新・生物多様性国家戦略の特徴


[1] トータルプラン
「自然と共生する社会」を実現するための政府全体の中長期的なトータルプランとしての役割を担うこと
 
[2] 理念の拡大
社会全体とのかかわりにおいて施策を展開すべきとの考えから、従来の「有用性」を中心とした意味づけに加えて、「安全性・効率性」や「地域文化」と生物多様性が密接不可分であることを明記するなど、理念を拡大し整理したこと
 
[3] 対象の拡大
山奥の原生自然や貴重種といった絶対的価値の高い特定の地域や生物に限らずに、里地里山、都市域など中間的、相対的な価値を持ち人の生活・生産活動とのかかわりの中で保全していくべきものにも積極的に光をあて、施策の対象を国土全体に拡大したこと(グランドデザイン、国土の構造的把握、植生自然度別配慮事項、里地里山の分析・重要性位置付けなど) -その中で、湿原、水辺地や浅海域の干潟、藻場など、減少・劣化の著しい湿地の重要性について特記したこと(重要湿地500、浅海域生態系調査)
 
[4] 提案の具体性
法律改正や戦略的・モデル的事業の提案など、戦略策定を受けて新たに着手する具体的施策・事業を出来るだけ盛り込み、実践的な行動計画としての役割を持たせたこと (自然公園法・鳥獣保護法改正、自然再生事業、里山保全モデル事業、モニタリングサイト1000・浅海域生態系調査など)
 
[5] 自然再生
残された自然の保全に加えて、国土の空間特性に応じた自然環境基盤のポテンシャルを顕在化させ、国土全体の生物多様性の質を改善・向上させていく方向に転じたこと、その端緒として自然再生事業を提案したこと
 
[6] 連携・共同
各省連携、共同体制の強化について、自然再生事業、里地里山の保全・利用、生態的ネットワーク形成等における連携や自然環境データベースの共有化・統合の提案(自然環境保全基礎調査・河川水辺の国勢調査・森林資源モニタリングの連携、農水省・環境省共同の田んぼの生きもの調査)など、具体的に強調して述べたこと
 
[7] 多様な主体の参加
今回の策定作業は、インターネットの活用などにより、徹底した情報公開のもとで進めるとともに、パブリックコメント募集のほかにも、NGO、学会、地方公共団体はじめ様々な団体からの広範なヒアリングを実施するなど、開かれたプロセスの中で進めたこと
自然再生、里地里山保全、自然環境調査(モニタリングサイト1000)などの具体的、実践的な取組の中で、国だけでなく、地方公共団体、専門家、住民,NGO、ボランティア等多様な主体の参加・連携を呼びかけたこと