資料2-1

        雲仙天草国立公園(雲仙地域)の公園区域及び公園計画の変更案の概要


〈これまでの経緯〉
 ・昭和 9年 3月16日    公園区域の指定
 ・昭和13年12月17日   特別地域の指定
 ・昭和40年12月22日  特別保護地区の指定
 ・昭和57年 7月24日  公園計画の全般的な見直し(再検討)

〈公園の概要〉
 ・区   域:島原半島のほぼ中央に位置し,普賢岳,妙見岳などを中心に同心円上に
        裾野を広げる部分とその南西に突き出た丘陵性台地からなる部分に分け
        られる。
       ・雲仙岳の主峰の普賢岳は,平成2年に198年ぶりに噴火した。
・景観の特長 :普賢岳をはじめとした火山景観と雲仙温泉の地獄現象や温泉群が特長。
・動 植 物 :動物は,ホンドキツネ,ニホンリスなどの小・中型ほ乳類をはじめ,オ
        オルリ,キビタキ,ホトトギス,ヤマガラなどが見られる。特に普賢岳
        中腹のあざみ谷では多くの野鳥を見ることができる。
        植物は,標高1000mを境界として,上部にはコハウチワカエデ,ケクロ
        モジなどの夏緑樹林が,下部には照葉樹林が生育している。特筆すべき
        植物としては,長崎県では雲仙のごく限られた地点にのみ分布するブナ,
        野岳のイヌツゲ,地獄地帯のシロドウダンのほか,ミヤマキリシマ,ヤ
        マボウシがある。
・利 用 形 態 :古くから開けた雲仙温泉での温泉保養を中心に,夏は避暑地として利用
        者が訪れる。また,平成2年に噴火活動をした普賢岳,春のミヤマキリ
        シマ,秋の紅葉,冬の霧氷の観賞等,年間を通した利用がある。年間利
        用者は,雲仙天草国立公園全体で868万人(平成8年)である。

〈変更の概要〉
  平成2年からの普賢岳の噴火活動が沈静化したことや公園利用者のニーズの変化等公
 園を取り巻く諸情勢の変化をふまえ,公園区域及び公園計画の見直しを行い,適正な保
 護及び利用を増進しようとするものである。

1.公園区域の変更
  ・総合運動公園として整備されたことにより国立公園としての資質が失われた地域に
   ついて,公園区域の削除を行う(2ha)。
 
2.保護計画の変更
  ・平成2年の普賢岳噴火活動により新たに形成された火山景観のうち,溶岩ドームの
   東側の山腹部(194ha)を特異な景観を保全するため第3種特別地域に,これ
   らの火山景観が間近に見られる垂木台地(50ha)を利用拠点としての風致の維
   持を図るため第2種特別地域として,保護の強化を図る。
 

*地域地区別面積:単位 ha(%)
特 別 地 域 普通地域
4,706(36.6) 8,154
(63.4)
特別保護地区 第1種特別地域 第2種特別地域 第3種特別地域
588(4.6) 799(6.2) 2,827(22.0) 492(3.8)
公園区域 12,860(100)
特 別 地 域 普通地域
4,948( 38.5) 7,910
(61.5)
特別保護地区 第1種特別地域 第2種特別地域 第3種特別地域
588(4.6) 799(6.2) 2,875(22.4) 686(5.4)
公園区域 12,858 (100)

3.利用計画の変更
  噴火後の地域の復興も念頭に置きつつ,火山景観,地獄現象,野鳥,紅葉等に代表さ
 れる自然とのふれあいを推進するために,当該地域の代表的な利用拠点である雲仙温泉
 集団施設地区及び雲仙諏訪ノ池集団施設地区の整備計画を見直すとともに,園地,野営
 場,博物展示施設を計画する等所要の変更を行う。
 (1)集団施設地区
  ・変 更  2ヶ所(雲仙温泉,雲仙諏訪ノ池)
  (2)単独施設
  ・追 加    5ヶ所(園地3,野営場1,博物展示施設1)
 (3)道路
  ・追 加 2路線(歩道2)
    ・削 除  1路線(歩道1)
  ・変 更 7路線(車道1,歩道6)


                               《雲仙天草国立公園の位置図》