今回会合が友好的な雰囲気で行われたこと、及び、実り多い結果を得たことについて、満足の意を表した。解振華大臣と大木浩大臣は、金明子長官と韓国政府に対し、その温かいもてなしと丁寧な接遇に対し感謝の意を表明した。
     
     
     
    (署名)
    大 木  浩
    環境大臣
    日本国
     
    (署名)
    解  振 華
    国家環境保護総局長
    中華人民共和国
     
    (署名)
    金  明 子
    環境部長官
    大韓民国